トレードで追求すべきもの | 林知之


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都内の電車が次々と相互乗り入れして便利になりましたが、表示を見ているはずなのに乗り間違えたりします。でも間違えを重ねるうちに、ちゃんと乗ることを求めなくなってきたので、それはそれでいいような気がしてきました(笑)。

アメリカの心理学者マズローの「欲求段階説」というのがあります。
人間も生き物ですから、まずは食べる、寝るといった生理的欲求を満たそうとします。次は健康や経済的安定などの安全欲求、それが満たされたらこんどは社会とのつながりなど社会的欲求や愛の欲求と、段階的により高次の階層に進むという説明です。

よく考えたら当たり前のことのような気もするのですが、こうして明確に定義するのが学問というものなのでしょう。

トレードにも、さまざまな欲求があります。

プロほど「生き残れ」とか「タネ銭をなくすな」といった、いわば低次の欲求が大切だと強調します。一方で、日々の値動きを見ながら「値動きを当てよう」とする、理想を追うような試みにもエネルギーを注ぎます。

結局、どこに重点を置こうかと考えながら、落ち着く場所がないままに迷走するのがトレーダーのシゴトなのかもしれません。

電車を利用する際、「この時間帯は、2両目に乗ると途中の駅で大勢降りるから座れる」など、細かい観察と工夫があります。トレードに当てはめると、タイミングのわずかな違いで値幅を有利にする試み、というところでしょうか。

こういったことも大切ですが、そればかりを気にしていたために、トレンドを捉え損ない、逆行するポジションをつくってしまうこともあります。「安く買えた」と満足していたら下げ相場の中段だった、ってやつです。
電車でいえば、タイミング良く空いている車両に乗ったと思ったら、目当ての駅に止まらない急行だったり、逆方向の電車だったり……。

でも、多くの場合は乗り間違えなどありません。
だから、どの車両に乗るかといった細かいことを工夫しようと努めるのです。
こういう日常の当たり前をトレードに投影した場合、当然のように、わずかなタイミングに気を配ります。ところが、「逆方向の電車に乗るくらい当たり前だ」との感覚をトレードに持ち込むと、「混んでいる車両だろうが、うるさい学生がいようが、そんなことはどうでもいい。足がドアに挟まっていたり、となりのオッサンに踏まれていてもいい。とにかく、正しい方向の電車に乗りさえすればオーケーだ」というくらいの姿勢で、トレードにも臨むでしょう。

トレーダーの欲求はズバリ儲けることですが、プロセスについての欲求を高めるか低くするか、どこにポイントを置くかなど、ふと思い出したときに、ぜひ考えてみるべきテーマだと思うのです。


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