テクニカル分析のキモ
ダマシは予見することができない、だからダマシ。
「予測の的中率を大きく上げる術はない」というのが大原則であり、戦略を考える大前提です。
実践上は、「ポジション操作で“利益率”を上げることができる」というのが、技術論の突破口ですが、もう一歩突っ込んで考えると、いわゆる「勝率」を上げる道が見えてきそうです。
マーケット・スクランブル2019年10月の放送では、実践者の創造でパフォーマンスを向上させる可能性をさぐりました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第166回 中源線を使いこなす ~定点観測でクセをつかめ~)

テクニカル分析の三原則
テクニカル分析では多くの観点が生まれて混乱しますが、不要な混乱を回避して常にスッキリ整理された思考を維持する、とても便利な理屈があります。
ズバリ、「テクニカル分析の三原則」です。
簡潔に説明しましょう。
1.価格はすべてを織り込む
現在の価格は、あらゆるニュース・材料を織り込んでいる、と考えます。
そう考えないと、チャートを観察する意味がありません。
2.価格はトレンドを形成する
底打ちの翌日に天井とか、天井をつけた翌日に底打ちとか、そんなことはあり得ません。天井と底の間には、“一定の期間”があります。だから、その間が必然的に「トレンド」(上げまたは下げ)です。
3.歴史は繰り返す
株価変動のパターン、銘柄ごとの特性、等々、少しだけユルく観察すれば同じ値動きが再現されると考えることができます。
※こういった用語の実践的解説は、私が執筆している「実践!相場用語集」をご覧ください(無料、登録不要)。
相場は常に「未来」を考えるゲームです。
でも、見ることができるのは「過去」だけ。
ムチャなことは期待しない、でも、上記の3つを前提に予測を立て、その予測と現実のズレを「対応」でカバーしていくのです。

歴史は繰り返す
では、前項で示した「テクニカル分析の三原則」に従った考察例を挙げましょう。
番組でも取り上げた、1722ミサワホームです。
1722ミサワホーム

2014年11月~2015年11月の値動きです。
後半の下げは取れていますが、その手前、高値を取りにいった際の陽線はダマシに終わりました。下げのあとの底固めでも、落ち着きのない保合でダマシが2発出現しています。
結果として「1勝3敗」(下げ過程)、うまく“損小利大”を実現した事例です。
そのあと、最後の陽転には、いい感じで乗れました。
次は、同じくミサワホームの直近の動きです。

今年4月の終わりに陽転し、大きく上伸しました。
くしくも、2015年と同じ700円台の陽転です。
「700円台の陽転は確度が高い」と決めるつけるのは、いかにも安っぽいのですが、まずは思いつく条件ではないでしょうか。たった一点の条件、わずか2つの事例ですが、「例えば、こういったことを突破口にして考えていく」という、ひとつのヒントです。
ちなみに、どちらも陽転前にダマシがつづいているのも共通点ですね。
2つめに示した事例では、ちょっとヤラレが2回、ほぼトントンが2回……これで2カ月が経過しているので、実際ならばイヤになって「別の銘柄にしよ!」なんてこともありそうです。
理想に近づくために考え、工夫するのですが、期待値が高すぎると見誤ります。

トレンドはつづく
トレードを実践しない人、あるいはファンダメンタルだけを頼りにする人の一部は、チャートそのものを否定します。
その否定論の中には、以下のような理屈もあります。
「マーケットでは、個別の売り買いが行われているだけ。すべての事象が連続しているかのように線で結んだり並べたりするのはおかしい」
たしかにそうです。否定はできません。
しかし、「トレンドがある」との前提に立たないと、予測してポジションを取る“トレード”という行動が成り立たないのです。だから、不完全な理論を承知で、「ポジション操作」といった対応を考えているのです。これこそが、実践論です!
さて、上げトレンドも下げトレンドも一定期間つづくということは、トレンドのない状態、いわゆる「保合」(もちあい)も一定期間つづくと考えなければなりません。

上のチャートは、8151東陽テクニカです。
赤い丸印で見事に保合を放れて上伸していますが、あとから見るから「ほほぉ」となるわけで、実際には半年近い保合を経験させられて「つまらない……」と感じるでしょう。
この事例からは、例えば以下のようなことが浮かび上がります。
・保合をガマンすることも必要(ダマシにつき合う)
・裁量では乗れない保合放れを中源線が検知してくれる
さて、東陽テクニカは、保合放れ(ブレイク)と中源線の陽転がほぼ同時でしたが、そうではない事例もあります。下に示すのは、8604野村HDです。

青い横線が保合の上辺なので、上にブレイクしたのは2019年8月中旬ですが、すでに8月はじめに中源線は陽転していました。中源線の強みがよくわかる事例ですね。
ちなみに、「世界的にリスクオフ」とか「金融株の先行きは暗い」などといわれる状況下で、こうして野村HDが上伸したのです。絶対の理論はないのですが、テクニカル分析に大きな優位性があるひとつの証左です。

鉄板はない
さて、いくつかの事例を示して現実の対応を考えてきました。
相場には「抗っても仕方がない」と思えるケースもありますが、勝率を上げることを積極的に考え、「いけそうなパターンを見つける」姿勢が大切だと申し上げておきましょう。
ただし、いわゆる「鉄板」の状況はない──これを忘れてはいけません。
2年前にこうなった、去年も同じだった、その状況が再び生まれた、「よし、勝負だ!」と数量を何倍にも膨らませるとか、キケンですから!
ふだんは千株単位なのに、「おいしい状況だ!」とコーフンして1万株やったら、お遊びのバクチになってしまいます。プロの行動、言ってみれば「所帯バクチ」を打つのなら、少し多めにするくらいでしょうし、基本は「結果的に負けることを恐れず、見逃さずに確実に出動する」だけです。
実際、100個の事例を深く考えて、7割も8割も当たるようになるなんて、あり得ません。
100の事例のうち、2つでも3つでも「いけそう」と思えるものが見つかれば、ほかのマーケット参加者と差をつける重要な手がかりになるのです。
そのための考察、そのための定点観測を提案します。
さて、このような落ち着いた思考を可能にしてくれるのが、中源線という手法だと思います。ロジックはすべて公開されていますし、シンプルかつ実践者の感覚そのままのルールが、実用的な考え方を助けてくれるのだと強く感じます。

フォローアップ第2回では、定点観測をもとにした裁量をテーマにお送りする予定です。
お楽しみに!
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