ホント、シンガポールのコスト上昇はシャレにならないレベルになってきています。
昨年から稼働した「Compass」というビザ取得制度。
ざっくりまとめると、①Salary(年齢に応じた給与テーブル)や②Qualifications(カテゴライズされた出身大学など)、③Diversity、④Support for Local Employmentなどの4カテゴリーに加え、⑤Skills Bonus、⑥Strategic Economic Priorities Bonusなどによって40ポイント以上の加点がないとビザが取得できないという仕組みです。
②などは出身大学がグループ分けされていて、上位グループに入っていない大学だと加点が十分得られなかったりします。
サラリーも業種によってテーブルが定められていて(このホームページに各業種の年齢別のテーブルがあります)、ポイントを取りたければそれだけの「月給」を払う必要があったりします。
基本的には、ローカルの雇用を守るという観点から、海外からEP(就労ビザ)を取得して働く人には、それなりにシンガポール経済に貢献が見込めるか、税金を納めるか、シンガポールに貢献できる人材だけにしてくれという視点の制度設計なのでしょう。
まぁ合理的だし、納得ではありますが、これまでビザを取得していた人まで、この制度変更でビザの更新のために大幅に月給を引き上げたりしなければいけない状況になってきています。
これまでコンドミニアムなどの住居の高騰がすさまじかったけれど(一年で50%とか上がりました)、そっちがようやく落ち着いてきたと思ったら、最初の記事にあるようにオフィス賃料も次の更新では30%とか引き上げたいという要請がきていたりもします。
それ以外にも様々なコストが急騰しているシンガポール。
中国から大量にヒト、モノ、カネが流れてきたのも一つの大きな要因だとは思いますが、さすがにビジネスの安定性や継続性を考えると疑問を感じる場面がだいぶ増えてきた気はします。
この数年、香港が中国化の中で大きく揺らぎ、シンガポールに流れてくる動きの中で、今度はシンガポール(でビジネスをしている企業)がこういったコスト高騰に直面しています。
確かに税金は安いですが、個人的な体感では多分年収4千万ぐらいないと節税メリットを実感しづらい気がします。。。
とても若い人材にどんどんチャレンジさせてあげられる状況ではなくなってきているなぁと痛感する昨今です。
日本、そして東京が「アジアの金融センター」としての地位を取り戻すうえでも、環境の良さ、資金量の豊富さ、コストの安さなどの優位性を発揮するチャンスなのかもしれませんね。