正解はどこにある?

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 連載「トレード哲学」……10
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たい焼きのアンコは、シッポの部分にまで入っているべきか否か?
こんなテーマで論争したら、それ自体はおもしろいでしょうね。
でも、結論は出ません。好みの問題だからです。

連載「トレード哲学」では前2回で、効率的市場仮説の説明を行いました。
株式市場の価格は効率的か否か、ものすごくカンタンにいえば“予測を当てる余地があるかどうか”について、賛否両論があるということです。

すでに起きているのに一般に認識されていない事実──つまり、明らかに存在する変化なのに、市場の価格に反映されていないこと、故ピーター・ドラッカー氏が説いた「すでに起こった未来」、株価の“未来を考える”視点です。

市場が完全に効率的なら、「すでに起こった未来」はどこにもなく、有望な銘柄を選別して投資する“アクティブ運用”は機能しないことになります。

さて、市場は効率的か否か──連載の先号で書いた通り、実践的な私見を述べます。

『どちらも正しい』、これが答えです。
白黒をハッキリさせる必要はありません。

価格を見るときに「隠された情報がある」と考えると、迷走してしまいます。
現在の価格、これまでの価格推移をすべて疑うことになるからです。
この部分には、「市場は効率的だ」という前提があります。

しかし、100%効率的だとすると、利益を上げるための突破口を見いだせません。

  • 人気の行きすぎ、つまり、売られすぎる場面や買われすぎる状況
  • バブル(市場全体が一定期間、買われすぎる)
  • アノマリー(説明できない季節的な上げ下げや周期的な変動)
  • 突発的な変化

これらを探すことが、ほかの参加者を上回る結果を出す突破口だからです。
市場は効率的か?
学術的な考察も、「仮説」あるいは「主張」です。
実践的には、さらにあいまいにならざるを得ません。

また、「予測をどうやって当てるか」に全神経を使うのではなく、

『独自の仮説に従って売買しながら、値動きに対応していく』
『たまたまの予測的中で、そこそこの利益を確保する』
『たまたまの見込み違いでも、大きな損を出さない』

と考えるのが、林投資研究所が提唱する“相場技術論”の哲学です。

ちなみに、「価格を見るときに『隠された情報がある』とは考えない」という部分は、大切な現状認識です。過去の事実をそのまま受け入れないと、チャートを見る行為そのものが否定されてしまうからです。

連載の次号で説明します。


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

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たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)

詳しくはこちらのページでご覧ください。


長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル

詳しくはこちらのページでご確認ください。


※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

日経平均を見るな

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中学生の時、担任の先生が私たち生徒に言いました。
「全員、平均点以上を取るように!」と。

「全員が平均点以上?」
「“以上”はその値を含むから、全員が同じ点数?」
先生の言いたいことは理解しつつも、笑って終わりになってしまいました。
その先生、数学教師でしたしね。

さて、日経平均が2万円乗せと話題になっています。
私自身、強気の見通しですし、資金が流入して株価が上がる明るい地合いを嫌がる理由はどこにもありません。下げを狙う“売り好き”の人だって、上がるほど落差が大きいという計算だけでなく、上げ相場の明るい雰囲気を感じて悪い気分ではないでしょう。
人間の自然な感情です。

でも、常日ごろから私は、多くの投資家が日経平均を気にする姿に否定的です。
先物などで日経平均の上げ下げを狙う場合は別として、個別銘柄の先行指標にもならず、特別な意味はありません。

以下、4月に発行した最新刊から引用します。

◇日経平均を見るな

 投資関連の情報は、ひたすら日経平均を考察します。しかも、チャートのタテ方向のみ、日経平均の「水準」ばかりが論じられています。
 さらには、絶対に結論が出ないにもかかわらず、「どうしたら先行きを当てられるか」という観点が満載……。
 世界情勢が、日本のマーケットにも影響を与えるのは事実。でも、ひとつひとつを考えていたら、体がもちません。
 それに、投資家の不安を“チクチクと突く”ようなメディアの姿勢に振り回されていたら、独立した状態で決断する“プレーヤー”としてバランスが悪いでしょう。
 学校のテストで、英語と数学どちらも50点ならば「平均」も50点です。次のテストで英語が100点になった、しかし数学は0点だった。50点が100点に上がったのも事件ならば、50点が0点に落ちたのも事件ですが、「平均」は前回と同じ50点です。
 「平均点は前回と同じ。特に変化なし」という結論を出せるでしょうか? 否! “個々の点数の変化”こそが問題なのです。
 日経平均は東証一部に上場する約2,000銘柄のうち、たった225銘柄を対象とした単なる平均です。
 上昇する銘柄が多ければ日経平均も上昇するという理解は間違っていませんが、テストの平均点の例と同じく、個々の銘柄のさまざまな値動きが見えることはありません。
 まずは、「日経平均を見る」という、メディアに刷り込まれた視点から脱却すべきです。
 売買の対象とする個別銘柄の動きをストレートに観察し、最も大切な「自分自身の出処進退」を考える適正な姿勢に、自然と移行するでしょう。

『ブレない投資手法 曲げない投資哲学』のコラムより)

新刊『ブレない投資手法 曲げない投資哲学』……地味なタイトルですが、林投資研究所が発する“渾身のメッセージ”です。


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理論か実践か

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 連載「トレード哲学」……9
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夜のクラブで、「フルーツ盛り合わせ、頼んでいいかしら?」というのは、テキトーな料金を乗せま~す、太っ腹でおねが~い、という意味です。
いかにも不合理ですが、そんなことを言うと、粋じゃない、カッコ悪いなんて意見も……あなたの正解は?

前回示した「効率的市場仮説」は、市場に参加する人間が極めて合理的との前提があるようです。それに対して、「いやいや、人間はそんな合理的な判断をする生き物じゃないよ」という反論があるわけです。

心理学、あるいは社会学といった理論が出てきて、例えば「行動経済学」とか「行動ファイナンス」なんて言葉にぶつかります。
このあたりから、考えるのがおっくうになってくるわけです。

細かい要素が、それぞれの分野で少しずつ重なるのでしょうから、学術的に追究しないと理解できない、いや、興味を持続することすらできないのでしょう。

実践論なので、とても大ざっぱにまとめます。

みんなが合理的に行動するから、市場の価格は“あらゆる情報を反映している”、というのが効率的市場仮説。

でも、仮説なんですね。
その仮説に対する反論は、次のようなものです。

「バブルと呼ばれるような極端な上昇相場は、どう説明するんだ?」

たしかに、その通り。

で、よくわからないので「正解さがし」をしてみると・・・

2013年のノーベル経済学賞は、以前から効率的市場仮説を提唱するユージン・ファーマ氏と、批判的立場の行動ファイナンス派ロバート・シラー氏の双方に与えられたというので、結論は、どちらでもいいということのようです。はあ?

しかし、それでは売買の実践で困ることになるのです。
次回は、実践的な私見を紹介します。


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市場は効率的か?

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 連載「トレード哲学」……8
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最も長い和名を持つ魚……ミツクリエナガチョウチンアンコウだそうです。
漢字で書くと「箕作柄長提灯鮟鱇」、頭痛がしてきます。。。

今日は、「効率的市場仮説」という、漢字7文字の言葉を解説します。

「市場が効率的」とはなにか──。
平たく言えば、“すべての情報が現在の価格に反映されている”ということです。

そもそも「仮説」なので、だれも証明していません。
ひとつの“主張”と考えてください。

大筋はこれだけですが、もう少し丁寧に説明しましょう。

私たちは、例えば「この企業は〇〇だから、今の株価は明らかに安い」などと分析して買うことを検討しますが、市場が効率的ならば、そんなアプローチに勝機などない、ということになるのです。

知り得る情報は100%、現在の株価に織り込まれている、と考えるからです。

ややこしいことに、効率的市場仮説には、「ウィーク」「セミストロング」「ストロング」と3つのバージョンがあり、最も強い「ストロング」では、隠れているインサイダー情報までもが織り込まれている、と主張するのです。

ホントかよ、ってところですが、ひとつの考え方、主張、ひとつの理論なのです。

細かい話は抜きにして、効率的市場仮説は、

 頑張って分析しても割高・割安を判別することは不可能
 投資する銘柄を選別する“アクティブ運用”は成り立たない

という主張なのです。


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5月8日放送のフォローアップ(3)
林 知之

相場のミスはゼロにできる!

春高が実現すると、5月が売り場になる? 急落もある?

この発想は実践的に正しいのですが、単なる恐怖心として“正解探し”をするか、自らの意思で「対応」「対処」の具体策を準備するか──ちょっとした方向性のちがいが明暗を分けます。

5月8日の放送では、誰もが嫌がる「急落」という言葉から、中源線の特徴を説明するとともに、トレードの根本的な問題を取り上げて解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第108回 Sell in May? 中源線は急落にどう対応するのか

トレードの最大の経費は?

フォローアップ(1)にも掲載した、急落時の対応一覧をあらためて示します。

買いポジションを持っている場合の対応で、「A 切って何もしない」と「C 切ってドテン売り」は、どちらも決済(手仕舞い)を伴います。なので、利食いかもしれませんが、損切りの可能性もあります。

あるいは「B 買い増し」でも、ポジションを増やして利益が増加する可能性がある一方、損の金額が膨らむ可能性も秘めています。

とにかく、損益という生々しい結果が生じるのがトレードです。
相場のミスは「見込み違いによる損切り」という考え方に結びついてしまうのです。

しかし、多数の投資家がマーケットという場に集まって競争しているので、個々のトレードが“勝ったり負けたり”になるのは必然。誰がやっても大きな差は生じません。負け続ける人はいるのですが、勝ち続ける人は存在しないのです。

トレードの損失は避けられないもの、「経費」と考えるしかない。
こんな結論が実践的だと言わざるを得ないのです。

プレーヤーとしての務めは、その経費を低く抑えることであって、損失ゼロを目指すなんて非現実的。絶対に損をしたくない──そんなイメージが頭にあると、道を誤るわけです。

トレードの経費は、売買手数料でもなければ各種の情報料でもなく、トレードの損失なのです。

相場の“ミス”とは?

では、相場のミスとはなにか──。

経費(売買損)の抑制がうまくできないこと、損失が必要以上に拡大する状況を放置してしまうこと、などです。

一定の頻度で仕掛けを行った場合、損切りの回数を減らすよりも、損失の額を抑えるのが“務め”です。損失の額を抑えると、見込み違いのときに要する時間(ポジションを持つ期間)も短くできます。当然、精神的負担も軽減できます。

儲けをガンガンと拡大するのではなく、損失を抑えるのですから、とても地味な作業です。でも、その地味な作業を静かに継続するよう努めるべきです。

見込み違いだと察した場合、「切ってしまうべきだよな……」と思うのですが、しっかりとした基準がなくて切ることができない、そのままズルズルと先送りしてしまうのが相場“あるある”です。

「負けを確定したくない」という感情をつい優先させてしまう結果、資金を長々と寝かせたあと、最後の最後に大幅な損切りをするという悲劇につながってしまいます。こんなことだけは避けたいのです。

しかし、少しくらい評価損が生じただけで切りまくっていたら、相場を張る行為が成立しません。最安値を拾ったり最高値で売りを仕掛けることは不可能なので、買い始めた時点、あるいは売りを仕掛け始めた時点で評価損が発生するのは当たり前です。

やはり、確固たる基準をもつべきですが、トレードは自分ひとりの作業なので、一定の緊張感を保ちにくい、必要な“意識”を維持しにくいものです。

常に“次の一手”を考えるクセをつけるべきです。
次項で、ちょっとしたヒントを示しましょう。

「なにもしない」も行動のひとつ

現時点でのポジションに不安を感じながらも、切らない、減らすこともしない……魔法の言葉「様子見だ」を武器に自分を悪い方向に誘導するのが、前項で述べた“先送り”です。

でも、ちょっとした値のブレ、相場の“あや”で反応していたら、ドッテンバッタンとダメな売買を繰り返すだけです。

なにもしない、つまり「ポジションそのまま」という状況は多いと思います。かなり短期売買でない限り、毎日のように売ったり買ったりはしないでしょう。

では、実際に「ポジションを維持」というとき、単に「なにもしない」と軽く流すのではなく、「“なにもしない”と決断した」「ポジションを動かさないという“一手”を自ら選んだ」と定義してください。誰にも強制されない、自分の自由意思です。だからこそ、「なにもしないんだ」とハッキリ、心の中で言ってください。

中源線を利用する利点は、こんなところにあります。

日々、終値をチェックして場帳を記入し、それからチャートに1本の線を描き足す。このとき、たとえ翌日の売買がなくても、「法示(シグナル)はない」とハッキリ確認する作業があります。

実践家としての理想的な対応を、いやでもなぞることになるのです。
ペン字を習う人が、教科書に薄く印刷されたお手本の字をペンでなぞるのと同じで、正しいやり方を効率よくインプットする効果があるのです。

今回も、実例を見ながら確認しましょう。

テイクアンドギヴ・ニーズは、2016年11月9日の急落で陰転しませんでした(1)。9月に陽転してモタモタしていたところ、11月に入ってから上げが加速し始め、12月と2017年1月の保合でも陰転せず1,000円超まで上伸しました。

これについて「ほら、当たった」というハナシではありません。
2016年11月9日の急落場面では、中源線で陰転した個別銘柄がたくさんあります。その中でテイクアンドギヴ・ニーズは、「陰転しなかった」「ガクンと下げたことを受けても“持続”と判断した」ということで、重要なのは「なにもしない」という明確な答えを出し、その通りに行動する理由もハッキリしていたということです。

もし11月9日の下げで陰転していたら……おそらく、その後の上昇で再び陽転していたでしょう。余分な転換が起こり、陰転で仕掛けた売り玉が損、そのあとの買いはタイミングが遅れるということになるのですが、そんな結果論を持ち出すとキリがありません。

ちなみに、感覚的に納得できるかは別として・・・

2017年2月に、高値からズルッと下げたところで陰転した(2)
翌3月に高値を更新しても陰線が続いた(3)

これらも、中源線による確固たる判断、事前に決めていた通りの対応です。

個人投資家のワザ“トレードの分業”

個人投資家は自由です。
社会的なしがらみはなく、行動はいっさい制約されません。

そのかわり、ひとり数役をこなす、ちょっと器用な対応を求められます。

取れるときは取るべきです。小幅の利食いに徹するのが手堅いわけではありません。だから、攻めていくべき場面もあります。

ところが、そんな気持ちを抑えたりコントロールする“別の自分”も必要です。

ファンド運用で分業化されている各種の業務、例えば、アセットアロケーション(資金配分の計画)、銘柄選別、調査といったことを、すべて単独で行うのが個人投資家のシゴトです。

感覚を駆使して自由闊達(かったつ)に行動できるといっても、意外と緻密な行動計画や見直し作業が必要だと考えるべきなのです。

このあたりの機微を考えてほしいと思い、新刊『ブレない投資手法 曲げない投資哲学』には、次のようなリアリティあふれる事例を掲載しました。
1項目をそのまま引用します。

買う理由を明確にしよう
 ポジションを取るときの「決め手」について考えてみます。トレードなので下げを取るカラ売りだって特別なものではないのですが、わかりやすくするため、「買う理由」という表現を使いました。「なぜ、その銘柄を、そのタイミングで買ったのですか?」と具体的な質問をすると、見事といえるほど何も答えられない人が多いからです。
 そこで、「買う理由を明確にしよう」と題し、コントロールされたトレードとはどんな状態なのかというテーマを思いつきました。
 買う理由、つまり想定は、自分自身の価値観による独自のものでOK、いや、独自のものであることにこそ意味があるという提言です。
 架空のトレーダー2人を登場させ、「買う理由」の意味を考えてみましょう。
 個人トレーダーのAさんとBさん2人が、同じ銘柄を同じタイミングで買ったとします。しかし、買った理由はそれぞれちがいます。
 Aさんは、尊敬する評論家の講演会を聞いて買ったのですが、話の途中で寝てしまい、最後に紹介された銘柄をメモしただけで買いを決断しました。
 Bさんは、独自の予測法を使って同じ銘柄を買うことにしたのですが、誰にも認めてもらえないようなヘンクツ理論を基にしています。
 2人が同じタイミングで買った銘柄は当初、順調に上がりかけたのですが、トレンドが変わったのかズルズルと値を下げ、買い値よりも2割ほど下で動かなくなってしまいました。
 さて、2人は今後について、どのように考えていくでしょうか?
 ヘンなお話を展開してスミマセン……でも、「トレードあるある」として想像してほしいのです。私が注目するのは、2人の「買った理由」が、どこから生まれたものかという点です。
 Aさんの行動は、評論家の意見が基です。尊敬している人物とはいえ、講演の最後の銘柄情報だけをゲットして買った、完全な他力本願の行動です。
 予測不能なマーケットでの出来事を想定したり、時間切れによる撤退を選択肢に入れていたかと考えると、この部分が弱いと感じます。
 Bさんにだって同じことがいえますが、ヘンクツ理論とはいえ、完全にオリジナルの予測法を使っているので、予測が外れたときの処理、当たって見事に上昇したときの勝ち逃げポイントなどを、やはり独自の価値観で考えやすいはずです。
 3年後、2人そろって資金をゼロにしてしまっているかもしれませんが、少なくともAさんは、買った理由があまりにも不明確です。
 もし評論家の論理をきちんと聞いていたとしても、それをどこまで“自分のもの”にしているかと考えると、疑問が残るのです。
 ほとんどの講演会で話の中心となるファンダメンタル分析を否定するつもりはありませんが、値動きへの対応という面では足りない部分があり、独りよがりの予測に固執しやすいともいえます。
 想定外の動き、荒い動きをすることも多々あるのがマーケットです。自分自身とポジションの両方をコントロールしていくためには、芯となる考え方が必要です。いろいろなパターンに対応できる「型」が求められるのです。
『ブレない投資手法 曲げない投資哲学』 「買う理由を明確にしよう」)

マーケットでは日々、さまざまな変動が起こっています。
だから、すべての変化に合致する方程式はありません。

「あと少し精度を上げたい」「もう少し詰めたい」という切なる思いを少し抑え、最大公約数的な行動スタイルを確立しないと、常に右往左往することになります。

急落する可能性はあるか、急落したらどう対処するか……こう考えてデンと構えていたいのですが、わずかにラインを超えて“恐怖”の状態に陥るのが人間の弱さです。

「急落したらどうしよう・・・」
「急落しないでくれ~」

徹底して計画通りにトレードする、そのための一歩として「自分を型にはめて行動する」のが、制約を受けない立場の個人投資家が行うべきタスクなのです。

これで、5月8日放送のフォローアップは終了です。
次の放送は、6月12日(月)夜8時からです。あらためて、トレードにおける「分割売買」の意味と具体的な使い方を説明します。
お楽しみに!


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5月8日放送のフォローアップ(3)

5月8日の放送内容について、フォローアップ第2回を「週報」に掲載しました。

フォローアップ(1) 「後悔ゼロの対応をしよう!」  5月13日掲載

フォローアップ(2) 「“秘密の答え”はどこにある?」  5月20日掲載

フォローアップ(2) 「相場のミスはゼロにできる!」  本日掲載

どれだけやればいいの?

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知り合いのプロゴルファーが夕方、練習場で黙々と球を打っていました。
あ~でもない、こ~でもない……ゴルフをしない人から見れば、同じように球を打っているだけの単調な動きですが、「100回に2回出るミスが1回に減ったら、それってスゴいよな!」みたいにワクワクしながら、「そんなことが楽しくて仕方がない者が職業にしてるんだよ」と言っていました。なっとく!

「毎日必ず1時間、“5年間”やればプロになれる」
「一流になるには“1万時間”やる必要がある」

上達の道について世の人はいろいろに申しますが、よほどの株好き、相場好きでないと、毎日チャートを眺めてワクワクしながら考えるなんて、ちょっとハードルが高いわけであります。

でも、個人投資家の「武器」を活用すれば、いわゆる“逃げ”もききます。
個人投資家の武器は、「休んでもOK」ということです。

ふざけるつもりはありません。

本業、家庭、余暇、飲み会と、やることは山のようにあります。
その中で、資産運用、トレードを考えるのですから、範囲を絞ったり、意図的に休む期間をつくったりするのが当然です。

しかし、独立トレーダーは、これら2つのこと、範囲を絞る、休みをつくるをしっかりと実行します。
なんのことはない、プロの方法をマネしようというハナシです。

そこで、ついでに・・・
“1万時間”はムリでも、同じことを繰り返し続ければいいと考えてください。

ポジションを持っている期間も、休んでいる期間も、同じ銘柄を同じように観察していれば、「慣れ」によって読みのクオリティは上がります。

『研究部会報』5月号(5月30日発行)には、とてもユニークな経歴をもつ独立トレーダー坂本慎太郎氏のインタビューを掲載します。

坂本氏は、個人投資家から証券ディーラーに転身、その後はかんぽで債券のファンドマネージャーその他を経験し、現在はあらためて独立トレーダーとして活動しながら地味なスクールを運営、力を入れるのは「定点観測と予習復習」だそうです。

インタビューから、彼の言葉を引用します。

「僕の話を断片的に聞いて売買している人もいるでしょうが、スクールには、やる気のある真面目な人に来てほしいと考えています。路線が地味なので、爆発的に人気の出るビジネスにはなり得ません。でも、それが投資家教育の王道だと思います」

「基本的に、僕を含めたほとんどの人が凡人です。だから、天才的な感覚や技術を要求される方法なんて、現実には意味がありません。誰でも実行できる方法を自分でもさらに追究しながら、それを伝える仕事を続けていきたいと思っています」

会報の発送は来週の火曜日、5月30日です。
お楽しみに!


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順張りの逆張りって?

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 連載「トレード哲学」……7
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「ヘタウマ」というのは、創作活動において、技術が稚拙がゆえに味があることを指すそうですが、技術がヘタではいけないのでは?
バカボンのパパが言う「賛成の反対」は単なる「反対」ではなく、哲学的な深い意味があるとか……。

相場用語は、意外にも情緒的、感覚的なものが多いのです。
ここ数回で解説している「順張り」「逆張り」にも完全な定義がありませんし、同じタイミングで買っているのに、ある人は順張り、別の人は逆張りと表現することもあり得ます。

「順張りの逆張りがいい」と言う人がいます。

買い戦略で説明すると、次のようなポジションのつくり方です。

下がってきた
下げ止まった
上昇し始めた
「よし乗ろう」と決めて押し目を買う

上げトレンドに移ったことを確認したあと(現実には「そう判断した」)、押し目で買うということは、トレンドに対して順張り、玉を入れるタイミングとしては逆張り、という説明が可能です。

これを指して「順張りの逆張り」と表現するのです。
ややこしいようですが、実践者にはわかりやすい言い回しなのです。

このイメージを大切にするプロも多く、私は「万人の基本となる考え方」ではないかと思うのです。

・下げ相場で、やみくもに買い下がる失敗を防いでくれる
・流れに“乗る”という感覚が生まれる
・平均値を不利にしないよう努める発想がある

ちなみに、林投資研究所の中源線建玉法も、この考え方を採用しています。

“順張りの逆張り”に、3分割のポジション操作を加えて、明確なルールを規定した売買手法です。


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5月8日放送のフォローアップ(2)
林 知之

“秘密の答え”はどこにある?

春高が実現すると、5月が売り場になる? 急落もある?

この発想は実践的に正しいのですが、単なる恐怖心として“正解探し”をするか、自らの意思で「対応」「対処」の具体策を準備するか──ちょっとした方向性のちがいが明暗を分けます。

5月8日の放送では、誰もが嫌がる「急落」という言葉から、中源線の特徴を説明するとともに、トレードの根本的な問題を取り上げて解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第108回 Sell in May? 中源線は急落にどう対応するのか

5月以降の動向は?

「急落への対応」というテーマで放送し、“5月以降の動向”についても、大橋ひろこさんと私で軽いトークを行いました。上がるとか下がるとか好き勝手なことを言いましたが、相場の先行きは、まさに神のみぞ知るところ……といって、何かしら判断の基準を設けるのがプレーヤーのシゴトです。

「市場全体の方向性」という観点で、少し考えてみましょう。
番組でも紹介した、中源線シグナル配信における「陽線数」の推移をご覧ください。

林投資研究所の「中源線シグナル配信」は、全上場銘柄が対象で、個々の銘柄について中源線で判断した売り買いのシグナルを毎日更新しています。

中源線は3分割でポジションを増減させますが、単純に「売りか買いか」(現在、中源線が「陰線」か「陽線」か)に焦点を当て、「“陽線”(買い線)の銘柄数」をグラフにしたものです。

上場銘柄数は、東証一部が2,017銘柄、マザーズが238銘柄です(2017年5月8日現在)。銘柄数は少しずつ増加していますが、急激な変化はありません。全体から陽線数を引いた残りが陰線(売り線)の数ということで、それぞれが全体のトレンドを表す数値、いわばオシレータのような状態になっています。

東証一部とマザーズの最大値(全銘柄が陽線)と最小値(全銘柄が陰線)の位置を合わせて、2本の線を重ねてあります。

このグラフがマーケット全体の傾向を示しているので、下がった部分が多くの銘柄にとって買い場です。逆に、上がった部分は、多くの銘柄の売り場を示しています。

ピークは、東証一部とマザーズでズレがありますが、ボトムはタイミングが一致する傾向にあるようです。

また、大ざっぱに見てやれば、全体の上げ下げが同じようなリズムだともいえます。株そのものの人気が、時間の経過とともに増減する様子がわかるわけです。

といっても、あとから見た数字です。このグラフをもとに語っても、実践的なアイデアに結びつく議論は難しいのです。ちまたにある、結果論に大きく偏った説明には要注意! “プレーヤーの目”で評価する姿勢を忘れないでください。

でも、このグラフは、観察の対象として実践的な“個々の銘柄”を、中源線建玉法という“確固たる判断基準”で評価した結果を集計したものなので、単純な平均値などと比べると、はるかに利用価値がある、もう少し掘り下げていくと実用性が見いだせるかもしれない、と考えられます。

ちなみに、私が利用価値について強く疑問を感じるもの、それなのに多くの人が注目する「単なる平均」の代表は、日経平均株価です。私は、ことあるごとに、多くの個人投資家が日経平均に注目する姿勢への疑問を、理由とともに紹介しています。

林投資研究所の新刊『ブレない投資手法 曲げない投資哲学』にも、そんな話を盛り込みました。以下に引用します。

日経平均を見るな
 投資関連の情報は、ひたすら日経平均を考察します。しかも、チャートのタテ方向のみ、日経平均の「水準」ばかりが論じられています。
 さらには、絶対に結論が出ないにもかかわらず、「どうしたら先行きを当てられるか」という観点が満載……。
 世界情勢が、日本のマーケットにも影響を与えるのは事実。でも、ひとつひとつを考えていたら、体がもちません。
 それに、投資家の不安を“チクチクと突く”ようなメディアの姿勢に振り回されていたら、独立した状態で決断する“プレーヤー”としてバランスが悪いでしょう。
 学校のテストで、英語と数学どちらも50点ならば「平均」も50点です。次のテストで英語が100点になった、しかし数学は0点だった。50点が100点に上がったのも事件ならば、50点が0点に落ちたのも事件ですが、「平均」は前回と同じ50点です。
 「平均点は前回と同じ。特に変化なし」という結論を出せるでしょうか? 否! “個々の点数の変化”こそが問題なのです。
 日経平均は東証一部に上場する約2,000銘柄のうち、たった225銘柄を対象とした単なる平均です。
 上昇する銘柄が多ければ日経平均も上昇するという理解は間違っていませんが、テストの平均点の例と同じく、個々の銘柄のさまざまな値動きが見えることはありません。
 まずは、「日経平均を見る」という、メディアに刷り込まれた視点から脱却すべきです。
 売買の対象とする個別銘柄の動きをストレートに観察し、最も大切な「自分自身の出処進退」を考える適正な姿勢に、自然と移行するでしょう。

『ブレない投資手法 曲げない投資哲学』のコラムより)

さて、相場の先行きについては、常に不安要素があります。ただし、多くは“考えてもムダ”なことばかり。誰にも、明日の株価さえ見通せないのですから。

その一方で、実践家には確固たる“読み”があります。
そして、その“読み”をポジションに反映させるのがシゴトです。

中源線は、価格の波を見て、動きに“ついていく”のが基本姿勢です。
事項ではあらためて、中源線のポジション操作を説明します。

価格を見て“ついていく”

上の図は、中源線の3分割を説明しています。

陽線(買い線)の状態で推移したところ、弱含みになって陰転。
ここで、買い玉をすべて手仕舞いし、3分割の最初の1回を売ります(売り建て)。

しかし、再び強張ったところで陽転します。
すかさず、1単位のみの売り玉を手仕舞いしてドテン買います。
この場合でも、最初は1単位、計画している数量の「3分の1」だけです。

その後、中源線のルールに従って「この転換はホンモノだろう」と判断したら、逆行で増し玉します。やはり、3分の1ずつです。

逆行: 買い線時の押し、または売り線時の戻り

これが、3分割で株価の波に乗る、中源線のポジション操作です。

相場の見通しは、当たり外れの問題から逃れることができませんが、“確固たる基準”で判断し、その答えをポジションに“反映させる”ことが重要です。

実例でチェック!

今回も、中源線の事例を2つチェックしてみましょう。
「急落への対応」がテーマなので、2016年11月9日の急落に赤い丸印をつけてあります。

1722ミサワホームは、2016年11月9日の急落で陰転せず、ポジションが買いのまま大きく上伸しました。2016年7月に陽転したあと、8カ月以上も買いのままだったのです。

でも、「当たったでしょ! スゴいでしょ?」ということではありません。
中源線の確固たる判断基準によって、11月9日の急落で陰転した銘柄もある一方、ミサワホームは陰転しなかった──ただ、それだけのことです。

2531宝HDも、2016年11月9日の急落で陰転していません。
そして、2017年3月の高値まで、いい感じで伸びました。

でも、2016年12月から1月にかけての中断保合で中途半端な振幅があり、中源線は、陰転、陽転、また陰転……とダマシを繰り返しました(青い丸印)。

同じ基準で判断し続けた結果、1月の終わりに再び陽転して3月高値まで上伸したわけですが、その手前に発生したダマシを避けるのは現実的に難しいのです。
いつでも当たる、どんな値動きでも機能する、そんな判断方法は存在しません。

今後の動向を考える

さて、あらためて、今後の相場を考えてみましょう。

私個人は、基本的に強気です。
言い尽くされたことかもしれませんが、リーマンショック以降の世界的カネ余りが債券市場のバブルを生み、その資金が行き場を失ってジワジワと株式市場に流れ込んできた、今後もそれが続くという、どうということもないハナシが根拠です。
一般的には、「グレートローテーション」と呼ばれていますね。

そんな分析に、日々の値動き観察が加わり、「今のところ、見通しは変えない」と判断している状況です。

それはさておき、継続的に紹介している「中源線建玉法」ならばズバリ、こう言うしかありません。

個人的な見通しは、長期トレンドだけにとどまりません。日々の売り買いを決断するために、短期の見通しにまで落とし込みます。落ち着いて実践している人なら誰でも、何かしら独自の意見をもっているものです。

でも、中源線が転換したら……中源線を利用している限りは、それに従います。

では、中源線を利用する立場ではなかったら、どうするか?

いつも言っていることですが、「これからどうなるの? まだ上がるの?」などという“正解探し”をしようとしないでください。

次の一手、そのまた次の一手と、決断と行動を連続していくのがトレードです。
いったん他人の意見を気にしただけで、グズグズの姿勢で混乱を繰り返す「相場難民」になってしまいます。

次回のフォローアップ(3)では、“相場のミス”とはなにかを考えます。
お楽しみに!


2017年4月28日発売開始
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目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

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