直接法(2)価格は加工しない

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 連載「トレード哲学」……15
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ゴミ箱に向かってゴミを投げたら、30センチ左にハズレ。
もう1回投げたら、こんどは30センチ右にハズレ。
「平均したら2つともど真ん中!」って理屈は、ダメですよね?

株価チャートにおいて、「移動平均線」は人気のある観察法のひとつです。
でも、「直接法が正しい」と考える実践者は、移動平均線を否定します。

過去の一定期間を平均すると、なにが導き出されるか──。

移動平均は、ジグザグの上げ下げの“真ん中を通る”線です。
要するに、それだけなのです。

単に“真ん中を通る線”ですから、わざわざ計算する意味があるのだろうか……これが、直接法を好む人が疑問を抱くポイントです。

移動平均線については、もうひとつ気になる点があります。
「未来を考えるのがトレードなのに、過去にさかのぼっていいの?」という素朴な疑問です。

株価が規則的に上げ下げすると、移動平均線とのズレも一定になりますが、そもそも規則的なのですから、移動平均線を使う意味は生まれません。

「移動平均線で、株価の行きすぎたブレを察知する」という意見もありますが、移動平均とのかい離(ズレ)が、上方向または下方向に長く続くケース、つまり“異常な状態”こそ、その方向にポジションを取って利益を上げる、あるいは逆方向のポジションを素早く損切りすることが求められます。

ドタバタしがちな値動き推移を「うまく均(なら)してくれる」ので、値動き傾向がわかりやすくなるという考え方は否定できません。

でも、直接法が重心を置く「株価そのもの」のほかに、移動平均線、移動平均線と株価そのもののかい離(ズレ)……と、データの種類が増えていくと、それだけで複雑になります。

そういった複雑な状況をつくり出してまで「株価の先行きを当てよう」という姿勢がキケンだ、しかも、未来を考えながら時間軸が過去にズレる矛盾は放置していいのか……。

これが、直接法において移動平均線を否定する論理です。


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

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7月10日放送のフォローアップ(1)
林 知之

相場の極意は「待つ」ことだ!

値幅取りは相場の醍醐味。
とはいえ、大きな変動を予測して“当てる”ことなど不可能です。

値動きの変化、いわゆる「値運び」に対応し、
『当たった予測を育てる』
という発想が大切です。

7月10日の放送では、ここ1年で大幅に上伸した銘柄を取り上げながら「大きなうねり」に乗るための方法を考え、それをサポートしてくれる中源線について解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第112回 大きなうねりを乗りこなせ ~利益を伸ばす中源線のスゴ技~

オトナの「待つ」

相場で大切なのは、とにかく「待つ」ことです。
頭で理解していても待てない、オトナなのに「待つ」ことが難しいのです。

この3行の言葉だけでは、わかりにくいと思います。
ひとつずつ説明しましょう。

まずは、1番目の「建てないで待つ」、つまり、ポジションを取らずに“絶好のチャンスを待つ”というイメージについて解説します。

株式市場では日々、いろいろな動きがあります。
「市場全体に動きがない」という状況でも、個別銘柄を見れば相当な変化があります。
それをメディアが、ごていねいに掘り起こして解説してくれます。
イヤでも気づいてしまいます。

こんな情報タップリな毎日を過ごしていると、ヘンな気持ちになりますね。

「いつでも、何かしらのチャンスがある」
「それを取りにいかなくちゃ!」
「やらないのは損だ」

ごく当たり前の心理です。
私たちトレーダーは、ある意味、獲物を追う“ハンター”なのですから・・・

でも、「可能性がゼロではない」というだけです。
そこには、実践的な意味はないのです。

狙って手を出して、「そこそこの確率で取れる値動きかどうか」が問題です。

隣の芝生は青いのです。
「取れそう」な気がするだけです。

錯覚が生じ、派手な動きに翻弄され、余計な情報に惑わされるケースが大半です。

不特定多数の参加者が、ひとつの場でカネを取り合うのが株式市場です。
他人を上回ることで「勝ち」を手に入れるには、ちょっとくらい自信のある“得意技”を駆使するしか方法はありません。

ということは・・・

本当の意味の「チャンス」とは、その得意技を繰り出すことのできる値動きパターン、毎日出現することなどない、頻度の低いケースだと考えるべきです。

こうやって状況を整理すると、日々のさまざまな変化が、少しちがうものに見えてくるはずです。

「手を出せば儲かるかもしれない」(可能性はある)
「でも振り回されるかもしれない」(損になる可能性も大きい)
「トントンか少し利益で終わったとしても時間とエネルギーを費やす」
「その結果、自分のワザが乱れてしまうかもしれない」

実践者として、これくらいの落ち着いた分析をするべきです。
オトナだからこそできない……でも、そんなカベを乗り越えて真のオトナのガマンを身につけるべきです。

実際、ガマンなんて続きません。
背伸びしたって、それこそ三日坊主で終わってしまいます。

だから、その「ガマンする状態」を、「当たり前」の対応だと自分に刷り込む作業が求められます。冷静な分析を日ごろの行動に盛り込むのです。そうすれば、常に同じように実行することが可能です。

100通りの「チャンスっぽい」動きのうち、本当のチャンスは1つだけです。
その1つを逃さずに見つけて出動し、着実に取るのです。
そのときの行動の精度を高めるために、残りの99は捨ててしまう……これくらいのイメージをもつことで、やっと実行できることだと思います。

撤退して「待つ」

2番目の「待つ」は、「手仕舞いして待つ」と示しました。

1番目の「待つ」は、「建てないで待つ」、手を出しすぎないオトナの行動基準です。
それが「当たり前」のことになれば、現金ポジションを高める手仕舞い、とくにダメ玉を切ってしまう損切りもスムーズに実行できるはずです。

適切な手仕舞いがないと、次のトレードを行う“ワク”が空きません。
動きに乗れたときの「勝ち逃げ」も、見込み違いを認める損切りも、実は全く同じ「撤退」の行動です。

新しい銘柄を見つけた、
手を出すための“ワク”がない、
「なにかを手仕舞わないと……」

このように、苦しいヤリクリをしているようでは、資産運用はスムーズに進みません。常にギクシャクした状態で、いわば、転びそうになりながらドタバタと歩き続けるようなものです。

街の小売店ならば、商品をどんどん売ることで現金をつくって次の仕入れに回す、売れ残りそうな商品は値下げしてでも売ってしまう──こういう流れが不可欠ですよね。

トレードという、非常にデリケートな作業では、この“流れ”に相当なエネルギーを注ぐべきなのです。

相場の醍醐味を味わう「待つ」

さて、前項では「適切な手仕舞い」と述べました。

ダメな玉は早めに損切り、つまり、ムダな時間をかけない、ヤラレの値幅を大きくしないように努めます。

でも多くの人は、ダメな玉を切らずに先送りします。
そのかわり、良い玉は早めに利食いしてしまいます。

「利食い千人力」といいますが、なんでもかんでも早めに手仕舞いしていたら、大きな波を取ることができません。
これこそが今回のテーマ、『大きなうねりを乗りこなせ』の意味なのです。

慌てて手を出さずに待つ、適切な手仕舞いによって“在庫”と“仕入れ資金”のバランスが取れている……こうしたスムーズな流れができると、余裕が生まれます。すると、「大きな波」を狙う発想が、ある程度の確率で現実のものとなります。

これが、3番目に挙げた「待つ」、「手仕舞いせずに待つ」の内容です。

さて、中源線建玉法は、うねり取りを実践するためのツール、ひとつのアプローチ法です。つまり、3カ月または6カ月の上げ下げ(自律的な変動)を狙うのが趣旨ですが、昨今の株式市場で目立つ“大きな上伸”は、投資家として見すごしたくない値動きです。

株式会社は、利潤を追求する組織です。
そして、目先の利潤だけでなく、長期間に及ぶ「成長」を目指します。

この「成長性」に着目して“株式を保有する”のが、株式投資の原点ですよね。
だから、成長性を前提に、著しい収益の好転があれば、株価は大きく居所を変えます。そんな変化を、投資家として取りたい、乗っていたいと強く感じます。

値幅取りは、ベテランやプロにとっても「相場の醍醐味」なのです。

中源線によって、上げも狙えば下げも狙う……要するに、ポジション操作による「投機」を行っていたとしても、「大きな波をしっかり取りたい」(上げでも下げでも)と考えるのは当然です。

実際に、中源線による売買で大きな上げを取っている事例を紹介します。

2281プリマハムは、見事なほどのジリ高を演じ、この1年で倍化しています。

あとから見れば、「こういう銘柄をジッと持っていれば……」と思うのですが、実現が難しいことは、みなさんもよくご存じでしょう。初動で乗っていたとしても、とことん“ねばる”のは困難なものです。途中で降りてしまうのです。

でも、中源線は、今回の上げをうまく乗りこなしています。

6737EIZOは、2016年9月に陽転して、2017年1月から4月上旬までモタモタしたあと、4月中旬から上げが加速しました。2倍近い上昇、プリマハムに負けないほど大きな変化率です。

上記2銘柄のように、これほどの期間、陽線(買い線)が続くのも珍しいのですが、値幅を取るための“ねばり”、「手仕舞いせずに“待つ”」が、中源線の判断によって実現した実例として紹介しました。

フォローアップの第2回、第3回では、上げの中段で陰転しながらも再び陽転して上伸した例を紹介しますね。

大橋さんは勝つか?(1)

放送の後半、今までに何度か紹介した“おなじみ”の銘柄も解説しました。その中のひとつ、7717ブイ・テクノロジーを大橋さんが買っているそうです。番組の中で、「今日買ったの」と言っていましたね。

でも、中源線は陰線(売り線)の状態……大橋さんは「なんで買っちゃったんだろう?」などと言っていましたが、今後の展開やいかに!

来月の放送でも取り上げようと思いますが、まずはフォローアップの中で追いかけていきたいと思います。でも、中源線の「売り」という判断が勝つか大橋さんの「買い」が勝つか……そんなヘンテコな観点は持ち出しません。

下げ止まったとみて買った大橋さんの判断には、大橋さん自身の確信があったのです。かたや中源線は、今の状態(上に示したチャート、7月7日まで)では「売り」と判断してカラ売りポジションを持っている、というだけのことです。

中源線は、トレンドの変化に対して、少し遅れて転換します。
このあと強張って陽転したら、

『大橋さんの買いは正解だった』
『中源線に先んじて上げを予見した』

ということになるのですが、そんなものは、たった1回の結果だけを取り上げた説明で、実践にはつながりません。

でも、リアルなトレードの題材として面白いので、実践的な理論を忘れないように気をつけながら、しばらく観察してみましょう。

次回のフォローアップ(2)では、今回説明した「待つ」を実行することで成立する相場の“攻め”、積極的に「動く」ことについて考えます。
お楽しみに!


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直接法(1)

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連載「トレード哲学」……14
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私は小学校に上がる前、書道塾に通っていたのですが、ある日のこと先生が、同じ書道塾で習っていた私の祖母に言いました。
「知之くんは、少しお休みしたらいかがでしょう……」
私は少しばかり元気なために畳の上でスライディングしたり、少しばかり創造的なために手本にない言葉を書いたりしただけですが……直接的に言うと「迷惑なんですよ!」ってことだったみたいです。スミマセンでした。。。

ものごとは、直接的に言うよりもオブラートに包んだほうがいいケースも多いようですが、回りくどくて伝わらないことだってあります。

トレードの予測に参照するデータはいろいろあります。
個別銘柄ならば、ファンダメンタル分析だけでも多岐にわたりますね。

参照するデータは、大きく二分することができます。

1.株価そのもの
2.それ以外のもの

1の「株価そのもの」を見て判断(予測)しようとする姿勢を、「直接法」と呼ぶことができます。

以前に説明した“効率的市場仮説”に基づき、「あらゆる情報が現在の株価に織り込まれている」とするならば、周辺の情報を拾ってもムダなことです。

また、どんなアプローチをしようが、最終的には「市場の価格で売買する」のですから、最初から最後まで株価だけを見ているほうがシンプル、実践的、個人でもラクに実行できてブレが生じにくい──これが、「相場技術論」の考え方です。

だから、業績の変化、企業の成長性などを、将来を考えるうえで有効なデータだと評価しながらも、「で、株価の推移は?」と必ず株価そのものをチェックして売買行動を決定するのです。

林投資研究所が提唱するのは、この「直接法」です。

「直接法」か「間接法」か……こんなかたちで2つに分けるのは乱暴なようですが、相場技術論において「値運びと、それに対する“対応”こそが重要だ」と進み方を固めるために、やや極端な分け方で姿勢を決め打ちしているのです。

次回以降、もう少し説明を続けましょう。


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なにか事が起こると「オレにはわかっていた」なんて言うヤツがいますが、わかっていたような気がする、そんなセリフを吐いてみたい、なんて心理だけなんでしょうね。「本当にわかっていたのなら事前に言えよ!」ってことです。

昨日、7月6日付の日経新聞に、こんな記事がありました。

 「ヒアリ関連株 急騰」
 「殺虫剤需要拡大→フマキラー30年ぶり高値」

猛毒のヒアリが東京でも発見されたということで、実に恐ろしいことですが、なんでもかんでも材料にしてしまうのが株式市場の文化です。

でも、ヒアリの恐怖だけで「30年ぶり高値」をつけたのでしょうか?

林投資研究所が主宰する低位株投資の研究会「FAIクラブ」公式のデータベースで確認すると、フマキラー(4998)は、以前から業績が上向いています。

私たちが使うデータベースは「データスリップ」という名称なのですが、過去の業績推移、会社予想の変遷(上方修正、下方修正)まで記録に残ります。

特別に、フマキラーのデータスリップ画面を、WEBページに公開しました。
→ こちらをクリック!

フマキラーは、ここ数年、増収、増益、増配と業績が極めて順調。
株価も、2014年の初めに300円前後だったものが、直近では800円台に乗っていたのです。

ヒアリの件で上げが加速したという解説は誤りではないと思いますが、
「ヒアリで暴騰したのか!」なんて、まるでお宝を発見したような気持ちで行動に移しても、いったいどうなることやら……。

こういった材料を素早く察知して行動すれば、それはそれで勝てるやり方だと思うのですが、幅広い知識や行動力など多くの要素が求められます。
同じ材料でも、環境によって反応度も異なりますし……。

少なくとも、新聞記事て飛びついても、カモになるだけでしょう。

いや、フマキラーはもう上がらない、と言っているのではありません。
トレードする姿勢の問題です。
また、ひたすらなだれ込んでくる投資関連情報を、どうやって取捨選択するかを決めておくことが求められます。

無視しようと考えても、少なからず影響されます。
では、その度合いは?
あるいは、できるだけ影響される度合いを下げる工夫は?

実践には独自の智恵とスマートな対応が必要です。

 

FAIクラブ公式のデータベース「データスリップ」は、お試し版があります。
データを時系列で見るだけで、異なる視点が生まれます。
どうぞ、のぞいてみてください▼。

☆お試し版☆ (範囲限定、データは最新) ※登録不要


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6月12日放送のフォローアップ(3)

6月12日の放送内容について、フォローアップ第3回を「週報」に掲載しました。

フォローアップ(1) 「“真の技術”は古典にあり!」  6月17日掲載

フォローアップ(2) 「分割売買の効果」   6月24日掲載

フォローアップ(3) 「確信あるエントリーのために」  本日掲載

6月12日放送のフォローアップ(3)
林 知之

確信あるエントリーのために

「予測が当たれば儲かる」と、多くの人が先行きを読もうと努めます。
でも実際は、頑張っても当たったり外れたり……。

実践派は、真剣に予測を立てるものの、それに固執することなく、「流れについていこう」とします。

6月12日の放送では、予測不能の株価変動への“対応”、必然となる分割売買の考え方と実際を解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第110回 中源線は“分割売買” ~建玉操作で“うねり取り”を実現する

行動の範囲を限定する

トレードは、頭で考えたことを実行する──。
こう考える人が多いのですが、この点について疑問を投げかけたいと思います。

たしかに、肉体的な要素はありません。
値動きの捉え方などデリケートな部分についても、“入り方”を少し変えただけでイメージはガラッと変わります。行動の方向性は、一瞬で変わり得ると思います。

でも、大切なカネがからむシゴトですから、どうしたって緊張した状態となり、行動力や瞬発力が低下します。

例えば、2016年11月、米大統領選を境に動きが荒れた際、予測の当たり外れを別として、事前に考えていた通りにスムーズに行動できたか、ということです。

さらに重要なことがあります。
『マーケットでは明らかに“競争”がある』という事実です。

株価と自分だけ……実践のイメージとしてはシンプルで実用的ですが、実はマーケットを通じて間接的に、世界中のライバル(ほかの投資家)と利益を取り合っているのです。

結論は、いたってシンプル。
「考えれば、うまく行動できる」という理屈は決して間違っていないものの、ほかの参加者にも等しく与えられた条件だということです。

つまり、真剣に考えても、深く考えても、上手に思考を展開しても、それだけで優位性をもつことは難しいのです。

では、どうするか──。
いくつもの方法があるでしょうが、最もカンタンで効果が高いのは、行動を限定的にする、守備範囲を狭いところに設定するという地味なアプローチです。

多くの投資家が、目まぐるしく変化する株価変動にうまく対処しようと躍起になり、散らかった行動を取って自滅します。そこに巻き込まれないことが第一です。

そのうえで、そんな混乱する人たちの売買を逆に利用するには、対岸に立ったままでいることです。

たとえ売買頻度が高くても、狙いどころや銘柄を広げず、自分の得意技を意識するだけで、悪い対処が悪循環になる可能性は低くなります。ダメな流れのときでも損を膨らませないという、現実的な対応がやりやすくなります。

でも、もっと考えてほしいのは、売買頻度そのものを落とす試みです。

個人投資家は、ほかのマーケット参加者に比べると、情報の量、質、スピードなどで不利な面がありますが、唯一最大の武器は「休むことができる」という点です。毎月、あるいは四半期ごとの成績を報告する義務などありません。本業や私生活のリズムを壊すことなく、ムリのない範囲でトレードすればいいのです。

この武器を使って意図的に休みをつくり、出動のタイミングを絞り込むのです。

細かい取り損ないは生じるでしょう。
でも、やりすぎてドタバタするような失敗はありません。
なによりも、値動きを落ち着いて観察できる立ち位置を確保できます。

いずれにしても、なんでもやろう、どんどん進もうという姿勢では、自滅する可能性が高すぎてキケンですよね。うっかり、やりすぎてしまわないように、心地よい範囲を設定することが、トレードの第一歩です。

わかることだけでいい

今回(フォローアップ3)のタイトルは、「確信あるエントリーのために」
緊張しながら連続的な判断を迫られるのがトレードなので、良い流れをつくるために「ゆとりをもとう」、そのために「行動を限定しよう」という提案です。

ゆとりがないと対処が遅れ、ちょっとした悪循環が大きなキズを生みます。
資金がガクンと減ると、戦いにくくなります。
取り返すだけでもひと苦労……心にダメージを受けながらの戦いを強いられます。

好循環の時期はたまにしかなく、悪循環の可能性がゴロゴロあるのが株式市場、いや、すべての金融マーケットの特性です。そんな極端な状況に合わせ、変則的な上げ下げを吸収するための“ゆとり”をもつことが求められます。

「わかることだけでいい」という見出しを立てましたが、わかることって?

予測は「上か下か」で半分だけ当たる……当たったときが「わかること」?
ちがいます・・・

当たり外れは、コントロール不可能な「結果」です。
だから、仕掛け(エントリー)の段階でチカラを入れて考えることではありません。

チカラを入れるべき最大の一点は、

『そのエントリーが、本当に自分の出番か』ということ。

株式市場には、利益のチャンスがゴロゴロと転がっています。
すべてを拾うなんてできないので、実際はほんの一部だけが本当のチャンスなのですが、ついソワソワして手を出したくなります。

ここで、グッとこらえて……いや、心地よくトレードするために、「よし、これこそが自分の出番だ!」と確信できるときだけ出動するようにしたいのです。

結果は神のみぞ知るところ。。。でも、確信をもってポジションをつくれば、ダメだったときでも的確な撤退を判断できます。うまくいったときは「どこまでねばるか」が課題ですが、これについても集中して考えることができ、結果として、確信ある決断、後悔のない判断を下すことができます。

これが、「わかること」です。

未来のことはわかりません。
誰かに聞こうとしても、知っている人はどこにもいません。

だから、「自分が信じる値動きパターン」を考えるだけなのです。

判断、決断、行動

「確信あるエントリー」は、わかっただけでは成立しません。
実際、実行する直前で止まってしまう行動パターンが多いのです。

「わかっていたんだよなぁ……」とか「やっておくべきだった」と後悔しても、すべては後の祭り。1秒前には戻れないのがトレードです。

判断、決断、行動、この3つがスムーズでなければいけません。

判断……「買いだな」
決断……「よし買おう!」
行動……「買います」(サッと行動する)

ふだんの生活で起こる、不測の出来事について考えてみましょう。

「チカンに遭遇したら大きな声を出しましょう」
そうだね、そうすれば誰かが助けてくれるよね。
そう理解して納得し、「チカ~ン!」と声を出すことを想像したとしても、いったい何割の人が実行できるでしょうか。

多くの人が実行できないから、チカンが減らないのです。

駅で起こる不測の出来事は、チカンだけではありません。
オトナだって、階段や通路で転ぶことがあります。
でも、転ぶなんてことは想像していないから、「恥ずかしい」という思いが優先してしまい、サッと起き上がってなにごともなかったように歩き出そうとします。

本当は、周囲の人に迷惑をかけなかったか、自分が足にケガをしなかったか、カバンやポケットから何か落とさなかったか、といった大切な確認事項があると知っているのですが、それらのことを二の次にしてしまいます。

いざその場になって、事前に考えていた理想通りに行動するのは、とても困難なことなのです。

だから、トレードにおいては、
ガッツリと想像し、頭の中で何度もシミュレーションしておくこと。
ひとりでリハーサルを繰り返すこと。

なによりも、極めてシンプルな理屈、サッと行動に移せるカンタンな対応を用意しておくことが肝心です。

番組で継続的に紹介している手法「中源線建玉法」を例に、「判断、決断、行動」の流れを考えてみましょう。

まずは、陰陽(強弱)が変わるかどうか、つまり「転換するかどうか」を確認します。
(法示とは、売買シグナルです)

転換したら、ポジションをドテンします。
つまり、売り買いをひっくり返すのです。
もしポジションがゼロだった場合は、新規にエントリーします。

転換しなくても、3分割でポジションを増やしたり(増し玉)、減らしたり(手仕舞い)といったアクションがあります。

シンプルなルールがあるので、判断と決断が一体化しています。
その部分にストレスがないため、実行するのが容易なのです。

中源線は、うねり取りを実践するためのツールです。

でも、うねり取りには中源線が必須、ということではありません。
裁量のルールでも、ほかの判断基準でもいいのですが、絶対に欠かせないのは、「判断、決断、行動」のスムーズな流れがあるかどうか、実際の場面でプラン通りに動くことができるかどうか、なのです。

こういったプロの対応を、誰でもラクに実行できる、プロの行動スタイルをカンタンに体感できるので、私は中源線を強くオススメしているのです。

売買対象の“値運び”に集中する

ポジションがあってもなくても、日々いろいろなニュースを聞いて考えます。
考えているうちに“考えすぎ”の状態になります。

ついつい情報集めをしてしまうものですが、かなりの部分を切り捨てる、最初から見ない、といった堂々とした姿勢がないと、最もやっかいな「迷い」が生じます。

中源線は、その「迷い」を生まないための、完成された“行動指針”なのです。

説明のために、林投資研究所が行っている「中源線シグナル配信」の画面をご覧ください。

林投資研究所の「中源線シグナル配信」は、上場全銘柄が対象。
そして、パフォーマンスが良好かつ安定している銘柄を研究対象として選定した「ユニバース」(2016年7月現在98銘柄、チャート表示もあり)のほか、東証一部、東証二部……と市場ごとに画面を切り替えることができます。

図は、「東証一部」を表示したあと、「すべての法示」で絞り込んだ状態です。
「法示」は売買シグナルのこと。だから、この画面は、陰陽転換を含めて“何らかの売買アクション”がある銘柄のみを表示させたものです。

銘柄ごとに、陰陽の別、売買アクションといった情報が並んでいます。
1つだけ取り上げて、詳しく説明します。

上の図は、4768大塚商会の「法示」と、約1年間の中源線チャートです。

この日、陰陽の転換が起こっています。
今まで陽線(買い線)だったものが、この日の大引で陰転、つまり買いから売りへと判断を変えたわけです。

当然、ポジションを動かします。
その具体的なアクションが、「4/3売り」という表示。

中源線は3分割なので、転換後に1/3建玉、その後の増し玉で2/3、3/3と増やします。図では「4/3売り」と、満玉の3/3よりも大きな値が示されていますが、これは、「3/3買い」だったものをすべて手仕舞い売り、と同時に「1/3新規売り」(カラ売り)という意味です。
「3/3売り手仕舞い」+「1/3新規売り」で、つごう『4/3売り』が実際の売買アクションです。

そして、その売買アクションのあと、「1/3売り」というポジションが残るということも、追加で表示しているのです。

さて今回も、個別銘柄の具体例を見ます。

下のチャートは6728アルバック。
放送では6月9日大引までのチャートを使いましたが、このフォローアップ原稿を書いている6月27日の前日、6月26日までのチャートで解説しましょう。

2016年の夏過ぎから上昇し、2倍になりました。
大きな上げ相場です。
この上げを、中源線はそこそこ上手に捉えていると感じます。

でも、2016年末までのゆるやかな上昇では、中途半端な上げ下げによってダマシの転換も散見されます。

2017年に入ってからは、そうした気迷い的な動きも減り、上昇を気持ちよく取っています。

そして放送の翌日、6月13日に6千円を割り込む動きによって陰転しました。
それまでの買いポジションをすべて利食い手仕舞い、と同時にドテン、カラ売りを仕掛けます。

陰転した時点では、まず1/3だけカラ売り。
その後、1/3ずつ分割で増し玉した結果、現在は3/3売りと満玉売りの状態です。

この先どうなるかは誰にもわかりませんが……

・確固たる判断基準で、しっかりと決断
・決断した通りに行動する

と、多くの人が実行できないことをアッサリやってのける流れが、中源線にはしっかりと用意されています。
これが、中源線という手法の大きな価値なのです。

これで、6月12日放送のフォローアップは終わりです。
次回の放送は7月10日、「利益を伸ばす」というテーマでお送りする予定です。
お楽しみに!


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

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たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)

詳しくはこちらのページでご覧ください。


長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル

詳しくはこちらのページでご確認ください。


※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

相場人為論

本日発行のメールマガジン「1分間の相場実践知識」の内容を、そのまま掲載します。メール配信をご希望の場合、こちらのページからお申し込みください。

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 連載「トレード哲学」……13
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ゴルフ場にいるカラスは、バッグのファスナーを開けて、中のチョコレートやアメを盗んでいきます。ある時、やめさせようということになり、タバスコやとうがらし入りのおにぎりを仕掛けたのですが、あっさりと見破られました。カラスのほうが賢かったなんて結論はつらすぎるので、「なんでも、意図した通りに動いてくれるものではないんだ」としておいてください。

 

価格を絶対視するのが「相場神聖論」。
理論通り、不特定多数の参加者によって合理的な価格形成が行われる、市場の価格は、ある意味、神聖なものという思想です。

この対岸にあるのが「相場人為論」です。
この人為論も、捉え方によって細かく分類されるのでしょうが、

『価格は、一部の参加者によって意図的につくられる』

と考えるわけです。

価格の観察において、証券会社の営業政策や、大資本の都合を考えるのです。

例えば、仕手が大衆を意のままに動かそうとの目的で、「チャートの形をつくるべく売買している」とか、そういったことに目を向けます。
「ユダヤ系の資本家がすべてを牛耳っている」といった発想もあります。

神聖論をベースにする投資家は、価格動向と自らの行動に意識を集中させますが、人為的な価格形成がゼロだと考えるわけではありません。

人為論だって、教科書通りの価格形成を真っ向から否定するものではないでしょう。

どちらに主軸を置くかという問題であり、人によって異なった入り混じり方をするのですが、器用に使い分けようとすると、かえって混乱します。

あなたは、「市場の価格」をどのように捉えていますか?

こんなことを考えてみるのも、行動に“厚み”をつくる作業ではないかと思います。


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
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相場神聖論

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 連載「トレード哲学」……12
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最新の家電製品が、今までなかったような機能でスゴい動きをみせると、「中に小さいオジサンが入ってる」なんて言ったりしますが、やっぱり昭和のギャグですよね……若い人たちは「その感覚わかる」って感じで笑いながらも、「もっと科学的に観察しますよ」という顔をします。やれやれ。

トレード哲学──。
この路線で考えていくと、具体的な売り買いの方法に直結する考え方だけでなく、「市場そのもの」についての思想といったことも浮かび上がります。

例えば、「市場の価格をどう捉えるか」といった問題です。
「価格は、どのように決まるか」を考えてみます。

私が提示したのは、価格が決まる物理的仕組みではなく、『価格を神聖なものと考えるかどうか』です。

神聖って……別に、神様の存在がどうのこうのというハナシではありません。
教科書通り、「不特定多数の人が集まって合理的に価格が形成されている」という認識です。

効率的市場仮説と近いようですが、少し観点が異なります。
難しいでしょうか? でも、安心してください。これ以上、深掘りはしません。

要するに、仕手とか、一部の関係者が市場に及ぼす力を肯定するか、否定するか、ということです。

神聖論者は、価格を絶対視します。
仕手など特別な参加者の存在を否定するわけではありませんが、好ましくないと考えたり、仕手は市場の華ともいえるが長続きはしない、と考えるわけです。

「最後は、大衆を含めた参加者全員がつくる人気で決まる」といった捉え方をして、価格動向と自分の出処進退に気持ちを集中させます。

林投資研究所が提唱する「相場技術論」は、この神聖論がベースです。

次回は、神聖論の逆にある「相場人為論」を紹介します。


2017年4月28日発売開始
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