創造性ゆえの苦悩

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連載「相場のこころ トレードの本質」その28
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ウニを最初に食べた人はスゴいと思います。見た目が毒っぽいですからね。
40年近く前、お好み焼きにマヨネーズと聞いて、えっ? でも、意外なおいしさ。
何でもやってみるものかと思うと、公園のキノコで中毒になって入院!
世界を広げるのは難しいということでしょうか……。

書籍『新版中源線建玉法』から引用します。

1974年になって私が商品会社の経営から離れ、自分の売買に専心できるようになってから、十数人に参加してもらって最終的な統計を取り直した。

そして、『中源線建玉法…第一版』の「本文」を決定したのだが、その時でも、ずいぶんとたくさんの改良案が出た。

それを他人が検査すると、やはり欠点が目立つ。ある場合には良いが、ある場合には悪い結果になってしまう。だが、それらを集約すると、
1.改良しないほうがよい
2.ほとんど同じ結果であって、規定が複雑になるだけである
3.不測の事態を考えると安易に改訂するのはよくない
という結論になることが多かった。

(『新版中源線建玉法』第四部「実践と実験」より)

機能するルールでも、あるケースではなにかが足りない、あるいは真逆になる……。
人間が生むブレで損をする場面を避けようと“機械的判断”に頼ると、こんどは人間の創造性が黙っていない──こんな堂々巡りが「相場あるある」ですよね。

創造性をフル活用する「裁量トレード」で、仮に“ブレがゼロ”を実現したとしても、「ココかと思えば、またまたアチラ」なんてことが起こります。

物色対象が広がったので「この流れからは当然、出遅れ狙いだな」と思って優良な出遅れ株を仕込むと、なんと出遅れ出ず仕舞い……。

経験値を生かして「この上昇は大きい」と確信しても、飛び乗ったところがほぼ天井、第2候補や第3候補の銘柄がグングン上がり始める……。

「マーフィーの法則」ってやつでしょうか(笑)。

どんな方向にもっていこうかと考えたとき、物足りないくらいシンプルにしておくのが、ストレスフリーな正解の場合が多いようです。

創意工夫が足りない、なんかバカっぽい、納得しにくい……すぐにそう考えるのが創造性豊かな私たちの脳ですが、“シゴト”として継続的に取り組んでいるものごとは、意外なほどアッサリと進めていることを考えれば、トレードというカネの問題こそ、サッパリとした判断基準が適しているといえます。

8月7日放送のフォローアップ(2)
林 知之

一を拾って九十九を捨てる

「儲け方」を考えるのがトレードです。
しかし全戦全勝でない以上、柔道の受け身やスキーでの転び方と同様、上手な「負け方」を考えておく必要があります。

8月7日の放送では「負け方」に焦点を当て、無責任なプロたちが決して語らない「儲からない話」をしました。

しかし、イヤな部分に目を向けるだけでは、現実の効果も期待できません。
未来に向けて積極的にポジションを変化させる行動、最終的な「勝利」のためのポジション調整と考えるのが、実践家の発想です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第114回 うねり取りと中源線建玉法 ~儲かるとき儲からないとき~

得意技はなにか

フォローアップ(1)は、「自信をもとう!」というタイトルで、ポジティブ思考、ネガティブ思考の利用法などを説明しました。

ただ、「なるほど」と思っても、実行には苦労があるかもしれません。そこで今回は、「肯定形」に絞ったプロのポジティブ思考に焦点を当てます。

キーワードは「得意技」です。

「なんだか、できそうだ!」というポジティブな気持ちで臨んでも、損を出したときは落ち込みます。とてもバカなことをしてしまった、と感じるものです。ちゃんと考えて合理的に行動したつもりなのにカネが減ってしまう……こんな生々しい結果を突きつけられるからです。

「相場なんだから、見込み違いは当然」という“脳”での理解を、「あ~、損しちゃった」という“感情”が上回った瞬間、「うまいこと未来を見通せないだろうか」というムチャなことを求めて迷走し始めるのが人間の特性です。

迷走し始めてからブレーキをかけて方向転換するのは難しいので、最初から望ましい方向に進むべきです。そのときに効果があるのが、「得意技」という言葉です。

株式市場では日々、いろいろな値動きが発生していますが、取れる動きと取れない動きがあるはずです。この場合の「取れない」は、自分のスタイルでは利益を確保できる確率が低い、苦手な値動きパターンという意味です。

いろいろな値動きがあるため「どれでも取れるようになりたい」と考えるのが人情ですが、現実は甘くありません。苦手パターンに挑戦するよりも、得意技を決めて専念するべきです。進化のための“課題”は、その得意技の精度を高める部分だと考えるのです。

肯定形の思考

さて、「得意技に絞ろう」と提案しても、まだまだ“ほしがる”のが人間の性。
値動きイメージを使って、トレードの得意・不得意を考えてみましょう。

この図には、同じ値動きを2つ描いてあります。
往来のあと、上に抜けるというパターンです。

こんな値動きに対して、2種類の異なるタイプのトレーダーがどんな売買を展開するか、私のリアルな想像を示しました。

図の上側は、逆張りで往来を狙うトレーダーの行動です。
往来を前提にしているので、前半の動きは想定どおり、上げ下げを見事に捉えて利益を上げています。高くなったら売り、安くなったら買いと、往復の変動を取っているわけです。

しかし、最後に上方向にブレイクする場面では、「そろそろ天井か」と考えて買いポジションを手仕舞いながらドテン売りに回ったところでグッと持ち上げられ、バツ印の部分であきらめて踏みます(踏む=カラ売りを損切りする)。

ブレイクアウトによって、値動きが得意パターンから外れたので、まずは撤退です。
イメージにないことをムリに実行することなく、休むつもりで身を引くのです。

図の下側は、まったく異なるタイプ、ブレイクアウトを狙うトレーダーの行動です。
逆張り狙いのトレーダーがコツコツと往復の動きを取っている間、「上に抜ける」と考えて買ったあと見込み違いで投げ、次は「下に抜ける」と読んで売りを仕掛けたところ、これまた不発……損切りを繰り返します。

しかし、最後に上方向にブレイクする場面では、うまく上げに乗りました。逆張りトレーダーがカラ売り玉を踏んで撤退するのに対して、「よし!」と利益を伸ばすための“ねばり”を考え始めるわけです。

単純に、「逆張り」「ブレイクアウト」と2つに分けて説明しました。
実際は、もう少し入りくんだ戦略があり得ますが、少なくとも、こういった真逆の戦略を併せもつことはムリなので、取れる場面(出動したあと利を伸ばすよう努める)と取れない場面(見送る、あるいは出動したあと損切り撤退)に分かれてしまいます。

ところが、頭でっかちの人ほど、「値動きを注視しながら戦略を切り替えていこう」などと難しいことを試みます。しかも、銘柄もバンバン乗り替えて、毎週のように利益を追う行動を実現しようと考えます。

フォローアップ(1)で示した「根拠のない自信」は、人間がストレスなく努力して前進するための原動力ですが、上記のようなムチャな行動は、単なる現実無視なのです。

「自分の得意技はこれだ!」という肯定的なイメージを軸にして、それ以外のものを気持ちよく捨ててしまえばカンタンです。「もったいないけど捨てる」というネガティブなイメージではなく、「1つだけに絞って集中する。そこで勝利する」という極めてポジティブな姿勢で、「一を拾って九十九を捨てる」のです。

迷いを絶つ中源線

オトナだから器用に立ち回りたいと考えます。トレードの経験が少なくたって、大切なカネのことなので、常にいい結果を出したいと思います。

そこで、経験の多寡(たか)にかかわらず、可能な範囲で思い悩みます。
トレードに関する悩みは尽きることなく、際限なく増えていくのです。

でも、悩みながら、また、より良いやり方を模索しながらも、目の前の値動きに対しては“迷うことなく”行動しなければなりません。現時点で“確信のある”答えを出して、ポジションを動かさなければいけません。

一般に、トレード経験がない人は、損することをものすごく怖がります。
一方、一定の経験をした人も、必要以上に怖がるものかもしれません。

そこで、「百発百中はムリ。それならば、上手な負け方をして、前向きな気持ちで次のラウンドに臨むようにしよう」と考え、「悩みは山積み……でも、次の一手は迷わずに決める」という姿勢をつくりたいのです。

迷いながらつくったポジションは、見込み違いのときに対処がサイアクになります。
見込みが当たったとしても、取れる値幅の限界が低くなってしまいます。

私のトレードは、「勝率(予測の的中率)を高める努力は結果を生まない」という考え方がベースです。
中源線も、同じ考え方に基づいたトレード手法です。

もちろん、ある程度の勝率を維持することで成り立つ手法もあり、それを否定するつもりはありませんが、いずれにしても「迷いなく行動する」ことだけは必須の事柄、トレードの核となる要素だと確信します。

ところが、その部分がユルくなってしまうのが“相場あるある”で、平均的な投資家の課題、ベテラン投資家も気をつけるべき点なのです。

中源線のベースは、シンプルに3分割の売り買いを決定する機械的な判断基準です。

これこそが、迷いが生じてブレてしまう投資家にとって大きな武器になります。とにもかくにも、確固たる判断と売り買いの決断が示されるので、幼児が自転車を練習するときの補助車どころか、堂々とした態度で迷いなく行動するプロの売買をなぞることができる、と言い切っていいほどカチッとした指針を得られるのです。

では、その判断基準の基本的な考え方を、あらためて紹介しましょう。

この図は、中源線の基本ルールを惜しみなく公開した林投資研究所オリジナル書籍『入門の入門 中源線投資法』に掲載したものです。

中源線は、まず陰陽(強弱)の判断を行います。
「いまは上向き」または「いまは下向き」と、トレンドを判断します。
そして、その判断に従ったポジションを取るのですが、まずまず機敏な行動と3分割のポジション操作がセットになっています。

プロトレーダーが守っている「迷わずに行動する」姿勢が、誰にでも実行できるのが中源線なのです。

再転換が面白い!

中源線の“まずまず機敏”な陰陽転換は、前項の図に示した「逆行」に着目して判断します。

「相場はどっちに行くのかなぁ……」といった、あいまいな態度を取ることなくトレンドを判断しているので、日々の上げ下げについて「順行」「逆行」と明確な評価を行うことができます。買っている状態で前日比がプラスならば「順行」、前日比がマイナスならば「逆行」です。まずは、この部分が中源線の大きな価値です。

では、「順行」と「逆行」それぞれは、どのような行動につながるか。

中源線では、「順行」の動きは放置するのが基本です。
“利が伸びる”動きなので、放っておきます。
例えば、買った直後に急騰したからといって急いで利食いしたりしません。

そのかわり、「逆行」には注意します。
「逆行」が続くなら放ってはおけない事態、何らかの“対処”が必要になるからです。

そして、図のような「逆行と逆行の組み合わせ」でトレンド転換を判断するのですが、値幅についてカチッとした数式が定められています。
『入門の入門 中源線投資法』で詳しく説明しています)

機敏な判断が、トレンドの急な変化に対応した事例を紹介しましょう。
少し古いのですが、2013年4月に日銀の黒田総裁が思いきった金融緩和策を発表した(通称「黒田バズーカ」)ことを機に、株が大きく買われた場面がありましたね。その時の、三菱重工の値動きをご覧ください。

5月の高値に向かって上げる際に素早く陽転(買い転換)し、高値からの急落一発目で陰転(売り転換)しています。なかなかうまく機能した例ですが、陽転で急騰に乗った部分に注目してほしいのです。下に示すのは、4月の値動きを拡大したチャートです。

実は、ずっと陽線(買い線)で推移して、買いポジションを維持していたのですが、黒田バズーカの手前で弱含むと、素早く「陰転」と判断したのです。

しかし、そのあとの切り返しで、これまた素早く「陽転」と判断しました。
これは、中源線の基本ルールに追加されている「再転換」というルールで、値動きによる判断に誤りがあったことを素直に認めて「やっぱりこっちだ」と方向転換するのです。

陰転で、いったんは買いポジションを手仕舞ってドテン売るのですが、売り仕掛けは3分割の1単位のみ、そのあとの再転換では最初から2単位買います。

このあたりが、「生身の人間が相場を“張っている”」「しかし、一切の迷いなく行動している」感じで、実に魅力的だと感じさせるのです。

経費としての売買損

今回の番組テーマは「儲かるとき儲からないとき」です。
このフォローアップ(2)のタイトルは、「一を拾って九十九を捨てる」です。

「逆張り」か「ブレイクアウト」か、狙いどころを絞るしかない現実を説明したように、細かい部分についてもやり方をコロコロと変えることはできないので、同じ銘柄でも取れる時期と取れない時期があることを受け入れるのです。

再び、実例を挙げながら解説します。

東京個別指導学院は、2016年11月下旬に陽転し、2017年3月の高値まで暴騰しました。

この上げを、中源線はうまく捉えています。とはいえ、2017円1月には、先の三菱重工と同じように、一時的に陰転している場面があります(赤い矢印)。あとから見れば「ダマシだ」「不要な売り買いがあった」となるのですが、この弱含みのあとに下落が続くケースもあるので、いったん売りに転じる、再び強張ったところでドテン買う、といった対応は、多くの投資家が注目すべきものです。

また、高値圏の往来(赤い丸で囲んだ部分)では、陰転、陽転……とダマシが続いています。こういったイヤな場面は避けたい、でも機能するときは「売り」「買い」と明確に示してほしいなんて……それはムチャな要求です。

相場である以上、こういったことが最終的な課題なのですが、「経費としての売買損」を完全に避けることは不可能です。

ちなみに、2017年7月に入ってからの下落は、うまく売りポジションをつくって乗っています。この原稿を書いている8月15日現在も、陰線(売り線)のままです(8月14日大引)。

アサヒも、直近で大きく上伸しています。
しかし、中段で2回、ダマシの陰転がありました(赤い矢印)。

こういった事態をゼロにできないか、と考えるのが人情ですし、トレードの研究を進めると、先ほども述べたように「課題」として浮かび上がります。しかし、絵に描いたような対応がカンタンに実現したら、参加者の売り買いで値段がついている株式市場が、そもそも成立しないのです。

こういった現実を受け入れつつ、実現性の高い「利益追求」をしなければなりません。

「機能しないこともある」とあきらめる、取れない動きを捨て去る──これらは、プロが大切にする前向きな姿勢、極めてポジティブな思考によって支えられる考え方なのです。

次回のフォローアップ(3)では、プロのマネをする最短距離について考えます。
お楽しみに!


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※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

投資と投機(3)

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連載「トレード哲学」……18
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縁日の屋台に近寄ると、手伝いの子どもが母親らしき女主人に「自分も食べたい」とせがんでいました。彼女は、「ダメ! お腹こわすかもしれないから……」。
聞こえてますよ~

 

前回、“投機的な売買”を禁じられている証券会社職員の売買ルールを紹介しました。個人投資家とは無関係だと思うかもしれませんが、私たちと市場を結ぶ不可欠な存在、投資関連情報の発信元として無視できません。

さて、例えば「現物で6カ月以上保有」と制約を受けたら、不測の事態があっても6カ月間は売ることができないわけです。

就業中に不測のケガを負っても、止血なんかせずに仕事を続けろ、ってことです。
反対向きの電車に乗ったと気づいても、しばらく乗ってろ、ってことですか?

さらには、「親族も含めて株の売買は100%禁止」という証券会社もあります。
規模が大きいほど、厳しいルールが敷かれているようです。

金融マンとして過ちを犯さないように(客のカネに手をつけないように)という趣旨は理解できますが、従業員にラーメンを食べさせないラーメン店みたいなものだと感じるので、私は納得できません。

証券マンはプロです。
「みな相場がうまい」という意味ではありませんが、プロとして、私たち投資家と市場をつなげている存在です。その彼らが、不合理なルールに縛られているとしたら、彼らが発信する情報の受け止め方に注意しなければなりません。

「玉」「ポジション」という相場用語がありますが、営業の現場にいる営業マンの多くが「信用取引の建玉」という意味で使います。

投資家としては、たとえ手堅い銘柄の現物買いでも、現金をリスクにさらす、という積極的な意味の“ポジション”です。でも証券会社としては、現物は放置してもトラブルにならない(先送りが可能)、信用取引はトラブルになり得るから要注意、という営業の論理が先行するため、現物買いを“ポジション”と呼ばなかったりするのです。

状況の認識を表現するのが「言葉」です。
「言葉」は「行動」になり、繰り返すことで「習慣」になります。

「投資」と「投機」は、どうちがうのか──「投資のやり方が投機である」という説明もあるくらいですから、一概にはいえないのですが、すでに存在する定義を受け入れるだけでなく、プレーヤーとして考える時間をもちたいものです。


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投資と投機(2)

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 連載「トレード哲学」……17
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金融詐欺に遭った人が言いました。
「でも、悪い人には見えなかった。いろいろと親切でね~」
だまされたのに「親切だった」なんて、お人好しだから狙われるのです。
そもそも、悪い人に見えるようでは詐欺師として仕事ができないのです。

 

証券会社で働く人たちは、
「もっぱら投機的な利益を目的に売買してはいけない」と定められています。

では、なにをもって「投機」、なにをもって「投資」と定義するか──。
職員に株の売買を認めている証券会社でも、もちろん現物の買いだけで、例えば「6カ月以上保有」と期間を定めています。

「なるほど」と感じる人が多いかもしれませんが……「6カ月間、売ってはいけない」という部分に疑問が残ります。
いつでも売ることができるから値動きの激しい上場株を保有できる、期間の制約を受けたら“キケン”という論理は無視していいのでしょうか……。

もちろん、短期売買に興じていたら、「金融マンとして過ちを犯しそうだ」「一般投資家の窓口として問題」ということになるので、「半年以上の値動きを狙う売買に徹するべき」というのが正解なのでしょう。

そんな定義だけでは職員を管理しきれないとばかりに「6カ月以上保有」といったルールにたどり着いたのでしょうが、事の本質を考えたら、お客さんにすすめるものなので自由に売買して自らも相場の機微を知るべきですし、全く別の観点から、過ちが起きないように指導するべきです。

つぶれてしまった証券会社の職員が、倒産間近に会社の株をたっぷり買わされた、資金の大半は借金させられたって話がありますが、二重、三重に縛りつけられた状態は非常にキケンということです。少なくとも、「現物を一定期間保有すれば安全」という論理は成り立たないことを証明しています。

私は短期売買をすすめません。手を出さないほうがいいと進言しています。
でも、買いであれカラ売りであれ、「ちがったか!」と感じたら手を引く、数量を減らすのが鉄則です。
ポジションを持っている間は「リスクを負っている」、と考えるべきです。

「投資」はゆっくりで安全、「投機」は素早くてキケン、という考え方は、誤ったジョーシキ、うっかり聞いてはいけない情報です。
「売り」という概念が不足して“買いに偏る”ことにも、注意が必要です。

「多くの投資家は『売り』という概念が弱い」
林輝太郎が生涯、課題としていたテーマです。
その強い思いを語った生の映像、DVD「売りのテクニック」。
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8月7日放送のフォローアップ(1)
林 知之

自信をもとう!

「儲け方」を考えるのがトレードです。
しかし全戦全勝でない以上、柔道の受け身やスキーでの転び方と同様、上手な「負け方」を考えておく必要があります。

8月7日の放送では「負け方」に焦点を当て、無責任なプロたちが決して語らない「儲からない話」をしました。

しかし、イヤな部分に目を向けるだけでは、現実の効果も期待できません。
未来に向けて積極的にポジションを変化させる行動、最終的な「勝利」のためのポジション調整と考えるのが、実践家の発想です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第114回 うねり取りと中源線建玉法 ~儲かるとき儲からないとき~

ダメ出しは一度だけ

どんな分野でも、課題を見つけて改善していくのが、進むべき「道」です。
だから、直近の失敗、ミスをチェックします。

でも、ミスの原因を解明したら、すぐに改善の具体策をつくり、ミスそのものを見る行為を繰り返してはいけないといわれます。
「自分の課題」に目を向けているつもりが、「失敗している姿」を繰り返し刷り込むことになるからです。

  • ミスが起こるという事実(人間だから、やっちゃうよね)
  • でも、修正したい(目標を設定しようよ)
  • 別の考え方をしてみようか(ラクなやり方はなに?)
  • これが有効だと思う(前向きな仮説を立てた)
  • 試してみる(よし、やってやるぞ!)

こんな流れが理想です。
楽しく、ラクに考え、少しの変化を高く評価するようにしてください。

根拠のない自信とは?

最近は、テレビやインターネット上で、心理学の理論をもとにしたセルフマネジメントの知恵や、ワンポイント知識が紹介される機会も多いと思います。以前からある言葉では自己啓発、要するに、人間の心理をうまく利用して、自分自身の行動を望む方向にリードしようということです。

セルフマネジメントのキーワードとして、「根拠のない自信」という言葉を聞いたことがありませんか?

「なんとなくできそうだ」「苦難があっても自分ならば乗り越えられる」といった、漠然とした自信です。

手がける前から「ムリかも……」と感じていると、それほどでもないことなのに挫折してしまいます。逆に状況が不利でも、「できる」というイメージがあれば、前進する方法を模索しながら継続できます。「つらい」と感じないどころか、楽しいのです。

ここで、トレードの世界で使われる「自信」という言葉について、私が感じている疑問を紹介します。

「これ、自信があるんです」という表現は、もっぱら「予測が当たる確信がある」という意味で使われます。でも、自信のない予測で実際にポジションを取ったり、公表したりしないでしょう?

「上がる」という予測に、「目標株価〇〇円」という情報が追加されていたりします。
自分の努力が及ばない株価について「目標」と表現するなんて、実におかしなことではありませんか。

例えば、ゴルフの松山選手を応援している人が、「私の目標は、松山選手が次のメジャーで優勝することです」って、ヘンでしょ?

株価について「目標〇〇円」というのは、日本語になっていないのです。
「予測」という言葉で表現するべきです。
それとも、違法な株価操縦でもしているのでしょうか……。

本題に戻ります。

トレードにおける自信、プレーヤーに望ましいイメージはなにか──。
自分ではコントロールできない株価変動についてではなく、株価変動に対する「自らの判断力・行動力」についての自信であるべきです。

「想定どおりに動いたとき、うまくねばる。でも、確実に利食いする」
「見込み違いだった場合、適切に判断して撤退する」

こういった、自らの意思による“対応”についの自信ですね。
値動きのアヤなんて、事前に知る術(すべ)はありません。
でも、「自分なら、ちゃんと考えて対応できる」「悔いのない決断をするぞ」という、『できる』イメージですね。

トレードにおける負の記憶

なにごとも、根拠のない自信、「できる!」というイメージが大切です。

ところが、前項で述べたこと、「株価は自分のコントロール下にない」という事実を、うっかり忘れてしまうのがトレードです。うまく利益になったとき、「自分自身が株価を上げた」ような気分になったり、「今後もズバズバ当たる」という無謀なイメージをつくり上げてしまうのです。

「自信」ではなく、錯覚による妄想というか、トレードのスタイルを崩してしまう悪いイメージです。

これこそが“相場あるある”ですが、100万円が200万円になった、2倍になった、次も2倍にできる、急いで銘柄を探してドンと200万円全額を突っ込む……2回目も絵に描いたように勝つかもしれませんが、数回のうちに大負けするでしょう。

そんな経験のあと、「負けた」記憶を背負い、さらにムリをするかもしれません。逆に、必要以上にこわがり、「利益確定」とばかりに小幅の利食いに徹して、儲からないトレードになってしまうかもしれません。

カネがかかっているだけに、負の記憶が強烈なかたちで残るのがトレードです。たまたまのことなのに、コントロール不能かつ予測不能の株価変動なのに、自分を卑下するイメージにつなげてしまいがちです。

だから、「資金稼働率」を数字でチェックするなど、資金管理の発想が大切なのです。
この件はあらためて説明することにして、勝ち負けの記憶についての注意事項を挙げて、この項を終わりにします。

「トレードだから負けるのは必然と考えればいい」
「勝ったときに“もう一丁”などと考えず、勝ち分をはき出さないことを考える」

感情的にプラスの結果も、マイナスの結果も、あまり大きな出来事として認識しないほうがいいのです。感情の振れを少なくするためには、ニュートラルに近づけて記憶することです。単なる記録、次のトレードに活用できる「プレーンな情報」として蓄積しておくのが理想ですね。

ネガティブ思考の効果はなに?

根拠のない自信が大切、すなわちポジティブ思考が好ましい。そして、負の記憶が残りやすいから注意が必要──ひたすらポジティブがいいと解釈されるかもしれませんが、前項でも述べたように、ポジティブすぎて勘違いすることだけは避けたいのです。

また、ネガティブ思考にも大きな価値があります。

トレードは単独行動です。
本来はチームでこなす、さまざまな役割を、自分ひとりで担う必要があるのです。

大切なカネのことなので、ビビる気持ちが芽生えることもあります。
ビビらないまでも、やや慎重になりすぎるケースがあります。
そもそも、明日の価格さえわからない中で「次の一手」を要求され続けるのです。

だから、「えいやっ」と行動する瞬発力も必要です。

とはいえ、そんなポジティブな気持ちだけでは、キケンな方向に傾きすぎる可能性もあるので、ブレーキを踏むべき場面だって想定しておかなければなりません。

プレーヤーがポジティブに「えいやっ」と行動するかたわら、それを温かく見守りながらも「アブナイかな」と思って抑える管理者が必要です。どちらも、自分ひとりでこなすのがトレードです。

そもそも、大きな値動きのある株式市場に参加すること自体が、とても楽観的に考えた結果だと思うのです。ポジティブ思考でなければ決断できません。

でも、単なるイケイケでは、大きなケガをします。
だから、「慎重に計画しようよ」と提案する、ネガティブ思考のチームメンバーが求められます。自分の頭の中にですよ。

トレードでは、ひとりで何役もこなしながら、ポジティブ思考とネガティブ思考を上手に使い分ける必要があります。このバランスを保つのがポイントで、やみくもに取り組むと混乱する原因なのです。

そんな中、強弱の判断と3分割のポジション操作がルール化されている「中源線建玉法」は、トレードの“カタチ”を示してくれます。バランスを保ちながら進むプロのトレードスタイルを、誰でも体感できるのです。

中源線の負けポイント

では、中源線の実例を見ながら、現実に「負ける」場面をチェックしましょう。

林投資研究所のサービス「中源線シグナル配信」では、パフォーマンスが良好かつ安定している銘柄を選定して「ユニバース」と名づけ、それらの銘柄については、売り線、買い線を赤黒で示したチャートも表示されます(2017年8月現在、96銘柄)。

その「ユニバース」から、チャートを紹介します。

大塚商会は、この1年で大きく上伸しています。
しかし、中源線の判断では(正確には、長期のパフォーマンスと安定性を求めた「中源線シグナル配信」の設定では)、弱含んだ場面で何度も陰転しています(赤い矢印)。

「持ちっぱなしでよかった!」
こんなセリフは、あとからだから言えることです。
弱含んだ場面で行動せず、買いポジションを持ったままズルズルと下げられることだけは避けたい──「ミスの精度を上げる」という発想で、いったんは売りに回ろう、というのが中源線の考え方です。

あとから見れば「ダマシ」と呼べる“不要な手数”です。でも、陽転後にまずまず上がっていれば、「買い玉の利食い」+「新規売り」という機敏な行動です。感情的には面白くないと感じますが、こういったことがゼロでなければイヤだ、というのならトレードをやめるしかありません。

横河ブリッジは、私自身も実験的に売買しています。
数量は極めて少ないものの、結果による感情はプラス方向、マイナス方向に、少なからず動きます。

赤い矢印の部分は、仕方がないことだと認識しながらも、「なんだよ~」と言いたくなる展開でした。以下、私のグチを披露します(笑)。

2016年11月に、1,100円台で陽転しました。
その後、1,400円超えまで伸びました。
でも、2017年3月からダラダラッと下げ、3分割の買い増しが遅かったことが原因で、6カ月におよぶトレードはマイナスに終わりました。トホホ……。

そのあと、陰線のままで再び1,400円台まで上伸し、新高値を取りながら陽転。
タイミングが遅いよ……。

現在は3/3買い、つまり満玉買いのままグッと上伸しているので大満足ですが、気分的にイタい展開があった事例です。

大橋さんは勝った

前回放送日の前日、中源線が売り線の状態でブイ・テクノロジーを買った大橋ひろこさん。結果は、どうだったでしょうか。

放送の2日後に中源線が陽転したのですが、その後は伸びずにモタモタの展開。
番組中に質問してみると、案の定、売ってしまった、少しだけ利益になった、とのことでした。

いいタイミングで買っています。
その後、伸びないと判断して手仕舞いしたのも見事でした。
たとえ損でも、「伸びない」という状況判断で迷わずに売っていたことでしょう。過去を振り返るのではなく、常に未来のことを考えて「ポジションを最適にする」という、正しい考え方があるのです。さすが!

古典「うねり取り」の価値

中源線は、「うねり取り」の売買を実現する方法論のひとつです。
では、うねり取りとは? ザックリと説明すると、下の図の通りです。

多くの人が好む「銘柄を選別して乗り替えていく」方法は、興味を持続させる意味では正しいのですが、その場限りの判断や思いつきの行動が入りやすいという点に注意が必要です。選別するときの基準が少しでもあいまいだと、「なんでもあり」のダボハゼ投資になってしまうのです。

ちょっとストイックに感じるかもしれませんが、思い切って銘柄を限定することをオススメします。

材料を物色しながら「なにを買うの?」というアプローチだと、ストレートにダボハゼ投資になり、あっという間に塩漬け株を抱える状態に陥ります。

それに対して、銘柄を限定して定点観測すると、「どこで買うの?」「どこで売るの?」「どんな動きが自分の狙いどころ?」といった発想が自然に生まれます。そして、行動をコントロールするための技術に目を向けます。「適正な資金稼働率は?」「手を出さずに休むべき場面もあるね」といった実践的なプロの思考に近づくのです。

そんなプロの思考を、わかりやすく解説したのが、私の新刊『うねり取り株式投資法 基本と実践』です。

8月10日、書店よりも早く発売を開始しました。
土日、休日を除いて随時発送していますし、中身の“チラ読み”もできます。
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次回のフォローアップ(2)では、得意技を生かすプロの思考、肯定形まっしぐらの考え方をご紹介します。
お楽しみに!


うねり取り株式投資法 基本と実践
古典の価値、これからのマーケットでの利用法を現代風かつ実践的に解説。しっかり儲ける、うねり取りのバイブル!
発行 マイルストーンズ/発売 丸善出版 
2017年8月新刊

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入門の入門 中源線投資法
中源線の基本ルールを公開しているほか、すべてのトレードに通じるプロの視点を惜しみなく紹介。
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新版 中源線建玉法
中源線の原典の書。ルール解説から現実の応用まで、詳しく解説。
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中源線第一部(無料)
書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

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ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~

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たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
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FAIクラブの株式投資法
長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
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※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

異端であり続けたい

私の新刊『うねり取り株式投資法 基本と実践』は現在、事前予約(限定で送料無料)を受付中です。
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情報に頼らず、自らの技術で結果を出すプロの売買「うねり取り」のバイブルと自負しています。

以下に、まえがきの一部を引用します。

自信をもって“異端”でありたい

 株価が動くたびに勝者と敗者が生まれるが、常に利益を上げるのは至難の業。だが、考え方や行動が少しズレているために、絵に描いたように負け続ける参加者がいる。
 誰にも明日の株価さえわからないのだから、予測そのものは当たったり外れたり……。だが、対処が悪いために、高いところを買い、ダメだと思いながら放置して安値で投げてしまい、少し上手に行動した参加者の利益を助けることになる。
 こんな残念な行動パターンの対岸には、株式市場との距離を適正に保った賢い参加者がいる。多くの人が日々の動きを気にして、日経平均の水準や世界情勢に漂う不安材料をチェックしながら迷走している。その対岸で、数少ない個別銘柄を対象に、独自の相場観とポジション操作で損益という“結果”をうまくコントロールする参加者たちだ。
 プロ相場師の4割が、うねり取りを実践しているといわれる。
 うねり取りは、いわば“概念”だから、正確にはうねり取りに分類できない手法でありながら、うねり取りの核となる考え方を盛り込んだ独自の手法をもつプロも含めたら、かなりの数ではないか。
 先行きを当てよう、有望な銘柄を見つけよう……「なにを買うか」に目が向くと、石を投げれば当たるような“銘柄情報”にたどり着く。勝つこともあるが、負けたときが大きい。
 そんなドタバタ劇から離れ、「どこで買うか」「どこで売るか」をまっすぐに考えるのがプロの思考だ。ここが固まったところではじめて、「それに適した銘柄はなんだ?」と考える。
 多数の投資家がハマっている“銘柄至上主義”を上手に利用するのが、最もウケる投資情報ビジネスだ。だから、プロの思考を懇切丁寧に説くことで、大多数の人を対象外にしてしまう。
 たとえそうでも、「予測情報の販売」に重点を置く業界のあり方に一石を投じたかった。今後も、こだわりをもった異端であり続けたい。

2017年7月
林知之