創造性ゆえの苦悩 | 林知之


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連載「相場のこころ トレードの本質」その28
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ウニを最初に食べた人はスゴいと思います。見た目が毒っぽいですからね。
40年近く前、お好み焼きにマヨネーズと聞いて、えっ? でも、意外なおいしさ。
何でもやってみるものかと思うと、公園のキノコで中毒になって入院!
世界を広げるのは難しいということでしょうか……。

書籍『新版中源線建玉法』から引用します。

1974年になって私が商品会社の経営から離れ、自分の売買に専心できるようになってから、十数人に参加してもらって最終的な統計を取り直した。

そして、『中源線建玉法…第一版』の「本文」を決定したのだが、その時でも、ずいぶんとたくさんの改良案が出た。

それを他人が検査すると、やはり欠点が目立つ。ある場合には良いが、ある場合には悪い結果になってしまう。だが、それらを集約すると、
1.改良しないほうがよい
2.ほとんど同じ結果であって、規定が複雑になるだけである
3.不測の事態を考えると安易に改訂するのはよくない
という結論になることが多かった。

(『新版中源線建玉法』第四部「実践と実験」より)

機能するルールでも、あるケースではなにかが足りない、あるいは真逆になる……。
人間が生むブレで損をする場面を避けようと“機械的判断”に頼ると、こんどは人間の創造性が黙っていない──こんな堂々巡りが「相場あるある」ですよね。

創造性をフル活用する「裁量トレード」で、仮に“ブレがゼロ”を実現したとしても、「ココかと思えば、またまたアチラ」なんてことが起こります。

物色対象が広がったので「この流れからは当然、出遅れ狙いだな」と思って優良な出遅れ株を仕込むと、なんと出遅れ出ず仕舞い……。

経験値を生かして「この上昇は大きい」と確信しても、飛び乗ったところがほぼ天井、第2候補や第3候補の銘柄がグングン上がり始める……。

「マーフィーの法則」ってやつでしょうか(笑)。

どんな方向にもっていこうかと考えたとき、物足りないくらいシンプルにしておくのが、ストレスフリーな正解の場合が多いようです。

創意工夫が足りない、なんかバカっぽい、納得しにくい……すぐにそう考えるのが創造性豊かな私たちの脳ですが、“シゴト”として継続的に取り組んでいるものごとは、意外なほどアッサリと進めていることを考えれば、トレードというカネの問題こそ、サッパリとした判断基準が適しているといえます。

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