9月11日放送のフォローアップ(3)
林 知之

プロに学ぶトレード姿勢

裁量トレードがいいか、厳密なルールに従う機械的トレード(システム)がいいか──まさに、トレードにおける“永遠の課題”ですが、好みによる使い分け、哲学に応じた融合など、自分なりの答えを出すことは可能です。

9月11日の放送では、その場の気分で考えたり、短期的な結果論に陥らずに進むためのヒントを示し、いくつかの観点から掘り下げてみました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第116回 うねり取りの機械的判断を深く考える ~中源線と裁量、どっちがいいの?~

おしりの穴がムズムズする

9月放送の事前打ち合わせで、大橋ひろこさんが面白い話をしてくれました。
ある高名な実践家にインタビューした際に「どんな状況のとき、ポジションを切ってしまうのですか?」と質問したところ、「これはよくないというとき、おしりの穴がムズムズするんだよ」との返答だったそうです。

一瞬、笑ってしまうのですが、すごくよくわかります!

正しい裁量トレードは、ほぼ数式化できるくらいカチッとした基準で進めていくものです。ただ、実際に数式化しようとすると、強みである感性がどこかに飛んでいってしまうので、「これはオーケー」「これはダメ」といった感覚を残したまま行動するのです。

決して、あいまいな想像と思いつきではありません。

結果として、自分にとって「切るべき」場面で──その行動が結果的に当たるかどうかは別として──「よし、切ろう」と決断できるのです。

なんだか違和感を覚える、経験から“よくない状況”だと感じる、そう悪くないかもしれないが続けていても上手に対応できそうもない……こういったプレーヤーとしての“感じ方”を判断につなげ、迷わずに行動するということです。

着陸をやり直す基準

おしりの穴がムズムズ……同じようなことが、ほかの分野にも必ずあります。

私は飛行機の操縦資格を持っていますが(自家用)、学んできたオペレーションの中には、理屈にならない理屈のような教えもありました。「なんとなくイヤな感じがしたら、着陸をやり直せ」と、インストラクターから言われたことがあります。これについては反論もあるのかもしれませんが、「おしりの穴がムズムズ」で思い出し、トレードも同じだなあ、万が一を考えて危険を避ける判断は必要ではないか、と感じました。

なんとなくイヤだ……そんな場面で決断を先送りすると、あまりいいことはありません。利が伸びる方向に動いたとしても、その後の行動がギクシャクしがちです。逆行した場合は、意地になってしまう傾向があります。能力が足りないのではなく、それが人間の自然な心理なのです。

中源線のように、弱くなったら「陰転。ドテン売り」、強張ったら「陽転、ドテン買い」と素早く判断して行動を取ることは、とても重要です。今までのポジションを切るだけ、つまりドテンせずにポジションなしのまま「待つ」ことも相場ですが、すでにあるポジションに違和感が芽生えたのに維持して「待つ」のは、明らかに間違いなのです。

裁量のシステム化

「裁量のトレードも、ほぼ数式化できる」と述べました。
では、システム化することで何が起きるか──。強みである感性がどこかに飛んでいく可能性、感覚と経験によって少しずつ修正していく機能が弱くなる、といったマイナス面が発生し得るのですが、システム化の利点もあるので十分に成立します。

いや、そもそも大部分のシステムは、生身の人間が考えたロジック(判断基準のアイデア)を数式化したものです。既存のシステムを検討する際、「これは儲かるかも!」などとコーフンせずに、数式に落とし込むプロセスで大失敗がなかったか、大元の発想にあった強みが消えてしまっていないか、といった観点でチェックするべきなのでしょう。販売されているシステムについて、そういった大切な情報が開示されていれば、の話ですが……。

中源線も、実践者の素直な感覚を数式に落とし込んだものです。
素晴らしいと感じるのは、「精度を上げようと躍起になった形跡がゼロ」だという部分です。この部分の評価は人によって異なるでしょうが、ロジックを完全に公開しているので、じっくりと考えてもらえる環境があります。

中源線のルールを理解して深く考えると、矛盾があるような、穴があるような……そんな気持ちになります。それだけ、ムリな数式化を避けてきたプロセスを確信できる出来栄えだと私は評価しています。

システムか裁量か……“白か黒か”で考えがちですが、根っこは全く同じ、細分化したときに「ここに、こんな効き目がある」「この部分に、こんな特性がある」などと丁寧に分析していくことが大切なのだと思います。

「これ、儲かりますか?」
「勝率は何%ですか?」

勝手にカネ儲けしてくれる“打ち出の小槌”など存在しません!
お任せ状態で利益だけほしいなんて気持ちが少しでもあると、悪い輩にだまされるのがオチです。

システムを裁量でコントロール

システムも裁量も同じ、と説明しましたが、便宜的に分けておかないと混乱するケースが多いと思います。

事前に決めた通りに売買するのがシステムです。

それに対して裁量は、事前にいろいろなことを決めておくとはいえ、判断基準に若干の幅をもたせたり、状況に応じて少しだけ変更の余地を残しておきます。

実際には、システムを動かしながら「ルール変更を検討する」こともありますね。「よし、この部分をこう変えてみよう」と確信したら、ポジションがないときに手を加え、変更を施したシステムを再び稼働させます。100%完全なものがない以上、こういった改良を加えるのが、ある意味、当然です。

では、ルール変更を検討している部分について、ポジションがある状態でルール無視の対応をしたら? 例えば、システムが「売り」と指示しているのに買いポジションを維持した場合、上がればいいのですが、どんどん下がったときに“次の一手”がないまま迷走してしまいます。

でも、「買いポジションを維持するが、〇〇円まで下げたら切る」と決めておいたら、どうでしょうか? システムではなくド裁量ですが、トレードの決断としては成立しています。

難しい話にしてしまいましたが、“白か黒か”だけで判断できない部分が多々あるということです。しかし、原則は以下に示す通りです。

  • 必ず事前に決めた通りに売買する(システムでも裁量でも)
  • 思いつきの行動は避ける
  • 新しいアイデアは、ポジションなしの状態で仕上げて次のトレードから実行する

軽率な行動は、その1回で大損する可能性が生まれるだけでなく、長く続けるトレード活動で試行錯誤するプロセスが、わからなくなってしまう危険性をはらんでいます。

人間の創造性こそが、勝つための要素です。
しかし、人間だからこその弱さも十分に認識しておくべきです。

ちょいと一杯のつもりだったのに、いつの間にやらハシゴ酒……その次もやらかします(笑)。

ステキな「自分流」構築法

実際の中源線チャートを見ながら、“裁量によるアレンジ”を考えてみましょう。

下に示す牧野フライスは、林投資研究所の中源線シグナル配信において、「ユニバース」(パフォーマンスが良好かつ安定している研究対象銘柄)に選定している銘柄の1つです。

2016年10月後半に陽転したのですが、翌11月はじめに陰転しました。
しかし、米大統領選のあとの上昇で素早く陽転し、大きな上げを取ることができました。

2017年3月、天井から少し下げた時点で陰転、このあと現在までのダラダラ下げをうまく捉えていますが、下げの途中で2回、ダマシの陽転が起こっています。

このダマシを避けることはできないか──。
実践者として、当然の発想ですね。

でも、「売ったまま」というのは、ルールに反する行動です。
陽転して「買いなさい」と言われているのに売りポジションを維持する……結果的には当たっていますが、その時点では知りようのない未来です。売りポジションを放置したまま大きく上伸したら、フリーズした状態で評価損が膨らんでいくことになります。おそろしい・・・

ひとつの例ですが、この陽転で「売りポジションは手仕舞う。しかし買わない」という対応はアリです。ポジションゼロの状態で、「再び陰転したら売り出動」と決めて状況を見守るという決断ですね。もちろん、陽転が正解で上伸した場合は、利益を取り損ないます。そういう「機会損失」を覚悟した裁量です。

これならば、「次の一手をなくして迷走する」ことはありません。
ただし、「ダマシかもしれない」と判断する基準は、明確にしておく必要があります。
とことん明確にすることができるなら、それもルールに加えるべきで……こうして、深い思考にのめり込むのが、トレードというシゴトなのです。

これで、9月11日放送のフォローアップは終了です。
次回放送は10月16日、ちまたにある投資関連情報を見極めようということで、次のようなタイトルを考えています。
「投資情報のウソ・ホント」
まだ決定ではありませんが……お楽しみに!


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9月11日放送のフォローアップ(2)
林 知之

裁量かシステムか?

裁量トレードがいいか、厳密なルールに従う機械的トレード(システム)がいいか──まさに、トレードにおける“永遠の課題”ですが、好みによる使い分け、哲学に応じた融合など、自分なりの答えを出すことは可能です。

9月11日の放送では、その場の気分で考えたり、短期的な結果論に陥らずに進むためのヒントを示し、いくつかの観点から掘り下げてみました。

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(第116回 うねり取りの機械的判断を深く考える ~中源線と裁量、どっちがいいの?~

「当てる」ことではない!

相場は非情です。
買って上がればワクワクですが、買ったのに下がったらガッカリ……1回ごとの「損益」が、重くのしかかってきます。そのため、“予測が当たるかどうか”に神経質になるのです。しかし、そこには落とし穴があることを忘れてはいけません。

「予測を当てたい」と切望する多くの人が、どのような行動を取るか──。
予測情報を探すうちに、毎日それを見ないと落ち着かない“中毒”的な状態になり、思考力、判断力、決断力、行動力……これら、自分自身の能力を伸ばすきっかけを失ってしまいます。

「予測は当たらないんだ」と気づく……いや、実は気づいているのだから、ムリにあがくことなく開き直れば、とてもラクになります。そして、「では、どうするか」という極めて現実的かつ実践的なことに目が向くはずです。

中源線を検証すると、いわゆる勝率は平均で50%を切っています。
相性が悪い銘柄を除いても、どうしたって、取れる時期と取れない時期が生じますが、平均してプラスのパフォーマンスを期待できます。

3分割の売買と、“損切りするかねばるか”のポジション操作によって、かかわる時間をコントロールし、プロが考える「損小利大」を実現しようとする仕組みなのです。

人間の働きとミス

システムを組む、あるいは、システムとは呼べないものの一定の機械的判断を取り入れようとする狙いは、「予測の的中率を上げる」ことではありません。うまく当たったときに利を伸ばす(時間をかけてもいい)、曲がった(外れた)ときは損を小さく抑える(かつ、時間をかけたくない)、つまり「損小利大」を目指すのがゴールです。

利益を伸ばすイメージは大切です。
ちょっとダメなポジションを大切にする一方、ちょっといい感じのポジションを「今のうちに利益確定」とばかりサッと手仕舞いすると、えてして逆の結果となります。ちょっとダメなポジションをさっさと切り、ちょっといい感じのポジションを乗せるくらいのイメージのほうが、実用的なのです。

しかし、値の動きは一律ではありません。
積極的に行動するほど不要の損が重なる……そんな時期もあります。
でも、グッとガマンして持続することで面白いように利が伸びる時期もあります。いわゆる“攻め時”ってヤツですね。

人人間の能力は想像以上に高いので、経験によって臨機応変な対応が可能となったり、上記のような変化を察知するなどのチカラを持っています。

ただし、強固な軸をもつ、ビシッとした行動を続けた経験がないと、判断の基準は生まれないでしょう。また、百戦錬磨の強者でも読み切れない場合が多々ありますし、気づかずにブレが生じていることもあります。

人間の能力に依存するトレードは、諸刃の剣ともいえますね。

機械の優秀さとダメな部分

数式を利用する「機械的判断」は、絶対にブレません。
西のほうからミサイルが飛んでこようが、太平洋の向こうの大統領がビックリ発言しようが、価格が動かない限り反応しません(各種のファンダメンタル要因も対象とするアルゴリズム取引のシステムだけは別です)。

「コワい」という感情もなければ、「今月あと一発儲けたい」なんて熱い心もありません。淡々と判断します。

そのかわり、人間のような繊細な対応はできません。
値運びの機微を捉えたり、場の“味”によって変則的な手を打つことなんて、できないのです。いや、させるべきではないのです。

さまざまに変化するマーケットの動きを“最大公約数的”に捉え、いつでもボチボチの結果が出る、というのがシステムの基本で、そこに損小利大のための工夫を盛り込む、というのが教科書的な説明でしょうか。

雨を予想してカサを多めに仕入れる、なんて芸当はできなくても、カサの仕入れを忘れるポカもありません。淡々とした行動が、機械的判断の根っことなるのです。

ちなみに人間は、天候を読みながらカサを多めに仕入れることができるのですが、雨が降らずカサが売れなかった、台風が強烈で誰も外に出ないからカサが売れなかった、カサばかり気にしてほかの商品がおろそかになった……こんなミスがあり得ますね。

確信ある自分流

さて、なにを持ち出しても一長一短、「これで完ぺき、もうなにも考えなくていい」なんて状況は絶対にありません。だから、どんな考え方を軸にするか、どこまで機械的判断を盛り込むか、好みで決めるしかないのです。

とことんシステマチックにトレードする人もいます。
ただし、感性どおりの“こだわり”を数式化するのが基本です。

そんな機械的売買を、部分的に利用する人もいます。

例えば、「仕掛けだけシステムがいい」という人は、次のように考えているかもしれません。

「エントリーでグズグズするのがイヤだから、機械的判断でサッと出動する。早期の損切りも、機械的判断による。でも、『乗れた』というときは、自分の感性を頼りに利を伸ばすよう努める」

逆に、「手仕舞いで迷うから、損切りも利食いも機械的に判断する」という人もいます。

機械的判断のもととなる「数式」は、そもそも生身の人間が考えているのですが、そのことは置いておくとして、「システムと裁量の“融合”」と呼べる取り組み方です。

良い悪いなんて、一概には言えません。
ずるい言葉ですが、好みの方向で知恵を積み重ね、「確信ある自分流」を構築するしかないのです。

相場本の正しい読み方

相場の本の選び方は、難しいと思います。
売れている本が良書、とは限りませんから。

いろいろ読んでみるしかない、ということですね。

私は、ひたすら真面目な路線で本を書いていますが、それが投資家すべてに有益だなんて言い切るのは傲慢というもの。「ストイックすぎる」と感じて、ちょっと勉強する気だった人がフラフラ系に傾くかもしれませんから。

だから、思いついたものから、多くの本を読んでみるべきだと思うのです。
ただし、自分なりの「ゴール」を考えておくことが大切です。

「この本を読むと、いま課題となっている〇〇が解決するかも」といった、自分なりの“狙い”ですね。狙いが定まっていれば、たとえ狙いが外れたとしても、たまたま書いてあった別の情報に影響されることもないでしょう。そして、次の本を見つけるための基準が向上します。

良書を見つけるのは難しいと述べましたが、絶対に避けてほしいことはあります。「これをやれば、明日から儲かる」的な発想です。
慌てて結果を求めると、どうなるか……実は、そんな浮ついた希望に、ちゃ~んと応えてくれる本があるんですよね。

フォローアップ(1)で、私が書いた、実践家のインタビュー集『億を稼ぐトレーダーたち』を紹介しました。そして、「業界内部の人にすこぶる好評」と述べました。

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逆に、一部の一般投資家からは酷評を受けたのです。
多くの実践家が登場するのに、「彼らの手の内がズバリ書かれていない」という点が、とても不満だったのでしょう。

私のインタビュー集だけでなく、ほかの人が著した同類の本を読む場合、あるいは、ほかの投資家との相場談義をするときでも、「すぐに使えるラクラクな方法」を求めないでください。

中源線でラクラク?

中源線は、強弱の判断と3分割の売買が、細かくルール化されています。
現実では、その中源線の「具体的な使い方」を考えるのですが、まずは規定どおりに売買した結果を見て、強みと弱点を見極めることが第一です。

今回も、林投資研究所のサービス「中源線シグナル配信」で、“高パフォーマンスかつ安定”の研究対象銘柄「ユニバース」から抜粋した銘柄で、中源線の特徴(強みと弱点)をチェックしてみましょう。

赤い線が陽線(買い線)、黒い線が陰線(売り線)で、それぞれ3分割の売買を実行します。

有沢製作所は、2016年の9月から大きく伸び、約2倍に化けています。
中源線はずっと買い線のままなので、こうしてチャートを見れば「大当たり」というところですが、そんな表面的な見方には意味がありません。

2016年11月、米大統領選の際にガクンと下げても陰転しなかった……まあ、たまたまですね。

2017年4月にズルズルと下げた場面でも陰転しなかった……結果論では「当たり」でも、現実に買いポジションを抱えた状態で「中源線が陽線のままだから……」と安心していられただろうか──こんなことを考えてみたいのです。

ちなみに、こういう場面について、完全な後講釈で「はい、押し目買いの絶好のチャンスでした」なんて解説を見ることもありますが、どうかと思います。

東邦チタニウムのチャートの前半に、「機敏にドテン」と記した場面が2つあります。どちらも、下落して陰転、その後の切り返しで再び陽転、という結果です。

最終的には陽転して上げに乗ったので、現実の相場の世界では「正解だった」と評していいと思うのですが、「ダマシの陰転があった」とネガティブな評価をしたくなります。あとから見ているからです。

ちなみに、後半に出現したダマシの連続は、ちゃぶついた動きだから仕方がない、中源線の弱みがモロに出る値運び、というところですが、実際にポジションを取っていると、気分が悪いのは当然です。感情的には、受け入れにくい結果です。

そこで、「裁量の判断で避けられないか」と考えるのですが、実際にはなかなか“イバラの道”でしょうね。

次回のフォローアップ(3)では、「システムと裁量」という切り口で、現実を見据えたプロの思考に迫ります。
お楽しみに!


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9月11日放送のフォローアップ(1)
林 知之

悩みと迷いの解決方法

裁量トレードがいいか、厳密なルールに従う機械的トレード(システム)がいいか──まさに、トレードにおける“永遠の課題”ですが、好みによる使い分け、哲学に応じた融合など、自分なりの答えを出すことは可能です。

9月11日の放送では、その場の気分で考えたり、短期的な結果論に陥らずに進むためのヒントを示し、いくつかの観点から掘り下げてみました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第116回 うねり取りの機械的判断を深く考える ~中源線と裁量、どっちがいいの?~

トレードの悩みと迷い

トレードの悩みは尽きません。
「うぅ~ん、どうしようかな」という悩みは、経験を積むほどに増えていきます。

でも、いざ売り買いを決める際の「どうしようかな」は、ゼロにするべき「迷い」です。行動がギクシャクします。
実践者としては、「悩み」と「迷い」を区別して考えるべきです。

でも、今回はテーマそのものが難しいので、「どうしようかな」と考えること一切合切について“前進の突破口を見つける”ために話を進めていきます。

仕掛けと手仕舞いの比重

「どうしようかな」と考えること……いくらでもありますよね。
たくさんのことを考えているうちに、「要するに儲かるかどうか」ということになり、深い考察を試みたのに不発、というオチになったりします。
ちょっと思いついたことを、ひとつずつ、でいいと思います。

例えば、「仕掛け」と「手仕舞い」の比重について考えてみましょう。

仕掛けと手仕舞い、どちらをより重視するか、どちらに多くの手間をかけるか、といったスタイルの問題です。「技法の比重」のみならず、「気配り」「研究」「改良」といったトレードのシゴトすべてについて、偏りが生じるのが当然です。

番組でも話した通り、例えば「3:7」とか「7:3」といった比重が考えられますが、実は多くの人が、「どちらも大切」「自分は10:10で総量が20」くらいのイメージで臨んでいるのではないでしょうか。

ほかの市場参加者が合計で10しか考えていないのに、自分は全部で20のことを考えている、だから勝てる!──意気込みは評価できますが、ちょっとムリがあるというか、認識が甘いというか……もっと控えめに考えてみるほうが安全でしょう。ほかの市場参加者と自分を比べたとき、「条件は全く同じ」という前提が重要です。

  • いくつもの観点から冷静に考えている。だから、考える総量が常に「10」あり、平均的な投資家は「10」に満たないから優位だ。
  • たまには、総量が「11」や「12」に及ぶこともある。素晴らしい!

これくらいで、いいのではないでしょうか。

「仕掛け」と「手仕舞い」の比重、この件に話を戻します。
例えば、試し玉を活用しながら、「底値買い」を理想に近づけるべく神経を使っている、とします。バランス的に、手仕舞いはあっさりしたものに傾くのが必然でしょう。

手仕舞いが雑、ということではありません。
あくまでも、「特に力を入れるのはどこか」という問題です。

ご自身の哲学、銘柄や手法によるちがいを、たまには立ち止まって考えてみてください。

ついてる仙人のトレード法

先日、225先物トレーダー、ついてる仙人氏にインタビューしました。
マーケット・スクランブルのWEBサイトにも、彼のブログが掲載されていますよね。

彼は、仕掛けのタイミングを慎重に選ぶものの、分割せずに、予定数量を一括で建てます。そのかわり、丁寧かつ計画的な手仕舞いを実行し、「乗れた」と判断したときも「見込み違いだ」と感じたときも、1回目と2回目の手仕舞いはけっこう早いタイミングで行うそうです。

それに対して私は、仕掛けのタイミングを慎重に考えるのは同じでも、さらに、分割を基本として少しずつ増やしていく方法でトレードしています。

「仕掛けは入り口だから、“石橋をたたいて渡る”イメージ」
「手仕舞いは、深くかかわっている玉からの撤退だから時間をかけない」
このように教わったからです。

彼と私は、ある意味、真逆ですね。
でも、どちらが正しいか、どちらが有利か、という議論はできません。
それぞれに一長一短があり、全体のバランスや考え方との整合性がポイントだ、と捉えてください。

ついてる仙人氏のインタビューは、林投資研究所の『研究部会報』2017年9月号の「相場師インタビュー」に掲載します。9月12日に印刷所へ入稿して印刷中、発送は9月26日です。お楽しみに!

この「相場師インタビュー」は、多くの実践者の協力で、個人投資家にプロの思考を伝えるべく継続して行っている企画です。

そして、インタビューをまとめた単行本『億を稼ぐトレーダーたち』は、業界内部の人にすこぶる好評で、書店でも多くの人に買っていただきました。
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決断の主体は?

裁量かシステムか──。
この問題を考えるとき、とても大切な観点があります。

機械的判断を絶対とするシステムといっても、数式を積み重ねる作業も、そもそもの「こうすれば儲かるだろう」というアイデアも、生身の人間の手によるものです。

特殊な分析ツールで「儲かる数式が見つかればいい」というアプローチをする人もいますが、よほどの頭脳と能力がない限り、大混乱が懸念されます。

それに、システムを動かしてトレードをスタートさせるのも人間ならば、「中止だ」と判断して行動するのも人間です。金額を設定するのも人間です。

ちょっと深い話になりますが、システムといっても“すべてが裁量じゃないか”という議論は、十分に成立するのではないかと思うのです。そもそも、「トレードをやろう」という決断が、ド裁量なのです。

実例で考えよう

さて、番組で継続的に紹介している「中源線建玉法」は、実践者の生身の感覚を、実にシンプルな数式に落とし込んだもので、説明を聞けば多くの人が理解、納得できるロジック(判断ルール)を持ち合わせています。

「概要について知りたい」というかたは、私が最近書いた単行本、『入門の入門 中源線投資法』を読んでください。中源線の基本的なルールを公開すると同時に、トレードについての実践的な意見もたっぷりと盛り込んであります。

その、中源線による売買結果を、実際のチャートで確認してみましょう。
林投資研究所のサービス「中源線シグナル配信」で、“高パフォーマンスかつ安定”の研究対象銘柄「ユニバース」から抜粋した銘柄です。

その前に、中源線のことをカンタンにお伝えしておきましょう。

中源線は、予測の反対方向の「逆行」する動きに注目します。

上昇を予測して買っているときは、逆行の下げに注意します。
下げのパターンによって陰転と判断すれば、ドテン売りにまわります。

下落を予測して売っている(カラ売り)ときは、逆行の上げに注意し、一定の条件がそろえばドテン買いにまわるのです。

日々の終値を結ぶ線は、赤と黒の2色に分かれていて、赤が陽線(買い線)、黒が陰線(売り線)です。

2502アサヒグループHDのチャートを見て、私は4つのポイントに注目しました。

1.とりあえずウリ
2016年11月、米大統領選の際のドタバタでは、たまたま条件がそろわずに陽線(買い線)のままでした。でも、選挙のあとも動意づくことなく弱含みの動きをみせ、12月に陰転しています。

2.買い直し
陰線のまま少し上昇……残念な流れですが、1月後半に陽転しました。ここでドテン、買いにまわり、その後の上げ波動に乗っかりました。

3.ダマシ
でも、2017年4月に中段でいったん陰転しています。
買いポジションを利食い手仕舞いし、下げにそなえてドテン売りにまわったのですが、3分割の1回分のカラ売りにとどまり、次の陽転で再び買いポジションに戻ります。

4.裁量では投げ?
4つめのポイント、青い丸印の部分を解説します。
2つの陰転ポイント、「とりあえずウリ」や「ダマシ」と同じようにイヤな下げ方をみせているのに、中源線は陽線のままでした。その後、直近で上伸しているので、結果的には正解だったわけです。

でも、「中源線が優秀だった」なんて後講釈は、ハレンチな宣伝文句でしかありません(世の中、その手の情報が多いのが現実ですが……)。裁量ならば、ドテン売りにまわらないまでも、いったんは売り手仕舞いする場面だと感じます。だから、「たまたま中源線の条件がそろわなかった」と解釈するのが正しいでしょう。

中源線のロジックが想定しているのは、6月に下げる途中で陰転、7月前半の切り返しで再び陽転、というところです。機械的判断の場合、ブレずに答えが出る半面、人間の感覚では納得しにくい判断も起こり得るのです。

最後に、今回のタイトル「悩みと迷いの解決方法」をズバリ示します。

利益になったか損になったか……切実な問題ではありますが、その問題から離れてトレードの「質」を考えることです。

「トレードの良い悪いは損益とは別」との前提で、自分なりの仮説をしっかりと立ててトレードに臨み、将来のために合理的な分析を行う──このように整理することで、少なくとも「迷い」はゼロに近づくはずです。

次回のフォローアップ(2)では、番組タイトルにも掲げたテーマ、「裁量かシステムか」を考えてみます。
お楽しみに!


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正しいトレードとは?

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不倫疑惑の政治家に「一線を越えたんですか?」。「はい、週に3回で~す」なんて答えはあり得ません……それでも質問しなければいけないのでしょうか?

「○○株は、まだ上がりますか?」といった質問が時々あります。
強弱を「診断」してほしいということですが、不可能です。

ある特定の基準で「判断」することはできますが、結果は五分と五分……どんな結果であろうと、実践者として“次の一手”を打つ前提で、ズバッと判断・行動するだけです。

そもそも、真剣に「買いだ」という人と、確信をもって「売りだ」という人が半分ずついるから、市場で値段がついているのです。

良いトレードをしたい──。
つい、1回ごとの損益を気にしてしまいますが、神様ではありませんから、必死に予測しても当たったり外れたり……。

先日、「相場師インタビュー」に応じてくれた225先物トレーダー、“ついてる仙人”氏は、次のように言っていました。

「正しいトレード」と「間違ったトレード」、「利益になるトレード」と「損になるトレード」、これら4つの区別が重要だと思う。

このインタビューは、9月26日発行の『研究部会報』9月号に掲載します。

例えば、「この値運びは買いだ」と判断したら、「でも、利益になるかなぁ」などと考えずに出動するのが正解、「正しいトレード」です。
「正しいトレード」を実行した結果、見込み違いで損になったとしても、さかのぼって「間違ったトレードだった」とはならないのです。

「買いだ」と判断したのに、「損になったらイヤだ」という恐怖心で出動しなかった、そうしたら下がった……「正解でしたよ」というのは誤り。
買いだと判断したのなら、出動して損切りという結果こそが正解です。

自分で決めたことは、実行するのが当然です。
次に同じパターンが出現した際、どう行動すればいいのかわからなくなります。

「当たり外れは仕方がない」という前提で立てた戦略なのに、最後の最後に自分自身で“当たり外れ”を当てようとするなんて……。

「判断基準が適切ではない」というのなら、ポジションもなく出動を検討する雰囲気もないときに、戦略を見直すのが正しい対応です。

いま気づきました。
「一線を越えたか」と、とりあえず質問するのが、正しいシゴトなんですね。


うねり取り株式投資法 基本と実践
古典の価値、これからのマーケットでの利用法を現代風かつ実践的に解説。しっかり儲ける、うねり取りのバイブル!
発行 マイルストーンズ/発売 丸善出版 
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分割売買

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 連載「トレード哲学」……19
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「同棲」というと、昭和の時代は暗いイメージでしたが、最近はけっこう“ふつう”のことのようです。
同棲=結婚を前提、とは限りませんが、いいところしか見ずに結婚するよりも、ヘンな言い方ですが“お試し”の共同生活は合理的かつ効果的だと思います。

「分割売買が技法の第一歩」
林投資研究所では、こんな説明を前面に出しています。

いきなりドンッと出動すると“引くに引けない”状態に陥りやすいので、自分自身をコントロールするには、分割の仕掛けが有効だという考え方です。

慎重に、少しずつ、様子を見ながら踏み込んでいく姿勢です。

逆に、手仕舞いはアッサリとした方向に偏らせます。
「すでに、しっかりとかかわっているポジションからの撤退」なので、ぐずぐず言わずに決断するべき、と考えるわけです。

でも、先日インタビューした実践家は、逆の方法でトレードしています。
「一括で仕掛け、丁寧な分割で手仕舞いする」のです。

225先物トレーダー、“ついてる仙人”こと金子稔氏は、慎重に見極めて仕掛けるものの、予定枚数まで一気にポジションをつくり、そのあとのポジション操作をきめ細やかに行います。

インタビューは、『研究部会報』2017年9月号に掲載します。
お楽しみに!

彼の話を聞いて、「これはこれでバランスがいいかもしれない」と感じました。

「買って売る」「売って買い戻す」という“単発”の売買を基本イメージに、予測不能の値動きの中を“泳ぐ”感覚で、適度なポジション増減を行うのがトレードの実際です。

分割が大切といっても、やたらと分割したって混乱するだけ。
どこの部分に、どれだけのエネルギーを向けられるか──。

トレードの取り組み方には制約がないので、やり方は人それぞれですね。
「確信ある自分流」を追究してください。


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値動きの質

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ミサイルを撃ちまくる北朝鮮は、なにを目指しているか?
ミサイル発射のあと、リスクが高まる日本の通貨「円」が買われる理由は?
私は詳しくないので、元気に語る評論家諸氏の説明を探してほしいのですが、「為替変動を利用して北朝鮮が利益を上げている」という説は納得できます。

為替は、相場のなかで最も難しい──。
相場業界の定説です。
でも日本では、FX取引の人気が非常に高く、七不思議のひとつです。

以前の『研究部会報』に掲載した、YEN蔵こと田代岳氏の「相場師インタビュー」から引用します。

「為替には、上げ相場と下げ相場って概念もありませんね」
田代「為替は単なる交換比率です。よく金利差とか購買力平価を持ち出して解説されますが、ピタッとはまることはありません。株のほうが『企業の収益』という確固たる数字で考えることができる分、相場は相場として読めない部分はありますが、クリアーですよね。
林投資研究所『研究部会報』2013年9月号所載)

もっと別の観点で個別株を考えると、動きが読みにくい半面、参加者の“熱”が伝わってくる部分が面白いと思います。

安値で動かないときは「誰もいない」、動き出すと「新しい参加者が出現した」、動きが活発化すると「参戦者が増加した」、動きが荒くなると「遅れた人たちがガマンできずに買ってきた」……このように、参加者の“息づかい”が聞こえてくるような感覚になります。

そして、その感覚が、自分をコントロールするときの鍵です。
どうしたって、熱くなってしまう人たちと同じような感情をもちますから。

ちなみに、下げ相場をつくるのは売り方ではありません。
買っている参加者の“投げ”で、下げ相場が形成されます。

株価指数は、どうでしょうか?
日経225先物は、マーケットに“厚み”があります。
「流動性が高い」とも表現しますが、コンスタントに出来高があり、個別株のように“人気離散で小動き”なんて状況が少ないのです。

そのかわり、私を含めて個別株が好きな者にとっては、なんだか“無機質”な動きで、感覚で判断しようとすると戸惑う部分が大きいと思います。

「取引が常に活発」「業績変動といった不測の出来事がない」などの理由で“初心者向き”と説明する業者もいますが、値動きの「質」「特性」をよく考えて決めるべきです。

ふだん意識しない身近なものには、意外な季節的変動があります。

穀物は秋の収穫期に安く、先物市場の値動きもその通り。
秋はサンマが旬で、価格も安く脂が乗っておいしい!
中古のオートバイは寒い時期に安いけど、売る人も減って少し品薄。
引っ越し代金は、入学、就職、転勤の季節、3・4・8・9月が高い。
学習机を安く買うには、需要のピークが過ぎた3・4月か、在庫処分の5~8月。

プレーヤーとしては“目の前の動きに集中する”パワーが求められますが、
視野を広く、視点を高くする姿勢も大切だと思うのです。

8月7日放送のフォローアップ(3)
林 知之

プロをマネする方法

「儲け方」を考えるのがトレードです。
しかし全戦全勝でない以上、柔道の受け身やスキーでの転び方と同様、上手な「負け方」を考えておく必要があります。

8月7日の放送では「負け方」に焦点を当て、無責任なプロたちが決して語らない「儲からない話」をしました。

しかし、イヤな部分に目を向けるだけでは、現実の効果も期待できません。
未来に向けて積極的にポジションを変化させる行動、最終的な「勝利」のためのポジション調整と考えるのが、実践家の発想です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第114回 うねり取りと中源線建玉法 ~儲かるとき儲からないとき~

思考と行動の関係

トレードの結果はズバリ「カネの増減」です。
自らの意思で行っていることとはいえ、勝った負けたの結果が生々しすぎるのです。
1回ごとの勝ち負けに、必要以上に過敏になるのも仕方がないことかもしれません。

とはいえ、それでは良い結果が出ないので、状況を整理して考えてみましょう。

トレードは、ほかのビジネスのような設備投資がありません。環境を整えるのに多少の経費はかかりますが、会社を興してオフィスを構えたり、店舗を新設するような大掛かりな経費は必要ないのです。

つまり、トレードで見込み違いをしたときの損失が経費なのですが、「これがなければ……」と考え、現実を無視して避けようとするのです。

損失を喜ぶなんてムリですが、ある程度までは受け入れる姿勢が大切です。
そのうえで、「次はうまくやろう」と前向きな気持ちをつくるように努めます。

「また損しちゃった……」
こういった言葉を使ってしまいます。
口に出さなくても、頭の中に思い描きます。
すると、その言葉が先々の行動に影響します。自らの行動と結果を決定づけるといっていいでしょう。

トレードで損を出したとき、そのダメな結果を言葉で表現します。「やっちゃった」と。ここまでは当然の反応です。
そのあと、「よし次は!」と自分自身に言い返し、成功のイメージをつくります。

心持ちだけで結果は出ません。
根拠のある戦略が必要です。
でも、不必要な錯覚をはねのけるためには“根拠のない自信”、踏ん張らなくても前に進むエネルギーを生み出す底力が欠かせません。

「悩み」と「迷い」

トレードの結果が生々しすぎるので、不要な混乱が起こることがあります。
できるだけ混乱を避けるためには、情報の整理が重要です。

外部の情報については、自分のやり方、狙いどころなどを考えて、即座に「必要」「不要」を判断するべきです。そうしないと、抜け出せない「迷い」の世界に入ってしまいます。哲学のない情報集めは、とてもキケンです。

ふと、他人の相場観に耳を傾けると、「迷い」から抜け出せなくなります。
自分の戦略があれば他人の意見は不要なのですが、真剣に考えて「本当にこれでいいのだろうか……」と感じることはしばしばありますし、そんなときに周囲に情報を求めたとたん、情報が増えすぎてどうにもならなくなる……相場あるあるです。

もっと確率の高い判断基準はないだろうか、本当に今の方法が適しているのだろうか、せめて数回に1回でも明日の値段がわかれば……トレードの悩みは誰でも同じで、どうやっても解決しないものばかりです。

でも、悩みながらも、迷わずに行動することはできます。
プロが大切にしているのは、この点なのです。

練習の売買だろうが、一定の資金を動かす“本チャン”の売買だろうが、期待と不安の両方を抱えて「それっ!」と行動することを求められます。どんなときでも、いつも通りに「悩み」だらけですが、「迷い」を生まずに行動するしかないのです。

仕掛けるべきかどうか……これは、悩みではありません。あってはいけない「迷い」です。「仕掛けてヤラレるかもしれない」と考えつつも「見逃したら儲け損なうかもしれない」とも思う、これは永遠に答えの出ない「迷い」なのです。

仕掛けるべき場面ならば、迷わずに仕掛ける。
手を出すべきでない状況なら、迷わずなにもしない。
結果が良くても、はしゃがない。
結果が悪かったら、ポジションがない状態で悩む。

人間は、外部からの情報を瞬時に評価し、さらに発展させていくので、内面で情報が膨らんでいってしまいます。そのため、「自分の頭の中にある情報」を整理することは、外部の情報を整理するよりも重要度が高いのです。

その情報整理でポイントとなるのが、トレードに関するモヤモヤの区別です。それが「悩み」なのか「迷い」なのかを判断するのです。

悩みは解決しません。積み上がっていくだけです。

迷いは、その迷いが生じたプロセスを見直すきっかけとなります。ただし、いざ決断というときに出てきてはいけない存在です。

カタチから入る

最後の段階で決めかねてしまう……相場に真剣に向き合うほど起こることです。
しかし、「迷い」のない状態で目の前の一手を決めなければなりません。

「いや、ちょっと待て」と慎重かつ真剣に考えているつもりが、実は先送りしているだけ、そうした悪いクセを身につける行動パターンが“相場あるある”です。

中源線の機械的判断は、こうした不安を解消する存在です。
書道のお手本のように、模範となる行動が自動的に示されるからです。

しかし、機械的判断といっても、内容がわからない“ブラックボックス”から出てくる「売り」「買い」という答えだけでは、実際にやってみても「儲かった」「損した」だけで終わってしまいます。

『なぜ、そうなのか!』
というプロセスが大切です。

納得できる理由があり、それが明確ならば、「これは素晴らしい字だ」と感じるお手本で書道を学ぶのと同じで、繰り返すことによって正しい行動パターンが身につきます。わからないから、まずは師匠がやることをマネしてみるのです。料理ならば、経験がないからレシピ通りに作ってみる、ということです。

そんな正しい道を示すために林投資研究所は、中源線建玉法のロジック(売買判定ルール)を公開し、詳しい解説をしているのです。

しかし、前述したように、トレードの結果は生々しすぎます。
その方法の価値を落ち着いて評価する前に、「儲かった」「損した」という強烈な情報が生まれるので、道を外しやすいのです。

中源線が気に入ったという人に対して私は、「少ない数量で練習売買をしてください」と伝えます。期待がある一方で、不安や疑問もたくさんあるものです。その状態で勉強や研究を行い、自分が進む道を見極めるのは難しいものです。

だから、シンプルなやり方で「カタチから入る」ことが大切だと思います。
地味なプロの思考を想像しながら、「仕掛ける」「手仕舞う」という単純な行動を心がけるべきで、個性とか独自の“遊び”は最後の最後につけ加えるべきものです。

とてもストイックな提案ですが、こうした行動に徹する時期が、少なからずあってもいいと思いませんか? 子どもが、箸の持ち方や字の書き方を覚えるプロセス、あるいは自転車の乗り方を学ぶときと同じように、順を追ってポイントを確認する工程を、オトナとして体験することです。

中源線の機械的判断

中源線の機械的判断は、非常にシンプルです。
いわば“最大公約数的”なルールで、この点が「わかりやすい」「納得できる」という長所を生んでいます。

中源線のトレンド判断、つまり陰陽転換の鍵は「逆行」です。
あらためて、図で示しましょう。下の図は、中源線の基本ルールを惜しみなく公開した林投資研究所オリジナル書籍『入門の入門 中源線投資法』に掲載してあるものです。

「買っている」「上がってほしい」という状況を、リアルにイメージしてください。
「上がってくれ」というのは、単なる個人的な都合です。でも、その予測通りにポジションを取り、その後の値動きに「必ず対処する」覚悟があれば、プレーヤーとしての“確固たる判断基準”として有効です。刻一刻と変化する株価に対して、堂々とした対応を実現することにつながります。

「順行」の動き(この場合は「上げ」=前日比プラス)は、基本的に放置です。
どこまで伸びるかわからないので、利が伸びる「順行」は放っておくわけです。

しかし、「逆行」(下げ)には注意を払います。
上伸から下落に転じたとき、「あそこで売っておけば……まあ様子見だ」などと根拠なく先送りしたくなるのが人間の心理ですが、“確固たる判断基準”に照らし合わせて行動を準備します。

ここが、プロのトレード態度を明文化した部分、中源線の大きな長所のひとつです。

プロの視点「損切り考」

想定と異なる動きだ、見込み違いか……プレーヤーとして対処したとき、結果として損切りになることもあります。

しかし、それは「過去」に軸を置いた評価です。
プレーヤーとしては、過去に縛られることなく「未来」を見据え、これから先の可能性を考えた最善の一手を打つ必要があります。

だからプロは、「いま切ったら損になる」という個人の都合、感情的にキモチわるい事実を認識しながらも、判断の要素とはしません。維持する理由が明確ならばポジションは放置するものの、「そのままにする理由が弱まれば切ってしまえ」と考えます。

そんな、プロの思考を落とし込んだ、実際の中源線チャートを見てみましょう。

以下の2銘柄は、林投資研究所のサービス「中源線シグナル配信」において、パフォーマンスが良好かつ安定している銘柄を選定した「ユニバース」に分類してあります(2017年8月現在、96銘柄)。

赤い線は陽線(買い線)で、買いポジションを3分割で増減させる時期です。
黒い線は陰線(売り線)で、カラ売りポジションを3分割で増減させます。

ミサワホームは、2016年7月に700円台で陽転し、1,100円台まで上伸しました。気持ちよく取れています。しかし、2017年4月の陰転と直後の陽転(赤い矢印)は結果としてダマシ、損が発生しています。

私たちトレーダーは、持ち前の創造性と向上心によって、「利益の部分はそのまま、損の部分をなくせないか?」と考えます。決して間違ってはいませんが、それこそイバラの道、損の部分をなくせば利益の部分もなくなってしまうのが原則です。

また、「何度も1,100円に突っかかって伸び悩んだのに、少し下げてから陰転、ようやく買いポジションの利食いなんて遅い」という意見もありそうです。プレーヤーの感覚としては正しいのですが、逆行に注目して「逆行と逆行の組み合わせで転換を判断する」中源線を利用する以上、こうしたズレをゼロにすることは不可能です。

トヨタ紡織は、コンスタントに振幅のある銘柄ですね。
とはいえ、裁量ではつかまえにくい上げ下げが多いように感じます。
それでも、中源線がうまく機能している場面は数多く見られます。

しかし、例えば直近の赤い矢印の部分などは、突飛な上げで陽転したのに線香花火、ガクンと下げて陰転したのに再び陽転……このようにダマシが続いています。

やはり、「どうにかならないか……」と感じますが、裁量では乗りにくい変化が利益になっているようなので、裁量でダマシを避けようとしても難しいのでしょう。

取ったり取られたり、でもヤラレ続けることなくトータルはプラスになる──こんな現実的な結果が期待できるうえに、なによりも「判断基準にブレがない」「着実に行動に移す」部分が注目に値します。

1.同じ基準で仕掛ける
2.確固たる考えで必ず手仕舞いする

この2つは、トレードで非常に重要でありながら、多くの個人投資家が実行できていない事柄、わかっていながら守れない事項です。この2つを守りながら前に進んでいくことを体感し、それを“当たり前”のことだと自分自身にインプットするのが、お手本に従ってプロのトレードをマネするときの最優先課題だと私は考えています。

これで、8月7日放送のフォローアップは終わりです。
次回、9月の放送は、少し難しい話題ですが、裁量と機械的判断を比べながら深く考えてみたいと思います。
お楽しみに!


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