待つことができれば「動く」こともできる
値幅取りは相場の醍醐味。
とはいえ、大きな変動を予測して“当てる”ことなど不可能です。
値動きの変化、いわゆる「値運び」に対応し、
『当たった予測を育てる』
という発想が大切です。
7月10日の放送では、ここ1年で大幅に上伸した銘柄を取り上げながら「大きなうねり」に乗るための方法を考え、それをサポートしてくれる中源線について解説しました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第112回 大きなうねりを乗りこなせ ~利益を伸ばす中源線のスゴ技~)

区切りがないってダメでしょ!
株式のトレードでは、多くの人に「買い偏重」と呼ばれる傾向があります。
上げでも下げでもいい、
値動きに対してポジションを取って利益が出ればいいんだ──。
こう考えているのに、「買うこと」に偏り、「株は買って持つもの」というイメージから離れられないのです。カラ売りの概念がちょっとだけ難しいことに加えて、ふだんの消費行動と同じように「買って所有する」という感覚がわかりやすいからです。
もちろん、プロでも「買いが基本だ」と考える人はいます。
「株式会社は利潤を追求する組織だ。それに、目先の利潤だけでなく、高い成長性を目指している。だから、買いが基本なんだ」
買い戦略に重心を置く実践家は、このような論理で買い戦略の優位性を主張します。
しかし、それは、塩漬けを容認したり、なんとなく株を買って“コレクション”のように抱えることとはちがいます。確固たる考え方をベースに「買うこと」を基本とするだけで、あいまいな取り組み方で“株を抱える”ことはありません。
「現金を殖やす目的で“株式を利用している”」
この考え方を忘れずに、自らの意思で売り手仕舞いを実行します。
買った株を持ちっぱなしにするのではなく、想定した期間内に現金化して“区切り”をつけます。
ダメなときは、早めに損切り手仕舞いします。
うまくいったら一定の“ねばり”で利を伸ばそうとしますが、必ずどこかのタイミングで売り手仕舞いを行います。
一般の人に見られるような、「買い偏重」による混乱はありません。
「区切り」がわるいトレードは、常にギクシャクしています。
たとえれば、ダラダラと続ける残業、司会の仕切りが悪いグダグダの会議、出かけたきり家に戻らない遊び人……みたいなものです。

利食い千人力
利が乗っていたら、機を逃さずに利食いしろ──こんな教えが込められているのが、「利食い千人力」という相場格言です。
「利食い千両」という表現もありますね。
最近は「利益確定」という言葉がよく使われますが、私からひとこと言いたい!
「利益確定」という表現は、そもそも、無責任なメディアが後講釈の市況解説で使ってきた言葉です。相場が下がったとき、見出しの先頭につける言葉は決まっていて、「円高を嫌気して」「高値警戒感から売りが先行して」「先物売りで」と、いくつかのパターンがありますが、そのひとつです。「利益確定売りが出て下がった」と説明するのです。
机で原稿を書く経済記者に、そんなことがわかるはずもありません。最前線にいるプロでも、投資家全体の動向を正確につかむことなどできないのです。
しかし、便利だから使う、それを読む読者も便利に受け止める……いつしか、とても軽いノリで便利に使われるようになり、「利益確定」という言葉を頭に思い浮かべるたびに、トレードの本質から離れていると感じてしまうのです。
ちょっと脱線して、相場用語についての注意点を述べましたが、「利益確定」だって、もとは「機を逃さずに勝ち逃げしなさい」という、まっとうな戒めの言葉です。
さて、現実をリアルに想像しましょう。
買った、上がった、利が乗った……いつ売っても利益です。とっとと売れば「勝ち」が確定します。ですが、問題は勝ちの「値幅」です。
小幅利食いに徹していたら、避けることのできない見込み違いの損、つまり「経費としての損失」をカバーしきれません。そこで今回、必然的な損失をカバーするという意味で、「大きなうねり」「利益を伸ばす」という言葉をテーマとして掲げたのです。
「うまく乗れた!」と感じたときに行う、利を伸ばすためのガマンですね。
ですが、利食いによって、単なる評価益(絵に描いたモチ)を“ふところに入れる”ことの重要性は否定できません。デリケートな問題で、ちょっと混乱しやすいかもしれませんが、「利益を確保する利食い」と「利益を伸ばすポジション維持」について、もう少し掘り下げてみましょう。
波に乗れたときの“ねばり”を実現する「待つ」は、利食いせずにポジションを放置することです。
一方、うかつに手を出さずに“機をうかがう”場合の「待つ」は、現金の状態を継続することです。しかし、“機をうかがう”ということは、狙い目と出動のポイントがハッキリしているということ。
言い換えれば、機敏に行動できるということです。
この機敏な行動が「ポジションをつくり直す」ことにつながるならば、利食いせずにポジションを維持する「待つ」を少し軽くして、「利食い千人力」を実践してもいいではないか──こんな考え方も成立します。

脱「値ごろ感」の仕掛け
安く買って高く売る──相場の極意だと考える人もいるようですが、私としては大いに疑問です。
「安く買う」を実践しようとした結果、“相場あるある”の失敗があります。
- 下げ過程で買ってしまう(買いが早すぎる)
- 安いけど“上がらない”銘柄を抱えてしまう
- いい銘柄の安いところを狙って買えない……
雑な買い方をせずに丁寧に買う、流行に振り回されて買うことは控える、といったことは大切ですが、買い戦略は「上げの波に乗る」行動ですから、かなりうまいタイミングで仕掛けないと、イメージする「安く買う」は実現しません。
「安く買って高く売る」ではなく、むしろ「高く買って、もっと高いところで売る」くらいのイメージのほうが実践的、という考え方も十分に成立します。動かない銘柄、弱含みの銘柄よりも、グイグイッと強い銘柄を狙って「なるべく早いタイミングで乗ろう」とするほうが、確率が高いという論理ですね。
私も、こんなイメージを忘れないように注意しています。
しかし、前述したように、雑な買い方をしたらダメです!
だから、「上げの波に乗る」のだけれど、「理想は上げの直前」だし「買い値は安いほうがいい」と、結果に直結するトレードを考えながら、バランスを気にして戦略を整えるようにするのが正解だと思うのです。
さて、上げの勢いが強い銘柄は、どうしても買いにくいものです。
「少し押したら」と考えていると、押さない……押し目待ちに押し目なし。
いったん利食いしたあとの買い直しでは、自分が売った値段を基準に考えてしまって買えない……マーケットは個人の都合なんて聞いてくれません!
上げの途中で、「利食い千人力」を実践し、いったん降りる。でも、そのあとの動きを見て機敏に乗る(買い直す)──こんなトレードを、中源線によって実現できた事例を紹介しましょう。

4739伊藤忠テクノソリューションズは、直近の1年間、上げ続けています。
でも、すべては“あとからわかる”ことで、安い時期には現在の水準を想像できないわけですし、2016年暮れから2017年の初めにかけてモタモタした時期には「下げるのかなぁ」と考えてしまうものです。
そんな流れの中、中源線は、12月に弱含んだところで「売り」と判断し、2月に再び強張った段階で「こんどは買い」と判断しています。この2月の陽転後もモタついたのですが、結局は大きく伸びました。
「中源線を使えば、こうして当たるんです!」なんて、ふざけた結果論を披露しているのではありません。
2月の陽転後に陰転して下げトレンドに移る、といったケースもあり得ました。
あるいは、2月の陽転後に弱含んで陰転、そんな往復ビンタのあと再び陽転する、なんてパターンもあり得たわけです。
ただ、どんな場面でも動きについていく、機敏に行動するという確固たる答えを出してくれるのが中源線であり、自分の都合ではなく相手(株価)の都合で行動を決める合理的な思考法が盛り込まれているといえます。

6407CKDは、伊藤忠テクノに比べると上げ下げがハッキリしています。
それだけに、4月後半からの上げは、裁量では乗りにくいと誰もが感じるでしょう。
ダラダラッと下げてきた、中源線が陰転した、「高値で買った向きが重しになっている状況かな」という雰囲気のなかで急騰したので、この上げにサッと乗れる投資家は少ないはずです。
しかし中源線は、うまく陽転しました。
もちろん、この陽転がダマシとなって再び下向きになる可能性だってあったのですが、機敏な行動、自分の都合を無視した素早い買い直しを、中源線があと押ししてくれた事例です。
今回テーマとして掲げた「待つ」は、決してボサッとしていることではありません。
『待つ=狙いを絞る』ということから、機敏な行動にもつながる大切なアイデアです。
ここでのポイントは、何度も述べた「相手(株価)の都合」です。
“自分流”を守って出動の機会を絞るのですが、相手の都合に合わせて行動することが求められます。少なくとも、「自分が利食い手仕舞いした価格」を気にしていたら、株価の未来を考えることができません。
売り手仕舞いした値段が300円、現在が400円であっても、「ここから上がる」と判断したら買うのが正解です。以前の売り値なんて、将来の損益にまったく関係ありませんから。

大橋さんは勝つか?(2)
番組で紹介した、7717ブイ・テクノロジー。
中源線は陰線(売り線)の状態なのに、大橋さんは「昨日買った!」とコメント。
さあ、どうなるでしょうか、というレポートの続きです。
番組で私は「このまま上がると陽転」と言いましたが、そのような結果となりました。
番組の2日後、7月12日の大引で中源線が陽転したのです。
価格は、19,690円でした。
そして7月18日の大引は19,850円と、陽転した時の価格を上抜きました。とりあえず、強い動きですね(この原稿を書いているのは19日)。

大橋さんは、かなり上手なところを買うと思います。さすが、苦労しながら勉強してきただけあります。その半面、意外とアッサリ利食いして降りてしまうことも少なくないようですが、今回はどうでしょう?
「サッと利食いしちゃった~」ってセリフが出るのでしょうか?
判断のジャマをしてはいけないので、7月12日の陽転を知らせたあとは、なにも連絡していません。
これも、相場の「待つ」でしょうか?(笑)
次回のフォローアップ(3)では、予測の的中率にかかわらず結果を“つくる”プロの思考をテーマにお届けします。
お楽しみに!

書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。
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