「日柄」という発想

月曜夜はマーケット・スクランブル!
7月9日の放送は、久しぶりに低位株投資の話をしました。
新刊の中身も紹介しながら、月足の読み方などポイントを解説。

オンデマンド映像は無料で試聴できます。

人の噂も七十五日といいますが、女房だけは昔のことを忘れません。
負けじと古い話を持ち出すと、「男らしくない」と言われてしまいます……。

 

株価が激しく上下する背景には、参加者のどんな行動があるのでしょうか。

上げ相場は、買い方が増えることで起こる現象です。
でも下げ相場は、売り方の参加で起こる現象ではなく、買い方の増加が鈍ることで上げ止まり、買い方が投げることでハッキリ下げるというのが背景です。

投げ遅れた買い方は、どうするか──。
安くなってから、時間が経過する中であきらめて売るのです。
それが、「整理の底練り」と呼ばれる横ばいの動きです。

下げることで投げを呼ぶのが「価格の整理」、時間が経過することで投げを呼ぶのが「日柄の整理」です。

多くの人があきらめ、新たに興味を示す人の少ない状況が、底練りの末期、つまり「上げの直前」「絶好の買い場」なのです。

いろいろな動きを相手にしていると、的中率は極めて低くなります。
しかし、月足を使って、安値に放置されている銘柄を観察すると、一定の精度で上げの直前を見極めることができます。

安値にいて、誰も見ようとしない低位株群ですが、ひとたび上がり始めると変化率が大きいのが魅力です。

問題は、どうやってタイミングを計るのか。
わかりやすいポイントを紹介したので、ぜひ番組をご覧ください。

オンデマンド映像は無料で試聴できます。

8月の放送は、この続編をお送りする予定です。

「運用」ってなに?

犬の言葉を翻訳する「バウリンガル」、
猫バージョンは「ニャウリンガル」、
ミキモトが九州大学らと開発した「貝リンガル」は、二枚貝の生体反応を利用して海洋環境を監視するそうです。
女房の言葉を翻訳する機械は、まだでしょうか?

 

株式を公開して積極的に投資資金を集める上場企業で働きながらも、“投資=アブナイもの”との認識をもつ人は、意外と多いのです。

「資産運用なんてやりません」

株なんて買わない、投資信託すら興味がない、という意味ですが、一定の貯金があれば、それが「運用」です。

タンス預金、あるいは金利がほぼゼロの普通預金でも、モノの価格が下がれば、実質的に「プラスの運用成績」です。

運用とは、「カネの置き場」を決めることなのです。

預金を「日本円に投資」とはいわないでしょうが、「株は買わない」「不動産も買わない」「米ドルにも交換しない」、“日本円で預金”を、運用先として選択しているのです。

株のポジションを減らして現金比率を高めることを、「現金ポジションを高める」と表現します。
カネの置き場を、株から現金(取引口座内)に移したのです。
現金も、「ポジション」のひとつなのです。

へ理屈のようでも、正しい観点、新しい視点につながることがあります。
たまには、理屈をこねてみるのも有効かと。

新刊 ↑ には、会員限定『研究部会報』の「特別編集版」ダウンロードのURLがあります。

6月4日放送のフォローアップ(3)

6月4日の放送内容について、フォローアップ第3回を「週報」に掲載しました。

フォローアップ(1) 『神の領域』  6月9日掲載

フォローアップ(2) 『ちゃんとしたタラレバを言おう!』6月16日掲載

フォローアップ(3) 『妄想のあとに現実、そして妄想する』  本日掲載

6月4日放送のフォローアップ(3)
林 知之

妄想のあとに現実、そして妄想する

トレードは頭のゲーム──とはいえ、論理性や合理性だけでなく、自由闊達(かったつ)な創造性や感情を併せもつのが人間……しかも、株価は理屈通りに動いてくれません。

だから、思わぬ落とし穴にはまらないために、「やってみないとわからない」ことを確認する作業は欠かせないのです。

2018年6月4日のマーケット・スクランブルでは、地味なテーマながら、「売買の練習」が必要な理由、そして、その方法について解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第134回 うねり取りはカンタンじゃない!? ~中源線を使った実践売買のポイント

正解は自分の妄想

オススメ銘柄の情報を見つけた!
「これは儲かりそうだ」と買った。
動きがいまひとつ……どうしようかと迷う・・・

“相場あるある”の迷いです。

誰も、「明日の値段さえわからない」のが真実です。
だから、自分の確信から少しでもズレたら、コントロール不能に陥るというのが、根本的な問題なのです。

「確信と言われてもなあ……」と感じるでしょうか。気負わずに考えてみましょう!

誰も明日の値段さえわからない、だから自分もわからない──この状態で「確信とはなに?」ってこと、それがトレードの課題です。

プロのファンドマネージャーだって、百戦錬磨のベテランだって、明日の値段さえわからないのですから、制約のある個人投資家が背伸びしても意味はありません。「気楽に“妄想”すればいいのだ!」と、開き直ってみましょう。周囲の意見を気にせず、自由に考えてみればいいのです。

といっても、例えば「仮想通貨で50万円が1億円」なんて、バカな妄想はいけません。株で「常に年間倍増」というのも、いただけません。

ちゃんと、実現可能な妄想をするのです。

「半年下げて、下げ止まっている」
「この銘柄は動き出すと早い」
「このあたりで仕込んで、半年で5割取れる」

どれも最後に「と思う」がつくのですが、タイムマシンがない限り当然です。
この「実現可能な妄想」が、トレードで行動を起こす原動力です。

現実の値動きを理解したうえで、「こうなる可能性がある」とリアルな想像をすれば、それは夢物語ではなく、ちゃんと可能性を秘めた、まっとうな作戦なのです。

「希望的観測」と言えばそれまでですが、他人の情報に依存している状態とはちがって確信がもてるので、トレードを展開していく基準となるのです。

妄想通りに展開した場合、「もう少しねばろう」といった確信ある対応を思いつきます。逆に、見込み違いの場合、「今回はちがったな」と新しい確信が生まれます。だから、コントロールを失わずに、悔いのない決断を下すことができるのです。

メディアが発信する商業的ウソ

株式市場では日々、さまざまな銘柄に値動きがあります。
そのすべてが、物理的には、取れる可能性のある変化です。

でも、「現実に取れる」値動きは、ほんの一部分です。
かなり絞り込んだ狭い範囲が、コントロールを維持できる領域、ちゃんとシゴトをこなせる“守備範囲”なのです。

こうして、守備範囲、やり方などについて、実用的な枠組みを設定しておきます。それによって、マーケットの競争に勝つための下地が出来上がります。新聞などのメディア、ツイッターなどのSNSで飛び交う雑多な情報を見て、「自分に必要なもの」だけを選別する目をもつことができるのです。

新聞などの「市況解説」について考えてみましょう。
彼らは、読者である投資家をだまそうとはしていません。純粋に、情報を買ってほしいと考えて努力しています。しかし、結果として“商業的ウソ”が発生します。

その日のマーケットに参加した者全員から意見を聞くことなどできませんが、日経平均が下げていれば「利食い売りで反落」なんて見出しを立てます。「なぜ下がったか? わかるわけないよ」と本当のことを書いたら、誰も買ってくれないのです。

株価がグイグイと上がる場面では「持たざるリスク」なんて言葉を使います。ターゲットとしている個人投資家には、特別な制約がないので、「持たざるリスク」が生じる理由はゼロです。カッコよく表現しているつもりかもしれませんが、一般投資家を意味なくあおる状況が生まれます。

大手ほど、より多くの人をターゲットにしないと成り立ちません。一部の優秀な人たちではなく、なかなか勝つことのできない多くの投資家をターゲットにする結果、ハードルを下げたカジュアルな情報になるのが道理です。その究極、というか典型が、銘柄情報です。

この銘柄がいいよ、上がるよ──実にカンタンで、実用性があるように見えますが、前述した問題が残ります。期待通りに上がっても、そうでなくても、自らの「確信」がないままでは、大切な後始末をするコントロール力をもつことができないのです。

「どれ」(どの銘柄がいいの?)ではなく、「どうやる」(自分なりの確信をもって自発的に行動する)と考えるのが唯一、不要な情報に振り回されないための道です。

定点観測(銘柄解説)

さて、最近つづけている「定点観測」です。

気楽に、でも今回述べた注意点を意識しながら,値動きを追いかけてみましょう。

赤が買い線で買いポジションを3分割で増減、黒が売り線で売りポジション(カラ売り)を3分割で増減させていきます。

7205日野自動車は、意外と短い期間で上げ下げを繰り返しています。そして、中源線がうまく機能しています。

でも、チャートの終わりにダマシの陽転があります(×)。そのあと下抜けする瞬間に陰転していますが、ここは中源線の特別ルール「再転換」が適用されています。

この再転換は、「実に面白い」と感じられるルールです。

中源線は、「トレンドの判断」と「3分割の売買(等分割)」で利益を狙います。慎重に、3分の1ずつポジションを積んでいくのが原則です。しかし再転換の場合、いきなり2単位(3分の2)建てるのです。

通常の転換ならば、「トレンド転換かな? とりあえず1単位」という慎重な対応にとどめますが、再転換ルールは、転換のあと「待て! 前のトレンドが続いているようだ」と判断して、素早く波に乗り直そうとするわけです。

実践者の感覚として、とても納得できる、というか、「そんなふうに対応したいよね」と思えるポジション操作です。多くの人は、「それなら3単位を一気に建てればいい」と考えますが、「それいけ!」でも全玉を一気に建てたりしないところがミソです。

日野自動車は、2018年3月に下げ止まり、4月に陽転……しかし再び弱い動きになったことを受けて「再転換」で陰転──結果として、最後の下げを取ることができました。

8609岡三証券グループは、2018年1月の高値からズルズルと下げっぱなし……中源線も、1月の終わりに陰転して以降「売りっぱなし」の状態です。

600円手前に引いた青い線は、以前の安値水準です(2017年9月)。
約4カ月下げた、以前の安値水準に達した、その水準でジグザグしている(5月半ば)ということから、「そろそろ下げ止まりか? 買っていいかも」という発想が生まれます。しかし、フォローアップ(2)でも述べたように、チャートのタテ方向ではなく「トレンド」を意識することが大切です。

値ごろ感を中心に判断すると、大きなトレンドを取り損なうミスや、仕掛けが早すぎるミスが起きやすくなります。もちろん、値ごろによる判断が功を奏するケースもありますが、「想定外のことが起こるのが相場」「その想定外で大損する可能性がある」「想定外の動きに、大きな利益の可能性がある」といったことを考えると、中源線の魅力を再認識できます。

この岡三証券グループの場合は、「反転してトレンドが上向くまで売りポジションを買い戻さないし、ドテン買わない」のが中源線の姿勢です。

5911横河ブリッジは、私が中源線の実験売買(現在は6銘柄のバスケット運用)で手がけている銘柄です。番組では最近、「オレの銘柄」と紹介しています。

以前は、中源線の転換が少し遅れ気味のことも多く、「クセがわるい」なんて印象を強く感じる傾向がありました。私自身も、「あまり好きになれない」とコメントしていたりして・・・

でも、チャートの前半にある大きな上げを取り、ここ数カ月は「いい感じでうねり始めたかも」という印象です。

なんだかんだと言いながら、目先の動きと結果論に影響されますね。
そんな心の弱さを知ったうえで、うまく立ち回れるようにするのが現実です。

7717ブイ・テクノロジーは、大橋ひろこさんが大好きな銘柄です。
連敗する場面もけっこうある半面、トレンドが発生して短期でキモチよく取れるケースが多いと感じます。

チャートに「一部を手仕舞い」と書き入れています。
中源線には、トレンド途中で一部を利食い手仕舞いするルールがあるのです。その場合も、原則は3分の1ずつです。

ググッと伸びたとき(陰線時は下げが加速したとき)は、かるく手仕舞いして利益をふところに入れておきたいと考えますよね。そんなポジション操作が、中源線ではルール化されているのです。

ただし、利食いを入れてポジションを減らしたままではありません。
そのあと一定の逆行(陰線で売っている場合は、一定の戻り)があれば、またポジションを増やします。

ブイ・テクノロジーも、このチャートの最後で1単位(総量の3分の1)を売り直して再び満玉売り、下げれば下げるほど利益が伸びる状況です。

9983ファーストリテイリングは、日経平均への寄与度が高いこともあって、一般投資家に人気がある銘柄です。いきおい、荒い動きをみせて「中源線がうまく機能しないのでは?」と感じるかもしれませんが、実は相性がよいようです。チャートを見てわかるように、うまく波を捉えています。

しかし、前述のブイ・テクノロジーも、このファーストリテイリングも、1単位の金額が大きいですね。ブイ・テクノロジーは100株で200万円以上、ファーストリテイリングは100株で約500万円です。

取引所は、単元株数(最低の売買数量)を100株に統一する施策の中で、「投資単位は5万円~50万円が望ましい」とアナウンスしていますが、この2銘柄は、その範囲から大きく飛び出ています。内部で、どのような議論があるのでしょうか……。

これで、6月4日放送のフォローアップは終了です。
次の放送は7月9日夜8時。テーマは「低位株の選別投資」について。中源線とはアプローチが異なる手法ですが、株を対象としたトレードである以上、共通点はたくさんあります。そういったことにも触れて、見ているみなさんの見解に幅が生まれるよう努めます。
お楽しみに!


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「ない」という選択肢

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サッカーW杯に初出場、アルゼンチンと善戦したアイスランド、試合のテレビ視聴率は99.6%!
選手が「残り0.4%はピッチにいた」とツイートしました。

情報は“受け取り方次第”。
とかく「儲かる情報を見つける」なんて視点が大切にされますが、行動を決する『最終的な情報』は自分自身の中にあるのです。

「国民の100%が見ていた」というアイスランド選手のコメントは、極端ですが、前向きでいいよね、って話です。

先号で、リセットするという選択肢は「自由で小回りがきく個人投資家の大きな“武器”です」と述べましたが、「バンバン売り買いできる」ではなく、「ポジションゼロで休む自由がある」という捉え方が大切です。

林投資研究所では「手法をもて」と提唱していますが、それを置いておいて、「有望な銘柄」という観点で説明します。

雑誌でも、株のセンセイが書く有料メルマガでも、常に「これが有望だ」という銘柄情報が盛り込まれています。「今月、有望銘柄はありません」なんてことはあり得ないのです。

でも、まっとうな姿勢で分析していれば、「対象がない」とか「わからないから休もう」……こんな答えが出てくることもあるはずです。

「売るべし、買うべし、休むべし」という相場格言は、投資日報社の創設者である鏑木繁氏(故人)によると、「休むことができない人が金言に位置づけた」とのこと。

現代でも、「ポジポジ病」などと揶揄(やゆ)されます。

それだけ実行が難しいことだけに、試みる価値は十分!
少なくとも、目の前にあるハザード、取り組むべき課題です。

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ちょっと特殊な状況だったとはいえ、1989年から2000年まで、買い銘柄を選定しなかったのです。

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『必ず銘柄を挙げるには、大切な一貫性を捨てるしかない』

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ちょっと一杯だけ……ノリノリで飲みに行くので、なかなか帰りません。
でも、それがまた楽しかったりして・・・

 

低位株投資における最大の魅力は、「上昇したときの率が大きい」ことです。

3,000円の銘柄は3,000円幅上昇しないと2倍になりません。
しかし、300円の銘柄ならば、10分の1の300円幅で倍化達成!
低位株のほうが、上がったときの率が確実に上なのです。

安い分、株数を増やせば利益金額は同じです。

では、そんな魅力的な低位株投資にある、表裏一体の弱点はなんでしょうか?

低位株とは、要するに「割安」な銘柄ですが、現実に割安に放置されているのですから、買ってすぐに上昇というわけにはいきません。

林投資研究所のFAI投資法で定めた29のルールは、「可能な限り“上がり端”を捉える」ことが目的ですが、当然に限界があります。

そこで、新刊でも解説していますが、FAIルールの付則に次のような規定があります。

「買ってから24カ月以上経過したものはいったん手仕舞いし、再検討する」

株価の基本サイクルを月足で見ると、上げ、下げ、保合、各トレンドが「数年単位」なので、24カ月という期間も決して長くはないのです。

ただし、これを「6カ月」とか「1年」と短縮して運用するのも、アレンジとして合理性があります。

株式投資は、値幅(チャートのタテ)と期間(ヨコ)で計算します。
そこに、「リスク要因」を加えて作戦を決めます。

「時間切れだ」「とにかくリセット」という選択肢は重要ですし、自由で小回りがきく個人投資家の大きな“武器”です。

つい先送りしてしまうのが人間の心理なので、そこに気をつけることが重要だ、と考えてください。

今日の中源線シグナル(日経平均株価)

2018年6月18日(月)日中の取引終了時点で算出した中源線シグナルです。

本日のサイン【陽線 法示なし 持続 残3/3買】

詳細はこちらをご確認ください


お知らせ

1984年の発足いらい、東日本大震災の翌日をのぞいて毎月、欠かさずに例会を開催して銘柄を選定してきた歴史ある「FAIクラブ」。その確立された手法「FAI投資法」の骨子である29のルールをじっくりと解説した、低位株投資の入門書。だが、個々のルールについて深く解説した、真に実用的な一冊。選定後に倍化達成した成功事例について、チャートとともに、選定時の解説を含めて詳しく説明している。

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詳しくは、こちらのページでご確認ください。
(もくじのほか内容のチラ読みもできます)

6月4日放送のフォローアップ(2)
林 知之

ちゃんとしたタラレバを言おう!

トレードは頭のゲーム──とはいえ、論理性や合理性だけでなく、自由闊達(かったつ)な創造性や感情を併せもつのが人間……しかも、株価は理屈通りに動いてくれません。

だから、思わぬ落とし穴にはまらないために、「やってみないとわからない」ことを確認する作業は欠かせないのです。

2018年6月4日のマーケット・スクランブルでは、地味なテーマながら、「売買の練習」が必要な理由、そして、その方法について解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第134回 うねり取りはカンタンじゃない!? ~中源線を使った実践売買のポイント

3カ月で判断できるだろうか

中源線の売買を始めて数カ月、成績はわるくないような、問題があるような・・・会員から寄せられる“相談あるある”です。

先日も、「6銘柄で3カ月売買、全体の成績がマイナス1%なんです……」という相談を受けました。個々の銘柄を確認してみると、そこそこ利益を生んでいる銘柄がある一方、中途半端な往来で中源線が機能せずに損を発生させている銘柄がありました。

「損の銘柄を手がけなければよかった」「利益の銘柄は、株数が多ければよかった」なんて発想は一般的かもしれませんが、単なるタラレバなら生産性はゼロ。

もう少し現実的な観点で、未来につながる検証を心がけたいものです。

やはり3カ月では判断しかねる、というのが答えです。
わずか3カ月の結果では、手がけた銘柄の優劣や手法との相性を論じることは難しいでしょう。

さて、今回も現実のチャートを見てみましょう。

赤が買い線で買いポジションを3分割で増減、黒が売り線で売りポジション(カラ売り)を3分割で増減させていきます。

9994やまやは、2017年10月からの大きな上げを中源線が捉えました()。
しかし、おおよそ3,000円から3,500円の保合でダマシが4連発しています(青い四角で囲んだ部分)。

その後、2018年4月の陽転で上げを取り()、高値で機敏に陰転して現在は売り線です()。

さて、青い四角で囲んだ部分では4カ月以上にわたって中源線が機能せず、往復ビンタを食らっています。しかし、モタモタ、ダラダラと逆行することはなく、ダマシとしては納得できるレベルともいえます。

少しだけ距離をおいて冷静に観察すれば、取れている波動も含めて「なかなか機敏に反応しているじゃないか」と評価できると思うのです。

「過大評価しろ」ということではありません。
「絵に描いたような結果を基準にするべきではない」という意味です。

やまやを手がけ始めたのが、たまたま往復ビンタの時期だったら……4カ月強で「これダメだ」なんて捨てることになりかねません。

目先の利益うんぬんの問題ではなく、真剣になって結論を急ぐ結果、自分が使っている手法を間違えて理解することになってしまう可能性があるのです。「これもダメだ、こっちもダメだ」と銘柄を取っかえ引っかえ、あるいは手法を乗りかえ続ける“相場難民”の領域に入ると、戻ってくるのが困難です。

見るのは「トレンド」

買い値と売り値の「差」が損益を決めるので、つい「価格」だけに目を向けがちですが、「価格」はチャートのタテ軸で、もうひとつの大切な要素である「時間」(ヨコ軸)を置き去りにした感覚になってしまいます。

例えば、「300円で買った瞬間に310円で売る」というのは不可能。短期であれ中期であれ、必ず“一定の時間”を要します。だから、チャートのヨコ軸の「時間」を無視するような観察は好ましくないのです。

トレードで大切なのは、タテ軸とヨコ軸をあわせて生まれる「トレンド」です。

上げトレンドならば、買いから入ることで利益を取りやすい、下げトレンドならば、売りから入ることでラクに利益を取れる──こういう、大局を見る感覚が極めて重要です。

そして、そのトレンドの転換を気にするのが、私たちが行うチャート観察です。

・上げ→下げ
・下げ→上げ

以上の2つが代表的な変化ですが、現実ではもっと細かく考えます。

・上げ→上げ止まり
・緩やかな上げ→急激な上げ
・上げ途上の一時的な下げ(押し)

こういった変化を、チャートのヨコ軸(日柄)とともにデリケートに捉えていくのが、トレードにおける値動き観察の本質です。

番組で紹介している林投資研究所のオリジナル手法「中源線建玉法」は、トレンドの変化を捉えて“波に乗る”試みを、機械的に判断する仕組みです。

8698マネックスグループは、地味な往来から突然に暴騰をみせました。仮想通貨交換業者「コインチェック」の買収が材料となったのですが、中源線は“最終的な結論”であるマーケット価格の推移だけを見るので、そういった背景は考慮しません。

4月はじめの上げに反応して陽転、4月後半の押しでいったん陰転するも再び陽転して700円超まで上伸、そのあと600円台で推移しています。中源線の機敏な判断で、上げを捉えているわけです。

さて、チャート上に「ふるい落とされるな!」とコメントを書き加えて放送でご覧に入れました。タテ軸で見ると大きな変化なので、つい「売り逃げなくては」と考えますが、さらに大きく上伸した場合に取り損なうというのが、相場の“あるある”だからです。

株価変動の捉え方には、さまざまな考え方がありますが、中源線の場合は「下落トレンドがスタートした」と判断できるまで買いポジションを維持します。必然的に、最高値付近で売る可能性は捨てますが、そもそもムリな試みなので気になりません。それよりも、大きなトレンドの取り損ないを減らすほうが現実的だと考えるわけです。

しかし、マネックスグループは、放送当日の大引けが618円(前日比36円安)で陰転、結果的には700円台に数回つっかかった部分が目先の高値でした。
(チャートは放送日の前立会日、6月1日まで)

買っていた場合に「700円で売っていれば……」と考えがちですが、それはダメなタラレバです。たった1秒前に戻ることもできないのが相場──ここでは、「さらなる上伸の可能性を維持したのだから、それはそれで正しかった」と考えるべきです。

もちろん、別のやり方で判断したら、700円近くでらくらく手仕舞いできたかもしれませんが、その強みには、表裏一体の弱みがあるはずです。万能の道具なんて、存在しないのです。

いずれにしても、自分のやり方(予測法、建玉法、資金管理法)の強みと弱みを熟知し、刻一刻と変化する株価に対して確固たる「次の一手」を決め、それを確実に実行するのがトレードです。

「なんとなく買い集めた、でも動きがよろしくない・・・上がってくれ~!」

多くのオトナがこんな状態に陥るのが現実です。一歩抜きん出るためには、軽やかに対応する「行動力」を意識したいものです。

相場は「カネがカネを生む」行為、「カネに働いてもらう」ビジネスといえますが、個別の株、個別のポジションが意思をもって動くわけではありません。動かすのは、プレーヤーであるあなた自身です。

取れるか取れないか

トレードの振り返りは、基準のもち方、観点のあり方が難しいと思います。

見ていた銘柄が上がったのに買っていなかった……「これはダメだ!」と猛省すべき場合と、「神様じゃないから仕方がない」と忘れて次のことを考えるべき場合があります。取り組み方によってもちがいます。

ここで、もうひとつ中源線のチャートを紹介します。
4331テイクアンドギヴ・ニーズは、2月の放送でもご覧に入れました。まずは、その時のチャートを示します。

中央にあるダラダラ下げを、中源線がうまく捉えて利益を取りました。
安値圏でうまく陽転したため、後半の暴騰時には買いポジションがあり、これも成功です。

ところが、次の陰転は、高値(2017年12月はじめ)から200円以上も下げたタイミングでした。
当然、「あの高値で売っておけば……」と考えるのが人情です。

「頭とシッポはくれてやれ」と考えるのが正解ですし、中源線も、その部分で背伸びしようとはしていません。それでも、このテイクアンドギヴ・ニーズのケースでは、「もう少し早く陰転しなかったの?」と思ってしまいますね。

テイクアンドギヴ・ニーズの、その後の動きを見てみましょう。

青いタテ線が、最初のチャートの右端です。
タイミングが遅れた陰転はそこそこの利益()、そのあとの陽転も値幅取りにつながっています()。

こうして全体を見ると、2017年12月のとがった高値が取れなかったことなんて「気にすることでもない」と思えてきます。多くの人が苦労する中で、勝ちトレードが続いているのですから、堂々たる結果です。

こんなふうに、現実で「取れる」範囲を正しく見極めるべきです。
一時的な感情を捨てて、正しい振り返りをするべきです。
それが、未来につながるのです。

プレーヤーとして、ちゃんとしたタラレバ(「タラ」でも「レバ」でもないのですが……)を言いましょう。

次回のフォローアップ(3)では、プレーヤーである人間の創造力に目を向け、誰もが思い浮かべる「妄想」のあり方を考えます。お楽しみに!


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書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

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※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。