急激な下げへの対応
新型コロナウイルスの感染拡大を材料に、株式市場は大暴落。
多くの売買システムは、こういったスピーディーな下げを想定していないために破綻します。
しかし、中源線は、素早い転換の判断で下げを取りに動きます。
直近1カ月の下げで、中源線がどのように機能したか──2020年3月の放送では、多くの事例を挙げて解説しました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第176回 武器としてのトレードツール ~荒れた相場を中源線で泳ぐ~)
一歩遅れはサイコー
相場は2月下旬から急激に下げていますが、昨年から少しずつ個別銘柄が陰転していた中源線は、うまく機能しています。3月9日の放送でご覧に入れたとおりです。
個別銘柄を2つほど挙げて再確認してみましょう。
ヒューリックは、1月8日に陰転したあとも保合で、2月7日に再陽転したのですが、2月28日にあらためて陰転しました。チャートは3月6日までのもので、終値1,174円を示していますが、本日(3月12日)の大引は1,005円、大台を割りそうな水準まで売られています。
一歩遅れですが、中源線が売りの指示を出してきちんと損切りドテン、下げに乗る結果となりました。
CKDは、1月28日に陰転し、陰線のまま2月13日に高値を取りました(2,083円)。でも、2月27日には1,800円を割れ、そのまま下げていきました。チャートは3月6日の終値1,568円を示していますが、3月12日の大引で1,340円まで下げています。見事に下げに乗った事例です。
相場の先行きについて「先回りしよう」とするのが当然です。
しかし、「読み」に力を入れても当たったり外れたり……結局は、“一歩遅れ”の対処が重要だといえます。
あらためて、中源線のロジック(判定ルール)が非常に現実的で、急変や急落にも対応することがわかりました。平時では「ちょっと不満」に感じることもある転換のタイミングが、実は「とてもありがたい」ものだと再認識できます。
二歩、三歩遅れるのがフツー
一般的な売買判断を考えてみましょう。いわゆる「裁量」の売買です。
思惑と逆の値動きに「あれっ」と思っても、慌てて行動したくないので対処が遅れがちです。
「見込み違いを認めたくない」という感情もジャマをします。
結果として、まずまずの対応をしても、二歩遅れや三歩遅れだったりするでしょう。それでも、対処できれば大きな問題はなく、さらに遅れて「動けなくなる」ケースで損を大きくしてしまうことが怖いのです。
だいたい一歩遅れ、わるくても二歩遅れ、気持ちよく半歩遅れでトレンドに乗ることも多い中源線は、やはり優秀だと思います。
破綻するシステムもある
数式を重ねて機械的に判断する売買システムやインジケータは、それこそ星の数ほどあります。
でも、今回のような急落に対応できないものも多いようです。
買い指示が出たまま、下げたことに対するシグナルが出ない・・・
資金が不足しても買い増し指示を繰り返す・・・
こういった例もたくさんあります。
相場では、「これは上がるぞ!」と確信したときに買いポジションを取ります。
だから、「いや、その見込みは間違い、下げ相場かも」と考えても投げにくい、ドテン売るなんて至難の業──こんな人間心理が、そのまま数式にも反映されたり、少し想定外の動きに対応できないルールに仕上がってしまうのが、売買ルール“あるある”なのでしょう。
人間の判断を加えて上手に使えば長所を享受できるのかもしれませんが、次々に想定を超えた動きをみせるのが昨今の相場。道具(売買ツール)を選ぶ段階で、とことん疑う姿勢も大切なのです。
荒れ場の基本
下げに向かう動きを捉える中源線は、遅れて下げはじめた銘柄についても「陰転」の判断を下しました。
その結果、東証一部のうち95%の銘柄が「売り線」という極端な状況になっています。
「買い線」銘柄数は直近、以下のように推移しています。
3月5日(木) 199銘柄
3月6日(金) 171銘柄 ※放送時のグラフ
3月9日(月) 98銘柄
3月10日(火) 102銘柄
3月11日(水) 102銘柄
買い線銘柄がここまで少なくなったのは、2015年4月にシグナル配信をスタートしていらいのことです。また、ここまで減少したにもかかわらず、反発して陽転する銘柄が数少ないというのも、かなり驚きの状況です。
でも、「中源線が機能し、カラ売りで利益が出ている」ということです。
直近で急減しただけでなく、昨年のうちから買い線銘柄数は徐々に減っていたのです。
さて、今後はどうなるでしょうか。
かなり荒れた動きになる可能性もあります。
値動きこそが利益の元ですが、荒れ場に対しては多くの投資家が思いつきで行動を決めます。でも、それが最もキケンなこと。基本的には、自分が感じたとおりの行動が正解なのですが、荒れ場を見て思いつくことの多くは、コントロールしきれない行動、最後まで対処しきれない作戦です。
荒れ場では動かない、ポジションを持たない──これが大原則です。
中源線ならば破綻してしまう懸念はないので、シグナルどおりに売買しつづけるのも選択肢のひとつですが、基本となる「荒れ場は避ける」発想を加えて売買を抑える裁量というのも手です。
少なくとも、「短期でもっと儲けよう」と攻めっ気を強めることのないよう気をつけてほしいと思います。
例えば、もともと考えていなかった追撃売りをするとか、値ごろで判断して、中源線が売りのままのなのに買い向かうとか……成功の確率を論じるような内容ではありません。ひたすらキケンです。
フォローアップ第2回では、相場という行為を俯瞰(ふかん)して「売り」について考えてみます。お楽しみに!
※番組フォローアップ(2)は、「中源線シグナル配信」(対象:全上場銘柄)の会員限定のブログに公開し、同時に会員限定でメール配信も行います。

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※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。