過去に例のない下げに対応した
株式市場は幅広く、スピーディーに売られました。
次々と陰転した結果、3月半ばには東証一部(約2,100銘柄)のうち、中源線で買い線(陽線)の銘柄はたったの65と記録を更新しました。
その後の反転でも機敏に反応した結果、買い線(陽線)銘柄数は1,700を超え、これも記録。
つまり、多くの銘柄が「下げに乗ってカラ売り」「短期間で利食い」という流れを実現したのです。
そんな様子を解説したのが、4月20日のマーケット・スクランブルでした。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第178回 本領発揮! ホンモノの証 ~未曽有の乱高下に中源線はどう反応したか~)

平均は平均
株価指数は2月下旬から急激に下げ、3月半ばにいったん底打ち、反転しています。
でも、参考として計算してチャートを表示している2つの指数、「日経平均」と「TOPIX」では4月17日現在、売り買いが異なっています。


また、以前に「TOPIXのほうがダマシが少ない」(当たっている)と説明したこともありますが、今回の急落局面では、TOPIXのほうが反応がにぶく、直近ではダマシが連発しています。
「直近はこのような状況です。これからどうなるのか注目」などという、よくある無責任な解説ではなく、ちゃんと実践的に考えてみましょう。
「TOPIXのほうがダマシが少ない」というのは、長く見ていて間違いない、というか、基本的な前提として問題ないと思っています。でも、今回のようなこともあるので、後講釈に寄らずに実践者としての姿勢を考えなければなりません。
もしかしたら、細かい条件をつけることで、日経平均とTOPIXを使い分ける(どちらを見て、どちらを売買するかを変化させる)ことが可能かもしれませんが、かなり難しいでしょう。やはり、「同じことを淡々と継続する」のが基本です。
その「同じこと」で、取れるときに取り、取れないときは仕方がない(金額を抑えて上手に損をする)……こんな控えめな姿勢を軸に、「でも、少し抗うことはできないか」「ひと工夫できないだろうか」と考えるのです。つまらない結論だと感じるかもしれませんが、いくつもの要素を盛り込んで混乱するのが、相場あるあるだと認識してください。
入り口の解説として株価指数を取り上げていますが、やはり個別銘柄の動きに注目するのが王道です。平均は平均、単なる“中間値”です。日経平均の動きや水準に目を向けてしまうと、個別銘柄の上げ下げという、とても重要な「ドラマ」を見落としてしまいます。

2つのルールの組み合わせ
さて、個別銘柄の動きについて、番組では毎回、特徴的なものを取り上げていますが、「全体像」を見るうえではどうすべきか──ここで安易に「株価指数」を取り上げるのが、よくある相場解説です。
番組で紹介した「東証一部 陽線銘柄数」(中源線で全個別銘柄を分析した集計値)が下の図です。放送時の解説と重複するかもしれませんが、中源線が直近の下げでどう機能したかを見てみましょう。

日経平均が23,479円だった2月20日、つまり、株価指数では「下げる直前」のタイミングで、中源線の陽線銘柄はすでに東証一部全体の半分を大きく下回り、760銘柄まで減っていたのです。いい感じで、早めに反応していたことがわかります。
その後、3月半ばには、わずか65銘柄まで激減しています。
「相場全体が下げてきた」と認識できる動きに、中源線はきちんと反応していました。
そして、日経平均が安値をつけた3月19日、中源線の陽線銘柄数はすでに561銘柄と、500銘柄以上が陽転していたのです。「下げに乗った」だけでなく、「カラ売りの利食い手仕舞い」が実現したということです。
今回のような下げ方は、多くのマーケット参加者にとって「想定外」です。
だから、裁量でも対応が遅れますし、参加者が知恵を絞ってつくり上げた売買ルール、トレードシステムも役に立たない(機能しない)ケースが多かったことでしょう。
機能しない理由として、最初に考えられるのは、「平時の動きを緻密に捉えようとしすぎる」ことではないでしょうか。予測を当てることに傾け、かつ精度を高めようとした結果、逆に弱い部分が生まれてしまうという悲劇です。
中源線が今回、私たちの期待を超えて機能した理由を、次の項で考えてみます。

42分転換の意義
中源線でトレンド転換を判断するルールは、大きく2つに分かれます。
まずは「普通転換」。
トレンドの変わり目を示唆する変化を、終値の折れ線チャートが示すジグザグのパターン分析で検知するのが、中源線の核となる「普通転換」です。
※「普通転換」については、過去の放送で詳しく解説しています。
中源線建玉法 おさらいの「お」 ~変化点を探せ(普通転換)~
この普通転換は、人間の感覚を素直に数式に落とし込んだだけなので、とても理解しやすいのが特長です。そして、ムリにゴテゴテと条件をつけ足すことなく、シンプルなままです。
当然、例外的な動きに反応しないケースがあるので、これを補うために「42分転換」という補助ルールが設けられています(下図)。

この図は、普通転換が起きずに下げる動きで、陽線(買い)から陰線(売り)に変化させる状況ですが、これの売り買い逆の反応が3月半ばに多数発生し、大量に売りポジションに傾いた個別銘柄が、こんどは一気に陽転して「売りポジションの利食い」につながったのです。

荒れ場の対応
2月から3月にかけての下げは、かなりキツいものでした。
でも、スピードが速いだけで「荒れ場」と呼べる動きだったのか……。
ただ、ボラティリティ(変動率)が極めて高くなった現在は事情が異なります。しかも、いわゆる「真空地帯」のような価格帯にあるので、上下のブレが激しくなっています。必然的に、どんな売買ルールも通用しない値運びで、日経平均を軸に見ているだけでは検知できない、荒れた動きが発生しています。
中源線でも当然、売り買いの判断が揺れ動くケースが増えています。
強弱(売り買い)の判断だけでなく、3分割の売買がセットなので、無難に泳ぎながらも、いわゆる“往復ビンタ”が起きやすい状況です。
少しこなれると、徐々にダマシの発生が減っていきますが、裁量で売買数量を抑えるといった対応も有効でしょう。これについては、フォローアップ第2回のテーマとしましょう。
大きい動きを確認してから、つまり難しくなってから積極的に行動する向きが多いのですが、偶発的なホームランを期待するよりも、納得できないヤラレを嫌うのが適切な感覚です。中源線のシンプルなルールは、こういった落ち着いた姿勢を助けてくれる存在でもあります。

次回、フォローアップ第2回のテーマは、前述したとおり、「荒れ場の対応」です。お楽しみに!
※番組フォローアップ(2)は、「中源線シグナル配信」(対象:全上場銘柄)の会員限定のブログに公開し、同時に会員限定でメール配信も行います。
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