弱点に目を向ける | 林知之


「欠点がないことがオレの欠点だ」と言うと妻は、返事もしません。
完ぺきな言葉に、なにも返せないのでしょう。

ふだんから、「売買の手法に優劣はつけられない」と説明しています。
見た目だけ良さそうで何かが欠落している……手法として成立していないものはありますが、一定の要件を備えて手法として成り立っているものであれば、複数を比較しても、どちらが優れているかを判定するのは難しい、個人投資家は好みで選ぶべきだと考えます。

ただ、優劣はつけられなくても、「違い」を明確にすることは可能です。
その違いが、好みで選ぶときの基準となります。

でも、違いを計る観点はさまざま。
例えば習得の難易度だったり、資料作成の作業量だったり、取れる値動きと取れない値動きとか、何を中心に自分との相性を計るかも好みによるのでしょう。

大量のファンダメンタル情報、あるいは特別な分析能力をいっさい使わない手法「うねり取り」は、個人投資家に向いているといえますが、技術を求められる点が難しい、ブレやすいなどの懸念材料が見えます。
それら弱み(マイナス面)に気をつけることが重要ですし、だから「個人投資家には向いていない」という結論もあるでしょう。

強みは、ある意味、その手法の狙いそのものです。
だから、特に意識しなくてもいい、むしろ、盲点となりがちな弱みに目を向けることが大切なのかもしれません。

ネガティブ思考はバランスを悪くしますが、キケンを知ることで強みを生かすという、ポジティブ思考でもあります。

「中源線建玉法」は、うねり取りを実現するために機械的な判断を行うもので、個人的な技術を求められる度合いが小さい、ブレが生じにくいといった強みがありますが、誰でも相場観をもっているために混乱が起きやすい点が、表裏一体に存在する弱みなのでしょう。

また、中源線では、裁量ならば避けられるかもしれない中途半端な動きで、期待外れのダマシが連発する可能性があります。利益になることを期待して売買するため、十分にあり得る連敗について「あり得ない」と感じてしまいます。

期待をすんなり満たしてくれるものなどないのに、つい強みだけを見てしまう、弱みを認識しながらも「くさいものにフタ」とばかり見ないようにしてしまう。
これが人間の心理“あるある”だと考え、あえて弱みを考えてみよう──2月6日の番組では、こんなアプローチで話をしました。

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※フォローアップのブログは、2月13日から毎週1回アップします。

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