分割・併合で誤発注が増加 | 林知之


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昔の証券会社では、多くのことがアナログ的な手作業で、細かいルールも示されていないまま「不文律」の状態ですべての仕事が進んでいました。
発注ミスに気づいた担当者が上司に報告すると、すぐさま注文通りの結果に修正するための作業に着手しながらも、「そのままのほうが儲かるぞ」などと悪い冗談を言うのです。なんとかの法則ってヤツですね。違う銘柄を買うと「そっちのほうが上がる」とか、売り買いドテン(逆)でも「それでいいんじゃない?」なんて、まあ、今でも随所で“あるある”の会話ですけどね。

株式市場では現在、株式の分割や併合が増加しています。
特に多いのが株式併合で、例えば300円の銘柄が単元株数(最低の売買単位)を1,000株から100株に引き下げる際に「10株→1株」の併合を行うと、株価は10倍の3,000円になります。そのかわり、最低単位を買うのに必要な金額は今まで通りの30万円。会社の内容は、いっさい変わりません。

東証が、売買単位を100株に統一しようとしています。
この統一によって混乱を減らそうとのテーマがあると同時に、投資単位の低下、ひいては個人株主の増加を図る狙いもあるようですが、少額の株主を嫌って、株式併合を同時に行う企業も少なくないということでしょう。

分割・併合銘柄の発注時に、株数を間違えるケースが多発しているそうです。
「10株→1株」の併合で300円が3,000円になっていたら、以前の1万株は現在の千株ですが、うっかり1万株と注文してしまう可能性があるのです。
みなさん、お気をつけください。

もしも予定の10倍買ってしまったら……下げた場合は、損金の額が大きいので損切りの判断が遅れます。「こんなに損するんじゃ切れない……」と。
本当は、だからこそ即行動が正解です。

間違えて10倍買って上がったら万々歳の状況ですが、これはこれで余分な力が入ります。20万円のはずが200万円の評価益……この状況で人間は、よからぬことを考え始めます。「ラッキーな間違えをした。この機を利用して、利益をためておこうかな」と、利食い手仕舞いできなくなります。自分の感覚の10倍のペースで評価益が膨らむからです。逆に下げかけた場合も、感覚の10倍のペースでマイナス方向にいくので、やっぱりフリーズして動けなくなります。

ちなみに証券会社では、注文処理のミスについて、ヘンな冗談を言いながらも、「即刻始末する」のが大原則です。いかなる思惑も入れず、その場ですぐに始末することを最優先させるのです。

個人のトレードでも、思った通りに売り買いし、その結果がプラスになるように行動指針を修正しなければなりません。考えに考えた渾身の一手が曲がるのなら、意思決定のプロセスを見直すしかありません。

ただし、「予測は常に当たったり外れたり」の認識が絶対なので、情報の整理が重要です。株数を間違えたときの混乱は、情報の整理ができないことが原因です。


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