英国はEU残留か離脱か | 林知之


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自宅近くの商店街で、艶っぽい笑みを浮かべながら私をじっと見る女性が……。
オレに気があるのか?
彼女が見ていたのは、私が抱いていた犬でした。

英国がEUに残留するか離脱するか──いわゆる“ブリグジット”について今日、国民投票が行われます。
英国、EU全体、そして世界経済への影響が懸念され、金融マーケットにも動きが出ているようです。

しかし、例えば「離脱ならば混乱が起きて円高、日本株安」といったカンタンな話なのでしょうか。
一部には「弱々しい日経平均が3日連騰して700円超も戻した。マーケットは残留に賭けている!」なんて解説もあるようですが、突然に降って湧いた話ではないのですから、「3日連騰で……」と結びつけられても、そもそもの前提に疑問を抱かざるを得ません。

では、そもそもの話を掘り下げようとすると、的を絞りきれないほど多くの観点が生まれるようで、EU全体の経済を考えるだけでも、第二次大戦後のドイツ経済や旧ソ連の脅威といった問題も浮上してくるので、私には全く理解できません。
そして当然、「マーケットの動向」という話から遠ざかるわけです。

冷ややかな目で観察すると、ブリグジットの問題を見つめる多くの人、それに応えるメディアの姿勢は、なんだかスポーツ観戦のような様相といえます。

「マーケットは残留に賭けている」という発想も、金融マーケット参加者の視点が抜け落ちているように思います。マーケット全体に確固たる見通しがあるわけではなく、参加者それぞれが何かに賭けている、という理解が正しいはず。
ちなみに、「ブリグジットの結果予想? そんなのどうでもいい」というのも、参加者として、ひとつの姿勢です。

仮に、こういった材料と今後の動向が密接に関係していたとしても、例えば「残留が決定した。しかし織り込み済みで価格は逆行」というシナリオだってあるのですから、ある意味、考えるだけムダという結論もあるわけです。

こんな結論、一定レベル以上の知識人にすれば“野蛮”ともいえる態度こそが、林投資研究所が提唱している「相場技術論」の考え方です。

「材料を集めて考えても予測は当たらない。ならば、そんなことを考えずに、自分自身の見通しと値運びを照らし合わせて“次の一手”を決めることに集中しよう」「そのために、対応方法を事前に考えておこう」ということです。

別な言い方をすれば、「自分で状況判断などせずに、他人にやってもらおう」という態度です。

ファンダメンタル分析には、情報を収集する能力、情報を整理する能力、そして情報を分析して答えを出す能力が必要です。これらを兼ね備えるのは難しいから、大勢の人が考えた結果が反映された「マーケット価格」だけを見ていればいい、という論理です。

極めてシンプルで実践的、実用的な考え方で、具体的なトレード戦略を明確にするうえでは相当な近道です。

ただ、考えればわかりそうな懸念材料を見過ごす可能性もあるのですから、完ぺきな態度だと言い切るつもりはありません。
しかし、いずれにしても、日々の売り買いをどう展開するか、自分の態度を決めて“投票”し続けるしかないのです。


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