連載「相場のこころ トレードの本質」その19 | 中源線研究会

手仕舞いは古来よりの難事
 
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男女がくっつくのはカンタン、でも分かれる際には大きなエネルギーが必要だといわれますが、相場もしかり、ポジションをつくるのはカンタン、手仕舞いは難しいものです。評価益でも評価損でも決断がつきにくい──ある意味、永遠のテーマです。
 
上がると見込んで買ったのに弱々しい値運び……
いわゆるダメ玉なので、切ってしまうしかありません。でも、切った瞬間に「リスクから解放されて次のラウンドに臨める」という良い面よりも、「負けが確定する」「自分の間違いを認める行動だ」というイヤな面を強く感じてしまいます。
 
買ったあと見事に上昇した……
すばらしい状況です。いつ売っても利益が確定します。でも、利食い手仕舞いした瞬間、さらなる上昇で利が伸びる可能性を捨てることになります。いわば、チョー仲良しの恋人とクリスマス前に別れるようなもので、これまた抵抗を感じてしまいます。
 
トレードに慣れていないうちは、早めの手仕舞いに徹するべきです。
確信をもって仕掛けたあと、とにかく早めに確実に手仕舞うことで、「仕掛け→手仕舞い」という1サイクルの行動を全うするのが最優先です。手仕舞いのタイミングはコントロールできる、しかし利益か損かはコントロール不能の部分です。
 
そして、慣れたあとで「利を伸ばす」工夫に着手する、これが正しい順序です。
十分な経験があっても、新しい手法、新しい対応策を手がける際は、同じように考えるべきでしょう。
 
さて、経験が十分な人でも、手がける手法に慣れていても、生身の人間ゆえの感情は変わりません。損切りには抵抗を感じ、利食いの手仕舞いは、さらに迷いやすいものです。
 
この点、値動きを機械的に判断する中源線建玉法は、明確な答えを出してくれるので助かります。「銘柄」や「仕掛け時」を示して終わり……そんな、ちまたにころがっている無責任な情報とは一線を画す、いや、そもそも比較するのがおかしいのですが、きちんと系統立っている「投資法」「トレード手法」です。
 
その機械的判断がアダとなって機能しないこともある半面、適度な上げ下げは想定内の動きとして対応してくれますし、大きな値幅が発生した際にもしつこくついていく部分が中源線の強みです。
 
悪い玉は切る、良い玉は流れがあやしくなるまで放置して利を伸ばす──これが、中源線の根底にあるトレード思想です。
 
『新版 中源線建玉法』第二部本文22ページには、次のように書かれています。
「古来より難事とされている“手仕舞い”についても規定してある」
 
家を出ても、夕方か夜には帰宅します。山に登ったら、必ず下山します。
これらと同じことで、手仕舞いを考えたうえでポジションを取るのが当たり前のことなのですが、いいかげんな予測情報がまん延しているので、あえて「規定してある」と説明しているのです。
 
ひとつひとつ整理して考えを進めれば、手仕舞いの問題は解決するはずです。
「ピシピシ当たる」なんて状態はつくれませんが、「迷いなく行動する」ことは可能です。1月16日の放送(マーケット・スクランブル)では、こんな切実な問題を取り上げ、中源線のシンプルな思想について解説しました。
 
放送動画、およびフォローアップのブログ(1月23日より毎週月曜日)は、閲覧無料です。
こちらのページにまとめてあるので、ぜひご覧ください。
 
 
林 知之

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