連載「相場のこころ トレードの本質」その16 | 中源線研究会

攻めか守りか その1
 
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酒の席では「攻めるのが好きか、攻められるのが好きか」なんて、しょ~もない話題が出ることもありますが、相場の場合は「どれだけ攻めるか」という問題です。
「攻められる」といった状況は単なる自滅ですし、よほどの変人でない限り好きではないでしょう……。
 
資金稼働率、出動のタイミング、乗せの方法……等々、「攻め」の力加減を、どのように考えますか?
 
相場を行う者に共通しているのは、「ポジションを取りたい」という気持ちです。
儲けるためにやっているのですから、「張らないと取れない」という発想には何ら間違いはありません。でも、つい張り過ぎてしまう……。そんな姿勢を戒めるように「ポジポジ病」なる言葉があるのですが、戒めにせず“自虐”のジョークで片づけてしまう風潮があるようにも思います。
 
毎度おなじみの、つまらないお説教話になるのですが、やはり、やりすぎる人、やりすぎちゃってるケースが多いんですね。資金稼働率を考える、余裕をもつというイメージが足りなくて、「稼働率を考えている」場合でも、成功だけを前提にギリギリまでやってしまう傾向があります。経験から言うと、極めて常識的な人が、そこそこ慎重に考えた結果がやりすぎ、ということが意外と多いのです。
 
確信があるときは、攻めるだけです。
「自分の出番だ」との判断だったら、たとえ結果が見込み違いであっても、攻めて正解と説明できます。また、確信あっての行動だから、あとかたづけもキチンとできるはずです。
 
問題は、迷ったときでしょう。
迷いながら攻めてしまうと、「あれれっ?」となったときに対処できません。
千丈の堤もアリの一穴から──。キズは大きくなるし、損する勝負に時間をかけてしまうし、何もいいことがありません。
 
『新版 中源線建玉法』第四部 実践と実験には、微妙な状況におけるポジション量の決定について、次のように書かれています。
 
  数量は少ないほうを採用する
 
例えば先物市場で期先2本を同時に見ていた場合、2本の線で判定が異なる場合があります。片方は1単位建てろ、もう一方は2単位建てろ、というとき、少ないほうの「1単位」を採用すべし、ということです。
ポジポジ病とは、逆方向の対処ですね。
 
相場を張っていると、「多いほうと少ないほう、どちらに寄せようか」と迷うことなんて日常茶飯事。そんなときは、グッとこらえて抑えめにするのが原則です。昔話の「大きいつづらと小さいつづら」を当てはめれば正解なのです。
 
迷ったら建てない
迷ったら増やさない
迷ったら手仕舞いする
 
抑えめに行動して「もっと儲かったのに……」という場合、感情的にすごくイヤなんですけど、計算上は抑えるほうが正解です。「少し遅れて建てる」「手仕舞いしたあと建て直す」といった選択肢を用意しておく、それもムリには実行しない──こんなところが実践的な基本指針でしょう。
 
 
林 知之

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