投資信託の選び方と、この市場が抱える問題 | 松下誠

おはようございます、松下です。


昨日のNYダウは同値圏で推移、
次の動意を待っています。
上海総合指数は小幅反発。


米ドル/円は続伸して113円台後半。
NY Goldは反落です。


5月7日(日)の日経新聞の1面に、
「投信不信 迷うマネー」というタイトルで、
投資信託に関連した記事が出ていました。


投資信託に関連する記事が1面を飾るのも
珍しいですが、もっと関心を引いたのが、

「金融庁が批判」

という見出しがついていることでした。



記事の内容は、これまで人気を博してきた
「毎月分配型」の投資信託に対して、
金融庁の森 信親長官が、


「消費者の利益を顧みない生産者の論理が横行している。
 そんなビジネスを続ける社会的な価値があるのか」

と、先月、日本証券アナリスト協会が開いた
資産運用セミナーで批判を展開した、と書いてあります。


「何を今さら」という気もしますが、
遅すぎるということはないのでしょう。


「毎月分配型」の投資信託は、
その名前が示す通り、投資家に毎月一定の
分配金を支払う投資信託ですが、この分配金は、
利益の有無に関係なく払い続けられます。


極端に言えば、損をし続けて
元本が減り続けていても、
その減っている元本から、
さらに分配金を支払い続けるのです。


正気の沙汰とは思えない金融商品ですが、
内容をよく理解していない投資家は、

「毎月分配金をもらえることが安心」

という、よく分からない理由で、
ここ数年の大ヒット投信だったのです。


それを今回、金融庁長官が批判したから、
投信業界が一斉に、「毎月分配型」の投信の設定や
販売に及び腰になり、資金流出が続いているようです。


少し投資の経験がある者なら、
元本から一定の割合で資金を減らしながら、
投資を続けることが、どれだけ厳しい条件の
投資なのか分かるはずです。


分かるどころではなく、
破綻への一直線の道と言っても、
過言ではありません。


なぜなら元本が減り続けるということは、
マイナスの複利効果が働いてしまうからです。


そんな投資信託が、一番人気で空前の売れ行き
だったのですから、この国の運用や投資の
レベルがうかがい知れます。


投資信託は、リスクを嫌う日本人にとっても、
最も身近で、大きな資金を呼び込んでいる
最大の金融商品です。


それが今回の、金融庁長官の批判により、
その闇に少しだけ光が当たりました。


もっと言えば、この商品が抱える闇とは、


「利益を上げられる商品が驚くほど少ない」

ということです。



現在、個人が購入できる投資信託は6000本以上で、
実に株式よりも対象商品が多くなっており、
既に株式投資よりも銘柄(商品)選びが難しくなっています。


それらを詳しく調べることはできませんが、
上記に書いてきたように、これほど酷い毎月分配型の
投信を喜んで売ってきた環境を鑑みると、
まともに利益を上げられる投信が少ないことは、
想像に難くありません。


私は投資信託を購入したことはありませんが、
もし購入を検討するとすれば、


1.過去10年以上の運用成績を確認する


2.運用方針と戦略、リスクの可能性について確認する


という2点を調べた上で、検討すると思います。



しかし、おそらくですが、
この2点を明確に示すことのできる投資信託は
6000本のうちのごく一部だと思います。


ほとんどないのかもしれません。


これこそが、日本で最も大きな金融・運用商品であり、
何も知らない退職者や会社員が、この商品に
大切な資金を投じ、将来や老後の夢を託しているのです。


それを想像すると、
やっぱり酷いです。


だからこそ、投資信託を買う人に、
株式投資を行う人に、勉強して、賢くなって、
しっかりとお金を増やして欲しいと思います。


願わくば、投信を組成し、運用し、
販売する側の人にも、しっかりと
利益を上げる投信を作って、販売して欲しいと思います。


日本の投資の市場と、
投資家がもっともっと成長することを願います。


そのために、これからも投資を教え続けます。

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