嫉妬? | 植村和久

先日、「マーケットスクランブル」に出演した際に、金のETF(上場投資信託)の残高が減少しており、その保有量から過去の値段を比較すれば、金価格は大幅下落する可能性を指摘しました。


ちょっと弱気にすぎる見方と自分自身も思いますし、アシスタントの大橋ひろこさんの失望を買ってしまいましたが(?)、金に限らず、国際的な商品価格が中長期的にはダウントレンドになっているような気がしています。
(日本国内に限った場合は為替の影響がありますので、そうとは言い切れませんが)


ところで株価は好調です。


日経平均は5月の大暴落以降は「三角持合い」といったところで、上値は重いが下値も底堅い(いずれはどちらかにブレイクするのでしょうが)。


他の先進国、米国ダウ平均も英国FTSEも独フランクフルトDAXも高値圏にあります。


これは豪州、南ア、ブラジルという資源国、新興国でも共通の傾向です。


資源が安ければ経済活動にとってプラスであり、株価堅調というのはうなづけますが、「需要と供給」という観点からすれば、ベースメタル、エネルギーという商品価格もアップトレンドになってしかるべき。


その兆候が見られないということは、現在の株高について違和感を覚えてしまいます。


コモディティを投資対象と見た場合、「実物資産」でありますので「資産の保全」という側面を持つのが魅力ですが、対して弱点は配当・金利というインカムゲインを産み出しません。


株が好調であればマネーはコモディティよりも株を志向するのは仕方ありません。

いっそう「カネ余り」が進めばコモディティにもマネーが流入するのでしょうが(リーマンショックの直前などが典型例でした)、現在はそこまで進行していないのでしょう。


では、その中途半端なカネ余り状態のマネーはいったいどこから来たのでしょうか?


いちばん可能性が高いのは、先進各国で行われている金融緩和でしょう。


コモディティ価格ダウントレンド=インフレ抑制ですから、ますます金融緩和が止む様子はありません。


ただし、その中で米国が金融緩和の出口戦略を探り出しているのが大いに気がかりです。

今の株高が「バブル」であった場合、その反動も大きくなります。


これがコモディティからの株への嫉妬に過ぎないのであれば、それはそれで幸いなことです。

しかしコモディティ価格は、製品原料が多いということもあってインフレの先行指数という側面も持ちます。

商品は他の金融商品に先駆けることが多いのです。


今年も、5月の日経平均大暴落、6月の「バーナンキショック」に先駆けて、4月に金価格が大暴落した先例があります。


ただし資源が乏しい日本については、コモディティ価格の下落は歓迎すべきでしょう。
原発が停止し、エネルギー供給に不安があるのでなおさらです。

ただし株価についてはいかがなものか。


これも単なる嫉妬の感情にすぎないのであればいいのですが。




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