電力上場 | 植村和久

以前、このブログで、日本のコモディティ市場にLNG(液化天然ガス)の上場に触れたことがありました。


さて、1月14日の日本経済新聞に、電力の上場についての記事が比較的大きな扱いで掲載されました。


電力の上場は、LNGと同様に日本の現在のエネルギー問題の反映です。

それと同時に、電力自由化を見据えてのことです。


例えば自由化されれば、電力会社は他社から電力を購入し、それを顧客へ販売(供給)することが出来ます。

ただしその購入価格が不安定であっても電気料金に反映させることが難しい。

よって価格変動リスクのヘッジの場として、先物市場は有効です。


そして、電力会社が独自で決めていた電気料金に市場原理を持ち込む第1歩となります。

フクシマの事故で弁解のしようがない東電、そのガードが下がったスキに聖域へメスを・・・というわけではないでしょうが、「モノ」として実体を伴わない電力という商品を上場するのは初めてのこと、法令の改正が必要ですが、そのハードルをも乗り越えようとの意気込み。


しかし、実際に上場されたら、夏場は確実に値上がりする超「季節習性」商品になるのでしょうか?!
もしかして冷夏で思惑が外れる・・・なんてことがあるかもしれませんが。


経済産業省は、電気法改正案と同時に商取法の改正案を通常国会に提出する見込み。
通過すれば2016年度中にも、電力という「超大型」商品は上場されます。


この14日の日経朝刊がでてからしばらくして発表された日本の11月分経常収支は、5928億円の赤字。
燃料費高騰が原因とされます。
麻生財務大臣はこれを受けて、総合エネルギー政策の検討について言及しました。


さらには、その後には「反原発」を掲げる細川元首相が、同じ考えを持つ小泉元首相の支援を受けて東京都知事選に出馬を表明。


翌15日今日の夕刻には、政府が東電の新再建計画を認定。


「電力上場」の記事がこれらの前触れだったとは言いませんが、タイミングとしては奇妙な符合です。





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