ポジション操作しかない

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ある国でトイレに入ったら個室がものすごく広くて、座ったままでは手が届かない場所にトイレットペーパーが……どうしたものかと考えた私は、ズボンを下ろした状態で腰とヒザの角度を維持したままジワジワと前進、無事にたどり着いたのです。
めでたしめでたし。

株価の先行きをズバズバと当てる──。
これはトレーダー全員の理想です。捨ててはいけない希望です。
追い求める気持ちこそが、トレードの質を保つためのエネルギーなのです。

ところが、日々のトレードでは、「こんなはずでは……」ということばかり。
トイレットペーパーに手が届かないくらいなら軽いもので、「紙がない!」「水が流れない」「ドアが開かない」くらいの状況が日常茶飯事です。

買ったら下がる売ったら上がるのが当たり前です。
そんな値運びに対して、「き~っ」とか「わぁー」とか言いながらも、まずは適切な対応をしなければなりません。その対応の仕方が、「技術」と呼ばれるわけです。

分割売買は技法のはじまり(『相場技法抜粋』抜粋12、林輝太郎著)といいます。
安値の一点狙いで買うとか、高値を狙って上手に売るなんて非現実的なので、売りも買いも分割することで、平均値を“ボチボチにしよう”という考え方です。

「難」を平らにならすから、「難平」と書いてナンピンと読みます。
買ったけど大きく下げた、仕方がないから買い増しして……これは、計画外の増し玉で「やられナンピン」と呼ばれる悪手。技術とは縁遠いものです。

さて、超短期のトレードだけは単発的なポジション操作になりがちですが、それ以外は分割という発想が欠かせません。

買おうかなぁ、どうしようかなぁ……こう迷い始めたら、キリがありません。
もう少し安い場面があるかも……いや、上げ直前かもしれない……やっぱり、買ったあと下げトレンドになったらイヤだ…………

正解は、「とりあえず買う。でも分割の最初の1回のみにする」ことです。

売買を分割することによって、一点狙いから離れて慎重に値動きを観察し、株数が少ないうちに「出直そう」と被害最小の損切りを決断したり、「いけるぞ!」と感じて積極的に増し玉することができます。“自分の都合”を持ち込まない判断と行動が可能になるのです。

とはいっても、分割の具体的なタイミングや、ポジションを積み増す途中で緩急をつける判断基準などを自分自身で決めていく必要があるので、単純な2分割で練習するなど、“慣熟”のための努力も必要です。

分割を活用して値動きの波を泳いでいく──そんな売り買いを、ひとつの体系だったカタチにしたのが「中源線建玉法」です。

規格化された強弱判断と3分割のポジション操作は、多くの実践家が納得するロジックです。シンプルなだけに、そのまま利用して“自分流”に結びつけるのもひとつ、「乗って降りて損益をコントロール」という基本を刷り込むためのガイド役として利用するのもひとつ。いずれにしても、十人十色、いろいろなタイプの個人投資家にオススメできると確信しています。

6月13日の放送では、あらためて中源線の基本的な考え方を紹介しました。
「中源線は“建玉法”だ! ~ポジション操作がトレードのキモ~」
30分の動画は、こちらのページでご覧ください。
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研究部会報
 林投資研究所で40年以上続いている、プレーヤーのための定期刊行物。

中源線建玉法
 最古のトレードシステムといわれる中源線は、シンプルなルールなので感覚的に捉えることが可能です。

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研究部会報および中源線シグナル配信は、当局に届出の投資助言サービスです。契約にあたっては「契約締結前の書面」をよくお読みください。

5月16日放送のフォローアップ(4)
林 知之

“相場を張る”面白さ

誰もが何かしらの決め事をもってトレードに臨みますが、スキのないルールを決めておくのがシステムトレード、その場の判断を活用していくのが裁量トレードと分けて考えることができます。それぞれに、どんな特徴があるか、私たちにどんな盲点があるか──マーケット・スクランブル5月16日の放送では、中源線建玉法の特徴(長所と短所)を紹介しながら、トレードルールのあり方を考えました。
そのフォローアップ(4)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第84回 システムトレードの強みと弱み ~中源線の場合は~

どんな分野でも、実践する人をプロとアマに分けることができます。
でも、いわゆる「技術」では、上位のアマとプロに差がなかったり、それどころか、アマチュアのほうが上ということだってあるように思います。

プロとアマの違い……実にたくさんの事例があるでしょうし、比べる観点も多岐にわたりますから、トレードについて考えるにあたり、「継続性」や「安定性」の2つに絞りたいと思います。

大げさに聞こえるかもしれませんが、プロが最優先するのは「生き残る」ことです。
マーケットから退場させられずに生き残る、つまり「最悪でも大負けだけは回避して資金を残す」ということですが、多くの人はそんな言葉でワクワクしたりしません。だから、単行本のタイトルや雑誌が取り上げるテーマになることは極めてまれで、軽いノリで「儲かりまっせ」というイメージを放つ情報ばかりが目立つのです。

「生き残ることの大切さ」を、少し乱暴に表現すれば、「負けないでいれば、勝つときはカンタンに勝てる」ということです。絵に描いたように「取って取って取りまくる」ウハウハな状態など思い描かず、「勝ったり負けたり、取ったり取られたりでいいんだ」と考えます。実際の損益もプラスになったりマイナスになったりでいいんだ、ということです。

トレードは、スポーツなどほかの分野のこととは大きく異なり、「値動きが勝手に利益を伸ばしてくれる」のです。だから、そのチャンスを逃さないようにする、少なくとも、チャンス到来に気づかないとか、チャンスだと確信したのに資金が不足している、といった悲しい事態だけは避けなければなりません。

もちろん、その値動きによって、損失が勝手にどんどん膨らむこともあるわけです。
だからこそ、チャンスをものにするためにも、利益を出すことの前に「大損しない」ことが重要だということです。

例えば、資金1,000万円でスタートしたとします。
トレードですから“たまたま”の不運が重なることはあるので、あっという間に半分の500万円に減ってしまうことだってあり得ます。しかし、5割減はさすがに厳しく、再起の道が非常に長くなることは間違いありません。資金を半減させるほど失敗したあとなのに、見事に利益を重ねて資金を倍化させても、ようやく原点復帰というのですから、物理的に苦しいだけでなく精神的にも重たい状況に決まっています。

2割減って800万円になった、最悪でも3割減って700万円になった……これくらいならば、ニコニコと笑っているのは難しくても、ため息しか出ないというほど厳しい状況とは考えずにすむでしょう。

プロは、「資金が減って相場を張れなくなってしまう」という最悪の状況を恐れ、そこに近づかないように注意を払っているのです。

余談ですが、プロの世界にも例外があります。
高い率の成功報酬で契約したヘッジファンドのファンドマネージャーが、「10億円もらうか職を失うだけか」とイチかバチかのトレードを仕掛けるケースです。

実際は、ファンドマネージャーや証券ディーラーのように、他人の資金でトレードする立場にいる人でも、ほとんどがシビアなルールの下、大きなヤラレを生まずに前に進み、チャンスを着実にものにするという姿勢で臨んでいますけどね。

ここで、実に面白いことに気づきます。
プロとかアマという表面的な区別よりも、「誰が資金を用意するか」の区別が重要ではないかと。

プロの独立トレーダーは自己資金でトレードします。
アマチュアに分類される個人投資家も、同じく自己資金でトレードします。
この点で、「個人トレーダー」に関してはプロもアマもないといえます。

一部のファンドマネージャーが「10億円もらうか職を失うだけか」と考えることが可能なのに対して、個人トレーダーは「1億円取るか、1億円取られるか」のシゴトを強いられるということです。

プロとアマの違いは「ほかに収入源があるかどうか」だと考える人もいるでしょうが、プロと独立トレーダーだって、時間限定でほかの仕事をしていたりします。やはり、“トレード資金”に焦点を当てるのが合理的でしょう。

こんなふうに考えていくと、アマチュアこそ、「負けないトレード」「死なないトレード」(注)を目指し、「生き残るための工夫」をガッツリと考えるべきだという結論に達します。これでもかというくらい、ストイックな姿勢でトレードするべきだといえるのです。いかがでしょうか。

(注)死ぬ
古くからの相場用語で、「損失で資金が激減して張れなくなってしまう」こと。
林が比喩的に使ったものではありません。

とはいえ、常に苦虫をかみつぶしたような顔でクソ真面目に考えていたって、良いアイデアなんて浮かばないばかりか、ストレスがたまって健康を害してしまうでしょう。

良いシゴトをするためには、笑いも必要です。楽しみの要素が不可欠です。
脳科学でも、「人間のマインドは、楽しんでいる状態で最も力を発揮する」といわれています。

笑顔の女性

テレビでバレーボールの試合を見ながら、「1点取っただけでワーワーキャーキャー、プロらしく静かにしていられないのか!」と文句をつけているオッサンがいましたが、とんだ的外れの指摘です。日々、驚くようなつらい練習を重ねて試合に臨んでいるのです。その実力を十分に発揮するために、チームプレーの質を高めるために、「よしっ、やったぞ!」と笑顔でハイタッチしているのです。

トレードでも同じです。思惑通りの方向にちょっと動いただけで興奮してはしゃいでいたら、盲点だらけのスキだらけになるでしょう。しかし、何があっても表情すら変えないなんて、やはり不自然なことです。例えば、信頼できる仲間と飲みながら、「うまく取れたよ」などと笑顔で語るのは自然なことです。

人間の創造性を発揮すべき裁量トレードなら、事前に決めた原理原則をストイックに守りながらも、最後に「えいやっ」と決断して行動に移す場面では、「ここで買わないで、どうするの?」くらい熱いセリフがあっても当然だと思います。

「カネを殖やしたい」という強い気持ちがあるから、トレードをしているのです。
取られたら悔しい、取ったらうれしい……当たり前のことです。

もちろん、感情や感覚を表面的に利用するのはダメです。
例えば、「これはマズイ……切るべきだな」と思いながらズルズルと持続させるなんて、楽しんでいるのではなく自分にウソをついて「楽しめない状況」をつくっているだけです。その場かぎりの現実逃避です。

“売った買った”の行動を正しい方向に傾けようと工夫するのが、トレードを楽しむことです。現在の相場に自分が参加しているか否か、利益が出ているか否かは別にして、大きな上げ下げを見て条件反射的に「オォ~」と言ってみたり、ちょっとした気づきを新しい手法のアイデアに結びつけようと考えたり──生身の人間にとって、感情で反応したり、その反応から何かを創り出したりするのはナチュラルなことです。

ちなみに中源線建玉法は、実践者が冷静に考える理論をシンプルな状態でルール化しているので、人間の喜怒哀楽を持ち出しても納得できる内容です。そして、規定通りにポジションを動かしてみると、まさに「相場を張っている」感覚、感情を否定せずに上手にコントロールしようとしている構造が、とてもよく理解できます。

5月16日放送のフォローアップは、これで終わりです。

そして今夜は生放送です。
ここ数回は、生身の人間のマインドに注目してトレードの深い部分を語ってきましたが、今回はトレードルールの「ポジション操作」について考えます。
タイトルは、「中源線は“建玉法”だ! ~ポジション操作がトレードのキモ~」。
お楽しみに!

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写真提供:ペイレスイメージズ

5月16日放送のフォローアップ(3)
林 知之

機械的判断の限界と裁量の余地


誰もが何かしらの決め事をもってトレードに臨みますが、スキのないルールを決めておくのがシステムトレード、その場の判断を活用していくのが裁量トレードと分けて考えることができます。それぞれに、どんな特徴があるか、私たちにどんな盲点があるか──マーケット・スクランブル5月16日の放送では、中源線建玉法の特徴(長所と短所)を紹介しながら、トレードルールのあり方を考えました。
そのフォローアップ(3)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第84回 システムトレードの強みと弱み ~中源線の場合は~
値動きを機械的に判断する、つまり事前に用意した数式によって強弱を判断し、やはり数式によって具体的なポジション操作まで決定するやり方が、システムトレードと分類されています。

その数式、つまりトレードルールが極めてシンプルならば、「システムの答えを参考に自分自身で出処進退を決める」という取り組み方が可能です。これは、“システムと裁量の融合”と呼ぶことができるでしょう。

中源線建玉法はシンプルなルールで構成されているので、こうした使い方が可能です。

ただし、融合といっても、「システムが強気の答えなのに売り玉を持つ」というように、根底の判断を真逆にしてしまったら、そのあとの対応で混乱するなど、カンタンに実行できるものではありません。融合させる場合にも、限界というものがありますし、きちんとした決め事を作っておかないと自分で何をやっているのかがわからなくなります。原則といえる融合の指針、「やってはいけない」という御法度など、教科書となるべき注意事項があるわけです。

複雑なルールのシステムは、どうでしょうか。
複雑すぎてブラックボックス化しているものは論外としても、例えば自動執行を前提とした頻度の高いトレードシステムを組むために、数多くの細かい条件を重ね合わせたものなどは、個々の条件は感覚的に納得できても、システム全体としては人間の感覚が追いつかないものになりがちです。

この種のシステムでも、そのシステムを動かす、止める、金額を設定するなど、重要な部分を決定する人間の仕事があります。

例えば、A、B、Cと3種類のシステムを使っているとします。
トレード資金を、A、B、Cそれぞれにどう配分するかは人間が決めることです。状況によっては、「Aを止めて、その資金をBとCに回す」といった対応もあるでしょう。あるいは、「Aを止めるだけで、BとCの資金は変えない」という対応もあります。
これらの対応も、ある意味、システムと裁量の融合と呼べるはずです。

ただし、A、B、Cそれぞれのシステムの特性を熟知している必要があります。
特性がわかっていない、あるいは特性について理解が浅い場合、例えば直近の結果だけで判断して成績の悪いものを“当たり始める直前”で止め、資金を増やしたシステムが“曲がり始める”(注)といったサイアクな展開も考えられるからです。

(注)曲がる=相場の見通しが外れること。

話を広げすぎたので、最初に示した「シンプルなシステムを利用して自らの判断を加える」取り組み方に絞って考えます。

どんなシステムでも、どんな判断基準でも、合う銘柄と合わない銘柄、あるいは、合う時期と合わない時期が生じます。どんな銘柄でも、どんな相場つきでも取れるなんて、あり得ません。

そこで、固定的な数式では判断できない部分を、創造力ある人間が補おうという発想が生まれるわけです。わかりやすい例としては、「値動きが荒いから、トレードを中止して様子を見よう」といった対応です。単純な裁量トレードにおいても、実際に行われる対応です。値動きが荒いがゆえに利益のチャンスもあるのですが、それを捨てることで「やっぱりね」と後悔するような損失を回避しようということです。

でも、人間が手を加えることで、本当にパフォーマンスが上がるのか、安定した成績を出すことになるのか、といった議論があるのです。

人間は、持ち前の創造性によって、器用に立ち回ることができます。しかし、その器用さが仇(あだ)になるケースだってあります。それに、数式を集合させたトレードシステムに得意不得意があるように、生身の人間にも得手不得手があります。

そもそも、人間の判断ではブレが大きいからシステムを利用する、機械的な判断を基にするというのが当初の発想だったのに、あらためて人間の判断を追加してもいいのでしょうか。どんどんと泥沼にはまっていく行為にも思えます。

それでも、最後は自分自身で決めてポジションを動かしたい……こう考えるのが人間です。

そんな創造のエネルギーがあるから、システムを構築したり、既存のシステムを吟味して選んだりしているのです。「見込み違いの損失は必要経費だ」と理解しながらも、無用の損失を減らしたい、平たく言えば「当てたい」という気持ちが消えたら、トレードそのものから退いてしまうかもしれません。

これが、人間の性(さが)です。

「よし、あきらめた。このシステムの通りにトレードし続けよう」と心を決めるのも、生身の人間による、創造性ある決断にほかなりません。しかし、しばらくすると、「やっぱり、少し変えようか……」とウズウズし始めたりします。
こうして、悩みを抱えながら終わりのない旅を続けるのがトレード、相場を行うということなのでしょう。

哲学しすぎて迷走してしまう前に、現実に戻りたいと思います。

私は中源線を信頼していますし、その信頼を深めるために、ひたすらシグナル通りの売買を継続しています。しかし実は、裁量を加えていくための準備でもあるのです。

現在手がけている8銘柄のうちで直近、「こういう場面で裁量を入れたいんだよなぁ」と感じた事例を紹介します。
コンスタントに値動きのある、5911横河ブリッジHDです。

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この銘柄は、「中源線シグナル配信」サービスで、研究対象銘柄に選んだ99銘柄(ユニバース)に入っています。最長31年間の検証によって、パフォーマンスが良好かつ安定している、将来も安心して取り組めると期待できる、ということです。

しかし、陰陽転換の判断やポジション操作(増し玉、トレンド途中の手仕舞い)に対して「もっと精度を上げたい!」と思う気持ちから、実にいろいろなことを考えるものです。

横河ブリッジは、チャートの中央あたり、2015年10月に陽転しています。
でも、この手前の安値往来、8月から10月初めにかけての保合は、徐々に小動きになりながら下値を切り上げています。相場に「絶対」なんてないものの、誰が見ても「買い」といえるような値運びです。そして、その通りに上昇に転じたのです。しかし、たまたまですが、中源線が陽転と判断する値動きパターンが生まれず、少し上がったところで遅れて陽転しました。

上記の10月の陽転は遅いタイミングでしたが、そのあと大きく上伸したのでバッチリ利益になりました。なおかつ、2015年12月の陰転は、トレンドフォロー型の中源線にしては素早く、見事なタイミングでした。こういうときは、手のひらを返したように「さすが中源線!」なんて言葉が頭に浮かぶものです(笑)。

2016年2月にかけて大きく下げて評価益も膨らみましたが、そのあとの陽転はまたもや遅いタイミングでした。2016年3月、安値から100円以上も上げたところで陽転し、それまでの売りポジションの利益が確定したのですが、タイミングが遅れた陽転は結果としてダマシになったのです。

ダマシの陽転のあと陰転してからはスルスルッと下げましたが、4月上旬からグイグイと逆行しました。しかも、たまたま中源線の判断に引っかかる値動きパターンがなかったことから、陽転しないまま大幅な逆行をみせたのです。
これは、たまりません。「おいおい……」と、返事がないのを知りながら文句を言いたくなる場面です。

裁量による「手仕舞い、休み」を行うと決めていたならば、直前の保合を上回った時点で踏んで(注)、今でもポジションのないままでいたのではないかと想像します。

(注)踏む=カラ売りを損して手仕舞うこと。買いの損切りは「投げ」。

とにかく、今は「シグナル通り」に売り買いすると決めているので、「なんだ、この逆行は?」と思いながら売りポジションを維持していたところ、この会社がかかわっている現場での事故をきっかけに暴落したのです。すんなり受け入れにくい状況で評価損という状況から一転、評価益が生まれたわけです。

結果的には妙にドラマチックな展開となったのですが、極端な状況だけに、またもや裁量を入れたくなりました。1,000円を割り込んで、いったん止まった場面で、裁量で利食い手仕舞いして休みたいと感じたのです。

「荒い動きが続いているから、この先はダマシが出やすい」
「突発的な悪材料で下げたのだから、ひとまず手仕舞いだろう」
「精神的に疲れたので、休みたい」

上のチャートは、放送(5月16日)に使った時点よりも2週間以上たった、6月1日までの動きです。6月1日の大引は1,088円なので、1,000円割れを見て「利食いして休みたい」と感じた私が「ほらね」と言いたくなるように、100円超も戻している状態です。

さて、ここで直近の損益を確認してみます。

「素早く陰転した」と評した、2015年12月の陰転以降の成績は、以下の通りです。
(日付は、シグナル翌日の実際の売買日。大引で判断→翌日寄付で売買)

2015年12月28日 1単位売り新規 1,311円 → 3月15日買い返済 1,185円
2016年1月14日 1単位売り新規 1,231円 → 3月15日買い返済 1,185円
2016年1月25日 1単位売り新規 1,202円 → 3月15日買い返済 1,185円
+189円幅(3単位合計)

2016年3月15日 1単位買い現物 1,185円 → 4月4日売り 1,132円
1単位のみ -53円幅

2016年4月4日 1単位売り新規 1,132円
2016年4月12日 1単位売り新規 1,096円
2016年4月13日 1単位売り新規 1,139円
以上3単位を継続中 評価損益 +103円幅(3単位合計)

現在は3単位売りポジションを持続しているわけですが、この売り建ての評価益103円は、1,000円割れの段階では最大で500円幅もあったのです。だから、「ほらね」となるのですが、何が起こるかわからないのが相場で、さらに大きく下げていたかもしれないわけですし、その下げに対してドテン買っていたら評価益が縮まったどころの騒ぎではなかったはずです。すべては“タラレバ”なのです。

いやあ、相場って面白いですね!

次回のフォローアップ(4)は、「“相場を張る”面白さ」と題して、またまた生身の人間の特性に焦点を当てます。カチッとしたストイックな行動の中に遊び心を入れること、つまり、適正ながらも楽しさを捨てない、生身の人間らしい行動というものを考えてみましょう。
お楽しみに!

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5月16日放送のフォローアップ(2)
林 知之

常に“感覚”と合致するルールが理想


誰もが何かしらの決め事をもってトレードに臨みますが、スキのないルールを決めておくのがシステムトレード、その場の判断を活用していくのが裁量トレードと分けて考えることができます。それぞれに、どんな特徴があるか、私たちにどんな盲点があるか──マーケット・スクランブル5月16日の放送では、中源線建玉法の特徴(長所と短所)を紹介しながら、トレードルールのあり方を考えました。
そのフォローアップ(2)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第84回 システムトレードの強みと弱み ~中源線の場合は~

「自分の都合」を打ち消す裁量トレードのワザ

前回のフォローアップ(1)では、人間が「自分の都合で考えてしまう傾向」を踏まえ、「単純なことを単純に考える」中源線のロジックを紹介しました。つかみどころのない価格変動に対して、実にバランスの取れた取り組み方をしていることが理解できたと思います。

しかし、たとえ中源線でも完ぺきな結論に達しているわけではありません。
長所があれば必ず、表裏一体の短所を内包するのが、ものごとの道理です。

トレード手法の長所および短所について、個人的な好き嫌い、納得できる/できないの問題があるだけでなく、ではどうするのか、中源線ならば、中源線をどう使うのか、といった深い議論につながっていくのです。

中源線の長所と短所について両面を確認してみようということですが、その前に、古来からある裁量トレードにおけるプロのワザを考えてみます。

機械的な判断基準を用いる売買、トレードシステム……呼び方はいろいろあるのですが、元になっているのは人間の発想、生身の人間の感覚です。だから、「利益が出る数式か否か」と結果だけを捉えるのではなく、内容を考えておくべきです。

株を買ったら、思惑通りに上がってきた。
こんな状況で何を考えるか──。
単純に考えれば、「もっと上がれ」と利が伸びることを期待すると同時に、そこで相場が終わって利益が“絵に描いたモチ”になってしまうことを恐れるのが人間の心理でしょう。

これら2つの感情をぶつけ合っても、いわゆる「合理的な判断」からはほど遠く、納得できる答えを出すことはできません。そこで、冷静とはいえない自分が少しでも冷静に判断するため、「第三者の目」を入れようと努めます。

そのワザのひとつが、ツナギです。
イメージしやすいように、具体的な状況を設定してみます。

平均200円で1万株買った。
2カ月で300円に上昇した。

この状況に対して、次のように考えます。

「十分な利益が出ている」「“利食い千人力”と考えて売るか」
「でも、さらに強いなら玉を維持して利を伸ばしたい」「取れるときに取らなくちゃ」

前述したように、当事者は冷静な状態ではありません。
しかし、合理的に判断して当てたい、いや、当てることは難しいが、悔いのない答えを出したい、少なくとも売り損ないだけは避けたい……そこで、ツナギ玉を建ててみるのです。

300円で千株、信用新規売り──コスト200円の現物1万株はそのまま、千株だけカラ売りをかけるのです。

この千株のカラ売りは、「200円で買って100円幅取れている」といった、感情を揺るがす事実とは離れた第三者の目を与えてくれます。すなわち、「この千株のカラ売り玉が苦しいと感じるようなら相場は強い→買いを持続」「カラ売りが“良いポジション”と感じるならば相場は弱い→売り逃げを考える」というように、新たな基準で今後の行動を判断することにつながるわけです。

もし「相場は弱い」と判断したら、徐々にカラ売りを増やして実質的な買いポジションを減らしていく、あるいは現物を手放していく、といった対応をします。

逆に「相場は強い」と判断したら、ツナギのカラ売り玉を踏みます(売り玉を損して手仕舞うこと)。余分なコスト(売り玉の損)が発生しますが、1万株ある“根の玉”を生かすための必要経費と考えます。

システムトレードといっても、いたずらに判断材料を増やして予測の的中率を100%に近づけようとするものではありません。いま述べた、裁量トレードにおけるツナギのように、仮説(下げるかも)に応じて小さく行動し(少し売る)、仮説について「確度が高い」(下げそうだ)となったら行動を大きくしていく(買い玉を減らす)という具合に、「ポジション操作を駆使して相場の波を“泳いでいく”」ために、一連の行動を事前に決めておくことにほかなりません。

では、中源線のルールには、上記のツナギの考え方がどのように盛り込まれているか、次項で説明しましょう。

中源線の長所と短所

前述したように、長所があれば必ず短所を生むものです。
でも、わかりやすくするため、「利益になる=長所」「損になる=短所」を基本に考えてみます。

中源線の長所と短所

赤い線は買い線(陽線)で、買いポジションを3分割で増減させます。
対する黒い線は売り線(陰線)で、売りポジションを、やはり3分割で動かします。

フォローアップ(1)で説明したように、中源線は、いわゆる順張り、「トレンドフォロー」型のシステムです。したがって、最安値を買ったり最高値を売ることはできません。上がり始めたことを確認して買い始める、下がり始めたことを確認して売り始めることになります。図でも、最安値を少し放れて上向きかけた時点で陽転(陰線→陽線、黒→赤)しています。

株価は常に行き過ぎるので、水準で天底を判断するのが困難です。だから、システムでの逆張りを成立させることが難しいのです。「底値は買えない」と短所として示しましたが、人間の感覚とも合致する大きな特長といえます。

さて、安値から大きく上がっていく場面に「トレンド丸取り」と書きました。
いささか遠慮のない表現ですが、中源線では株価の「水準」や上げ下げの「スピード」で天底を判断しないため、トレンドが発生したときに逃さず取るのが長所です。

天井圏から下げる場面で陰転していますが、その手前の高値往来では、いったん陰転したあと、強張る動きをみて再び陽転というように、ダマシが2回出ています。いわゆる「平時」の動きを想定してロジックを組んでいるため、突飛な動き、荒い動きをみせる場面では機能しません。図のように“往復ビンタ”を食らうこともあるのです。

ダマシを短所として示しましたが、ダマシが出ないロジックは存在しません。問題は、そのダマシによる損失を小さく抑えることができるかどうかです。ここで、中源線の「3分割」が生きてきます。ダマシによる損失を抑え、かつ精神的なダメージも軽減されることを狙って、3分割が定義されているのです。

結果的にダマシだった場合でも、建玉の数量が3分の1、あるいは3分の2と、満玉(予定数量=3/3)よりも少なければ、被害は小さくてすみます。

加えて、トレンドが発生したときに丸々取ることで、いわゆる勝率が50%前後でも「損小利大」を実現してトータルの結果がプラスになるように計算しているのです。

さて、現実の例をチェックしてみます。
番組でも紹介した、8248ニッセンです。

この銘柄は、林投資研究所の「中源線シグナル配信」で「ユニバース」(高パフォーマンスの研究対象99銘柄)に選定しているもので、私も実際にポジションを取りながら実験売買を続けています。

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ダラダラと下げが続いているので、売り線(黒)で利益が出ていることがわかります。しかし、ところどころで陽転(黒→赤)した場面では、明らかに取れていません。ダマシです。

ファンダメンタルの悪化を背景にダラダラと下げているので、「売りっぱなしでいいじゃないか」と言いたくもなりますが、それこそ結果論です。内容が悪くて売り込まれているだけに、わずかな変化、ちょっとしたニュースで上昇に転じたら、短期間でかなり暴騰する可能性を秘めているのです。やはり、上向きかけたら買っておく、あらためて下向きになったら再び売り建てする、といった対応が現実的なのです。

ここにも、前述したツナギの考え方が盛り込まれていますね。

では、実際の損益もチェックしてみましょう。
チャートにある赤のタテ線以降、つまり2015年10月の陰転以降の損益は、以下の通りです。

8248損益

一見するとわかりにくいかもしれませんが、中源線によって3分割で売買しているので、1単位(1/3)ずつ分けて表示しています。陽転して買いから入った場合も、陰転して売りから入った場合も、左側が仕掛け、右側が手仕舞い、さらに右に建玉ごとの損益があります。

2回の陰転(2015年10月、2016年2月)では、それぞれ3単位累計で、プラス56円幅、プラス17円幅と利益になっています。

それに対して2回のダマシ(陽転)では、うまいこと1単位だけの建玉にとどまり、マイナス21円幅、マイナス16円幅という結果でした。

最後は、陰転でドテン売り(5月6日)、増し玉のシグナルを受けて増し玉(5月10日)し、2単位の売り建てで各6円幅、累計で12円幅の評価益という状態です(5月13日大引時点)。

このように、取れる場面は最大限の利益を狙う積極的な面を持つと同時に、見込み違いの損失を抑えようとする消極的な面も大切にする──これが、プロのトレード術です。具体的な方法はさまざまですが、非常にシンプルなかたちでルール化したのが、中源線建玉法なのです。

次回のフォローアップ(3)では、さらに少し突っ込み、トレードの深い部分を考えます。タイトルは、「機械的判断の限界と裁量の余地」。
お楽しみに!

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Yahoo!オークションで、タイムマシンが売りに出ているのを見ました。
「色は?」「何人乗りですか?」「乗り物酔いの心配は?」などなど、たくさんの質問が並び、出品者がひとつひとつ丁寧に答えていました。
笑いのクオリティが実に高いですね!

私たちトレーダーは、ほとんどの場合、チャートを見てポジション操作を考えています。しかし、株価のチャートそのものを否定する意見もあるのです。

取引所で、常に同じメンバーが売り買いしているのなら、今日の価格も昨日の価格も同じ基準で観察できるでしょうが、「売りたい」「買いたい」という個別の注文について条件が合致する、次に別の個別注文が出合う、というだけのこと。だから、数ある取引を「連続したもの」としてチャートを作るなんてヘンだという論理で、チャートというもの自体が成立しないという主張です。

なるほど、一理あります。

これに対して、以下のような反論は、どうでしょうか?

  • “連続性”の面でチャートに疑問があるなんて、百も承知。
  • でも、時間の経過という要素を入れて値動きを確認しないと、最大の関心事である「トレンド」を浮かび上がらせることができない。
  • だから、不完全なことを受け入れ、便宜的にチャートを描画している。

企業のファンダメンタルに関するデータを持ち出しても、天底の見通しなど立たないし、何もつかみどころがありません。仕方がないので、チャートに「上げ下げというトレンドがある」と仮定して、それを見出す、というか自分なりに定義した方法を利用するしかない、ということです。

その判断基準は、それこそ星の数ほどあり、同じ銘柄について、手法Aでは「売り」、手法Bでは「買い」、手法Cでは「判断不能」、手法Dでは「待ち」というように、さまざまな答えがあり得ます。

こんなふうに、ふだん何気なく行っていることを分解して考えると、次のようなことが明らかになります。

  • チャートによる判断を全くブレずに継続することは可能
  • でも、予測の結果は当たったり外れたり
  • したがって、予測とポジション操作をバランス良くからめる必要がある

いずれにしてもチャートは、常に過去の状態を示しているだけです。
これをどう認識するか──来週発行の『研究部会報』5月号に掲載の読み物、「投資の基礎知識」をお楽しみに。
相場の予測とは何か ~相場の時間軸「過去・現在・未来」~


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