常に“感覚”と合致するルールが理想
誰もが何かしらの決め事をもってトレードに臨みますが、スキのないルールを決めておくのがシステムトレード、その場の判断を活用していくのが裁量トレードと分けて考えることができます。それぞれに、どんな特徴があるか、私たちにどんな盲点があるか──マーケット・スクランブル5月16日の放送では、中源線建玉法の特徴(長所と短所)を紹介しながら、トレードルールのあり方を考えました。
そのフォローアップ(2)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第84回 システムトレードの強みと弱み ~中源線の場合は~)
「自分の都合」を打ち消す裁量トレードのワザ
前回のフォローアップ(1)では、人間が「自分の都合で考えてしまう傾向」を踏まえ、「単純なことを単純に考える」中源線のロジックを紹介しました。つかみどころのない価格変動に対して、実にバランスの取れた取り組み方をしていることが理解できたと思います。
しかし、たとえ中源線でも完ぺきな結論に達しているわけではありません。
長所があれば必ず、表裏一体の短所を内包するのが、ものごとの道理です。
トレード手法の長所および短所について、個人的な好き嫌い、納得できる/できないの問題があるだけでなく、ではどうするのか、中源線ならば、中源線をどう使うのか、といった深い議論につながっていくのです。
中源線の長所と短所について両面を確認してみようということですが、その前に、古来からある裁量トレードにおけるプロのワザを考えてみます。
機械的な判断基準を用いる売買、トレードシステム……呼び方はいろいろあるのですが、元になっているのは人間の発想、生身の人間の感覚です。だから、「利益が出る数式か否か」と結果だけを捉えるのではなく、内容を考えておくべきです。
株を買ったら、思惑通りに上がってきた。
こんな状況で何を考えるか──。
単純に考えれば、「もっと上がれ」と利が伸びることを期待すると同時に、そこで相場が終わって利益が“絵に描いたモチ”になってしまうことを恐れるのが人間の心理でしょう。
これら2つの感情をぶつけ合っても、いわゆる「合理的な判断」からはほど遠く、納得できる答えを出すことはできません。そこで、冷静とはいえない自分が少しでも冷静に判断するため、「第三者の目」を入れようと努めます。
そのワザのひとつが、ツナギです。
イメージしやすいように、具体的な状況を設定してみます。
平均200円で1万株買った。
2カ月で300円に上昇した。
この状況に対して、次のように考えます。
「十分な利益が出ている」「“利食い千人力”と考えて売るか」
「でも、さらに強いなら玉を維持して利を伸ばしたい」「取れるときに取らなくちゃ」
前述したように、当事者は冷静な状態ではありません。
しかし、合理的に判断して当てたい、いや、当てることは難しいが、悔いのない答えを出したい、少なくとも売り損ないだけは避けたい……そこで、ツナギ玉を建ててみるのです。
300円で千株、信用新規売り──コスト200円の現物1万株はそのまま、千株だけカラ売りをかけるのです。
この千株のカラ売りは、「200円で買って100円幅取れている」といった、感情を揺るがす事実とは離れた第三者の目を与えてくれます。すなわち、「この千株のカラ売り玉が苦しいと感じるようなら相場は強い→買いを持続」「カラ売りが“良いポジション”と感じるならば相場は弱い→売り逃げを考える」というように、新たな基準で今後の行動を判断することにつながるわけです。
もし「相場は弱い」と判断したら、徐々にカラ売りを増やして実質的な買いポジションを減らしていく、あるいは現物を手放していく、といった対応をします。
逆に「相場は強い」と判断したら、ツナギのカラ売り玉を踏みます(売り玉を損して手仕舞うこと)。余分なコスト(売り玉の損)が発生しますが、1万株ある“根の玉”を生かすための必要経費と考えます。
システムトレードといっても、いたずらに判断材料を増やして予測の的中率を100%に近づけようとするものではありません。いま述べた、裁量トレードにおけるツナギのように、仮説(下げるかも)に応じて小さく行動し(少し売る)、仮説について「確度が高い」(下げそうだ)となったら行動を大きくしていく(買い玉を減らす)という具合に、「ポジション操作を駆使して相場の波を“泳いでいく”」ために、一連の行動を事前に決めておくことにほかなりません。
では、中源線のルールには、上記のツナギの考え方がどのように盛り込まれているか、次項で説明しましょう。
中源線の長所と短所
前述したように、長所があれば必ず短所を生むものです。
でも、わかりやすくするため、「利益になる=長所」「損になる=短所」を基本に考えてみます。
赤い線は買い線(陽線)で、買いポジションを3分割で増減させます。
対する黒い線は売り線(陰線)で、売りポジションを、やはり3分割で動かします。
フォローアップ(1)で説明したように、中源線は、いわゆる順張り、「トレンドフォロー」型のシステムです。したがって、最安値を買ったり最高値を売ることはできません。上がり始めたことを確認して買い始める、下がり始めたことを確認して売り始めることになります。図でも、最安値を少し放れて上向きかけた時点で陽転(陰線→陽線、黒→赤)しています。
株価は常に行き過ぎるので、水準で天底を判断するのが困難です。だから、システムでの逆張りを成立させることが難しいのです。「底値は買えない」と短所として示しましたが、人間の感覚とも合致する大きな特長といえます。
さて、安値から大きく上がっていく場面に「トレンド丸取り」と書きました。
いささか遠慮のない表現ですが、中源線では株価の「水準」や上げ下げの「スピード」で天底を判断しないため、トレンドが発生したときに逃さず取るのが長所です。
天井圏から下げる場面で陰転していますが、その手前の高値往来では、いったん陰転したあと、強張る動きをみて再び陽転というように、ダマシが2回出ています。いわゆる「平時」の動きを想定してロジックを組んでいるため、突飛な動き、荒い動きをみせる場面では機能しません。図のように“往復ビンタ”を食らうこともあるのです。
ダマシを短所として示しましたが、ダマシが出ないロジックは存在しません。問題は、そのダマシによる損失を小さく抑えることができるかどうかです。ここで、中源線の「3分割」が生きてきます。ダマシによる損失を抑え、かつ精神的なダメージも軽減されることを狙って、3分割が定義されているのです。
結果的にダマシだった場合でも、建玉の数量が3分の1、あるいは3分の2と、満玉(予定数量=3/3)よりも少なければ、被害は小さくてすみます。
加えて、トレンドが発生したときに丸々取ることで、いわゆる勝率が50%前後でも「損小利大」を実現してトータルの結果がプラスになるように計算しているのです。
さて、現実の例をチェックしてみます。
番組でも紹介した、8248ニッセンです。
※この銘柄は、林投資研究所の「中源線シグナル配信」で「ユニバース」(高パフォーマンスの研究対象99銘柄)に選定しているもので、私も実際にポジションを取りながら実験売買を続けています。
ダラダラと下げが続いているので、売り線(黒)で利益が出ていることがわかります。しかし、ところどころで陽転(黒→赤)した場面では、明らかに取れていません。ダマシです。
ファンダメンタルの悪化を背景にダラダラと下げているので、「売りっぱなしでいいじゃないか」と言いたくもなりますが、それこそ結果論です。内容が悪くて売り込まれているだけに、わずかな変化、ちょっとしたニュースで上昇に転じたら、短期間でかなり暴騰する可能性を秘めているのです。やはり、上向きかけたら買っておく、あらためて下向きになったら再び売り建てする、といった対応が現実的なのです。
ここにも、前述したツナギの考え方が盛り込まれていますね。
では、実際の損益もチェックしてみましょう。
チャートにある赤のタテ線以降、つまり2015年10月の陰転以降の損益は、以下の通りです。
一見するとわかりにくいかもしれませんが、中源線によって3分割で売買しているので、1単位(1/3)ずつ分けて表示しています。陽転して買いから入った場合も、陰転して売りから入った場合も、左側が仕掛け、右側が手仕舞い、さらに右に建玉ごとの損益があります。
2回の陰転(2015年10月、2016年2月)では、それぞれ3単位累計で、プラス56円幅、プラス17円幅と利益になっています。
それに対して2回のダマシ(陽転)では、うまいこと1単位だけの建玉にとどまり、マイナス21円幅、マイナス16円幅という結果でした。
最後は、陰転でドテン売り(5月6日)、増し玉のシグナルを受けて増し玉(5月10日)し、2単位の売り建てで各6円幅、累計で12円幅の評価益という状態です(5月13日大引時点)。
このように、取れる場面は最大限の利益を狙う積極的な面を持つと同時に、見込み違いの損失を抑えようとする消極的な面も大切にする──これが、プロのトレード術です。具体的な方法はさまざまですが、非常にシンプルなかたちでルール化したのが、中源線建玉法なのです。
次回のフォローアップ(3)では、さらに少し突っ込み、トレードの深い部分を考えます。タイトルは、「機械的判断の限界と裁量の余地」。
お楽しみに!
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