8月8日放送のフォローアップ(2)
林 知之

妄想と現実

非現実的な利益を求める姿勢は“破滅型”に分類されますが、小幅利食いを意識することが手堅いとはいいきれません。
マーケット・スクランブル8月8日の放送は、“値幅取り”は単なる夢追いではなく、「避けようのない損失をカバーしてトータルでプラスにする」ための大切な発想だという観点でお送りしました。
そのフォローアップ(2)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第90回 トレードの醍醐味“値幅取り”こそ損小利大の実現

必要な妄想もある

「できない」と思ったら100%実現しない、「できる」と信じれば大いなる可能性が生まれる──リオ五輪で活躍する日本人選手たちを見ながら、つくづく感じることです。

トレードにおいても、同じことがいえるのではないでしょうか。次のトレードでの成功を目指しながらも、大きなミスを避けようとするあまり、負けた記憶を繰り返しなぞってしまうのが常識的な社会人の傾向ですが、「また失敗する」というイメージが強まることで現実の成功率も低下しているはずです。

とはいえ、価格変動を自らの努力で変えることはできません。

ちまたの投資情報では、個別株について「目標株価」という言葉で上昇後の予測が示されているのを目にします。しかし、個人の努力が及ばない部分で「目標」というのは明らかに誤りです。予測情報の発信者の「希望」が「目標」という言葉で表現され、それが情報受信者の「目標」になる……結果として、単なる希望的観測を抱きながら“目標株価”に達するまで思考停止で保有し続けるだけになってしまうのです。

まとめると、トレーダーとして「できる」という強い気持ちは大切な半面、現実を無視した思考に陥りやすいので注意が必要、ということです。

ものごとに取り組むとき、創造性を刺激する「妄想」は必要です。例えば、ロボットの二足歩行について、一部の科学者が「絶対にムリだ」と言っていたのですが、「できる」と信じた人たちの手によって実現し、歩行するだけでなく、自転車をこいだりダンスしているではありませんか。

ところがマーケットには、理論的に800円と認識されているのに実際は300円台に低迷している銘柄がある一方、実力は500円程度といわれながら1,000円以上の株価をつけている銘柄が存在するのです。

こうしたマーケットの現実を素直に受け止めること、そして「自分にできる努力は何か」を考えることが大切です。

誤った現実主義

以前にも示した、「小幅利食い」を追究した悪い事例を再掲します。

「寄付で必ず買う」「買った直後、買い値の2円上で売り指し値を出しておく」というトレードルールを考えてください。「よほど特殊な状況でない限り、寄付値の2円上ならば売れるだろう」と感じます。おそらくその通り、かなりの確率で成功すると思います。しかし、1回の利益の上限がたったの2円に限定されます。そして、発生確率が低いとはいえ、その「たった2円上」で売れなかったときの損失が問題です。

このトレードが「9勝1敗」の結果を生むとすると、9回の利益合計は、9×2=18円です。たった1回の負けが18円に達しただけで、トータルの損益がトントン、つまり手数料分だけ確実にマイナスになるということです。 (引用終わり)

単純に「小幅利食い」を意識しただけでは“儲かるルール”にはならず、手法として仕上げるには、出動を限定する工夫、あるいは損失幅を抑える知恵などを追加する必要があるということです。

「ムリせずに小幅利食いが手堅い」という説明を耳にすることもあるのですが、短絡的に捉えると盲点が生まれてしまうと認識しておくべきです。

「小幅利食い」や「損失幅を抑える」とった発想は、消極的な思考に分類されます。
これに対して、今回のテーマである「値幅取り」は積極的な行動を促す思考です。

やみくもに値幅を欲するのはダメな妄想ですが、うまく乗れたときの良いポジションを早めに利食いして大きな変動を逃すというのが、“相場あるある”でしょう。相場の先行きを読みきることはできませんが、取れる動きは取りたいので、そのための工夫を正しく考えてみることが大切です。

予測の当たり外れは五分と五分だから、損を抑えて利を伸ばす「損小利大」を考えることが求められるのです。

損小利大の最たる事例

前回のフォローアップ(1)では、7717ブイ・テクノロジーの損益状況について概略を示しました。今回は、1年間の損益状況を詳しく確認します。

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f-up2 ブイテク損益

※チャートの赤は買い線で、買いポジションを3分割で増減させます。
※チャートの黒は売り線で、カラ売りを3分割で増減させます。
※損益は、3分割の1単位ごとに「値幅」を計算しています。したがって、累計の損益は最高3単位の値幅合計です。
※転換を含まない手仕舞い(トレンド途中の利食い)は、左側の「シグナル」として示さず、「手仕舞い」の列にだけ表示してあります。

※画像で見にくい場合は、以下のリンクをクリックしてください(PDFファイルが別ウインドウで開きます)。
ブイ・テクノロジー チャート
ブイ・テクノロジー損益状況

1年間の戦績が25勝25敗と、絵に描いたように勝敗は五分と五分、しかしトータルで利益になっているのです。今年に入ってからド派手な動きが発生したので、ちょっと特殊な例ともいえますが、ある意味、損小利大の実現を示す好例といえるでしょう。

期間別に見てみましょう。

2015年8月の陽転は負け

期間の最初は、陽転したあとに再び下落したので負けています。累計410円のマイナスです。

想定する“うねり”でしっかりと利益

次の陰転(2015年8月19日)からは、順調に利益を積み重ねています。上げの途中、11月11日に陰転(売買は11月12日)していますが、1単位の建玉にとどまって損失は抑えられています。

この間、利益の累計は8,905円、損失は1回だけで325円という結果は見事です。

3カ月強、8回のダマシ

大暴騰の手前、2016年1月下旬から5月上旬までは、中源線が機能しない動きが続いています。こういう場面があるのは仕方がないこととはいえ、3カ月を超える期間、8回もダマシが連続したのですから、精神的にラクではありません。

この期間、累計の損失は5,405円、利益は1回きりで230円でした。

2015年8月にスタートしていれば、この時点でもトータルはプラスですが、これだけ続けて利益をはき出すと心が折れそうになるでしょう。こういう場面を冷静に分析し、そのまま続けるか、銘柄を替えるか、パラメータ設定を見直すかと自分自身の対応を決めることこそトレードに求められる判断です。そのためにも、ロジック(売買ルール)を深く正しく把握しておくことが重要です。

たまたまこの期間にスタートしていたら……冷静に状況を分析して続けることは難しいかもしれません。ですが、こういうことも起こるのがトレードの現実だと理解しておく必要があります。

必要経費としてのドテン売り

ゴールデンウィーク明け、5月11日の陽転(売買は5月12日)からは、上昇に乗って大きく値幅を取っています。直近、8月3日の陰転(売買は8月4日)までの累計利益は、13,100円に達しています。

しかし、上昇途中でガクンと下げた場面で中源線は、「陰転」という判断を示しています。つまり、いったん買いポジションを利食い手仕舞いし、ドテン売っているのです。この時(6月2日および6月13日の陰転)、そのあとの買い転換でマイナスが発生しています。これらは、値幅取りに必要な“ねばり”を実現するための必要経費と考えるしかありません。

中源線ルールが定義する一定の逆行(トレンド転換とみなす)で手仕舞いし、最低1単位だけはドテンする姿勢があるから、値幅が発生した際に維持する戦略を貫くことができるのです。

「もっともっと」とねばる姿勢が利を伸ばしてくれるのですが、ただフリーズしてポジションを固定しているだけでは、天井や突っ込みの安値を見逃す単なる「居過ごし」になり、次の一手が決められなくなってしまいます。

裁量で改善するか

損益の出方には、どうしても波があります。同じ銘柄でも値動きの性質は刻一刻と変化し、同じ基準で勝ち続けることを許してくれないからです。だから、勝ちトレードと同じように負けトレードが発生することを受け入れ、「損小利大」のポジション操作を目指す、取れるときに取る「値幅取り」の実現を試みるのです。

とはいえ、「もう少しなんとかならないか」と考えるのが人情というもの。
長所があれば、その長所ゆえの欠点が生じるのが道理なので、まさに“永遠のテーマ”なのですが、これを考えることこそがトレーダーのシゴトでしょう。

まずは、2016年前半に起こった8回連続のダマシを回避できるかを考えてみます。
中源線は、一定の条件を伴う上昇をみて陽転、同じく一定の条件が整った下落で陰転と判断します。いわゆる、トレンドフォロー型ですから、中途半端な往来には弱いのが特徴です。

パラメータの設定が適正ならば、小さい動きでダマシが出る確率は低下しますが、上がりかけて上げ損ない、下げかけて戻す、といった場面でダマシが発生しやすくなるのです。

絞り込んだ対象銘柄を継続的に手がけ、その銘柄の値動きを感覚的に捉えるという職人的な判断によって、この手のダマシを回避しようという試みはあり得ます。しかし、言うは易く行うは難し、利益のチャンスを逃すこともあるので非常に困難なことです。

それでも、「こういうマーケットではダマシが出やすい」といった判断で休みを入れれば、必要な休息を取ることになり、デリケートな精神面を良い状態に保つことにつながります。前述したように「利益のチャンスを逃す」こともあるので、パフォーマンスが上がるとは言いきれないのですが、2つの大きな効果を期待できます。

1つは、個人投資家ならではの「休んでOK」という武器を使ってメンタルの健康を維持することです。

もう1つは、自分自身の相場観を駆使して積極的に判断しようとする姿勢が、中源線の理解を深めるという点です。最終的に、独自のトレードルールを構築する段階への足がかりとなるでしょう。

説明が行ったり来たり、肯定したり否定したりで申し訳ないのですが、裁量を入れることの重要性は否定できないものの、いわゆる教科書的な説明としては、「ダマシを容認してトレードし続けるのが基本」と言わざるを得ません。

ブイ・テクノロジーの例では、大きな利益を生む5月からの暴騰直前に負けが8回も続いています。「今度もダメかな……」と気が乗らない状態でいるところに大当たりの大暴騰なんて、誰にも読むことはできません。

また、分割の3回目がたまたま遅かった時(5月31日の買い増し、売買は6月1日)や、手仕舞いのあとの建て直し(7月20日および7月21日の買い増し、売買はそれぞれ翌日)がマイナスになっていて、あとから見れば「ムダだ」と言いたくなるのですが、これらも、利益を取るためのロジック、すなわち中源線の長所と表裏一体の部分として受け入れるしかありません。

一緒に番組を進行しているフリーアナウンサーの大橋ひろこさんも、中源線を利用しています。そして、このブイ・テクノロジーの5月からの暴騰に乗ったそうです。しかし、約1,000円幅取ったところで利食い手仕舞いしたあとは、それ以上、手出しせずに終わったとのこと。単発的なトレードとしては成功ですが、中源線の武器ともいえる「値幅取り」の要素は享受できませんでした。

少しだけ視点を変えて解説すると、「安い時期に買ったために早めに降りてしまった」という、やはり“相場あるある”の結果といえます。

トレードって、実に深いですね。

次回のフォローアップ(3)では、手法による「取れる相場と取れない相場」を考えてみます。ダマシを減らそうと努めながらもダマシを容認しなければならない……この部分をどうやって納得するかを考えてみようと思うのです。
お楽しみに!

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心のヨゴレが敗因?

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新婚初夜をテーマにした笑い話があります。
ベッドで過ごしたあと男が、うっかりカネを払うと、女がおつりを渡したのだそうです……こんなジョークで笑えるって、心がヨゴレているから?

トレードについて、ある仮説を立てました。
科学的に検証してはいないのですが、完全に純粋な気持ちで株価変動を観察すれば、なかなかの精度で予測を当てることができるのではないかと思うのです。

価格変動の背景には、さまざまな要因が存在します。
企業の業績、経営戦略、業界の状況、経済全体の状態……等々。
しかし、特に説明のつかない自律的な上げ下げもあり、それを形成する要素は、生身の人間が感情も入れて売買した結果ですから、同じく生身の人間が冷静に観察すれば、ある程度は当てることができるだろう、という論理です。

誰だって、冷静かつ純粋に物事を観察する能力をそなえています。
ところが現実では、近い将来を当てると“カネになる”という意識があるので、少なからずヨゴレたオトナは往々にして判断を誤る、ということでしょう。

そこで、純粋無垢な子どもにチャートを見せればいいと思うわけです。

上がったり下がったり、生き物のような価格変動をピュアな心で見てもらえば、オトナよりも当たるのではないでしょうか。

しかし、この仮説そのものが相当にヨゴレています。
そんな邪心で純心な子どもを利用してはいけないと思いますし、予測を当てることがオトナのふところを潤わせると感じ取った瞬間、その子の心はヨゴレてしまい、それ以降は当たらなくなるでしょう。

では、オトナが行っているトレードの工夫とは何でしょうか。

ヨゴレのある心でカネを求めながらも、必死に純真さを表に出して判断しようと試みる、あるいは、瞬間的に純真になったときにルールを決め、それを守り続けようとすること、かもしれません。

こんなふうに定義されても、素直に受け入れる気など起きないでしょうが、部分的にでもトレードを考えるヒントになれば幸いです。


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四十八手できますか?

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連載「相場のこころ トレードの本質」その4

「四十八手」(しじゅうはって)は、もともとは相撲の決め技を指す言葉で、室町時代(14~16世紀)から使われていたそうですが、正確な数が「48」あったわけではなく、48は縁起の良い数として使われることが多く、「決め技がたくさんある」という意味で四十八手と呼んだそうです。

相場の世界にも「酒田の四十八手」というものがあります。日足ローソクの線組み、つまり複数の足を集合形として捉えて相場の変化点や勢いを計ろうとする試みで、いつのころからかは不明ですが、意味深かつ独特の名称を持つ48の型が、相場の予測に使われてきました。

この四十八手について林輝太郎は、いくつかの著書で真っ向から否定していました。
書籍『中源線建玉法』から引用します。

中源線建玉法(ちゅうげんせんたてぎょくほう)――名前は古くさいが、変更する必要などない。日本の本間宗久の三昧伝(さんまいでん)が相場の聖書といわれながら、何ら具体的な売買法の記述もなく、後人の偽書の疑いも濃いのに対し、中源線は簡略ながら売買の一から十までを具体的に規定している。

中源線は、あとで述べるように、長い歴史をもち、多くの人の実践に使用されてきたにもかかわらず、流布本に見られる酒田罫線法の四十八手における売り線、買い線のような、いわゆる「ザル碁」「ヘボ将棋の手法」の次元に堕落していない。興味本位の視点を許さない真剣な実践者が、売買の基礎技術習得のためにのみ用いてきたことが理由ではないだろうか。

(『新版 中源線建玉法』第一部 解説より)

歴史的な考察には反論もあるでしょうが、やはり、語呂合わせのような48という数の型を並べているあたりが怪しいといえるでしょう。

世間にはセックスの四十八手というのもあり、その全貌をつかんでいる人は少ないと思うのですが、昔はヘンな本を手に入れて、今ならインターネットで図解入りの一覧を見ることできます。順に眺めながら、3つ、4つと進むころ、「こんな格好できるかい!」と、少しばかり真剣になっていた自分がイヤになってしまいます……。

酒田の四十八手に話を戻します。
値動き観測の原則通りと思える型もあるのですが、中には「どう捉えればいいの?」と考え込んでしまうものもあり、全体としては、現実の値動きに当てはめて実際のポジション操作に使うには抵抗を感じてしまいます。

そもそも、「この形が出現したら上がる」とか「こうきたら下げに転じる」といった予測は、一定の有効性はあっても絶対ではありませんし、仕掛け(エントリー)から手仕舞い(エグジット)までを一貫して考えたり、予測が当たったときの対処、外れたときの対処を具体的に用意しておくのが現実です。

林投資研究所では現在、中源線建玉法の伝達に力を入れていますが、予測法とポジション操作、そして資金管理と3つの要素がバランス良くまとめられている、完成度の高い「手法」と説明できるからです。

中源線における予測法は、実にシンプル。終値の折れ線チャートを使ったパターン分析です。「こうだったら」「ああだったら」とさまざまなケースを未整理に並べているのではなく、単純明快な強弱判断の基準だけを示して堂々としています。そこに、3分割のポジション操作、つまり建玉を増減する規定を加え、手法、建玉法として完成させているのです。結果として、個々の答えを納得できる、自らの感覚と一致させることができる──こういった点を高く評価しています。

相場の強弱、つまり「上に行くか下に行くか」は実際、予測不能です。
上り電車だと思って乗ったら下りだった……こういうことが日常茶飯事です。

キップを買って電車に近づき、「これは逆向きだ」と判断したら、キップに払ったカネをムダにして改札に戻る……これと同じ初期の対応がないと、トレード手法としての実用性はありません。当てようとする「予測法」の部分は、極端に言えば単なるキッカケで、ポジションを抱えながら連続して求められる判断こそが根幹なのです。

さて、電車に乗ったところ望み通りの方向に進んだ(見込みが当たった)としても、うっかりしていると突然、逆向きに走り出す……これが相場における現実です。だから、その瞬間その瞬間で予測を立て直しながら“次の一手”を決めようというのが正しい考え方です。

トレードは、例えば3カ月後に上か下かを「今当てましょう」というゲームではありません。予測法に偏った思考のすべてがダメということではないのですが、具体的な行動指針とセットになっていないと実用性のある方法論にはならないということです。


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8月8日放送のフォローアップ(1)
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勝率を上げようとするな!

非現実的な利益を求める姿勢は“破滅型”に分類されますが、小幅利食いを意識することが手堅いとはいいきれません。
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(第90回 トレードの醍醐味“値幅取り”こそ損小利大の実現

予測は当たらない

「値幅取りを考えよう」というテーマなので、ちょっとワクワク、“夢を実現する”なんてイメージを抱くかもしれませんが、いきなり「予測は当たらない」という超現実的な話をします。

「上か下の2通りだから、予測の的中率は50%だ」といいながらも、自分の予測については「もう少し当たっている」と考えるのが平均的なトレーダーの思考です。人間には「忘れる能力」があり、自分に都合の悪いことは忘れていくものです。日常生活では特に、この能力を発揮するはずです。すべて覚えていたら自己嫌悪の念につぶされてしまうので、バランスを取って自分を守っているのです。

もしもトレードにおいて、何らかの基準を決めて“予測の当たり外れ”を記録したら、おそらくイヤになるほど外れまくっていることでしょう。トクになることは一切ないので、決してやらないでください(笑)。

上か下で五分五分といっても、想定した時間内に動きがなかった場合も厳密には「外れ」にカウントするべきでしょうし、実際にポジションを取る際には緊張があり、欲もからむので、50%を超える確率をたたき出すのは難しいでしょう。

そもそも、極端な表現をすれば、「51%当たる法則があれば、それを数多く繰り返すことで世界一の富豪になれる」のですから、それを夢見る多数の人が集まるマーケットで、6割、7割といった的中率を実現できる道理などないのです。

ルール化された手法があると、多くの人は「勝率はどれくらいですか?」と質問しますが、勝率を高く設定したシステムは、おそらく以下のどれかに該当します。

  • 利益の幅が限定されている(損失幅が大きい)
  • 過去の一定期間に設定を合わせてあるだけ(再現性は期待薄)
  • たまたま合う銘柄を持ち出している(再現性は期待薄)
  • ロジック(根底のルール)そのものを動きに合わせて作った

予測を高い確率で当てることは至難の業です。
努力で精度を高めることは可能だと思いますが、大きな労力を要してもわずかしか上昇せず、予測だけに頼って利益が出る仕組みを構築するのは不可能でしょう。

でも、夢が消えた、出口がない……という結論には至りません。
予測の的中率に頼らずに「予測とセットのポジション操作で結果を出そう」と、進むべき方向が明確になるのです。これこそ、ワクワクしてほしいポイントです。

損小利大しかない

 トレードの利益
=勝ち回数×平均利益-負け回数×平均損失

勝ちもあれば負けもあるのがトレードですから、説明するまでもなく、当たり前の計算式ですね。しかし、こうして数式で示して理論的に考えることが大切です。前項で述べたように、勝率をガンガン上げることなどできないのです。つまり、「勝ち回数」と「負け回数」はほとんど変化させられないわけです。

そこで、答えが明確になります。
「平均利益」を伸ばして「平均損失」を抑えるしかありません。

数式について、もう少し突っ込んで考えます。「利益」を決める要素は何か、ということです。
単に「値幅」だけではありません。利益=値幅×数量(ポジションサイズ)、なのです。

今回のテーマは「値幅取り」ですが、現実から離れないようにするため、数量についても考えながら進めていきます。

勝率がほぼ50%とすると、黙って繰り返すことで、手数料などの経費分だけマイナスになります。労力もムダになります。一発ドカンとヤラレるリスクもあります。

しかし、予測が当たったときに値幅を取るようにすれば、トータルはプラスです。
逆に、外れたときのヤラレの幅を小さく抑えることができれば、ダブルの効果です。

「当たったときに数量が極めて多い」なんて発想にはムリがありますが、分割のテクニックをうまく使えば「外れたときに数量が少ない」という結果は、そこそこ実現します。

「ピシピシ当たり続ける」なんて絵空事を忘れ、現実的に利益を追求するためには、こうした地味な“損小利大”を実現するしかないのです。

予測が当たったとき……
一定の数量が入っている
可能な範囲で値幅を大きくする

予測が外れたとき……
数量が少ないうちに撤退する
ムリに引っ張らずに損切りして損失の幅を抑える

中源線の勝率

ここまで説明したことは、トレードの原則です。これを踏まえて多くのシステムトレーダーは、「勝率50%前後のロジック(ルール)が最も有効」と考えています。

番組で継続的に紹介している「中源線建玉法」(ちゅうげんせんたてぎょくほう)も、2015年4月にスタートした「シグナル配信」のプログラムで過去を検証すると、平均の勝率は50%を割り込んでいます(3分割の建玉ごとに算出)。

今年5月から見事な暴騰をみせた7717ブイ・テクノロジーをご覧ください。
中源線の強弱判断に従って、赤と黒に色分けしてあります。
赤い線が買い(買いポジションを3分割で増減)、黒い線が売り(カラ売りを3分割で増減)です。

f-up1_7717ブイテク

チャートの後半、今年5月以降の大暴騰に、うまく乗れて利益を上げています。
しかし、値幅取りを実現するようにねばるため、期待外れの下落にそなえてドテン売っている場面もあります。いわゆるダマシの陰転ですが、一般的な「保険」と全く同じ発想で必要経費を払っているのです。

昨年、2015年秋からの上げ下げについては「想定内」と示したものの、なかなか大きな率で変動し、ここでも見事に取っています。

ところが、今年の暴騰の手前、2016年1月から5月上旬までは、中途半端な往来で中源線がうまく機能しない時期でした。中源線の理論をきちんと理解して長所と弱点を把握していないと心が折れてしまうほど、たまたまの連敗が続いたです。

さて、赤い二重線で囲んだ期間、つまり昨年8月の陽転から今年8月はじめの陰転までの1年間、3分割の1回を基準として合計50回のトレードがあったのですが、勝率はちょうど50%、つまり「25勝25敗」でした。しかしトータルの利益は、取った取られたの結果、7,505円幅に達しています。

次回のフォローアップ(2)では、このブイ・テクノロジーの損益状況について詳細を示して解説しながら、今回のテーマである「値幅取り」をさらに掘り下げていきます。
お楽しみに!

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ルールを教えて!

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特定の民族や国民の行動様式を表現する「エスニックジョーク」というものがあります。特徴を揶揄(やゆ)する差別的な部分もあるので、ブラックジョークに分類されるようです。例えば、客船が沈没しそうだから乗客を海に飛び込ませたい……国別に効果的な声かけは何か、というのがあります。

アメリカ人には「いま飛び込めば英雄ですよ」と言い、ドイツ人には「規則ですから」と言えば素直に行動してくれる、といった内容です。“あまのじゃく”とされるフランス人には「飛び込まないでください」が正解で、日本人に対しては「みなさん飛び込んでいます」と言うのが最も効果的なのだとか。。。。

マーケットにおいて明日の価格など誰にもわからない──揺るぎようのない事実だと認識していても、つい“正解探し”をしたくなるのが人情というものです。
「何を買えばいいの?」「誰の予想が当たるの?」という姿勢になり、画一的な行動指針が存在するような錯覚に陥ります。

でも、落ち着いて考えてみるとトレードは、「根底のルールそのものも自分自身で決める」ゲームだということがわかります。

具体的な売り買いを決める“戦略”については、どのように考えようと、どのように実行しようと、マーケットの公設ルールを守っていればオーケーで、制約など一切ないのです。

ある状況を想像してみてください。

Aさんは、300円で買った銘柄が1カ月で400円になったので利食い売りした。
このときBさんは、「3日で50円取ろう」と考えて新規参入、400円で買った。

これについて、例えば、「Aさんは安く買って確実に利食い売りして手堅い」とか、「Bさんは高くなってから乗ったのでアブナイ」と評するのは勝手ですが、平易に考えれば非常に偏った視点だといえます。

逆に、Aさんを否定する、Bさんを賞賛するポイントを探してみます。

Aさんは、「時間がかかるリスクを負いながら安値で仕込んだ」わけですし、「あと少しねばれば利を伸ばせたのでは?」という疑問だってあるでしょう。

Bさんについては、「勢いのある銘柄を相手に“飛び乗り飛び降り”は賢い」と評価する向きもあるでしょうし、「見込み違いの判断基準や損切りの行動力があるのだろう」と、極めて肯定的に捉えることだって可能なのです。

400円で売ったAさん、同じタイミングで買ったBさん、2人とも素晴らしいと考えることができます。

一方、さらに詳しい情報を得て「2人とも良くない姿勢だ」との観点が浮かび上がる可能性だってあります。

それぞれ、考え方と具体的な行動指針が合致しているか、言い換えると、予測法と建玉法に整合性があるか、といったことがポイントです。
万人に共通する絶対の評価基準など、あり得ません。


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守りの値幅取り狙い

値幅を取る──。

こうして短い言葉で表現すると、いかにもアブない感じの、非現実的な考え方のようですが、逆に「小幅の利食いが手堅いのか?」と考えてみてください。

例えばオプションで、ディープ・アウト・オブ・ザ・マネーの安いものを大量に売ると、勝つ確率は非常に高い半面、万が一の負けで大きな損失を被ります。

個別株を対象とした地味な売買でも同じです。例えば、20円幅で逃げたら7回勝っても累計は140円で、3回の負けが平均50円ならばトータルで10円のマイナス……10戦して7勝3敗でも負けてしまいます。

勝率が高ければ小幅利食いで回転を速くすればいいのですが、それはムリな話です。
マーケットは、誰もが同じことをやろうとして競争している場だからです。

視点を変えて、「値幅取り」を考えて見てください。
避けようのない負けトレードを甘んじて受け入れ、しかし、時間をかけない、ヤラレの値幅を小さく抑える、できれば株数も少なくなるように分割のポジション操作を行うのです。

しかし、見込み通りに動いてくれたときは、実現可能な範囲で“がっつく”のです。
「取れるときは取る」という発想で可能な限りねばって値幅を取ります。見込み通りの動きが出現したのですから、いつもより時間をかけてOKです。

こうして、取れるときに取っておけば、1回ごとに力を入れて「当てよう」とする必要がなくなります。適切な「損小利大」の考え方です。

さて、今夜の放送は、こんな観点を取り上げてお送りします。

マーケット・スクランブル第90回
トレードの醍醐味“値幅取り”こそ損小利大の実現

生放送は夜8時から30分間。後日、オンデマンドで視聴可能です!

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7月11日放送のフォローアップ(4)
林 知之

値幅を取るトレードの醍醐味

トレードは、大切なカネにかかわる継続的な行為なので、誰もがマジメに取り組みます。でも、ラクな気分で楽しんでいるほうが自然体で、より良い結果が出るはずです。とはいえ、その場だけラクになる逃避行動は、のちに大きな苦しみを招くでしょう。
マーケット・スクランブル7月11日の放送は、トレードの楽しみと苦しみ、こんな観点でお送りしました。
そのフォローアップ(4)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第88回 トレードの楽しみと苦しみ ~具体的なルールを決めるコツ~

小幅利食いが手堅いわけじゃない

ビジネスの方式を表す「薄利多売」という言葉があります。
個々の利益は薄い(小幅)けど量を売ることで事業を成立させる、というやり方です。

この薄利多売を実現するためには、販路を効率よく展開する仕組みなどがそろっている、いわゆる、計算され洗練されたビジネスモデルでないと難しいともいわれます。ファストフードで100円、200円のハンバーガーを売る……これを個人商店がマネしてビジネスとして成り立つのか、という疑問があるわけです。

もちろん、やり方次第でもありますし、好みの問題もあるので、一概に良しあしを論じるわけにはいきません。トレードでも同じです。しかし、「短期的に小幅で利食いするのが手堅い」と一面だけを見て言い切ってしまうのは乱暴です。ある種の誤解が存在するのです。

以前にも示した例ですが、「寄付で必ず買う」「買った直後、買い値の2円上で売り指し値を出しておく」というトレードルールを考えてください。“小幅で売り手仕舞いする”狙いのデイトレードです。

「よほど特殊な状況でない限り、寄付値の2円上ならば売れるだろう」と感じます。おそらくその通り、かなりの確率で成功すると思います。しかし、1回の利益の上限がたったの2円に限定されます。そして、発生確率が低いとはいえ、その「たった2円上」で売れなかったときの損失が問題なのです。

このトレードが「9勝1敗」の結果を生むとすると、9回の利益合計は、9×2=18円です。
たった1回の負けが18円に達しただけで、トータルの損益がトントン、つまり手数料分だけ確実にマイナスになるということです。

ザラ場の動きを想像してみてください。
寄付で買った、2円上で売り指し値を出した、しかし寄付後に弱含みで5円安、10円安と推移した……「いや、たった2円上で売ろうとしているのだから……」と頑張っているうちに損失幅が広がってしまったら? それほどの損失幅でなくても、例えば10円安で売ることになれば5回分の利益を確実に吹き飛ばしてしまいます。だから、2円上の利食い売り指し値と同時に、損切りの逆指し値をしておくとしても、その値幅設定で大いに悩むはずです。

単純に「小幅利食い」を実行しようとすれば、儲からないルールになってしまう、少なくとも“十分に満足できる利益”を得るルールに仕上げるのは難しい、という実例です。

もちろん、「寄付で必ず買う」でなく、条件をつけて寄付で買う、つまり「一定の条件がそろったときだけ寄付で買う」とすれば確率を上げることができそうですし、利益の幅を少しくらい大きくすることも可能でしょう。工夫を加えて洗練されたルールにすれば、薄利多売のトレードルールが成立しうるということです。

ですが、「多売」を実現することが求められます。
1日1回、1銘柄では、株数を大きく膨らませてリスクも大きくなってしまいます。そもそも、自分の売り買いで値が動いてしまいます。
実現するには、かなり多くの銘柄を対象に、たくさんのチャンスを見つけることが求められるのです。

2円の利幅を100回、1,000回繰り返すために、あるいは、2円の利幅を3円、4円と少し大きめにするためには、相当に洗練されたルールを構築する必要があるわけです。

コテコテのシステムトレードでは“アリ”の考え方ですが、特殊な部類に入ります。やはり、ほとんどのトレーダーにとっては、小幅の利食いではなく「値幅取り」を追究するべきなのです。

どうしても避けようのない損失を小幅に抑え、それをカバーして余りある利益を出すための「値幅取り」です。

50円幅しか動かないのに「100円幅じゃないとダメだ」とポジションを放置するのは、単に自滅するだけの妄想トレードです。そうではなく、うまく乗れたときに可能な範囲でねばり、現実的な範囲で利を伸ばす努力をすれば、適切な「損小利大」を実現することになります。

一般的なビジネスと同じです。
運営には、いろいろな経費がかかります。
売れると確信して仕入れたのに売れない、ということだってあります。
こういった不可避のマイナスをカバーしたうえに利益を確保するためには、メインの商材で一定の利益を得なければなりません。薄利多売のファストフードでも、飲み物を注文すると「ご一緒にポテトはいかがですか?」と客単価を上げるための声かけをします。

これをトレードに当てはめれば、「取れるときに取る」という現実的な値幅取りが浮かび上がるのは当然なのです。

手法や狙い所による「取れる取れない」

前項では、一般的なビジネスの考え方をトレードに当てはめてみました。
実は、こういうアプローチ、つまり日常にある常識を物差しにしてトレードを考えることで、最も素直に正しい答えにたどり着くと私は考えています。

金融マーケットの値動きは、日常ではあり得ないほど異常な出来事です。しかも、それが連続して起こっているのです。しかし、決して異次元世界の出来事ではなく、金融マーケットは間違いなく実体経済の一部分です。それに、実在する人間が集まっている場なのです。「利益も損も、一般的なビジネスよりも短期間で極端に発生しうる」という特徴があるだけのことです。

だから、金融マーケットならではの常識というものが存在するものの、原則は一般的な社会の常識と同じだと考えて差し支えないはずです。
「誰でも儲かる」「簡単に儲かる」は極端な妄想ですが、各種の情報を気にするあまり「受け身」の姿勢になり、その結果、常識的な人でも勘違いしていることが少なくありません。

手法について考えるとき、その都度、その時々の値動きに応じて戦略を変更して臨めば「どんな場面でも利益を取れる」という錯覚があります。
例えば、順張りと逆張りを状況に応じて使い分けるなんてムリなことですし、スイングトレードが儲からなくなったらデイトレードに切り替えるといった器用な対応を試みても、継続して良い結果を出すことはできないでしょう。

何かしらの特徴がなければ、手法とは呼べません。「安くなったら買って、高くなったら売る」といった当たり障りのない説明にはオリジナリティもなければ特別なアイデアもなく、具体的な手法に結びつく要素は皆無なのです。混乱して、核となる部分が壊れてしまうのがオチです。

手法には、手法ごとに特徴があります。特徴があるということは、「狙いが絞られている」ということです。必然的に、その狙いに当てはまらない値動きでは利益になりません。保合放れを狙うブレイクアウトの戦略がピシピシと結果を出す場面もありますが、「よし、上に抜けた」と乗っかれば天井を打つ、「下に抜けたぞ」と売りを仕掛ければ戻る……こんなパターンが続く相場だってあります。そして、どんな展開になるかを確実に予見する術はありません。

手法に合う銘柄を厳選したとしても、取れる時期と取れない時期が生じます。商店街に店を新設するとして、「24時間、いろいろなタイプの人が訪れて買い物してくれる」なんて、ふつうでは実現しないことです。唯一、コンビニが実現していると思いますが、極めて高度にシステム化されているうえに、高額商品を売ることはできないという短所があるのですから、方式、やり方、手法、戦略……どんなアプローチでも一長一短が生まれるのは避けられないことなのです。

適正な楽しみ方と裁量

手法とは、あるユニークな優位性を持った方法論のことです。当然のごとく、表裏一体の弱点も持ち合わせています。その弱点を受け入れないと、長所である優位性も手に入らないわけです。

とはいえ、弱点が表に出て損が生じてしまう場面を、できれば減らしたいと願うのが人情でしょう。すぐに矛盾にぶつかることを知っていながらも放置できず、あきらめずにより良い対応方法を模索し続けるのが、トレーダーという人種の性なのです。

こういった、ある意味で「悪あがき」といえる改善の試みは、ややもするとダメダメな妄想に陥ります。結婚相手について、「やさしくて、イケメンで、スポーツ万能で、家庭的で、浮気は絶対にしないし……」みたいな無理難題を頭に描いたら空回りするのと同じです。

弱点を抑えるという発想は正しいのですが、弱点による損失の機会をゼロにすることはできません。トレードルールの勝率をムリに上げようとすると、冒頭で示した例のごとく、逆に儲からないルールになってしまうのです。

そこで、あえて弱点を放置したまま、その手法の「長所を伸ばす」という発想に目を向けてほしい──これが今回のテーマです。妄想ではなく、現実に起こり得る損失を受け入れ、同じく現実に起こり得る大きなトレンドを取って“トータルの利益”を伸ばそうということです。

中源線は、トレンドが発生した際でも利益(値幅)に上限を設けません。想定外の大きな動きでも、逆行に注意しながらポジションを維持するのが特徴です。「中源線シグナル配信」でユニバース(パフォーマンスが高く安定性のある研究対象99銘柄)から、2つの銘柄を実例として挙げましょう。

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何度も登場している、7717ブイ・テクノロジーです。

中源線は、暴騰する銘柄を当てるシステムではありませんが、こうした大きなトレンドが発生した際に取り損なうことなく、最後までついていきます。5月からの上げについていきながら、途中の弱含みで一時的に陰転してダマシとなっていますが、こうした対応をすることによって、トレンドの最後まで買いポジションを維持することが可能になるのです。

また、2016年1月から5月初め(暴騰の直前)までは、取れないケースが8回も連続しています。8回連続というのは極端な例で、実際にトレードしていたら心が折れそうですが、こういった儲からないトレード、ダマシとなる転換を察知して避けながら、暴騰時にもちゃんと買っているなんて、いくらなんでも虫がよすぎる話です。

「それでも、もう少しダマシを回避できないだろうか」というテーマを掲げて考え続けるのがトレーダーですが、まずはダマシを受け入れ、同時に大きなトレンドでの値幅取りを実現するのが、とりあえずの正解ということです。

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次は、同じく「中源線シグナル配信」のユニバース銘柄、4751サイバーエージェントです。

ブイ・テクノロジーほど極端ではありませんが、中源線が機能しない値動き、つまり中源線の弱点が出てしまう値動きパターンのあと、「またかも……」と思わせておいてしっかりと利益が伸びる場面に遭遇しています。

こういった当たり外れは、なかなか読めないものです。
予見してうまく対応しようとすると、いろいろな条件をつけ加えて肝心の長所が薄まってしまうか、複雑な構造になって扱いきれないシロモノになることが多いのです。

これで、7月11日放送のフォローアップは終了です。
そして今夜8時の生放送は、ここで取り上げた「値幅取り」について、もっと詳しく突っ込んだ解説をする予定です。
お楽しみに!

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