自分を高めるためのプロセス
トレードは、大切なカネにかかわる継続的な行為なので、誰もがマジメに取り組みます。でも、ラクな気分で楽しんでいるほうが自然体で、より良い結果が出るはずです。とはいえ、その場だけラクになる逃避行動は、のちに大きな苦しみを招くでしょう。
マーケット・スクランブル7月11日の放送は、トレードの楽しみと苦しみ、こんな観点でお送りしました。
そのフォローアップ(3)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第88回 トレードの楽しみと苦しみ ~具体的なルールを決めるコツ~)
経験しないとわからないこと
強い衝撃を加えると口をきかなくなる恐れがあります……結婚式のスピーチで流行した「新婦の取扱説明書」の一節です。
家電製品はもちろん、最近はスポーツ用品にまで取扱説明書が付いています。企業側は、法的な争いを前提にした言い訳を並べざるを得ないので、読んでいてうっとうしい記述も多いのですが、具体的な使い方や純粋な注意事項など大切な情報が書かれています。
さて、企業側の言い訳を器用に無視しながら取扱説明書を熟読しても、“実際に使ってみないとわからないこと”があります。
「赤いボタンを強く押して」と書いてあったとしても、どれくらいの力で押すと反応するかは、現実に確認してみないとわかりません。「約1キロの力で押してください」と具体的な数字が示されていても、実際の力のいれ具合を想像するのは難しいでしょう。
自動車ならば、アクセルを踏んだときの加速や、ブレーキを踏んだときの減速の度合いは、運転してみないと確認できません。
つまり、理屈だけでは片づかないことが現実には山積みだということです。
トレードは、カネのこと、経済のこと、という認識がありますし、スポーツや車の運転のように“からだを使う要素”がないので、「頭で考えるだけで実行できる」と考えがちです。しかし、現実は違います。頭の中だけで完結すると思っている「判断」や「決断」にも“からだ”が大きく作用するのです。
ダイエットをしたいと願っている人は大勢いますし、誰もが効果的なダイエット方法を知っています。世の中、情報だらけですから。でも、実行している人は極めて少ないのです。新しい情報に触れて「この方法ならカンタンだし続けられそうだ」と感じたとしても、実行しない、実行しても3日と続かないのが現実というものです。
トレードにおける判断も、今までのさまざまな経験や、幸か不幸か周囲からゲットしたアイデアが蓄積された「からだ」に大きく左右されます。実際、大暴落のさなかに「こういう場面は狼狽売りせず、むしろコツコツと拾っていくべきだ」と頭で考えても、いざ実行となると動けないものです。そして、数週間後に「やっぱりなぁ……」となるのです。
系統立った手法、あるいは何か小さな判断基準について、理屈で考えて「これはいい」と納得したとしても、それに慣れないと使えません。また、実際に大切なカネを投じてポジションを動かしてみないと、机上の論が現実でどのようになるか、プレーヤーとして何を感じるかなど、とても大切な部分を真に理解するには至らないのです。
損切り先行が正常?
中源線は、強弱(陰陽)の判断、3分割のポジション操作、資金量の設定(資金稼働率の限度)と、トレードの三大要素がバランスよく規定されています。
パラメータ(変数)の設定や銘柄の選定は「可変」ですが、それらを決めたあとは、売り買いのすべてが中源線のルールによって示されます。
だから、「ルールを理解すれば、本格的な運用を開始できる」と考えてしまいがちですが、前項で述べたように、やらなければわからないことがたくさんあります。今までの経験だけでは計れない、からだが受け止める「感じ」です。
論理的思考にまとわりついてくる「感情」もさることながら、現実の値動きの中でルールがどのように機能するかは、“実弾”でトレードしてみないとわからないのです。
また、複数の銘柄を同時に手がけたときの損益(の出方)についても、実際にトレードしてみないとわからないと思います。
機会があると説明しているのですが、例えば10銘柄を選んでよーいドンとスタートした場合、損益の生じ方が大きく期待外れになる可能性が高いのです。
相場の先行きについて当てることは至難の業です。だから中源線は、「当てよう」とするのではなく、「当たったときに利を伸ばし、外れたときに損を小さく抑える」ことを狙っています。まっとうなルールならば、必ず着目しているはずですが、俗にいう「損小利大」(そんしょうりだい)ですね。
10銘柄でよーいドンしたあと、損小利大の機能が正しく働くと、損切りが先行してしまうのです。良い銘柄は手仕舞いせず、3分割の2回目、3回目を実行してポジションを積み増し、時間をかけてねばります。悪い銘柄(そのときの値動きが中源線に合わなかった銘柄)については、逆行をみて早めに損切りすることになります。これが損小利大の流れなので、良い銘柄についてある程度の評価益がある一方、損切りが先行し、感情的には何ともおもしろくない状態に陥るのです。損失額を抑えて切った分は現金化され、次のチャンスに使う余裕資金だと理解しつつも、現実に損が出たという事実のほうが感情的には重たいものだからです。
中源線利用のプロセス
さて、今回のメインディッシュ、トレードにおいて「自分を高めるためのプロセス」を説明しましょう。
ここまで述べてきたように、理論を確認することは欠かせないながらも、本格的に資金を突っ込んで売買する前に、経験が不可欠なのです。本を100冊読んでも上手に泳げるようにはならず、プールならば理論を確認しながら何とか水面を進めたとしても、海や川に飛び込んだらおぼれてしまうでしょう。現実の値動きに身を投じて、いろいろな場面を経験し、その都度の体験と体感を蓄積することが大切です。その蓄積が、使っている手法の深い理解につながるからです。
取扱説明書には書かれていないこと、あるいは、取扱説明書の行間にある情報をつかみ取ることです。
中源線の場合は、ルールをすべて公開しています。
ルールに“ブラックボックス”があったら実用性が損なわれる、と考えているからです。
まずは、ルールの理解です。最初は「数式を丸暗記する」イメージでしょうが、すぐに慣れ、チャートを引きながら中源線の判断を感じ取れるようになります。この段階で「わかった!」とばかり大きな資金を動かしてしまうのは誤りで、次に行うのは実験売買、練習売買です。オトナとして、一定の恐怖心は必要です。ちょっとだけおそるおそる、でもさっさと実体験を積むための行動に出る、ということです。
実験売買、練習売買を続けるうちに、慎重な心持ちながら「わかってきた。いける」というポジティブなイメージが生まれるでしょう。そうなったら、資金を増やすことができます。しかし、資金を増やし、トレードサイズを大きくした場合の経験がゼロなのですから、再び「資金を増やした状態での実験売買」が求められます。
まどろっこしいと感じるかもしれませんが、コツコツと進んでいく姿勢は絶対に捨てないでください。
最終的に、その手法なりシステムを熟知する、中源線でいえば、ルールだけでなく現実にどういった場面でどういったシグナルが出るか、中源線の長所は何か、そして弱点はどんな部分か──これらを深く理解したところで、ようやく自分自身の感性を追加できる段階に至ります。
そもそも、人間には創造性がある半面、現実の決断でブレが大きいとの理由から「機械的な判断基準を利用しよう」と考え、中源線を手がけるはずです。中途半端な状態で「創造性を駆使して、中源線の当たり外れを当てよう」という考え方には、大きな矛盾があるのです。
もちろん、十分に儲かる確率があるシステムであっても(儲からなかったらシステムと呼ぶのは難しいのですが……)、自分の意思を尊重し、生身の人間として上手に利用することが重要です。とはいえ、理解が浅い状態では混乱するばかりなので、少しはガマンして慣熟のためのプロセスを考えてみるべきなのです。
シグナル配信サービスの特徴と正しい利用法
林投資研究所は、中源線の説明について力を入れています。
基本となる書籍『中源線建玉法』は先日、細かい表現を丁寧に見直した新版をリリースしました。
終日セミナーでは、ルールを覚えるための練習問題など、カリキュラムを工夫しています。
セミナーに参加できない人たちのために、映像を撮り下ろしてDVDを作りました。
そして、中源線を実行する際に多くの人の頭を悩ませているパラメータの設定については、最長31年間の過去データを検証して答えを出しました。その答えは、「中源線シグナル配信」に盛り込んであります。
中源線シグナル配信は、新興市場も含めて上場全銘柄を対象に毎日、中源線のシグナルを公開しています。特に実用性が高いと判断した銘柄は、「ユニバース」と名づけて別枠にし(現在99銘柄)、直近1年間のチャートも見られるようにしています。
「シグナル配信」といいながらも、アプリの領域に入る機能を加え、なおかつ安価で提供しているので、どなたでもカンタンに利用してトレードに用いることが可能です。
ところが、こうして充実しているだけに、逆にオモチャのように使ってしまうこともできるわけです。
ルールを知ろうともせず、経験もない状態で、「やれば儲かるんだろ?」と大きな資金を動かしてしまう……こういう姿勢では良い結果が出ません。これだけは、覚えておいてください。
では、現実にどんなことが起こるかを、実際の中源線チャートを見ながら想像してください。今回紹介するのは、9810日鉄住金物産です。この銘柄も、“パフォーマンスが良好で安定している”ユニバースに選定しているものです。
7月11日の放送で紹介した、7月8日大引までのチャートですが、この時点で3分割の2回目と3回目の買いを入れて3/3(満玉)買いの状態でした。番組では「うまく買い下がったかな」とコメントしましたが、その通り、今のところ順調に推移しています。
この原稿を書いている7月27日の終値は、360円です。
しかし、2015年のシグナルを見ると、中源線が機能しているとはいえません。大きくヤラレている場面もないようですが、スカッと儲かる場面も見当たらないので、ストレスのたまる展開だったと感じます。ところが、多くのシステムが機能しなくなった2016年1月以降のほうが、うまく機能しているのです。
このように、ルールを熟知している私たちでも予想できないことが、現実では起こります。「こうなるだろう」「きっとこうだ」でトレードすると、個々のポジションについて期待外れの結果が出るだけでなく、取り組み方そのものが壊れてしまうかもしれません。
利用のプロセス、習得のプロセス、実力を高めるプロセスは、本当に大切なのです。
次回のフォローアップ(4)では、「トレードで値幅を取る」ことについて深く考えてみます。
お楽しみに!
その「第一部 解説」のみ、無料配布版があります。
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