ルールを教えて!

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特定の民族や国民の行動様式を表現する「エスニックジョーク」というものがあります。特徴を揶揄(やゆ)する差別的な部分もあるので、ブラックジョークに分類されるようです。例えば、客船が沈没しそうだから乗客を海に飛び込ませたい……国別に効果的な声かけは何か、というのがあります。

アメリカ人には「いま飛び込めば英雄ですよ」と言い、ドイツ人には「規則ですから」と言えば素直に行動してくれる、といった内容です。“あまのじゃく”とされるフランス人には「飛び込まないでください」が正解で、日本人に対しては「みなさん飛び込んでいます」と言うのが最も効果的なのだとか。。。。

マーケットにおいて明日の価格など誰にもわからない──揺るぎようのない事実だと認識していても、つい“正解探し”をしたくなるのが人情というものです。
「何を買えばいいの?」「誰の予想が当たるの?」という姿勢になり、画一的な行動指針が存在するような錯覚に陥ります。

でも、落ち着いて考えてみるとトレードは、「根底のルールそのものも自分自身で決める」ゲームだということがわかります。

具体的な売り買いを決める“戦略”については、どのように考えようと、どのように実行しようと、マーケットの公設ルールを守っていればオーケーで、制約など一切ないのです。

ある状況を想像してみてください。

Aさんは、300円で買った銘柄が1カ月で400円になったので利食い売りした。
このときBさんは、「3日で50円取ろう」と考えて新規参入、400円で買った。

これについて、例えば、「Aさんは安く買って確実に利食い売りして手堅い」とか、「Bさんは高くなってから乗ったのでアブナイ」と評するのは勝手ですが、平易に考えれば非常に偏った視点だといえます。

逆に、Aさんを否定する、Bさんを賞賛するポイントを探してみます。

Aさんは、「時間がかかるリスクを負いながら安値で仕込んだ」わけですし、「あと少しねばれば利を伸ばせたのでは?」という疑問だってあるでしょう。

Bさんについては、「勢いのある銘柄を相手に“飛び乗り飛び降り”は賢い」と評価する向きもあるでしょうし、「見込み違いの判断基準や損切りの行動力があるのだろう」と、極めて肯定的に捉えることだって可能なのです。

400円で売ったAさん、同じタイミングで買ったBさん、2人とも素晴らしいと考えることができます。

一方、さらに詳しい情報を得て「2人とも良くない姿勢だ」との観点が浮かび上がる可能性だってあります。

それぞれ、考え方と具体的な行動指針が合致しているか、言い換えると、予測法と建玉法に整合性があるか、といったことがポイントです。
万人に共通する絶対の評価基準など、あり得ません。


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守りの値幅取り狙い

値幅を取る──。

こうして短い言葉で表現すると、いかにもアブない感じの、非現実的な考え方のようですが、逆に「小幅の利食いが手堅いのか?」と考えてみてください。

例えばオプションで、ディープ・アウト・オブ・ザ・マネーの安いものを大量に売ると、勝つ確率は非常に高い半面、万が一の負けで大きな損失を被ります。

個別株を対象とした地味な売買でも同じです。例えば、20円幅で逃げたら7回勝っても累計は140円で、3回の負けが平均50円ならばトータルで10円のマイナス……10戦して7勝3敗でも負けてしまいます。

勝率が高ければ小幅利食いで回転を速くすればいいのですが、それはムリな話です。
マーケットは、誰もが同じことをやろうとして競争している場だからです。

視点を変えて、「値幅取り」を考えて見てください。
避けようのない負けトレードを甘んじて受け入れ、しかし、時間をかけない、ヤラレの値幅を小さく抑える、できれば株数も少なくなるように分割のポジション操作を行うのです。

しかし、見込み通りに動いてくれたときは、実現可能な範囲で“がっつく”のです。
「取れるときは取る」という発想で可能な限りねばって値幅を取ります。見込み通りの動きが出現したのですから、いつもより時間をかけてOKです。

こうして、取れるときに取っておけば、1回ごとに力を入れて「当てよう」とする必要がなくなります。適切な「損小利大」の考え方です。

さて、今夜の放送は、こんな観点を取り上げてお送りします。

マーケット・スクランブル第90回
トレードの醍醐味“値幅取り”こそ損小利大の実現

生放送は夜8時から30分間。後日、オンデマンドで視聴可能です!

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7月11日放送のフォローアップ(4)
林 知之

値幅を取るトレードの醍醐味

トレードは、大切なカネにかかわる継続的な行為なので、誰もがマジメに取り組みます。でも、ラクな気分で楽しんでいるほうが自然体で、より良い結果が出るはずです。とはいえ、その場だけラクになる逃避行動は、のちに大きな苦しみを招くでしょう。
マーケット・スクランブル7月11日の放送は、トレードの楽しみと苦しみ、こんな観点でお送りしました。
そのフォローアップ(4)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第88回 トレードの楽しみと苦しみ ~具体的なルールを決めるコツ~

小幅利食いが手堅いわけじゃない

ビジネスの方式を表す「薄利多売」という言葉があります。
個々の利益は薄い(小幅)けど量を売ることで事業を成立させる、というやり方です。

この薄利多売を実現するためには、販路を効率よく展開する仕組みなどがそろっている、いわゆる、計算され洗練されたビジネスモデルでないと難しいともいわれます。ファストフードで100円、200円のハンバーガーを売る……これを個人商店がマネしてビジネスとして成り立つのか、という疑問があるわけです。

もちろん、やり方次第でもありますし、好みの問題もあるので、一概に良しあしを論じるわけにはいきません。トレードでも同じです。しかし、「短期的に小幅で利食いするのが手堅い」と一面だけを見て言い切ってしまうのは乱暴です。ある種の誤解が存在するのです。

以前にも示した例ですが、「寄付で必ず買う」「買った直後、買い値の2円上で売り指し値を出しておく」というトレードルールを考えてください。“小幅で売り手仕舞いする”狙いのデイトレードです。

「よほど特殊な状況でない限り、寄付値の2円上ならば売れるだろう」と感じます。おそらくその通り、かなりの確率で成功すると思います。しかし、1回の利益の上限がたったの2円に限定されます。そして、発生確率が低いとはいえ、その「たった2円上」で売れなかったときの損失が問題なのです。

このトレードが「9勝1敗」の結果を生むとすると、9回の利益合計は、9×2=18円です。
たった1回の負けが18円に達しただけで、トータルの損益がトントン、つまり手数料分だけ確実にマイナスになるということです。

ザラ場の動きを想像してみてください。
寄付で買った、2円上で売り指し値を出した、しかし寄付後に弱含みで5円安、10円安と推移した……「いや、たった2円上で売ろうとしているのだから……」と頑張っているうちに損失幅が広がってしまったら? それほどの損失幅でなくても、例えば10円安で売ることになれば5回分の利益を確実に吹き飛ばしてしまいます。だから、2円上の利食い売り指し値と同時に、損切りの逆指し値をしておくとしても、その値幅設定で大いに悩むはずです。

単純に「小幅利食い」を実行しようとすれば、儲からないルールになってしまう、少なくとも“十分に満足できる利益”を得るルールに仕上げるのは難しい、という実例です。

もちろん、「寄付で必ず買う」でなく、条件をつけて寄付で買う、つまり「一定の条件がそろったときだけ寄付で買う」とすれば確率を上げることができそうですし、利益の幅を少しくらい大きくすることも可能でしょう。工夫を加えて洗練されたルールにすれば、薄利多売のトレードルールが成立しうるということです。

ですが、「多売」を実現することが求められます。
1日1回、1銘柄では、株数を大きく膨らませてリスクも大きくなってしまいます。そもそも、自分の売り買いで値が動いてしまいます。
実現するには、かなり多くの銘柄を対象に、たくさんのチャンスを見つけることが求められるのです。

2円の利幅を100回、1,000回繰り返すために、あるいは、2円の利幅を3円、4円と少し大きめにするためには、相当に洗練されたルールを構築する必要があるわけです。

コテコテのシステムトレードでは“アリ”の考え方ですが、特殊な部類に入ります。やはり、ほとんどのトレーダーにとっては、小幅の利食いではなく「値幅取り」を追究するべきなのです。

どうしても避けようのない損失を小幅に抑え、それをカバーして余りある利益を出すための「値幅取り」です。

50円幅しか動かないのに「100円幅じゃないとダメだ」とポジションを放置するのは、単に自滅するだけの妄想トレードです。そうではなく、うまく乗れたときに可能な範囲でねばり、現実的な範囲で利を伸ばす努力をすれば、適切な「損小利大」を実現することになります。

一般的なビジネスと同じです。
運営には、いろいろな経費がかかります。
売れると確信して仕入れたのに売れない、ということだってあります。
こういった不可避のマイナスをカバーしたうえに利益を確保するためには、メインの商材で一定の利益を得なければなりません。薄利多売のファストフードでも、飲み物を注文すると「ご一緒にポテトはいかがですか?」と客単価を上げるための声かけをします。

これをトレードに当てはめれば、「取れるときに取る」という現実的な値幅取りが浮かび上がるのは当然なのです。

手法や狙い所による「取れる取れない」

前項では、一般的なビジネスの考え方をトレードに当てはめてみました。
実は、こういうアプローチ、つまり日常にある常識を物差しにしてトレードを考えることで、最も素直に正しい答えにたどり着くと私は考えています。

金融マーケットの値動きは、日常ではあり得ないほど異常な出来事です。しかも、それが連続して起こっているのです。しかし、決して異次元世界の出来事ではなく、金融マーケットは間違いなく実体経済の一部分です。それに、実在する人間が集まっている場なのです。「利益も損も、一般的なビジネスよりも短期間で極端に発生しうる」という特徴があるだけのことです。

だから、金融マーケットならではの常識というものが存在するものの、原則は一般的な社会の常識と同じだと考えて差し支えないはずです。
「誰でも儲かる」「簡単に儲かる」は極端な妄想ですが、各種の情報を気にするあまり「受け身」の姿勢になり、その結果、常識的な人でも勘違いしていることが少なくありません。

手法について考えるとき、その都度、その時々の値動きに応じて戦略を変更して臨めば「どんな場面でも利益を取れる」という錯覚があります。
例えば、順張りと逆張りを状況に応じて使い分けるなんてムリなことですし、スイングトレードが儲からなくなったらデイトレードに切り替えるといった器用な対応を試みても、継続して良い結果を出すことはできないでしょう。

何かしらの特徴がなければ、手法とは呼べません。「安くなったら買って、高くなったら売る」といった当たり障りのない説明にはオリジナリティもなければ特別なアイデアもなく、具体的な手法に結びつく要素は皆無なのです。混乱して、核となる部分が壊れてしまうのがオチです。

手法には、手法ごとに特徴があります。特徴があるということは、「狙いが絞られている」ということです。必然的に、その狙いに当てはまらない値動きでは利益になりません。保合放れを狙うブレイクアウトの戦略がピシピシと結果を出す場面もありますが、「よし、上に抜けた」と乗っかれば天井を打つ、「下に抜けたぞ」と売りを仕掛ければ戻る……こんなパターンが続く相場だってあります。そして、どんな展開になるかを確実に予見する術はありません。

手法に合う銘柄を厳選したとしても、取れる時期と取れない時期が生じます。商店街に店を新設するとして、「24時間、いろいろなタイプの人が訪れて買い物してくれる」なんて、ふつうでは実現しないことです。唯一、コンビニが実現していると思いますが、極めて高度にシステム化されているうえに、高額商品を売ることはできないという短所があるのですから、方式、やり方、手法、戦略……どんなアプローチでも一長一短が生まれるのは避けられないことなのです。

適正な楽しみ方と裁量

手法とは、あるユニークな優位性を持った方法論のことです。当然のごとく、表裏一体の弱点も持ち合わせています。その弱点を受け入れないと、長所である優位性も手に入らないわけです。

とはいえ、弱点が表に出て損が生じてしまう場面を、できれば減らしたいと願うのが人情でしょう。すぐに矛盾にぶつかることを知っていながらも放置できず、あきらめずにより良い対応方法を模索し続けるのが、トレーダーという人種の性なのです。

こういった、ある意味で「悪あがき」といえる改善の試みは、ややもするとダメダメな妄想に陥ります。結婚相手について、「やさしくて、イケメンで、スポーツ万能で、家庭的で、浮気は絶対にしないし……」みたいな無理難題を頭に描いたら空回りするのと同じです。

弱点を抑えるという発想は正しいのですが、弱点による損失の機会をゼロにすることはできません。トレードルールの勝率をムリに上げようとすると、冒頭で示した例のごとく、逆に儲からないルールになってしまうのです。

そこで、あえて弱点を放置したまま、その手法の「長所を伸ばす」という発想に目を向けてほしい──これが今回のテーマです。妄想ではなく、現実に起こり得る損失を受け入れ、同じく現実に起こり得る大きなトレンドを取って“トータルの利益”を伸ばそうということです。

中源線は、トレンドが発生した際でも利益(値幅)に上限を設けません。想定外の大きな動きでも、逆行に注意しながらポジションを維持するのが特徴です。「中源線シグナル配信」でユニバース(パフォーマンスが高く安定性のある研究対象99銘柄)から、2つの銘柄を実例として挙げましょう。

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何度も登場している、7717ブイ・テクノロジーです。

中源線は、暴騰する銘柄を当てるシステムではありませんが、こうした大きなトレンドが発生した際に取り損なうことなく、最後までついていきます。5月からの上げについていきながら、途中の弱含みで一時的に陰転してダマシとなっていますが、こうした対応をすることによって、トレンドの最後まで買いポジションを維持することが可能になるのです。

また、2016年1月から5月初め(暴騰の直前)までは、取れないケースが8回も連続しています。8回連続というのは極端な例で、実際にトレードしていたら心が折れそうですが、こういった儲からないトレード、ダマシとなる転換を察知して避けながら、暴騰時にもちゃんと買っているなんて、いくらなんでも虫がよすぎる話です。

「それでも、もう少しダマシを回避できないだろうか」というテーマを掲げて考え続けるのがトレーダーですが、まずはダマシを受け入れ、同時に大きなトレンドでの値幅取りを実現するのが、とりあえずの正解ということです。

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次は、同じく「中源線シグナル配信」のユニバース銘柄、4751サイバーエージェントです。

ブイ・テクノロジーほど極端ではありませんが、中源線が機能しない値動き、つまり中源線の弱点が出てしまう値動きパターンのあと、「またかも……」と思わせておいてしっかりと利益が伸びる場面に遭遇しています。

こういった当たり外れは、なかなか読めないものです。
予見してうまく対応しようとすると、いろいろな条件をつけ加えて肝心の長所が薄まってしまうか、複雑な構造になって扱いきれないシロモノになることが多いのです。

これで、7月11日放送のフォローアップは終了です。
そして今夜8時の生放送は、ここで取り上げた「値幅取り」について、もっと詳しく突っ込んだ解説をする予定です。
お楽しみに!

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7月11日放送のフォローアップ(3)
林 知之

自分を高めるためのプロセス

トレードは、大切なカネにかかわる継続的な行為なので、誰もがマジメに取り組みます。でも、ラクな気分で楽しんでいるほうが自然体で、より良い結果が出るはずです。とはいえ、その場だけラクになる逃避行動は、のちに大きな苦しみを招くでしょう。
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(第88回 トレードの楽しみと苦しみ ~具体的なルールを決めるコツ~

経験しないとわからないこと

強い衝撃を加えると口をきかなくなる恐れがあります……結婚式のスピーチで流行した「新婦の取扱説明書」の一節です。

家電製品はもちろん、最近はスポーツ用品にまで取扱説明書が付いています。企業側は、法的な争いを前提にした言い訳を並べざるを得ないので、読んでいてうっとうしい記述も多いのですが、具体的な使い方や純粋な注意事項など大切な情報が書かれています。

さて、企業側の言い訳を器用に無視しながら取扱説明書を熟読しても、“実際に使ってみないとわからないこと”があります。

「赤いボタンを強く押して」と書いてあったとしても、どれくらいの力で押すと反応するかは、現実に確認してみないとわかりません。「約1キロの力で押してください」と具体的な数字が示されていても、実際の力のいれ具合を想像するのは難しいでしょう。

自動車ならば、アクセルを踏んだときの加速や、ブレーキを踏んだときの減速の度合いは、運転してみないと確認できません。

つまり、理屈だけでは片づかないことが現実には山積みだということです。

トレードは、カネのこと、経済のこと、という認識がありますし、スポーツや車の運転のように“からだを使う要素”がないので、「頭で考えるだけで実行できる」と考えがちです。しかし、現実は違います。頭の中だけで完結すると思っている「判断」や「決断」にも“からだ”が大きく作用するのです。

ダイエットをしたいと願っている人は大勢いますし、誰もが効果的なダイエット方法を知っています。世の中、情報だらけですから。でも、実行している人は極めて少ないのです。新しい情報に触れて「この方法ならカンタンだし続けられそうだ」と感じたとしても、実行しない、実行しても3日と続かないのが現実というものです。

トレードにおける判断も、今までのさまざまな経験や、幸か不幸か周囲からゲットしたアイデアが蓄積された「からだ」に大きく左右されます。実際、大暴落のさなかに「こういう場面は狼狽売りせず、むしろコツコツと拾っていくべきだ」と頭で考えても、いざ実行となると動けないものです。そして、数週間後に「やっぱりなぁ……」となるのです。

系統立った手法、あるいは何か小さな判断基準について、理屈で考えて「これはいい」と納得したとしても、それに慣れないと使えません。また、実際に大切なカネを投じてポジションを動かしてみないと、机上の論が現実でどのようになるか、プレーヤーとして何を感じるかなど、とても大切な部分を真に理解するには至らないのです。

損切り先行が正常?

中源線は、強弱(陰陽)の判断、3分割のポジション操作、資金量の設定(資金稼働率の限度)と、トレードの三大要素がバランスよく規定されています。

パラメータ(変数)の設定や銘柄の選定は「可変」ですが、それらを決めたあとは、売り買いのすべてが中源線のルールによって示されます。

だから、「ルールを理解すれば、本格的な運用を開始できる」と考えてしまいがちですが、前項で述べたように、やらなければわからないことがたくさんあります。今までの経験だけでは計れない、からだが受け止める「感じ」です。

論理的思考にまとわりついてくる「感情」もさることながら、現実の値動きの中でルールがどのように機能するかは、“実弾”でトレードしてみないとわからないのです。

また、複数の銘柄を同時に手がけたときの損益(の出方)についても、実際にトレードしてみないとわからないと思います。

機会があると説明しているのですが、例えば10銘柄を選んでよーいドンとスタートした場合、損益の生じ方が大きく期待外れになる可能性が高いのです。

相場の先行きについて当てることは至難の業です。だから中源線は、「当てよう」とするのではなく、「当たったときに利を伸ばし、外れたときに損を小さく抑える」ことを狙っています。まっとうなルールならば、必ず着目しているはずですが、俗にいう「損小利大」(そんしょうりだい)ですね。

10銘柄でよーいドンしたあと、損小利大の機能が正しく働くと、損切りが先行してしまうのです。良い銘柄は手仕舞いせず、3分割の2回目、3回目を実行してポジションを積み増し、時間をかけてねばります。悪い銘柄(そのときの値動きが中源線に合わなかった銘柄)については、逆行をみて早めに損切りすることになります。これが損小利大の流れなので、良い銘柄についてある程度の評価益がある一方、損切りが先行し、感情的には何ともおもしろくない状態に陥るのです。損失額を抑えて切った分は現金化され、次のチャンスに使う余裕資金だと理解しつつも、現実に損が出たという事実のほうが感情的には重たいものだからです。

中源線利用のプロセス

さて、今回のメインディッシュ、トレードにおいて「自分を高めるためのプロセス」を説明しましょう。

ここまで述べてきたように、理論を確認することは欠かせないながらも、本格的に資金を突っ込んで売買する前に、経験が不可欠なのです。本を100冊読んでも上手に泳げるようにはならず、プールならば理論を確認しながら何とか水面を進めたとしても、海や川に飛び込んだらおぼれてしまうでしょう。現実の値動きに身を投じて、いろいろな場面を経験し、その都度の体験と体感を蓄積することが大切です。その蓄積が、使っている手法の深い理解につながるからです。

取扱説明書には書かれていないこと、あるいは、取扱説明書の行間にある情報をつかみ取ることです。

中源線の場合は、ルールをすべて公開しています。
ルールに“ブラックボックス”があったら実用性が損なわれる、と考えているからです。
まずは、ルールの理解です。最初は「数式を丸暗記する」イメージでしょうが、すぐに慣れ、チャートを引きながら中源線の判断を感じ取れるようになります。この段階で「わかった!」とばかり大きな資金を動かしてしまうのは誤りで、次に行うのは実験売買、練習売買です。オトナとして、一定の恐怖心は必要です。ちょっとだけおそるおそる、でもさっさと実体験を積むための行動に出る、ということです。

実験売買、練習売買を続けるうちに、慎重な心持ちながら「わかってきた。いける」というポジティブなイメージが生まれるでしょう。そうなったら、資金を増やすことができます。しかし、資金を増やし、トレードサイズを大きくした場合の経験がゼロなのですから、再び「資金を増やした状態での実験売買」が求められます。

まどろっこしいと感じるかもしれませんが、コツコツと進んでいく姿勢は絶対に捨てないでください。

f-up3 プロセス

最終的に、その手法なりシステムを熟知する、中源線でいえば、ルールだけでなく現実にどういった場面でどういったシグナルが出るか、中源線の長所は何か、そして弱点はどんな部分か──これらを深く理解したところで、ようやく自分自身の感性を追加できる段階に至ります。

そもそも、人間には創造性がある半面、現実の決断でブレが大きいとの理由から「機械的な判断基準を利用しよう」と考え、中源線を手がけるはずです。中途半端な状態で「創造性を駆使して、中源線の当たり外れを当てよう」という考え方には、大きな矛盾があるのです。

もちろん、十分に儲かる確率があるシステムであっても(儲からなかったらシステムと呼ぶのは難しいのですが……)、自分の意思を尊重し、生身の人間として上手に利用することが重要です。とはいえ、理解が浅い状態では混乱するばかりなので、少しはガマンして慣熟のためのプロセスを考えてみるべきなのです。

シグナル配信サービスの特徴と正しい利用法

林投資研究所は、中源線の説明について力を入れています。

基本となる書籍『中源線建玉法』は先日、細かい表現を丁寧に見直した新版をリリースしました。

終日セミナーでは、ルールを覚えるための練習問題など、カリキュラムを工夫しています。

セミナーに参加できない人たちのために、映像を撮り下ろしてDVDを作りました。

そして、中源線を実行する際に多くの人の頭を悩ませているパラメータの設定については、最長31年間の過去データを検証して答えを出しました。その答えは、「中源線シグナル配信」に盛り込んであります。

中源線シグナル配信は、新興市場も含めて上場全銘柄を対象に毎日、中源線のシグナルを公開しています。特に実用性が高いと判断した銘柄は、「ユニバース」と名づけて別枠にし(現在99銘柄)、直近1年間のチャートも見られるようにしています。

「シグナル配信」といいながらも、アプリの領域に入る機能を加え、なおかつ安価で提供しているので、どなたでもカンタンに利用してトレードに用いることが可能です。

ところが、こうして充実しているだけに、逆にオモチャのように使ってしまうこともできるわけです。
ルールを知ろうともせず、経験もない状態で、「やれば儲かるんだろ?」と大きな資金を動かしてしまう……こういう姿勢では良い結果が出ません。これだけは、覚えておいてください。

では、現実にどんなことが起こるかを、実際の中源線チャートを見ながら想像してください。今回紹介するのは、9810日鉄住金物産です。この銘柄も、“パフォーマンスが良好で安定している”ユニバースに選定しているものです。

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7月11日の放送で紹介した、7月8日大引までのチャートですが、この時点で3分割の2回目と3回目の買いを入れて3/3(満玉)買いの状態でした。番組では「うまく買い下がったかな」とコメントしましたが、その通り、今のところ順調に推移しています。
この原稿を書いている7月27日の終値は、360円です。

しかし、2015年のシグナルを見ると、中源線が機能しているとはいえません。大きくヤラレている場面もないようですが、スカッと儲かる場面も見当たらないので、ストレスのたまる展開だったと感じます。ところが、多くのシステムが機能しなくなった2016年1月以降のほうが、うまく機能しているのです。

このように、ルールを熟知している私たちでも予想できないことが、現実では起こります。「こうなるだろう」「きっとこうだ」でトレードすると、個々のポジションについて期待外れの結果が出るだけでなく、取り組み方そのものが壊れてしまうかもしれません。

利用のプロセス、習得のプロセス、実力を高めるプロセスは、本当に大切なのです。

次回のフォローアップ(4)では、「トレードで値幅を取る」ことについて深く考えてみます。
お楽しみに!

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大阪トランプ

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先日から、ポケモンGOのプレーヤーが街中にいます。
「歩きスマホはダメ」って、スマホを片手に歩きながらプレーするゲームです。
知らずに歩いている人にとって、急に立ち止まったりクルッと向きを変える人をよけるのがゲームとなっていますが、得点はありません……。

株式市場では任天堂などポケモン関連がにぎわっているようですが、材料張りはしないので特に興味はなく、ふと80年代の証券会社店頭の風景を思い出しました。

任天堂は、明治時代の初期から花札を作っていた会社で、日本で初めてプラスチック製のトランプを作ったそうですが、社名の由来が「運を天に任せる」というのですから、テキトーというか自由奔放というか、昔の社内はどんなだったかと想像を巡らせてしまいます。

70年代からはゲーム機の製造に取り組み、紆余曲折を経て大当たりしたのが、1983年に発売されたファミリーコンピュータ、通称「ファミコン」です。
株価はうなぎ登り、多くの個人投資家が相場に参加していました。

同じ1983年に東証第一部に上場との記録がありますが、もっぱら大阪市場の商いが中心で、店頭のお客さんが「任天堂の板を見てくれ」と言うと、株式部を経由して電話で板の状況を聞くのです。
インターネットどころかケータイもなく、私が証券会社で働き始めた1986年は、漬け物石のように重たいショルダーフォンが発売されて間もないころでした。

支店の片隅には、「場電」と呼ぶ真っ黒い無骨な電話機がありました。
ダイヤルもボタンもなく、重たい受話器を手に取って電話機の横のダイヤルをグルグルっと回すと相手方(株式部)の場電がリリリーンと鳴る仕組みです。

証券会社が使う任天堂のニックネーム(符丁)は「トランプ」。
東証ではなく大証の板状況を聞くので、ダイヤルをグルグルッと回して相手が出たら「大阪トランプ、バイカイ」と告げます。

数分すると情報が届くので、紙に書いて依頼したお客さんのところへ行くと、周囲の常連客ものぞき込み、やいのやいのと意見を言い出すのです。
おもしろい時代でしたね。

相場の世界は、昔も今も情報戦の毎日です。
電話加入者が200に満たなかった時代、東証に2台の電話があったそうです。
そしてインターネットが普及する前は、月々の料金がバカ高い専用線でつないでいる情報端末のニュースや、立会場、あるいは営業マン経由で最新の情報が伝わっていました。アナログ時代とは思えないスピードで。

で、その内容はというと、実にいいかげんな情報もたくさんありました。
スピードが命とばかり、話の半分も聞かずに顧客や他社の営業マンに電話するので、全くのデマに尾ひれがついてホンモノっぽくなっちゃう。
ピンピン元気な有名人が死んだという話で薬品関連の銘柄が物色されたり、世間と隔離された閉鎖的な世界で、とんでもない話が飛び交っていました。

「終値だけを見て判断しよう」と言うと、「今どき、そんなモタモタしてて儲かるのかよ!」と突っ込まれるのですが、情報の量もスピードも段違いの現代でこそ、一線を画した姿勢に価値があると考えています。


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7月11日放送のフォローアップ(2)
林 知之

長続きするのが“良い”やり方

トレードは、大切なカネにかかわる継続的な行為なので、誰もがマジメに取り組みます。でも、ラクな気分で楽しんでいるほうが自然体で、より良い結果が出るはずです。とはいえ、その場だけラクになる逃避行動は、のちに大きな苦しみを招くでしょう。
マーケット・スクランブル7月11日の放送は、トレードの楽しみと苦しみ、こんな観点でお送りしました。
そのフォローアップ(2)です。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第88回 トレードの楽しみと苦しみ ~具体的なルールを決めるコツ~

範囲を決めて“遊ぶ”

前回のフォローアップ(1)で、「プロには、方向性を定めてくれる適切な制約がある」と述べました。これについて、もう少し説明します。

床に30センチ幅で2本の線を引き、そこからはみ出さずに歩くのは造作もないことでしょうが、地面から10メートルの高さにある30センチ幅の足場板だったら、難易度はかなり高くなります。

工事現場

十分な能力があったとしても、状況によって“できる”“できない”の大きな差が生じるのです。トレードにおいて、例えば引けあとに翌日の売買を考えるならば時間はたっぷりとありますが、結果を想像して緊張し、時間がある分だけ迷いも大きくなりがちです。失敗を恐れるあまり、「10メートルの高さに足場板」と同じ状態になると認識しておくべきでしょう。

緊張した状態で勝つのは難しいので、緊張を軽減する工夫が必要です。
それが、事前に決めておく「制約」のルールです。

制約があれば選択肢が減って「不便になる」と感じるかもしれませんが、実は逆に、極めて自由になろうという発想なのです。

例えば、駅のホームを歩く際に「どこでもいい」と制約を設けなかった場合、線路に近い端を歩き、足場板と同じように緊張してしまうかもしれません。シラフでも、完全に自然な歩き方はできません。
でも「ホームの端は歩かない」と制約を設け、常に中央寄りだけを歩けば安心です。さらに、「人がたくさんいたらムリに移動しない」といった制約も加えれば、歩き方そのものは終始ラクで自然になるし、少なくとも線路に落ちてしまう危険性はゼロに近づきます。

もうひとつ、日常生活の例を考えてみます。
子どもを遊ばせるとしたら、どんな場所が適していますか?
危険のある場所で遊ばせ、細かい禁止事項を示し、さらに一挙手一投足に目を光らせる……そんなのは非現実的です。
そうではなく、安全な遊び場を与えて「好きに走り回りなさい」と言えば、子どもはのびのびと遊び、しかもケガをする可能性が少ない状況をつくれます。

子ども

トレードでも、これと同じ設定をするべきです。
ユルユルのルールでポジションをつくり、「ちょっとマズイ……」なんて状況になってから必死に考えたって、良いアイデアは浮かばないでしょう。

それよりも、最初から一定の制約の中に身を置き、その中で、まるで子どものように自由に売り買いを決めていくほうが、ナチュラルな行動で良い結果が期待できるはずです。

ちょっと低めの限度を設定しておけば、感じたまま売ったり買ったりしても、雑な売買、乱暴な決断に近づくことはなく、きちんと管理された中での「適正な“遊び”」が実現するでしょう。

つらさを感じないための心の調整

「一定の制約を設けておけばいい」とはいっても、その設定が重要です。
多くの個人投資家を見てきた経験から自信をもって言えるのは、「常識的な人が、そこそこ慎重に考えた設定でも、ほとんどの場合は“やりすぎ”になっている」ということです。

6月下旬、英国のEU離脱を受けて世界の市場が大きく動きました。
この例を見てわかるのは、誰もが「えっ!」と驚くような変動が、常に起こり得るという事実です。

しかし人間は、心理的に、そういった危機的な状況を想像しない傾向があります。
2003年に起きた韓国の地下鉄火災では192人もの死亡者が出たのですが、煙が充満する車両内で、なぜか落ち着き払って座っている乗客たちの写真が話題となりました。

2011年3月の東日本大震災では、津波の危険性を伝え続けてきたはずの地域で、悲しいことに、「大丈夫だろう」と逃げずに犠牲となった人が大勢いました。

危険が迫っているのに「自分は大丈夫」と考えるのが、人間に共通の傾向だといわれています。文明社会の中で私たちは、さまざまな心的偏り(バイアス)を抱えており、「自分は大丈夫」と考えてしまう心理を「正常性バイアス」と呼ぶそうです。

必要な損切りができなかったと後悔しながら、心理学の理論を持ち出しても後の祭り。でも、事前に理論的な考察をして、「よし、自分で大丈夫だと感じるラインの70%にとどめておこう」と控えめな設定をすれば、真に安全な環境をつくることになります。

すべて肯定形がいい

「制約を設けろ」と説明しましたが、禁止事項を守るのは心理的につらい、というか抵抗を感じるものです。これはダメ、あれもダメでは、息が詰まります。それに、ダメだと言われると逆にやりたくなるのが人間の心理です。

毎日飲みに出かける人が「よし週に3日は飲まずに帰ろう」と決心しても、なかなか実行できません。「行かない」という否定形だからです。そうではなく、飲まずに帰って何をするか、どんな楽しい時間を過ごすことができるかを想像し、そこに目を向けるとエネルギーが湧きます。
例えば、「早く帰って犬の散歩をすると、同じく犬を連れたきれいな奥さんに出会える」とか(笑)。「散歩のあとはビールがうまいし、家飲みでこづかい節約」でもいいでしょうね。

犬の散歩

自分でトレードルールを決める場合でも、肯定形がオススメです。
「~しない」という否定形の発想がスタートでも、それを肯定形に置き換えればいいのです。

例えば、ポジションをダラダラと長引かせてしまうのが問題だと考えている、としましょう。とりあえずは、「ダラダラと長引かせない」という否定形の表現が浮かぶかもしれません。それでOKです。でも、次に肯定形に変更し、ワクワクする結果を盛り込むのです。

「自分のトレードは、調子の良いときに約1カ月だから、ちょうど1カ月で必ず手仕舞いすることにしよう。すると、悪いポジションが残らず、ムダがなくなり、スムーズなトレードに変わるだろう」

制約を設ける目的は、制約なしでトレードして悪い状況に陥るのを防ぐことです。
つまり、制約があることで、より心地よい状況が生まれるわけです。
その心地よい状況をリアルに想像すれば、いざその場になっても迷わずに自分のルール通りに行動できます。

自分を殺すな

トレードの制約は、自分を助けるルールです。
しかし、冷静な頭で考えてつくるもの、いわば“第三者の視点”で生み出す規則です。ですから、プレーヤーとして決断の場に臨んだとき「ジャマだ」と感じてしまうことがあります。自分で「やらない」と決めたことなのに、「この状況こそ、やるべきだ」なんて考えが浮かぶことが多々あるわけです。

これが、トレードの非常にデリケートな部分です。
自分で決めたルールを破ってしまったらダメなのですが、細かく規定した中で裁量を入れることもアリ、というのが現実でしょう。少なくとも、ルールを大切にするのと同様、個人的な相場観や感性も尊重するべきです。もちろん、その裁量の範囲も事前に決めておく必要があるので、それ自体がルールと呼べます。ここが深くて難しい部分ですね。

継続的に紹介している「中源線建玉法」は、ロジック(トレードルール)をすべて公開しています。また、そのルールに基づいた利用方法をどう構築していくかという深い部分も、書籍『中源線建玉法』(林投資研究所オリジナル)で説明しています。

その中から、規格化されたルールと相場観の関係についての記述を引用します。
「中源線のルール通りでも一定の利益が期待できる」といった説明について、利用者の心理を考察している部分です。

「誰でも簡単に儲かるじゃないか」と言われるかもしれない。しかし、人間には自己主張があり自分の意思を通そうという気持ちがある。だから、法則どおりに売買することは、一見すると簡単なようで容易ではない。実行に際しては、さまざまな心理的抵抗があるのだ。
実際に私も、およそ20年の間で、中源線を捨てようかと思ったことが何度もあり、そのたびに思い直して統計を取り始める──そんなことを繰り返してきたのだ。
(新版 中源線建玉法「第一部 解説」より)

「規定どおりにやる」というのは「自分の意思を殺す」ことだ。自分を殺す努力は、創造の努力と違って、まことにむごたらしいくらい苦しい。なかなかできることではない。
だから、多くの人が中源線による売買の成果を十分に認めながら、また現実に利益が出ているのに、途中で放棄してしまう。
中源線の骨子さえ守れば、部分的には自分の意思を通してもよい。また、そうしなければ長続きしない。
長続きすればこそ、大きな利を得られるのだ。中源線を知り、これをもとにして、相場で利益を得ようと志した目的を達成することができる。
しかし、自己を殺すことの難しさは、私自身、身にしみてわかっている。相場をする者として、自分の意思を通さなければ、相場の苦しみも喜びもないことも、よく承知している。
(新版 中源線建玉法「第四部 実践と実験」より)

「むごたらしいくらい苦しい」などと大げさな表現と感じるかもしれませんが、カネの増減という切実な問題をよそに、相場が好きなほど、中源線を評価すればするほど、こういう心境に陥るはずです。

もし中源線を利用しようと決めたなら、ポジションサイズを抑えた実験売買を行う間は、余計なことをせずに規定通りに売買するべきです。しかし、本格的なトレードを開始するにあたっては、「中源線をどう利用するか」を自分で決めて臨まなければなりません。

「規定通りに売買する」というのも、選択肢のひとつです。
一定の状況下で休む(シグナルが出てもポジションを取らない)という自分ルールもアリです。
あるいは、条件がそろった場合のみ株数を増やす、という裁量もアリです。

ルールを必ず変更しろ、ということではありません。
自分を信じ、自己を尊重した決断によって、資産運用を行うことが大切なのです。

既成の手法を利用するにしろ、それを改良して使うにしろ、他人の価値観を拾う姿勢ではなく、自分の価値観で進むようにすれば、長続きするやり方が構築できます。そして、経験を積むごとに進化して強化されていく「確信ある自分流」が固まるのです。

派手な動きに刺激される事例

さて、中源線のシグナル通りだとどうなるか──。
中源線のルールを理解したうえで、多くの事例を経験して確認するしかありませんが、少しでも助けになるように、番組やこのフォローアップで情報を提供しています。

今回紹介するのは、直近でド派手に急騰している、7717ブイ・テクノロジーです。

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7月11日の放送で紹介したあとも上伸しているので、この原稿を書いている7月20日現在のチャート(7月19日大引まで)を用意しました。

もともと、コンスタントに変動し、中源線との相性が良い銘柄です。
しかし、2016年1月後半の陽転から連続して8回、取れない転換が起きています。
そのあと、5月の陽転以降は驚くほどの上昇で、中段にあるダマシの陰転2回を挟んでも利益が積み上がっている様子がわかります。

「ちゃぶつきで小さな損が重なり、その後のトレンド発生でしっかり利益が出た」と説明すれば、そのまま中源線の特性を言い表しているだけです。しかし、今回の暴騰を予見していたわけではありません。中源線は、「暴騰する銘柄を見つける」システムではないのです。

こういった派手な値動きがあっても、ポジションをしつこく維持するので値幅が取れる──これは中源線の大きな特長のひとつですが、こういった派手な動きを見て興奮することは控えてほしいのです。

中源線シグナル配信のサービスでは毎日、上場全銘柄について中源線のシグナルを確認してWEBページに表示しています。このシステムを利用すれば、例えば「今日の引けで陽転した銘柄」を拾ったあと何らかの条件で絞れば、「明日のオススメ買い銘柄」みたいなものを並べることだって可能です。実際に行えば多くの投資家が興味を持ち、ビジネス的には伸びるのでしょう。でも、トレードの正しい姿勢を示すことにはなりません。それどころか、全く方向違いの情報提供になるでしょう。

中源線は、強弱の判断に加えて3分割の売り買いが規定されている手法です。だから、「当たった」「外れた」の観点に注目して興奮状態を維持することも可能ですが、適切なトレードの基礎である「確固たる基準による判断」「当たり外れを容認したポジション操作」「成績に波があることを承知した資金管理」をバランスよく盛り込んだ“建玉法”だと理解してほしいのです。

次回のフォローアップ(3)では、「自分を高めるためのプロセス」について考えます。お楽しみに!

chg-1_cover_frame150四部構成の書籍『中源線建玉法』

その「第一部 解説」のみ、無料配布版があります。
1.印刷版(無料にて郵送)
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