手仕舞いの問題を解決するルール
相場の世界で古来より難事とされるのが、「手仕舞い」です。
損の玉は切るしかない──でも、損を確定するのはツラい……。
利の乗った玉は維持したい──でも、「利食い千人力」というし……。
常に未来を考えて行動するのがトレードだとわかっているのに、過去を起点とした現在の出来事に縛られてしまうのが人間の心理です。
迷わずに手仕舞いを実行する基準は? 中源線建玉法の考え方に、ひとつの明確な答えが存在します。1月16日の放送では、中源線における手仕舞いの基準を、わかりやすく説明しました。そのフォローアップ(2)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第100回 手仕舞いせよ! ~ふところに入れてなんぼじゃ~)

手仕舞いは古来からの難事
トレードにおける手仕舞いは、とにかく悩みのタネ。
多くの人が、対応を工夫しながら苦しんでいるはずです。
まずは、手仕舞いを難しいと感じてしまう状況を確認します。

ポジションを持っている間は、将来の可能性が残っています。
「悪くなる可能性」に不安を感じる一方で、希望的観測によって「良くなる可能性」を感じるため、混乱します。それが、手仕舞いを迷っているときの心理状態です。
とにかく、手仕舞いによって、ひとつの区切りが生まれます。
トレードには制約がないため、スポーツのように時間で試合終了ということはありません。審判もいません。自分でケリをつけるしかないのです。
自由すぎて、迷ってしまうのです。
悪い玉については、「悪い」とわかっています。
「だったら切るしかないじゃん!」ということなのですが、負けを確定させるつらさがあります。
良い玉は、いつ手仕舞いしても利益ですが、逆行して利が減ってしまう不安がある一方、さらに利が伸びる可能性もあるので、これまた迷います。
理想的な利食いは、いわば、サイコーに仲良しの恋人と、クリスマス前の絶頂期に別れるようなものですから、心理的に抵抗を感じるのも当然です。
「仕掛け→手仕舞い」で1サイクル
手仕舞いを単独で考えるから、つらい気持ちばかりが強くなるのです。
売買という行為を、もっと大きな目で見るといいかもしれません。
売りでも買いでも、確固たる考えがあって仕掛けます。
そして常に、「反対売買して現金の状態に戻す」ことが前提です。
こうした事実を再確認し、「さらに次の売買もあるんだ」と考えれば、たった1回の手仕舞いに固執する気持ちが軽減し、思考がラクになるのではないでしょうか。
「仕掛け→手仕舞い」で1サイクル、それを何度も繰り返しながら、ずっと続けるのがトレードです。
カネが絡むので、つい力が入りますが、「手仕舞いするかどうか」の判断について、あらためて考えてみれば、日常生活でのちょっとした決断、「カツ丼にするか天丼にするか」「もう一杯ビールか、レモンサワーにするか」といったことと同じです。今までも、これから先も、同じような決断の場面が繰り返しあるのですから。

狙い所を決めろ
つい、いろいろなパターンの値動きを取ろうとしてしまうのですが、独りで扱える範囲なんて意外と狭いものだと、ムリせずに考えるべきです。
100通りある方法から1つだけを選んで実行するのが、トレードの王道です。
必然的に、残り99は、残念ながらバッサリ切り捨てるしかないのです。
往来する動きを逆張りで取るのが得意な人は、想定するボックス圏の値動きでコツコツと利益を積み重ねることができます。でも、相場が大きく動き始めたとき、急に方式を変更して取りにいくなんて、なかなかできるものではありません。
「動きが変わった」「自分の得意な相場ではなくなった」と捉えて、手を引くのが賢明です。上がってきて「また天井を打つだろう」とカラ売りを仕掛けた、すると想像以上に強い値動き。仕方がなく踏んで、ポジションをゼロにして休みを取る──これが、自分の方式に徹するということです。
逆に、大きな変動を狙う人は、往来を見ながら「ここからブレイクするか」などと観察する結果、見送るときもあれば、仕掛けて損切り撤退することもあり、そんなことを繰り返して小さな損を重ねながら、「よし、乗れた!」というときに大きく値幅を取って取り返す──こんな展開を想像することができます。
器用に振る舞い、複数の方式を同時進行させる人もいますが、誰もがマネできることではありません。できるかもしれませんが、「自分は不器用だ」という前提で取り組みながら、たまに背伸びを試みるくらいが、進歩の道を模索する正しい道です。
でっかい夢をもちながらも、行動スタイルは現実的かつ慎重にしておくのが、プロに倣(なら)った姿勢、個人投資家こそ大切にすべき危なげない歩み方だと考えてください。
ダメ情報に気をつけろ!
さて、「100通りある方法から1つだけを選ぶ」と述べました。
中源線は、どんな動きを想定した手法なのでしょうか。
「古来より難事とされている“手仕舞い”についても規定してある」
『新版 中源線建玉法』の「第二部 本文」には、上記のように書かれています。
手仕舞いについて規定されている、考えられている、これだけでドヤ顔を見せたくなるほど、一般的な投資情報には不備があるのです。「ここで仕掛ける」とエントリーのことだけに言及して終わっているものが、不備の典型です。現実で大切なことに触れていない、シンプルでワクワク感満載ということから最も売れる情報、つまり「商業的な価値が高い」のでしょうが、トレードを行ううえでは不完全、かつ勘違いを生む“悪質情報”、真に価値ある情報ではないのです。
海外旅行に出かける際、「キップは片道」と言われたら驚きます。
登山の計画は、下山ルートまで含めたものに決まっています。
飛行機は、着陸の場所があるから離陸できるのです。
ものすごく当たり前のことなのに、世の中には、仕掛けにしか言及しない予測法、予測情報ばかり……ダメじゃないですか!
それに対して中源線は、「売買によって現金を殖やす」という、トレード、資産運用のジョーシキをまっすぐに見ています。
だから手仕舞いが規定されていて、見込み違いだったときの素早い対応まで積極的にルール化されているのです。結果として、実用的なのです。

中源線の思想と手仕舞いルール
さて、中源線における手仕舞いとは──。その概略、根底のトレード思想を示します。
冒頭、手仕舞いが難しい理由を示しました。
多くの場合、「うん、そうだよね。だから難しいんだ……」で終わりにします。でも、それでは実践論になりません。真の意味で、手法とは呼べません。
考え方はさまざまですが、中源線では以下のように考えます。
ダメ玉……切ってしまい、反対方向に建てる
良い玉……傾向の変化を確認するまで維持、利を伸ばすべく努める
トレンドの変化、つまり「上向きから下向き」「下向きから上向き」という流れの変化に対して、素直に行動しようとするのです。
「上向いてきた」と判断して買う
そのあと「下向きになりそうだ」と判断したら、迷わずドテン売る
再び上向き傾向になったら、過去にとらわれずにドテン買う
マーケットとは無関係な「自分の都合」ではなく、損益を決定する唯一のものである値動きを正面から見ることで、実用性の高い対応方法に仕上がっているのです。
「ダメ玉は切る」の結果として、中途半端な往来、気迷いの往来で損切りが連続することがありますが、その際の損失額を抑えるために3分割の売買が規定されています。「良い玉を維持する」との考え方がルール化されていることで、値幅が発生したときにシッカリと取ることが可能なのです。
何よりも、プレーヤーとしての「答え」が明確です。
「え~どうしよう……」などと言わず、自己責任から目を背けず、未来を考えて確固たる“一手”を堂々と実行する姿勢です。
では、「手仕舞いは難しい……」との問題に、中源線ならではの答えを書き込んでみましょう。

悪い玉について、見て見ぬふりをしてはいけません。自分のことですから。
一定の逆行に注意し、さらに逆行するなら、まずは切る!
そのかわり、良い玉は放置します。小幅利食いが手堅いなんて、大きな勘違い。
取れるときには取る──これが、避けようのない損失(経費)を賄ったうえでトータルをプラスにするための考え方です。
この中源線の考え方を現実に実行した場合にどうなるか、「中源線シグナル配信」で表示するチャートで確認してみましょう。

牧野フライスは、大統領選後に陽転した銘柄です。上に示したチャートは1月13日までのもので、とりあえず12月の高値をつけたあと横ばいです。裁量ならば迷ってしまうかもしれませんが、中源線では、もう少し明確な下げ傾向が出て、ルールによって「陰転」しない限りは買いポジションを維持します。ここからガクンと下げて陰転した場合は「あの時売っておけば」なんてムチャな結果論を言いたくなりますが、そんな状況があっても仕方がないという現実を受け入れ、ここからさらに上伸した場合の可能性を捨てずに買いポジションを持ったままにするのです。
上昇がスタートする前に、ダマシが発生しています。
8月後半に陰転したが下げずに推移、10月後半に陽転するも11月上旬に陰転、大統領選後の上昇で陽転……目先はちょっとガッカリする結果ですが、淡々とルール通りに対応することで、大統領選後に上昇にしっかりと乗っています。ダマシを食らった半面、裁量では対応しにくい値動き傾向の変化を捉えることにつながりました。

テイクアンドギヴ・ニーズは、大統領選よりずっと前に陽転し、大統領選を境に上げが加速した銘柄のひとつです。
9月上旬に陽転するも伸びず、実際に買っていた場合、10月後半に500円台に乗せた時点で「時間ばかりかかる」という印象をもってしまうでしょう。7月あたりの安いところで買っていたら、精神的に疲れて「やれやれ売り」をしてしまう、つまり、良いところで買ったために、本格的な上昇前に手仕舞いしてしまう……そんな結末も考えられます。
番組で大橋ひろこさんがときどき言う、「すぐに売っちゃった」ってヤツです(笑)。
でも中源線の考え方では、「下向きの傾向を確認するまで買いポジションを放置」するので、今回のケースでは、大統領選後の上げ加速を捉える結果となりました。

さて、次回のフォローアップ(3)では、「手法をもつ」「確固たる判断によってポジションを動かす」ことについて、あらためて掘り下げます。とても大切なことです。
お楽しみに!
書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。
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