トレードに欠かせない視点はなに?
「どの銘柄を買うか」という発想から「どのタイミングで買うか」へ──値動きを観察しながら出処進退を考える“手法”への入り口です。
では、「どのタイミングか」を決める方法はなに?
大切にするポイントはなに?
2017年3月の放送では、基本的なことでありながら実に深い部分に切り込みました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第104回 うねり取りを進化させる ~トレードルールのつくり方~)

飛行機は落ちる?
最も安全な乗り物とされているのが飛行機。特に大型の旅客機は、設計だけでなく、運航のマニュアルまで厳格です。エンジンが4基ある機体で3基がストップしても飛びますが、1基にトラブルがあっただけで、念のため最寄りの空港に降りると決めていますし、パイロットはコックピットでボサッとしているのではなく、機体の状況をちくいち確認しながら、「今この瞬間、トラブルがあったらどこに降ろすか」と考えているのです。
まず間違いなく目的地に到着できるのですが、大げさにいえば、常に「落ちる」ことも想像しているということです。各種のスイッチだって、操作性を考えるだけでなく、「人間はミスをする」前提で設置されています。
考えてみれば、例えば日常の待ち合わせで早めに着くようにするなど、不測の事態を想定しておくのが常識です。飛行機は落ちる、車は事故に遭遇する(だから保険に入る)、アナウンサーはかむ、酔っ払いは寝過ごす……実はすべて当たり前なのです。
それなのにトレードでは、「損をしない方法」を求めてしまいます。
理屈でわかっていても、ちょっとの見込み違いも感情が受け入れられないのです。
上手にやろうというイメージは人間の創造性を刺激する大切な要素ですが、「当てるんだ」と意気込むと、盲点が生まれてしまうと考えられます。
行動範囲を狭くしたほうが精度が高くなりますし、経験による質の向上も期待できます。でも、視野は広く保つべきです。
「儲けるぞ」と自分を信じながらも、「ミスはある」「対処方法を考えておくことが不可欠」との認識を捨ててはいけないのです。

買うときの正しい発想は?
株は「買い」だけではなく、下げを狙う「カラ売り」もありますし、ポジションの取り方ひとつで戦略は無限に広がります。でも、わかりやすく「買い方」に限定して考えてみます。
経験ゼロの人が考えると、「どの銘柄を買えばいいの?」となるでしょう。
もちろん、本格的なトレードであっても銘柄選びは重要ですが、初心者は単なる当てものとして「どれ?」と考え、だけど考えを進めるだけの知識と経験がないために思考が止まり、他人の情報を頼ります。
しかし、ひとたび「手法」という発想が生まれたら、「どこで買うか」と考えるでしょう。すなわち、「どんな局面で出動するか」「何を基準に買いをスタートするか」という切り口です。
こういった発想を突き詰めていくと、だんだんと視野が広がっていきます。
「あえて休むべき場面はどこか」といった考え方も生まれますし、選別投資の手法でも「資金全体の稼働率を調整する」なんてアイデアも出てくるわけです。
カチッといくかユルッといくか
初心者のように「どの銘柄?」でも、ベテランのように「どこで出動?」でも、予測をピシッと当てたいと思うのが人情です。しかし、番組で何度か説明している通り、勝率にこだわるのはキケン、勝ちの値幅が限定されてしまうという矛盾が生じやすいのです。
そこで、感情的に満足できる「高い勝率」を意識せず、ゆるく入るようにするべきです。わざわざ“ゆるめる”なんてヘンな話ですが、「誰も明日の値段さえわからない」というマーケットの基本構造を再認識し、背伸びしない姿勢をもつのが重要だということです。
出かける際に「雨が降るかどうか」をビシッと当てるのではなく、降ってもいいように準備しておく、カサを用意して降らなかった場合にキレない(笑)といった“ゆるさ”こそ、オトナが選ぶ現実的な対応です。
ちなみに、トレード手法というものは、3つの要素で成立しています。
「予測」「ポジション操作」「資金管理」です。
予測の確率を100%にはできないので、当たったり外れたりを想定したポジション操作をセットにします。また、「9勝1敗でもドボン」では困るので、効率と同時に安全性を考えた資金配分を設定します。
予測が当たる必要はなく、信念ある行動の「きっかけ」になればいいと考えるのが、実践家の姿勢です。

中源線は逆行に注目する
さて、ちゃんと飛んでいく飛行機の運航が「飛行機は落ちる」を前提にするのですから、マーケット動向の予測なんて、外れまくることを想定しなければなりません。
でも、当たってうれしい、外れて悔しい……ではなく、次の一手を考えることが求められます。
中源線の場合、終値の折れ線チャートを用いたシンプルなパターン分析で、数カ月単位の上げ下げを判断します。これが、手法の3要素の1つである「予測」です。
2つめの要素である「ポジション操作」については、順行(予測通りの動き)は放置、逆行は対処を考える、というのが中源線の基本です。
買って上がった──このとき、どんなに急激な上げでも、どんなに値幅が取れても、順行の流れがあるうちは放置して利を伸ばそうと努めます。
しかし、逆行(買っている場合は「下げ」)が一定のパターンを示したら、買いポジションを手仕舞うとともにドテン売ります。しかし、3分割で慎重に……。
この基本ロジックは、2017年2月にリリースした新刊『入門の入門 中源線投資法』の中で説明しています。私が執筆した自信作なので、ぜひ目を通してみてください。

目次などの詳しい情報は、こちらをクリック!(中身のチラ読みもできます)
思った通りの流れではないと思ったらポジションを動かし、思った通りならば基本はジッとして利が伸びるのを期待する──これが中源線の特徴です。
実際の値動きも、見てみましょう。
下のチャートは、4745東京個別指導学院、林投資研究所の助言サービス「中源線シグナル配信」において、パフォーマンスが良好かつ安定していると判断した「ユニバース」98銘柄の1つです。
「順行は放置」と説明した中源線の特徴が功を奏し、2016年11月からの上昇にみごと乗っています。
しかし、直近でもダマシがあります。2つのバツ印の部分を見てください。
最初のバツ印は、安値で陰転(売りに転換)したあとジワジワと逆行(上昇)し、ちょっと遅れたタイミングで陽転(買いに転換)しています。多くの場合、もう少し早めに転換してくれるのですが、いずれにしても、相場あるあるの「いつまでも逆行を放置」なんてことは起こりません。
2つめのバツ印は、2017年1月中旬に一時的に弱含んだ局面での陰転です。
ここでは、買いポジションを利食い手仕舞いしてドテン、カラ売りを仕掛けます。このケースでは、すぐに逆行(上昇)して陽転しているので、3分割の1回分のみカラ売り、再び陽転したところでは2/3買いにひっくり返すという、何ともプロっぽいポジション操作がありました。
特別番組「トレードルールのつくり方」
トレードのルールは、ある特定のパターンを想定してつくるので、異なるパターンが発生して利益にならない、そんな期間も生じます。そこで思い悩むわけですが、考えを進めるポイントを絞らないと、情報ばかり増やして迷走してしまいます。
トレードルールのつくり方──今回のマーケット・スクランブルと同じテーマで、特別番組を放送する予定です。
バリバリの実践家である、アンディこと沼田武氏と私で意見を交わし、MC役をお願いした池田ゆいさんも討論に加わってもらおうという、実践家のための企画です。
収録は来週、放映の予定が3月下旬です。
あらためて案内しますので、お楽しみに!

次回のフォローアップ(2)では、当たり外れがある現実の中で、どのように利益を上げるかについて、いつもとは異なる観点から解説します。
お楽しみに!
書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。
たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)
長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル
※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

















