中源線の強みと弱み
うねり取りは、個人投資家の強みを発揮できる売買手法です。でも、どんな手法にも強みがある一方、表裏一体の弱みがあるのは当然。
うねり取りの強みと弱みは? うねり取りを機械的に実行する中源線では?
2017年2月の放送では、トレードの本質を掘り下げ、プレーヤーとしての姿勢そのものを考えました。そのフォローアップ(3)です。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第102回 うねり取りの強みと弱み ~中源線の場合は~)

今回のテーマは、「うねり取りの強みと弱み」。その「うねり取り」を、機械的な判断で行おうとするのが中源線建玉法です。では、中源線の強みと弱みは何でしょうか? 前回までの流れを、おさらいします。
情報に頼らず、株価と自分の感覚だけで売買を実行する道がある
そのほうが、個人投資家の強みを発揮できるのではないか
しかし、技術が求められるし、ブレが生じやすいことがマイナス面
では、機械的な売買ルールを利用すればいい ←いまココ
中源線の強み
機械的な売買ルールを用いれば、1回ごとの迷いは消えます。日々の作業は、売買シグナルに従うだけだからです。
昨年11月、米大統領選の開票時に乱高下した状況を思い出してください。
丁寧に対応しようとした人ほど、臨機応変に行動しようとした人ほど、振り回されてしまったと思います。
ガクンと下げたから売った、あるいは事前に売ってポジションをゼロにして、翌日以降の上昇にサッと乗れた……そんな芸当は、なかなかできるものではありません。
あの場面で中源線はどうだったか──。
終値だけで判断するので、11月9日の下げで陰転した銘柄はそれなりにありました。しかし、多くの銘柄が、10日あるいは11日に再陽転したのです。もちろん、11月9日の下げで陰転しなかった銘柄も少なくありません。
ガクンと下げたからドテン売りにいったが、わずか1日で「再びドテンして買え」というのですから、生身の人間の感覚では「おいおい……」というところでしょう。そのまま行動に移すには抵抗があります。
でも中源線は「機械的な判断」を行うので、実にアッサリと「売れ」「買え」とシグナルを出してきます。現在までの経緯などをグズグズ考えることなく、極めてシンプルに“近未来”を見据えた一手を指示してくるのです。
わかっていても実行できない、自分の都合を土台とした感情がジャマをする……そこで、上記のような理想の一手を示してくれる存在はありがたい、売買シグナルをそのまま実行していればダメ玉に悩まされるなんて事態は起こらない、ということになるわけです。
しかも、中源線のルールは複雑怪奇な“ブラックボックス”ではありません。なぜそうなるか、どうしてそう判断するかが、感覚的にも理解、納得できている点は大きな強みです。ブレずに進んでいくことができるからです。

中源線の弱み
しかし、強みと弱みは表裏一体、中源線にも弱みはあります。
中源線は、トレンドが変化し始めた(と思える)動きで転換します。つまり、売りから買いに転換する「陽転」ならば、最安値で買えないのは当然として、最安値近くでチマチマ往来していても反応することなく、少し上昇し始めたところで「トレンド転換を確認。陽転!」と判断します。
この部分は、人間の感覚と近いため、中源線の大きな特長、最大の強みでもあるのですが、このロジック(判断ルール)がアダとなるケースもあるのです。
中途半端に上昇して陽転、出損なって弱含みになって陰転、でも大きく下げずに再び少し強張って陽転……こんな動きが続くケースも、現実では避けられません。
そのときだけパラメータ(調節つまみの役割を果たす変数)をきつめに調整すればいいのではないか──誰もが考えることですが、あとからチャートを見るからいえることであって、その場で判断するのは至難の業。
つまり、中源線の強みである「わかりやすい転換タイミング」「そこそこ値幅が出たときにシッカリ取れる」といったことを享受するには、中途半端な往来で“往復ビンタ”を食らうしかいない、そんなイヤな場面を甘んじて受け入れるしかないということです。
あまりに続くと心が折れてしまいそうになるのですが、ここで、中源線はロジックが公開されている、そのロジックがシンプルだから感覚とシンクロする、といった特長が生きてきます。
既製品のシステムで、判断基準が不明な場合、ダマシが発生すること自体は仕方がないと思いつつ、「知らないうちに損させられた」と感じてしまいます。いわゆる「疑心暗鬼」に陥るわけですが、中源線のようにシンプルなロジックが明確になっている場合、迷走することなく、その手法との向き合い方を考えることができます。
命の次に大切なカネの問題です。
いわゆる「計算」ばかりに偏らず、何をどう感じるかを重視するべきです。
乗った電車がいつまでも発車しない状況で、アナウンスがなかったらイライラします。「どうなっているんだ!」と。でも、「急病人が発生した」と説明があり、「あと2分ほどで発車します」と今後のことまで示されたら、落ち着いて状況を受け入れられます。駅員に向かってキレる輩を、「オトナじゃない」と思えます。

取れる場面と取れない場面
中源線には中源線の、独自のロジックがあります。
どんなものでも、ほかとの差別化を図るユニークさが命、それこそが存在意義です。
そこに最大の強みがある一方、表裏一体の弱みもある。実に自然なことです。
もちろん、強みを発揮できない銘柄もあります。
パラメータを変更しても、長い期間で利益になる計算が立たない……つまり、中源線と相性の悪い銘柄、中源線のロジックが効かない値動き特性の銘柄もあります。万能のものなんてないのですから、当然のことです。
また、相性が良いと判断できる銘柄でも、前述したように、中源線の弱みが前面に出てしまう場面はあります。それを事前に察知するなんて、ほぼムリです。
次項で具体的な事例を見ながら考えますが、その前に、売り買いの判断を盛り込んだチャートを見る際に、注意しなければならないことを説明します。中源線は、終値で判断して翌日の寄付で売買します。ほかのシステムでも、時間をさかのぼって売買できない以上、売買アクションは必ず判断よりもあとになります。
したがって、売りと買いを色分けしたチャートを見たときに、実際よりも大きく取れている錯覚が生じるのです。

上の図は、中源線の陰陽転換をイメージ化したものです。
黒い線が売り線、つまりカラ売りを3分割で増減させる時期、赤い線は買い線で買いポジションを3分割で増減させる時期です。
下げ止まったあと上向いたところで陽転したので、線を赤に変更します。でも、1本目の赤い線を引いた時点ではまだ買っていません。買うのは、翌日の寄付が最短です。
ここで錯覚が発生します。
赤い線の始まり、つまり前日の終値(売買日の前々日終値)で「すでに買っている」ような気がしてしまうのです。ちなみに、高値から弱含みになって陰転する場面でも、全く同じことが起こります。
ただでさえ人間は、自分の都合のいいように考える傾向があるので、冷静かつ論理的に情報を捉えないと、ダブルで甘く考えてしまいます。要注意です。
中源線の事例
では、前項で示した注意点を頭の隅に置きながら、実際の値動きを見てみましょう。
チャートは9983ファーストリテイリング、日経平均との連動性が高いことから、注目度の高い銘柄ですが、林投資研究所の「中源線シグナル配信」でも、長期のパフォーマンスが良好かつ安定しているとの判断で「ユニバース」(研究対象銘柄)に位置づけています。
ちなみに「ユニバース」の場合、シグナル配信というサービス形態でありながら、情報サイトでチャートを見ることもできます。
上のチャートは、番組でも紹介した、2月3日終値までの中源線(日足)です。
おおむね3カ月ごとに区切って損益を計算してみると、真ん中当たり、2016年4月から7月はじめまでの期間は、見事な連敗です。
チャートで示した期間全体について個々の勝ち負けを計算すると、「20勝22敗1分け」で損益トータルはプラス、つまり、取ったり取られたりなのに差し引きでプラスになる“損小利大”が実現していることがわかります。ただし、負けが続く場面もある、ということです。
最初の3カ月で累計5,000円幅のプラスですが、その次の3カ月だけで19,090円のマイナスが発生しているのです。最初にプラスが蓄積されたのに、半年後にはトータルが大幅マイナス……イヤになります。もしもマイナスの期間からスタートしたら、相当にツラいでしょう。
しかし、このダマシ連発の期間でやめると、そのあとの利益の期間も放棄してしまうということです。あとから見れば、どうということはないのですが、その場にいて実際に資金を動かしているとツラいのです。
このとき、ロジックを理解しているかどうか、錯覚や期待による高望みのカラクリを知っているか、プレーヤーとしてのマインドセット補正できるか、が問われます。だから、林投資研究所は、中源線のロジックを完全公開したうえに、勉強の場を設けているのです。
ちなみに、2月の放送で大橋ひろこさんが、面白いコメントをしてくれました。
一般的な高望みの図式を代弁するような、お茶目に軽さを出してくれたような、そんな発言でした。
いわく……ファーストリテイリングは、ここから少しもみ合い、そのあとドーンと上がる、その動きに乗りたい。ファストリが上がるなら日経平均も上がり、多くの銘柄が上昇傾向になる……
予測を立てる、シナリオを描く、それをもとにポジションを取る──トレードするうえで当然ですが、競争の中で自分だけが当て続けるなんてあり得ません。予測は当たったり外れたり、だから、ポジションを取ったあとの値動きをどう判断するか、そして次の一手をどう打つかを必死に考えているのです。

その後の動きは?
ファーストリテイリングが、その後どうなったかを見てみましょう。
先ほど示したチャートは、放送で使用したものと同じ、2月3日の終値まででした。そこに11日分を追加したチャート、この原稿を書いている前日、2月20日までの値動きを以下に示します(緑色のタテ線より右側が追加分)。
中源線は2月10日に陽転したのですが、それはダマシとなりました。数日で再び陰転しています。中源線の通りに売買した場合は、カラ売りの手仕舞いは利食いですが、陽転での買い玉を損切りしてドテン売り、という対応で、現在は1単位売りという状態です。買った直後に投げたのは、3分割の1回、1単位だけですが、絵に描いたようにいくわけはないという現実を示しています。
人間の目でチャートを見ると、値ごろ的には十分な位置まで下げていると感じるものの、下げの日柄が少し足りない、つまり「整理が十分ではないかも……」というところでしょうか。こんな感覚をベースに眺めることで、中途半端な往来で発生する中源線のダマシを回避できるかもしれません。でも、中源線の陽転を見て「まだ早いだろう」と見送ったら意外に強い、それこそ「ぜひ乗りたい」と思う動きを見逃すなんてことも起こるのです。
次回のフォローアップ(4)では、強みを利益につなげる方法、弱みを大きな損にしない方法を考えてみます。
お楽しみに!
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「中源線とはどんな手法なの?」「どうやって利益を出すの?」といった素朴な疑問に答えるだけでなく、実際の遭遇する「迷ってしまう局面」での対応法を考えるなど深い内容にも及んでいます。
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※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。













