値動きの中を“泳ぐ”ための実践論
「手法をもとう」と努めても、つい「当てよう」としてしまうのが人間の心理──売買に必要な“合理性”をつくり上げるのは、正確な知識と正しい認識です。
2017年4月の放送では、「うねり取り」を実践するための適切な考え方を整理しました。キーワードは、「ツール」「手法」「予測」「ポジション操作」等々……脳内をスッキリさせ、ブレない姿勢をつくってください。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第106回 うねり取りのツールを考える ~中源線シグナル配信~)

予測はキッカケだ
おさらいとして、「予測」と「勝ち負け」についてまとめます。
『勝率を高めることも可能』
『しかし、“高い勝率=利幅を伸ばせない”が原則』
『高い勝率で一定の利益を上げる方法はかなり特殊』
↓ ↓ ↓
『一定の頻度で出動し、“当たり外れ”を受け入れる』
『そのためには、ポジション操作による対応が重要』
多くの一般個人投資家は、「当てる」ことに固執しすぎです。
真剣に予測するためには「当てよう」という気持ちも必要ですが、「曲がる(予測が外れる)こともある」「嫌になるほどの連敗だってある」という現実に合わせ、プレーヤーとしての“対応”を考えるのがトレードの王道です。
こういった発想が生まれると、「予測」というものの重要度、というか“位置づけ”が変わってきます。「当たらないとダメだ!」という強迫観念にせまられ、外れたときの悲壮感が漂っていた状態から、「予測は行動のキッカケでいいのかな」くらいの、ラクなイメージに移り変わるわけです。
カネのことだから、真剣でなければいけません。
でも、眉間にシワをよせて考えたって、明日の価格を知ることはできません。
だったら、適度にチカラを抜いて、ちょっと笑顔を浮かべる余裕があるくらいのほうが、実践者としての能力を十分に発揮できるはずです。
予測はトレードをスタートするキッカケにすぎない──。
ナチュラルな思考で、自然体の構えをつくるのが正解です。

分割売買が手法の原点
林投資研究所のオリジナル単行本、『相場技法抜粋』の一節を引用します。
市場における価格の波は、景気の波を先見するものである。
だから、少なくともわれわれのように売買で儲けようとする者にとって、景気の読みは関係ない。また、価格に影響を与えるさまざまな要因について影響の仕方を読み切ることなどできないから、価格の波そのものを直接的に考え、売買の技術で対応していくしかない。その具体的方法の第一歩が、分割売買なのである。
(『相場技法抜粋』抜粋12「分割売買は技法のはじまり」より)
デイトレーダーによる超短期の売買は、仕掛けも手仕舞いも極めて単発的になります。でも、ある程度の期間を見据える一般の投資家には、時間的な余裕があります。
だから、“一点狙い”をしてはいけないのです。
「今がドン底だ!」
「この急騰で大天井だろう」
「いよいよ上がり出す。このタイミングで買わないでどうする!」
いやぁ、こんな発想と思い切った行動が、トレードの醍醐味のように思われているのですが、ちょっと、映画やドラマの見すぎという感じです。
パッと行動すべき状況もあります。
でも、ほとんどの場合、少なくともポジションを増やしていく「仕掛け」に関しては、ズバッと行動しても、いいことはありません。
チョロッと買う、「いいかもしれない」とチョロッと買い増しする。徐々に確信が強まったら、またチョロッと買う……事前に計画した株数をそろえるまで、あえて時間をかけるのです。
すると、素直で冷静な“対応”をする、理想のカタチに近づきます。
やみくもに手数(てかず)を増やすのではありません。
いつでも引けるようにしておく、「ヤバい」と感じたらサッと撤退できるように備えておくのです。
映画やドラマに毒された人は「みみっちい」と笑いますが、サイアクのことを考えつつも前に進むというのは、プレーヤーとして堂々たる態度ではありませんか。

「迷い」を絶て!
私のオフィスには、個人投資家が相談に来訪します。
その中には、次のように言う人がいます。
「悩みが増えてしまいました」
私は、次のように答えます。
「話し終わったら、“悩み”がさらに増えているでしょう。でも、“迷い”を激減させて帰ってください」
マジメに考えるほど、悩みは増えます。
おそらく無限に・・・
だって、「せめて明日の価格を知りたい!」と切望するものの、ぜったいに知ることができないのですから。そんな悩ましい状況に四六時中いるのが、私たち投資家、トレーダーという人種です。
結果的に、経験を積めば積むほど、悩みは増えていきます。
ひたすら積み上がっていくのです。
しかし、プレーヤーとして“決断”する場面は、休みなく訪れます。
買いポジションを抱えながら「弱いなぁ。。。ちょっとマズいかも」と思っているのに、「ここは様子見だ!」なんて強がる人がいます。
それは「様子見」ではありません。
次の一手を見失うだけの「先送り」です。
ポジションがゼロの状態で「買わない」と考えるのも、大きな決断です。
たっぷりと持っている買いポジションについて「まだ売らない」というのは、「持続」の決断です。
こうして「決断」を連続させながら、その決断の方法について日々、思い悩むのです。そんなカオス(混乱)な状態に身を置きながらも、ブレてはいけないのです。
相場の世界は、非情なのです。
カオスを真のカオスにしない──これがプレーヤーのシゴトです。
「悩み」と「迷い」の区別がつかないほどの混乱に陥らないようにするためには、2つのポイントがあると考えます。
ひとつは、トレードを抑えることです。
数量、頻度、銘柄数、銘柄の範囲、やり方……どれをとっても“やりすぎ”なケースが目立ちます。
もうひとつのポイントは、極めてシンプルなルールを決めることです。
上記の2つは密接につながっていますが、それぞれの観点から見直してみると有効ではないでしょうか。
さて、番組で継続的に紹介している手法「中源線建玉法」は、これら2つのポイントをムダなく押さえています。だから、“練習の道具”として有効なだけでなく、“本格的なトレードツール”としても認められるのです。
これが、私が中源線をおすすめする理由です。
では今回も、実例を挙げて、中源線の転換を確認しましょう。

ファーストリテイリング(9983)は、2016年12月30日、大納会の下げで陰転しました。
※2016年12月末時点の状況をフル機能で見ることのできる「シグナル配信試用版」は、期間を延長して公開中。閲覧はこちらをクリック!
その後、どうなったか・・・
年明け以降、放送の直前(4月7日)までのチャートを見てみます。

前回(フォローアップ第2回示した青山商事(8219)も大納会で陰転したものの、年明けにダマシの陽転をみせました。しかし、ファーストリテイリングは、大納会の陰転が見事に的中してガクンと下げています。勝ちました。
ところが……2月に入って、ダマシの陽転、ダマシの陰転と往復ビンタを食らいます。また、最後に陽転したのに弱含み、という状況です。
番組では、私と大橋ひろこさんで次のような会話を展開しました。
林「陽転したのに弱含みでしょ?」
大橋「これ、買いたくないなぁ。。。」
林「むしろ、“陰転したら売り”ってこと?」
大橋「陰転したら売りで取れる……そんな気持ちで準備できますかね?」
私たち2人の会話は、実践者の素直な感覚によるものです。
でも、ほかの実践者が「いや、陽転しているんだから、強張る場面を待つんだよ」と発言したら、それを否定することはできません。
中源線に限らず、何らかの方式を利用してトレードを行う、自立した投資家として決断を下す、番組のテーマに掲げた「ツール」として使いこなすとは、どういうことを指すのか──次項で、総まとめを行います。
迷いゼロ! プロの思考とは
番組でも話した通り、中源線であれ何であれ、売買するための“ツール”です。
軽い表現を使えば、「単なる道具」です。
当たるかどうか、勝率は何%か……そんな視点はヤボなだけ、自分にとって真の利益にはなりません。

第一に大切なのは、そのツールを「深く理解する」ことです。
だから、ルール(売買ロジック)が未公開のものは、利用価値がないとは言いませんが、“ツールとして使いこなす”レベルへの到達は望めません。
私が中源線の説明に時間を割いている理由は、ここにあります。
- まずは、中源線がどういったものかを理解してもらう。
- 次に、自分に「合うかどうか」を落ち着いて考えてもらう。
- 「やってみよう」と思ったら、ルールを覚えてもらう。
- 同時に、「ツールとして使う」発想をもってもらう。
こうして、ゆとりをもって取り組んでもらえるように努めています。
ものごとを順序よく学んでいく、そして“自分のもの”にするのは、実に当たり前のこと。それなのに多くの個人投資家は、「すぐに儲けたい」「その通りやると儲かるのか?」と“打ち出の小槌”を求めます。
そんな姿勢では、インチキな教材にだまされる可能性が極端に高まる……こう心配してしまいます。
しかし、私のようにコツコツと説明する姿勢が一般受けしないのも事実。
いかにして耳を傾けてもらおうかと考える毎日ですが、「まずはこれ」と最も重要な基本を説明すると、「明日から儲かるんじゃないのか……」と、8割、9割の投資家は、その先の説明に興味をもってくれません。
と、私のぼやき、暑苦しいメッセージは終わりにして、チャートの解説と「ツールを使いこなす」話に戻りましょう。

上のチャートは、放送でご覧に入れたものに13立会日分を追加した直近のもの、この原稿を書いている4月27日時点では最新のものです。
私と大橋ひろこさんで「弱々しいね。。。」なんてコメントしていたのですが、放送のあとは落ち着いた小動き、横ばい、そして直近は上向いています。
こうなると、見方はガラッと変わります。
「やっぱり買いか!」
予測なんて、こんなものです。
当たったり外れたり・・・
こうして、“流れの変化”を見ながら対応していくのが現実です。
そのために、「確固たる予測」を立てておく必要があるのです。見通しを変化させるうえでの“大切な基準”です。
「売り」と考えていたところ、「いや買いだ!」と判断をひっくり返すことも日常茶飯事。フラフラとさまようような姿勢はいただけませんが、見通しをサッと捨てて新しい流れについていく“瞬発力”が求められる場面もあります。
また、ツールの特性を知っておくことも不可欠です。
ツールとは、特定の手法、特定の強弱判断基準だけでなく、裁量による自分の行動指針も、広い意味でツールです。
中源線の場合では、中源線のルールを知らずに、「買い転換が当たった」とか「今回は曲がった」と評価して一喜一憂しても、経験としての蓄積はゼロ。それどころか、ヘンな姿勢が染みつくだけです。
トレードにおける、自分自身にあり方、ツールという存在の位置づけ、使いこなすための工夫、等々を、あらためて考えてみてください。
最後は、超シンプルに「売り」「買い」とか「買わない」と決断するのですが、その備えとしてガッツリと考える時間も大切です。
これで、4月10日放送のフォローアップは終了です。
次は、5月8日の夜8時に生放送、「急落への対応」をテーマにする予定で企画を進めています。
お楽しみに!

書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。
こちらのページへどうぞ!
※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。