順張り逆張り(1)

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 連載「トレード哲学」……4
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毎日、何かしら文章を書きながら「休みたいなぁ」などと思いつつも、言葉の面白さを考えていると本当に飽きません。

大和言葉の「花を愛でる」(めでる)──実に美しい表現だと思います。
最近は「チョーサイコー」なんて軽いノリで言葉を交わし、それはそれで軽快感があっていいのですが、「このうえなく」なんて使うと、とても上品ですよね。

日本語の面白さは、数々の言葉遊びにも見受けられます。

「さぁ、はった、はった!
 はって悪いはオヤジの頭、はらなきゃ食えない提灯屋だ!」
(家長の頭をたたくのは言語道断。でも、提灯屋は“はる”のが仕事)

博打場の口上です。

大和言葉から“このうえなく”チョー庶民的な話題に移ってしまいました……。
博打だけでなく、相場でも「張る」という言葉を使います。
「あの人、張るよねぇ」とは、「大きなポジションを取る」という意味で、「マネできない」とか「危なっかしい」といったニュアンスを含みます。

このような表現を使うのは、さすがに古い業界人だけかもしれませんが、「順張り」「逆張り」などは、現役の相場用語です。

「プロは逆張り」などというのですが、この表現の通りに行動してケガをするケースが多いと感じます。どんどん下がる過程で買い下がり、買い値を安くする狙いとは裏腹に、単に“逆行するポジション”をつくってしまう失敗です。

逆張りとは、
 「そろそろ下げ止まり」と判断し、
 丁寧かつ計画的な分割売買を前提に
 少し早めに買い始めるテクニック
です。

では「順張り」とは?

次の号で、詳しく説明します。

相場の“ミス”とは?

何でもマジメがいちばん!
でも、ヘンにクソマジメでは、バランスを欠く場合があります。
誰でも間違いを起こします。いちいち自分を責める必要はありません。
私は、社内で自分のミスを指摘されると、「そうか! 気づくようになったか」と答えます。はい、スタッフ教育の一環なのです。

相場では、どうしても「予測」に意識が向きます。

「あ~、あそこで買いだったんだ」
「売っておけばよかった……」
「売りじゃなくて買いだった~」

でも、こんなことの連続が実は「平時」。
ピシピシと当たっているときこそ、落とし穴に警戒すべきです。

人によっては、「ミスばかりだ」を口癖に、自分を奮い立たせようとします。
それはそれで、バランスが取れていればいいのですが、「いつも通り、うまくいかないなぁ」くらいに軽く流すことも必要ではないでしょうか。

相場のミスは、見込み違いではありません。
見込みは常に外れる……これくらいのイメージをもち、
「当たりも曲がりも、すべて“たまたま”の結果」
と考えるくらいが、淡々と続けるうえでのバランスだと考えます。

でも・・・
“たまたま”の当たりを利益にするのがトレード。
“たまたま”の曲がりの損を抑えるのがトレード。

すべては、値動きへの“対応”です。
本当の相場のミスは“対応”が足りないこと、居過ごし、フリーズ、先送りです。

4月10日放送のフォローアップ(3)
林 知之

値動きの中を“泳ぐ”ための実践論

「手法をもとう」と努めても、つい「当てよう」としてしまうのが人間の心理──売買に必要な“合理性”をつくり上げるのは、正確な知識と正しい認識です。

2017年4月の放送では、「うねり取り」を実践するための適切な考え方を整理しました。キーワードは、「ツール」「手法」「予測」「ポジション操作」等々……脳内をスッキリさせ、ブレない姿勢をつくってください。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第106回 うねり取りのツールを考える ~中源線シグナル配信~

予測はキッカケだ

おさらいとして、「予測」と「勝ち負け」についてまとめます。

『勝率を高めることも可能』
『しかし、“高い勝率=利幅を伸ばせない”が原則』
『高い勝率で一定の利益を上げる方法はかなり特殊』
  ↓  ↓  ↓
『一定の頻度で出動し、“当たり外れ”を受け入れる』
『そのためには、ポジション操作による対応が重要』

多くの一般個人投資家は、「当てる」ことに固執しすぎです。

真剣に予測するためには「当てよう」という気持ちも必要ですが、「曲がる(予測が外れる)こともある」「嫌になるほどの連敗だってある」という現実に合わせ、プレーヤーとしての“対応”を考えるのがトレードの王道です。

こういった発想が生まれると、「予測」というものの重要度、というか“位置づけ”が変わってきます。「当たらないとダメだ!」という強迫観念にせまられ、外れたときの悲壮感が漂っていた状態から、「予測は行動のキッカケでいいのかな」くらいの、ラクなイメージに移り変わるわけです。

カネのことだから、真剣でなければいけません。
でも、眉間にシワをよせて考えたって、明日の価格を知ることはできません。

だったら、適度にチカラを抜いて、ちょっと笑顔を浮かべる余裕があるくらいのほうが、実践者としての能力を十分に発揮できるはずです。

予測はトレードをスタートするキッカケにすぎない──。

ナチュラルな思考で、自然体の構えをつくるのが正解です。

分割売買が手法の原点

林投資研究所のオリジナル単行本、『相場技法抜粋』の一節を引用します。

市場における価格の波は、景気の波を先見するものである。
だから、少なくともわれわれのように売買で儲けようとする者にとって、景気の読みは関係ない。また、価格に影響を与えるさまざまな要因について影響の仕方を読み切ることなどできないから、価格の波そのものを直接的に考え、売買の技術で対応していくしかない。その具体的方法の第一歩が、分割売買なのである。
(『相場技法抜粋』抜粋12「分割売買は技法のはじまり」より)

デイトレーダーによる超短期の売買は、仕掛けも手仕舞いも極めて単発的になります。でも、ある程度の期間を見据える一般の投資家には、時間的な余裕があります。

だから、“一点狙い”をしてはいけないのです。

「今がドン底だ!」
「この急騰で大天井だろう」
「いよいよ上がり出す。このタイミングで買わないでどうする!」

いやぁ、こんな発想と思い切った行動が、トレードの醍醐味のように思われているのですが、ちょっと、映画やドラマの見すぎという感じです。

パッと行動すべき状況もあります。
でも、ほとんどの場合、少なくともポジションを増やしていく「仕掛け」に関しては、ズバッと行動しても、いいことはありません。

チョロッと買う、「いいかもしれない」とチョロッと買い増しする。徐々に確信が強まったら、またチョロッと買う……事前に計画した株数をそろえるまで、あえて時間をかけるのです。

すると、素直で冷静な“対応”をする、理想のカタチに近づきます。

やみくもに手数(てかず)を増やすのではありません。
いつでも引けるようにしておく、「ヤバい」と感じたらサッと撤退できるように備えておくのです。

映画やドラマに毒された人は「みみっちい」と笑いますが、サイアクのことを考えつつも前に進むというのは、プレーヤーとして堂々たる態度ではありませんか。

「迷い」を絶て!

私のオフィスには、個人投資家が相談に来訪します。
その中には、次のように言う人がいます。
「悩みが増えてしまいました」

私は、次のように答えます。
「話し終わったら、“悩み”がさらに増えているでしょう。でも、“迷い”を激減させて帰ってください」

マジメに考えるほど、悩みは増えます。
おそらく無限に・・・

だって、「せめて明日の価格を知りたい!」と切望するものの、ぜったいに知ることができないのですから。そんな悩ましい状況に四六時中いるのが、私たち投資家、トレーダーという人種です。

結果的に、経験を積めば積むほど、悩みは増えていきます。
ひたすら積み上がっていくのです。

しかし、プレーヤーとして“決断”する場面は、休みなく訪れます。

買いポジションを抱えながら「弱いなぁ。。。ちょっとマズいかも」と思っているのに、「ここは様子見だ!」なんて強がる人がいます。

それは「様子見」ではありません。
次の一手を見失うだけの「先送り」です。

ポジションがゼロの状態で「買わない」と考えるのも、大きな決断です。

たっぷりと持っている買いポジションについて「まだ売らない」というのは、「持続」の決断です。

こうして「決断」を連続させながら、その決断の方法について日々、思い悩むのです。そんなカオス(混乱)な状態に身を置きながらも、ブレてはいけないのです。
相場の世界は、非情なのです。

カオスを真のカオスにしない──これがプレーヤーのシゴトです。
「悩み」と「迷い」の区別がつかないほどの混乱に陥らないようにするためには、2つのポイントがあると考えます。

ひとつは、トレードを抑えることです。
数量、頻度、銘柄数、銘柄の範囲、やり方……どれをとっても“やりすぎ”なケースが目立ちます。

もうひとつのポイントは、極めてシンプルなルールを決めることです。

上記の2つは密接につながっていますが、それぞれの観点から見直してみると有効ではないでしょうか。

さて、番組で継続的に紹介している手法「中源線建玉法」は、これら2つのポイントをムダなく押さえています。だから、“練習の道具”として有効なだけでなく、“本格的なトレードツール”としても認められるのです。

これが、私が中源線をおすすめする理由です。
では今回も、実例を挙げて、中源線の転換を確認しましょう。

ファーストリテイリング(9983)は、2016年12月30日、大納会の下げで陰転しました。

2016年12月末時点の状況をフル機能で見ることのできる「シグナル配信試用版」は、期間を延長して公開中閲覧はこちらをクリック!

その後、どうなったか・・・
年明け以降、放送の直前(4月7日)までのチャートを見てみます。

前回(フォローアップ第2回示した青山商事(8219)も大納会で陰転したものの、年明けにダマシの陽転をみせました。しかし、ファーストリテイリングは、大納会の陰転が見事に的中してガクンと下げています。勝ちました。

ところが……2月に入って、ダマシの陽転、ダマシの陰転と往復ビンタを食らいます。また、最後に陽転したのに弱含み、という状況です。

番組では、私と大橋ひろこさんで次のような会話を展開しました。

林「陽転したのに弱含みでしょ?」
大橋「これ、買いたくないなぁ。。。」
林「むしろ、“陰転したら売り”ってこと?」
大橋「陰転したら売りで取れる……そんな気持ちで準備できますかね?」

私たち2人の会話は、実践者の素直な感覚によるものです。
でも、ほかの実践者が「いや、陽転しているんだから、強張る場面を待つんだよ」と発言したら、それを否定することはできません。

中源線に限らず、何らかの方式を利用してトレードを行う、自立した投資家として決断を下す、番組のテーマに掲げた「ツール」として使いこなすとは、どういうことを指すのか──次項で、総まとめを行います。

迷いゼロ! プロの思考とは

番組でも話した通り、中源線であれ何であれ、売買するための“ツール”です。
軽い表現を使えば、「単なる道具」です。

当たるかどうか、勝率は何%か……そんな視点はヤボなだけ、自分にとって真の利益にはなりません。

第一に大切なのは、そのツールを「深く理解する」ことです。
だから、ルール(売買ロジック)が未公開のものは、利用価値がないとは言いませんが、“ツールとして使いこなす”レベルへの到達は望めません。

私が中源線の説明に時間を割いている理由は、ここにあります。

  1. まずは、中源線がどういったものかを理解してもらう。
  2. 次に、自分に「合うかどうか」を落ち着いて考えてもらう。
  3. 「やってみよう」と思ったら、ルールを覚えてもらう。
  4. 同時に、「ツールとして使う」発想をもってもらう。

こうして、ゆとりをもって取り組んでもらえるように努めています。

ものごとを順序よく学んでいく、そして“自分のもの”にするのは、実に当たり前のこと。それなのに多くの個人投資家は、「すぐに儲けたい」「その通りやると儲かるのか?」と“打ち出の小槌”を求めます。

そんな姿勢では、インチキな教材にだまされる可能性が極端に高まる……こう心配してしまいます。

しかし、私のようにコツコツと説明する姿勢が一般受けしないのも事実。
いかにして耳を傾けてもらおうかと考える毎日ですが、「まずはこれ」と最も重要な基本を説明すると、「明日から儲かるんじゃないのか……」と、8割、9割の投資家は、その先の説明に興味をもってくれません。

と、私のぼやき、暑苦しいメッセージは終わりにして、チャートの解説と「ツールを使いこなす」話に戻りましょう。

上のチャートは、放送でご覧に入れたものに13立会日分を追加した直近のもの、この原稿を書いている4月27日時点では最新のものです。

私と大橋ひろこさんで「弱々しいね。。。」なんてコメントしていたのですが、放送のあとは落ち着いた小動き、横ばい、そして直近は上向いています。

こうなると、見方はガラッと変わります。
「やっぱり買いか!」

予測なんて、こんなものです。
当たったり外れたり・・・

こうして、“流れの変化”を見ながら対応していくのが現実です。
そのために、「確固たる予測」を立てておく必要があるのです。見通しを変化させるうえでの“大切な基準”です。

「売り」と考えていたところ、「いや買いだ!」と判断をひっくり返すことも日常茶飯事。フラフラとさまようような姿勢はいただけませんが、見通しをサッと捨てて新しい流れについていく“瞬発力”が求められる場面もあります。

また、ツールの特性を知っておくことも不可欠です。
ツールとは、特定の手法、特定の強弱判断基準だけでなく、裁量による自分の行動指針も、広い意味でツールです。

中源線の場合では、中源線のルールを知らずに、「買い転換が当たった」とか「今回は曲がった」と評価して一喜一憂しても、経験としての蓄積はゼロ。それどころか、ヘンな姿勢が染みつくだけです。

トレードにおける、自分自身にあり方、ツールという存在の位置づけ、使いこなすための工夫、等々を、あらためて考えてみてください。

最後は、超シンプルに「売り」「買い」とか「買わない」と決断するのですが、その備えとしてガッツリと考える時間も大切です。

これで、4月10日放送のフォローアップは終了です。
次は、5月8日の夜8時に生放送、「急落への対応」をテーマにする予定で企画を進めています。
お楽しみに!


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

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※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

4月10日放送のフォローアップ(3)

4月10日の放送内容について、フォローアップ第3回を「週報」に掲載しました。

フォローアップ(1) 「トレーダー必須! ブレないための視点」  4月15日掲載

フォローアップ(2) 「トレードのワナ“勝率”という魔の数字」  4月22日掲載

フォローアップ(3) 「値動きの中を“泳ぐ”ための実践論」  本日掲載

人が陥りやすい誤り

本日発行のメールマガジン「1分間の相場実践知識」の内容を、そのまま掲載します。メール配信をご希望の場合、こちらのページからお申し込みください。

最近は「バイアス」という言葉がときどき使われます。正式には「認知バイアス」というのですが、「偏り」を意味し、要するに「人が陥りやすい誤り」です。

例えば先進諸国でも、事件の目撃者の証言はかなりの確率で間違っているといわれています。「虚偽記憶」ですね。
新しいものに直面しても以前の考えにとらわれたままでいる「保守性」といったものも、人間ならではのバイアスでしょう。

2003年に起きた韓国の地下鉄火災では、200人もの尊い命が失われましたが、煙が充満する社内に静かに座っている乗客たちの写真が公開されて話題となりました。

経験のない事態に対してスイッチが入らず「大丈夫だ」と考えてしまう「正常性バイアス」や、迷いながらも周囲と同じ行動を取ろうとする「多数派(集団)同調バイアス」といった心理作用があったのだと解説されています。

トレードでも、いや、トレードだからこそ、実践者にたくさんのバイアスが働いているはずです。
冷静に経済行為を進めているとも説明できるでしょうが、金融マーケットで日々起きていることは、異常事態の連続といえます。

大きな期待を抱きながらも、それ以上の不安や恐怖が継続的なストレスとして重くのしかかります。
考える時間が十分にあるようでいて、「明日の価格」という最も知りたい答えには一切近づくことなく決断の時がやってくるのです。

トレーダーの心理作用を専門的に説明する人は多いので、ここではベタな事例を挙げて解説します。「様子見」という言葉がよく使われるのですが、実はこの単語、ひじょ~にキケンです!

一般的なトレーダーが「様子見」と使う場合、つまり、トレード仲間に対して、担当の証券マンに対して、あるいは自分自身に対して言うときは、決まってポジションを持っています。
しかも、そのポジションに「不安」を抱えているときなのです。

不安だ……でも、まだ損切りを決断するのは早い、いや、損切りしたくない……もう少し待とう……「様子見する!」という具合です。

ポジションがゼロ、あるいは極端に少ない状況で「特別な行動は取らない」というのなら「様子見」で正しいのですが、ポジションを持っていて不安があるのですから、ツナギもしない、減らすこともしないという現状維持は「様子見」ではなく、「このままのポジションを継続する」という確固たる決断です。

それなのに、逃避と先送りを正当化するために「様子見だ」とつぶやくのです。
キケンです。

この「様子見」という便利な言葉を最初に使ったのが、市況解説なのか、とりあえず顧客を黙らせようとした証券マンなのかはわかりませんが、いつの間にか多くのトレーダーが“秘密兵器”として使っているわけです。


上記の文章は、新刊『ブレない投資手法 曲げない投資哲学』の一節です。

投資は迷いと決断の連続。

「手法をもとう」「軸をつくろう」「自分の哲学を確立しよう」

こう考えているはずなのに、雑多な情報にまどわされる、
つい計画外の行動に走ってしまう……。

だったら、
ガッツリと『根底の考え方』を見直してみよう、
『おカネとはなにか』をもう一度考えてみよう・・・

これが、マジメな個人投資家に向けた、林投資研究所からのメッセージです。

「基本書」だからこそ、
プロも納得する高い視点で書き下ろしました。

新刊では、行動の土台となるプロの投資哲学を、
「起」「承」「転」「結」
4つの章に分けてまとめています。

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「起」 そろそろ、おカネのはなしをしようか…
 ~投資する前に知っておきたいこと~
「承」 だから相場で損をする
 ~トレードあるある~
「転」 相場は技術だ!
  ~懸命なる投機家になるために~
「結」 確信ある自分流
  ~林投資研究所からのメッセージ~
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4月10日放送のフォローアップ(2)
林 知之

トレードのワナ“勝率”という魔の数字

「手法をもとう」と努めても、つい「当てよう」としてしまうのが人間の心理──売買に必要な“合理性”をつくり上げるのは、正確な知識と正しい認識です。

2017年4月の放送では、「うねり取り」を実践するための適切な考え方を整理しました。キーワードは、「ツール」「手法」「予測」「ポジション操作」等々……脳内をスッキリさせ、ブレない姿勢をつくってください。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第106回 うねり取りのツールを考える ~中源線シグナル配信~

勝率が高いと儲かるか

極めて大切なことなのに、多くの人が錯覚してしまうのが、「勝率」という数値です。

タイトルに“魔の数字”と示した通り、誤った認識をもちやすいのです。

勝率が高いほうが儲かる──。
この認識が正しいのか、ということです。

勝ちトレードも負けトレードも「同じ数量」「同じ値幅」ならば、勝率が高くないと儲からない、勝率が高ければ高いほど儲かる、という論理が成り立ちます。
否定しません。

でも現実では、「数量」も「値幅」も一定ではありません。
トレーダーそれぞれの自由裁量によって、大きく変わる部分なのです。

予測の当たり外れは、避けることができません。
「100%当てる」ことは不可能なのです。

もうひとつ大切なのは、
「努力しても勝率を大幅にアップさせることは難しい」
ということです。

ムリに勝率を高めようとすると、以下のような残念な状況に陥ります。

『勝率を上げる=小幅利食いを優先させる=利幅が限定される』
『負けたときの幅を吸収できない』

だから、実践論では次のように考えます。

勝率は50%前後がいい(ムリな狙いを設定しない)
ダメなときの損失を抑える(数量が少ない、値幅が小さい)
“乗れた”ときに利を伸ばそう(数量がある、ねばる)

勝率を求める姿勢も通用する?

前項で示した結論が、「勝率」という数字を捉えるときの原則です。

でも、「勝率を高めて勝つ」方法もあります。
“ある条件”がそなわればいいのです。

ひとつの例は、マーケットでの動きを“常に先取り”することです。
なにか材料が出る、関連銘柄が反応する……この動きを、見事なまでに先取りすることです。
しかし、相当な情報収集力と分析能力、どのような連鎖が起きるかを瞬時に判断し、さらには、ほかのマーケット参加者よりも素早く行動する特殊能力が求められます。

不可能ではありませんが、こんな現実離れしたような成功物語に目を向けず、一般的な人間でも実現可能な“条件”を考えましょう。

ズバリ、「出動を限定する」ことです。

出現する頻度が極めて低い半面「かなりの確率で勝てる」状況を定義し、それ以外のときは一切手を出さない、と決めるのです。

実はこの姿勢、ある意味、トレードの基本です。
やたらと手を出すからヤラレる、のです。

例えば、
『世の中がひっくり返るほどの暴落で買い下がる』
という戦略を考えてみましょう。

ちょっとした暴落でも出動して買い下がっていたら、単に“逆行する”ポジションをつくってヤラレる可能性を生んでしまうケースが増えますが、「5年に一度しかなさそう」なビックリするほどの状況だけに限定したら、高い確率で勝てそうです。

しかし現実では……ガマンできません。
そのほかの状況でも手を出してしまいます。
そこで、もう少し実現性の高い設定を考えましょう。

『年に1回か2回、的中率の高い状況を定義しよう』

これならば、かなり現実的です。
このガマンすらできないのが人間の心理ですが、儲けるには「この程度のガマンはしよう」というのが実践論です。

実は、中源線建玉法も、こういう考え方とマッチするのです。
日足の折れ線チャートでパターン分析し、トレンドのスタートを検出するのが中源線の強弱判断です。
これを、次のように捉えるのです。

「陰陽の転換は、たびたび起こる。でも、裁量によって、いくつもの条件が整ったときだけ出動しよう」

中源線の応用、しっかりした理解が必要な“アレンジ”です。
ちょっと深い話ですが、こんな状況を目指す発想だけは、キープしておいてください。

中源線の哲学

前項では、「出動を限定する」アイデアを紹介しました。
とても大切な考え方です。

でも、予測の当たり外れは避けることができません。
明日の価格さえ言い当てることができない、だったら相場観を捨てて中源線のシグナルに従おうというのが、中源線を利用する際の標準形です。

それなのに、あらためて「中源線の転換について、当たり外れを自ら当てよう」って・・・矛盾してますよね。

取れるチャンスは意外と限られている、だけど「今がそうなのか、ちがうのか」を知る術がないから、まずは手を出しておこう、“その後の対処”で結果(損益)をコントロールしよう──これが、ある意味、実行が容易な『正解』なのです。
だから、「標準形」と示しました。

納得できない場面も多い、でも中源線の3分割と「乗れたときの“ねばり”」で損小利大が実現する──こう考えて、機械的な売買を実行しようという姿勢です。

半分当たる、つまり「半分は外れる」「嫌になるような連敗もある」という現実を受け入れ、ヘタなアレンジをあきらめて前進する、ということです。

難しい裁量を入れない、中源線の判断に従う「機械的な売買」は、この箇条書きの通りです。

  1. 数カ月の上げ下げ「うねり」に乗るために、機械的な判断を行う。
  2. 出動のタイミングは、俗にいう「ブレイクアウト」。
  3. 上げも下げも狙い、ポジションをドテンさせるシステム。
  4. 終値の折れ線チャートで、シンプルに株価の“流れ”を捉えようとする。
  5. 予測を当てようと躍起になることはなく、むしろ“ゆるい”感じ。そのかわり、株価の変動に“順応”するべく「3分割のポジション操作」を積極的に行う。

実例を見ながら、考えてみましょう。

8219青山商事は、2016年最後の立会・「大納会」で陰転しました。
「ここから下げトレンドだ」と、中源線が判断したわけです。


現在、中源線シグナル配信の『試用版』を、無料で公開中です。
(4月21日までの公開予定を延長しました)
データは2016年12月末(大納会)までですが、全銘柄を閲覧可能、全機能を使用可、林投資研究所が自慢する「中源線シグナル配信」の全機能を、落ち着いて見てもらえるというスペシャル企画です。

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青山商事が陰転した、この状況を見たら、「下がる」「売りを仕掛けて儲かる」と期待します。当然です。8月の安値から4カ月上昇、最後は11月の陽転から一定の値幅を取っています。その状況での陰転ですから、期待を膨らませるのが人間の心理です。

では、実際にどうなったか──。

チャート上の赤いタテ線から右側が、今年の値動きです。
(放送日の直前、4月7日終値まで)

年が明けてスルスルッと下げた、「年末の陰転は当たったんだ」と思いきや、年明けの反転で「再陽転」したため、1月の下げは取れていません。

そのかわり、3月にかけての上げをかるく取り、その後の陰転で仕掛けた売り玉に利が乗っています。

このように、あとから見ると「ムダな手」と思えることも含めてやり続け、結果をどうにかプラスにしようというのが、現実的な対応の限界です。

“現実”を考えたこだわり

さて、青山商事の例でわかる通り、私たちが抱く「期待」とは裏腹に、いろいろと予測不能の動きをみせるのが株価というものです。期待と現実のギャップを埋めるよう努めるとともに、期待の対象である『設定』にも気を配る必要があります。

林投資研究所の「中源線シグナル配信」では、過度な期待を生むような説明を避けるだけでなく、自ら使うことを前提にした安心できる設定を心がけています。

同じ売買ロジック(ルール)でも、設定によってパフォーマンスは変わります。

図の上部の「安心」は、

『突出した利益はない』
でも『大きな損失もない』

という設定です。

中源線シグナル配信では、この「安心」な設定に注目しています。

それに対して下部の「不安」は、

『浮き沈みの激しい』

過激な設定です。

ズバッと儲かる期間もある、だけど大損する期間もある、ということは、未知の未来に向かって実際にポジションを取った場合でも同じように、激しい浮き沈みがありそうだ、ということです。

このうちの“浮いている”部分、つまりガバッと儲かった時期だけを取り上げて「実績」だと宣伝しているものが、世の中には多いのです。

“勝率”という魔の数字で錯覚を抱かないよう、注意してください。

次回のフォローアップ(3)では、「予測」と「分割売買」について、プロの哲学を説明します。
お楽しみに!


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※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

予測は可能か?

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連載「トレード哲学」……3
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インターネット上で拾った笑い話、学校のテストの珍解答です。

「インドや中東の、カレーに合う食品の名前はなんですか?」
「はい、そうです」

答えは「ナン」ですが、「なんですか?」(YESかNOか)→「はい」という予想外の答えです。生徒の知識が正しいことがわかるし、言葉のやり取りは正しいといえるし。。。私が採点者なら、花丸あげちゃいます。

株価の先行きについては予測不能──。
これが、“相場技術論者”が考える前提です。
だから“技術”で対応しよう、という、ひとつの『思想』です。

林投資研究所が掲げるのは、この考え方です。
だから、誰にでも実行可能な、シンプルな売買テクニックを紹介する機会がとても多いわけです。

これに対して、「一定の予測は可能」という哲学もあります。

「1カ月先のことはわからないが、翌日ならわかる。例えば10分後なら、かなりの精度で予測できるよ」

この論理には、真っ向から反対します。
たしかに「10分後の株価」なら、1カ月先の株価よりも正確に言い当てることが可能でしょうが、これは誰にでも平等に与えられた条件です。だから、市場の競争で勝てる、ということにはならないのです。

むしろ、値動きをザックリと捉える、高い視点から眺めることで、1カ月先の予測のほうが精度が高い(ほかの市場参加者と比べて優位に立てる)という主張に、軍配が上がる気がします。

それはさておき、
「技術で対応するしかない」とする“相場技術論者”であっても、「予測は常に外れまくるだけ」と考えているわけではありません。
予測は「当たったり外れたり」と、依存しないように努めているだけです。

だから、予測の精度に頼る売買法だって否定しません。
ただし、その場合は、“出動の機会を絞り込む”など条件を厳しくする必要があると認識するのが、相場技術論者です。

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「手法をもとう」「軸をつくろう」「自分の哲学を確立しよう」
こう考えているはずなのに、雑多な情報にまどわされる、つい計画外の行動に走ってしまう……。

プロの投資哲学を、
「起」「承」「転」「結」
4つの章に分けてまとめています。

林 知之 著 1,750円+税

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投資の初心者を意識して「最も大切なこと」を書き始めたら、プロも含めてあらゆる市場参加者にとって重要な事柄ばかりだった──。

いま売りか買いか……それを決める土台は戦略。
戦略を決める土台は、トレードの哲学。

そして、トレードの哲学を決めるのは、「おカネに対する基本的な姿勢」です。

この本は、自由である個人投資家にとって最もコワい「ブレ」を最小限にするための智恵、思考の土台となる考え方を整える材料を、4つの章に分けてまとめたものです。

「起」そろそろ、おカネのはなしをしようか…

~投資する前に知っておきたいこと~

「承」だから相場で損をする

~トレードあるある~

「転」相場は技術だ!

~懸命なる投機家になるために~

「結」確信ある自分流

~林投資研究所からのメッセージ~

 真剣にトレードをしているみなさん、株式市場での成功を目指しているみなさん、視野を広く保って知識を身につけてください。そのうえで、迷いなく自分の決断を下す実行力を高めてください。「どのタイミングで買うか」の前に、「おカネとは何か」を考えてください。難しい決断に遭遇したとき、潜在的な能力として助けとなります。
 多くの投資家がついおろそかにする部分、土台となる智恵を蓄えてほしい……この本は、そんな思いで上梓した一冊です。
(まえがきより)

林投資研究所オリジナル
著者  林 知之
A4判 並製 144ページ

1,750円+税

発売予定日: 2017年4月28日

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