7月10日放送のフォローアップ(3)

7月10日の放送内容について、フォローアップ第2回を「週報」に掲載しました。

フォローアップ(1) 「相場の極意は『待つ』ことだ!」  7月15日掲載

フォローアップ(2) 「待つことができれば『動く』こともできる」  7月22日掲載

フォローアップ(3) 「予測と損益 プロの思考」  本日掲載

「できる」ことをやろう!

バブルのころ、多くの投資家が兜町の書店を訪れていました。
熱心に本を物色する人や、店長と相場談義をする人がいるかたわらで、「特選銘柄袋とじ」と書いた雑誌を手に取る中年のおじさん。角度を変えても袋の中は見えません。そのうち、手をブルブルと震わせながら袋をビリビリとやぶいて中を見ると、知らん顔で書店を出ていきました。

バブル時代を過ぎたあたりから、投資に関する情報も徐々に科学的になってきました。まあ、以前の単行本といえば、「夏相場は〇〇〇」なんて、雑誌のテーマみたいなタイトルのものが多く、科学の要素がないどころか、幼稚なものばかりだったので、当然の変化であると思います。

そんな、“原始時代からの離脱”とは別の流れとして、コンピュータの発達を背景にした分析、認知心理学、行動心理学といった発展形の学問を結びつけたトレーダーの行動指針など、「これ儲かりまっせ!」的なものとは一線を画した情報が増えています。

相変わらず「銘柄はこれ」という、手抜きの需要に応えた情報は多く、まさに玉石混交ながら、深く考察した解説も豊富にあるという状況です。

さて、問題は、「それを実行できるか」であります。

知っている、わかっているだけで即、実行に移すことができるならば、ダイエットに悩む人はいません。健康問題の多くも解決します。
「これ、よくないんだよな」と言いながら夜中にラーメンを食べる酔っ払いは、街から消滅するはずです。

多くの分野において、いったん現代の情報過多から離れてみるのが有効ではないか、と私は思うのです。

例えば、好きな異性がいる、でも、どうしていいかわからない……決して恋愛マニュアルなどに頼ることなく、いっそ思いきり素直になって「好きだ!」と言ってみたらどうか、といったことです。

トレードにおいては、多くの人が「予測を当てる」ことに目を向けています。
でも、当たらない……。
結局、一応“プロ”に分類されるファンド関係者が目が、単に指数に連動するだけの“パッシブ運用”に大きく傾いているのが実際です。

でも、もっと素直に考えれば、「予測は当たらない」けど「値動きに対応する」ことで損益をコントロールできるよね、という発想にたどり着きます。

そんな、誰にでも実行可能な実践方法に取り組もうとしている、また、特別な情報分析のノウハウなどを要求されない“個人的な技能”に目を向けているのが、古来から多くのプロ相場師が好む「うねり取り」の手法です。

ところが、ストレートにうねり取りにアプローチすると、なんだか“ピカピカ”と光る情報、すごい秘密が隠れていそうな雰囲気をかもし出すことができません。
一般的な「情報の商業的価値」を満たさないようです。
そのせいでしょうか、「うねり取り」というシンプルな方法論を説いた書籍がほとんどありませんでした。

今回、私が上梓した新刊『うねり取り株式投資法 基本と実践』は、古典であるうねり取りを解説しようというアイデアから生まれた一冊ですが、古典を古典としてそのまま説明すると、「いいからやりなさい!」みたいなノリになって、「巨人の星」の頑固オヤジ、星一徹のような“スポ根”に傾いてしまいます。

古典は古典として尊重する、今でも通用する基本的な理論は素直に採用したい。
でも、情報が豊富な現代人に説明するために、また、未来に向けた新しい理論として活用してもらうために、古典に「革新」という調味料を加え、単なる“伝承”ではなく、“伝統”を正しく伝えることに力を注ぎました。

いきおい、一部にはくどい説明もありますが、林投資研究所が提唱する「相場技術論」を理解してもらうのに最適な一冊であり、「うねり取り」に関してはまさに“バイブル”と位置づけたい力作に仕上がったと自負しています。

発送開始は8月中旬ですが、本日より「事前予約」(送料無料)の受付を開始しました。まずは目次をチェック、「中身の“チラ読み”」で納得したうえでお申し込みを検討してください。
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7月10日放送のフォローアップ(2)
林 知之

待つことができれば「動く」こともできる

値幅取りは相場の醍醐味。
とはいえ、大きな変動を予測して“当てる”ことなど不可能です。

値動きの変化、いわゆる「値運び」に対応し、
『当たった予測を育てる』
という発想が大切です。

7月10日の放送では、ここ1年で大幅に上伸した銘柄を取り上げながら「大きなうねり」に乗るための方法を考え、それをサポートしてくれる中源線について解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第112回 大きなうねりを乗りこなせ ~利益を伸ばす中源線のスゴ技~

区切りがないってダメでしょ!

株式のトレードでは、多くの人に「買い偏重」と呼ばれる傾向があります。

上げでも下げでもいい、
値動きに対してポジションを取って利益が出ればいいんだ──。

こう考えているのに、「買うこと」に偏り、「株は買って持つもの」というイメージから離れられないのです。カラ売りの概念がちょっとだけ難しいことに加えて、ふだんの消費行動と同じように「買って所有する」という感覚がわかりやすいからです。

もちろん、プロでも「買いが基本だ」と考える人はいます。

「株式会社は利潤を追求する組織だ。それに、目先の利潤だけでなく、高い成長性を目指している。だから、買いが基本なんだ」

買い戦略に重心を置く実践家は、このような論理で買い戦略の優位性を主張します。
しかし、それは、塩漬けを容認したり、なんとなく株を買って“コレクション”のように抱えることとはちがいます。確固たる考え方をベースに「買うこと」を基本とするだけで、あいまいな取り組み方で“株を抱える”ことはありません。

「現金を殖やす目的で“株式を利用している”」

この考え方を忘れずに、自らの意思で売り手仕舞いを実行します。
買った株を持ちっぱなしにするのではなく、想定した期間内に現金化して“区切り”をつけます。

ダメなときは、早めに損切り手仕舞いします。
うまくいったら一定の“ねばり”で利を伸ばそうとしますが、必ずどこかのタイミングで売り手仕舞いを行います。

一般の人に見られるような、「買い偏重」による混乱はありません。

「区切り」がわるいトレードは、常にギクシャクしています。
たとえれば、ダラダラと続ける残業、司会の仕切りが悪いグダグダの会議、出かけたきり家に戻らない遊び人……みたいなものです。

利食い千人力

利が乗っていたら、機を逃さずに利食いしろ──こんな教えが込められているのが、「利食い千人力」という相場格言です。

「利食い千両」という表現もありますね。

最近は「利益確定」という言葉がよく使われますが、私からひとこと言いたい!

「利益確定」という表現は、そもそも、無責任なメディアが後講釈の市況解説で使ってきた言葉です。相場が下がったとき、見出しの先頭につける言葉は決まっていて、「円高を嫌気して」「高値警戒感から売りが先行して」「先物売りで」と、いくつかのパターンがありますが、そのひとつです。「利益確定売りが出て下がった」と説明するのです。

机で原稿を書く経済記者に、そんなことがわかるはずもありません。最前線にいるプロでも、投資家全体の動向を正確につかむことなどできないのです。

しかし、便利だから使う、それを読む読者も便利に受け止める……いつしか、とても軽いノリで便利に使われるようになり、「利益確定」という言葉を頭に思い浮かべるたびに、トレードの本質から離れていると感じてしまうのです。

ちょっと脱線して、相場用語についての注意点を述べましたが、「利益確定」だって、もとは「機を逃さずに勝ち逃げしなさい」という、まっとうな戒めの言葉です。

さて、現実をリアルに想像しましょう。
買った、上がった、利が乗った……いつ売っても利益です。とっとと売れば「勝ち」が確定します。ですが、問題は勝ちの「値幅」です。

小幅利食いに徹していたら、避けることのできない見込み違いの損、つまり「経費としての損失」をカバーしきれません。そこで今回、必然的な損失をカバーするという意味で、「大きなうねり」「利益を伸ばす」という言葉をテーマとして掲げたのです。

「うまく乗れた!」と感じたときに行う、利を伸ばすためのガマンですね。

ですが、利食いによって、単なる評価益(絵に描いたモチ)を“ふところに入れる”ことの重要性は否定できません。デリケートな問題で、ちょっと混乱しやすいかもしれませんが、「利益を確保する利食い」と「利益を伸ばすポジション維持」について、もう少し掘り下げてみましょう。

波に乗れたときの“ねばり”を実現する「待つ」は、利食いせずにポジションを放置することです。

一方、うかつに手を出さずに“機をうかがう”場合の「待つ」は、現金の状態を継続することです。しかし、“機をうかがう”ということは、狙い目と出動のポイントがハッキリしているということ。

言い換えれば、機敏に行動できるということです。

この機敏な行動が「ポジションをつくり直す」ことにつながるならば、利食いせずにポジションを維持する「待つ」を少し軽くして、「利食い千人力」を実践してもいいではないか──こんな考え方も成立します。

脱「値ごろ感」の仕掛け

安く買って高く売る──相場の極意だと考える人もいるようですが、私としては大いに疑問です。

「安く買う」を実践しようとした結果、“相場あるある”の失敗があります。

  1. 下げ過程で買ってしまう(買いが早すぎる)
  2. 安いけど“上がらない”銘柄を抱えてしまう
  3. いい銘柄の安いところを狙って買えない……

雑な買い方をせずに丁寧に買う、流行に振り回されて買うことは控える、といったことは大切ですが、買い戦略は「上げの波に乗る」行動ですから、かなりうまいタイミングで仕掛けないと、イメージする「安く買う」は実現しません。

「安く買って高く売る」ではなく、むしろ「高く買って、もっと高いところで売る」くらいのイメージのほうが実践的、という考え方も十分に成立します。動かない銘柄、弱含みの銘柄よりも、グイグイッと強い銘柄を狙って「なるべく早いタイミングで乗ろう」とするほうが、確率が高いという論理ですね。

私も、こんなイメージを忘れないように注意しています。

しかし、前述したように、雑な買い方をしたらダメです!

だから、「上げの波に乗る」のだけれど、「理想は上げの直前」だし「買い値は安いほうがいい」と、結果に直結するトレードを考えながら、バランスを気にして戦略を整えるようにするのが正解だと思うのです。

さて、上げの勢いが強い銘柄は、どうしても買いにくいものです。

「少し押したら」と考えていると、押さない……押し目待ちに押し目なし。

いったん利食いしたあとの買い直しでは、自分が売った値段を基準に考えてしまって買えない……マーケットは個人の都合なんて聞いてくれません!

上げの途中で、「利食い千人力」を実践し、いったん降りる。でも、そのあとの動きを見て機敏に乗る(買い直す)──こんなトレードを、中源線によって実現できた事例を紹介しましょう。

4739伊藤忠テクノソリューションズは、直近の1年間、上げ続けています。
でも、すべては“あとからわかる”ことで、安い時期には現在の水準を想像できないわけですし、2016年暮れから2017年の初めにかけてモタモタした時期には「下げるのかなぁ」と考えてしまうものです。

そんな流れの中、中源線は、12月に弱含んだところで「売り」と判断し、2月に再び強張った段階で「こんどは買い」と判断しています。この2月の陽転後もモタついたのですが、結局は大きく伸びました。

「中源線を使えば、こうして当たるんです!」なんて、ふざけた結果論を披露しているのではありません。

2月の陽転後に陰転して下げトレンドに移る、といったケースもあり得ました。
あるいは、2月の陽転後に弱含んで陰転、そんな往復ビンタのあと再び陽転する、なんてパターンもあり得たわけです。

ただ、どんな場面でも動きについていく、機敏に行動するという確固たる答えを出してくれるのが中源線であり、自分の都合ではなく相手(株価)の都合で行動を決める合理的な思考法が盛り込まれているといえます。

6407CKDは、伊藤忠テクノに比べると上げ下げがハッキリしています。
それだけに、4月後半からの上げは、裁量では乗りにくいと誰もが感じるでしょう。

ダラダラッと下げてきた、中源線が陰転した、「高値で買った向きが重しになっている状況かな」という雰囲気のなかで急騰したので、この上げにサッと乗れる投資家は少ないはずです。

しかし中源線は、うまく陽転しました。
もちろん、この陽転がダマシとなって再び下向きになる可能性だってあったのですが、機敏な行動、自分の都合を無視した素早い買い直しを、中源線があと押ししてくれた事例です。

今回テーマとして掲げた「待つ」は、決してボサッとしていることではありません。
『待つ=狙いを絞る』ということから、機敏な行動にもつながる大切なアイデアです。

ここでのポイントは、何度も述べた「相手(株価)の都合」です。
“自分流”を守って出動の機会を絞るのですが、相手の都合に合わせて行動することが求められます。少なくとも、「自分が利食い手仕舞いした価格」を気にしていたら、株価の未来を考えることができません。

売り手仕舞いした値段が300円、現在が400円であっても、「ここから上がる」と判断したら買うのが正解です。以前の売り値なんて、将来の損益にまったく関係ありませんから。

大橋さんは勝つか?(2)

番組で紹介した、7717ブイ・テクノロジー。
中源線は陰線(売り線)の状態なのに、大橋さんは「昨日買った!」とコメント。
さあ、どうなるでしょうか、というレポートの続きです。

番組で私は「このまま上がると陽転」と言いましたが、そのような結果となりました。
番組の2日後、7月12日の大引で中源線が陽転したのです。
価格は、19,690円でした。

そして7月18日の大引は19,850円と、陽転した時の価格を上抜きました。とりあえず、強い動きですね(この原稿を書いているのは19日)。

大橋さんは、かなり上手なところを買うと思います。さすが、苦労しながら勉強してきただけあります。その半面、意外とアッサリ利食いして降りてしまうことも少なくないようですが、今回はどうでしょう?
「サッと利食いしちゃった~」ってセリフが出るのでしょうか?

判断のジャマをしてはいけないので、7月12日の陽転を知らせたあとは、なにも連絡していません。
これも、相場の「待つ」でしょうか?(笑)

次回のフォローアップ(3)では、予測の的中率にかかわらず結果を“つくる”プロの思考をテーマにお届けします。
お楽しみに!


2017年4月28日発売開始
ブレない投資手法 曲げない投資哲学
~相場に立ち向かうための「起承転結」~
目次などの詳しい情報はこちら(内容のチラ読みもできます)



書籍『中源線建玉法』の「第一部 解説」には、無料配布版があります。印刷版(無料郵送)のほか、PDF版またはeBook版(ダウンロード)もあります。

こちらのページへどうぞ!



たいへん貴重な売買の実記録と、林輝太郎による実践的な解説。
林投資研究所オリジナル(旧書名「株式売買記録と解説」)

詳しくはこちらのページでご覧ください。


長年続く普遍的ノウハウ、低位株投資「FAI投資法」の原典。
林投資研究所オリジナル

詳しくはこちらのページでご確認ください。


※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

直接法(2)価格は加工しない

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 連載「トレード哲学」……15
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ゴミ箱に向かってゴミを投げたら、30センチ左にハズレ。
もう1回投げたら、こんどは30センチ右にハズレ。
「平均したら2つともど真ん中!」って理屈は、ダメですよね?

株価チャートにおいて、「移動平均線」は人気のある観察法のひとつです。
でも、「直接法が正しい」と考える実践者は、移動平均線を否定します。

過去の一定期間を平均すると、なにが導き出されるか──。

移動平均は、ジグザグの上げ下げの“真ん中を通る”線です。
要するに、それだけなのです。

単に“真ん中を通る線”ですから、わざわざ計算する意味があるのだろうか……これが、直接法を好む人が疑問を抱くポイントです。

移動平均線については、もうひとつ気になる点があります。
「未来を考えるのがトレードなのに、過去にさかのぼっていいの?」という素朴な疑問です。

株価が規則的に上げ下げすると、移動平均線とのズレも一定になりますが、そもそも規則的なのですから、移動平均線を使う意味は生まれません。

「移動平均線で、株価の行きすぎたブレを察知する」という意見もありますが、移動平均とのかい離(ズレ)が、上方向または下方向に長く続くケース、つまり“異常な状態”こそ、その方向にポジションを取って利益を上げる、あるいは逆方向のポジションを素早く損切りすることが求められます。

ドタバタしがちな値動き推移を「うまく均(なら)してくれる」ので、値動き傾向がわかりやすくなるという考え方は否定できません。

でも、直接法が重心を置く「株価そのもの」のほかに、移動平均線、移動平均線と株価そのもののかい離(ズレ)……と、データの種類が増えていくと、それだけで複雑になります。

そういった複雑な状況をつくり出してまで「株価の先行きを当てよう」という姿勢がキケンだ、しかも、未来を考えながら時間軸が過去にズレる矛盾は放置していいのか……。

これが、直接法において移動平均線を否定する論理です。


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7月10日放送のフォローアップ(1)
林 知之

相場の極意は「待つ」ことだ!

値幅取りは相場の醍醐味。
とはいえ、大きな変動を予測して“当てる”ことなど不可能です。

値動きの変化、いわゆる「値運び」に対応し、
『当たった予測を育てる』
という発想が大切です。

7月10日の放送では、ここ1年で大幅に上伸した銘柄を取り上げながら「大きなうねり」に乗るための方法を考え、それをサポートしてくれる中源線について解説しました。

映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第112回 大きなうねりを乗りこなせ ~利益を伸ばす中源線のスゴ技~

オトナの「待つ」

相場で大切なのは、とにかく「待つ」ことです。
頭で理解していても待てない、オトナなのに「待つ」ことが難しいのです。

この3行の言葉だけでは、わかりにくいと思います。
ひとつずつ説明しましょう。

まずは、1番目の「建てないで待つ」、つまり、ポジションを取らずに“絶好のチャンスを待つ”というイメージについて解説します。

株式市場では日々、いろいろな動きがあります。
「市場全体に動きがない」という状況でも、個別銘柄を見れば相当な変化があります。
それをメディアが、ごていねいに掘り起こして解説してくれます。
イヤでも気づいてしまいます。

こんな情報タップリな毎日を過ごしていると、ヘンな気持ちになりますね。

「いつでも、何かしらのチャンスがある」
「それを取りにいかなくちゃ!」
「やらないのは損だ」

ごく当たり前の心理です。
私たちトレーダーは、ある意味、獲物を追う“ハンター”なのですから・・・

でも、「可能性がゼロではない」というだけです。
そこには、実践的な意味はないのです。

狙って手を出して、「そこそこの確率で取れる値動きかどうか」が問題です。

隣の芝生は青いのです。
「取れそう」な気がするだけです。

錯覚が生じ、派手な動きに翻弄され、余計な情報に惑わされるケースが大半です。

不特定多数の参加者が、ひとつの場でカネを取り合うのが株式市場です。
他人を上回ることで「勝ち」を手に入れるには、ちょっとくらい自信のある“得意技”を駆使するしか方法はありません。

ということは・・・

本当の意味の「チャンス」とは、その得意技を繰り出すことのできる値動きパターン、毎日出現することなどない、頻度の低いケースだと考えるべきです。

こうやって状況を整理すると、日々のさまざまな変化が、少しちがうものに見えてくるはずです。

「手を出せば儲かるかもしれない」(可能性はある)
「でも振り回されるかもしれない」(損になる可能性も大きい)
「トントンか少し利益で終わったとしても時間とエネルギーを費やす」
「その結果、自分のワザが乱れてしまうかもしれない」

実践者として、これくらいの落ち着いた分析をするべきです。
オトナだからこそできない……でも、そんなカベを乗り越えて真のオトナのガマンを身につけるべきです。

実際、ガマンなんて続きません。
背伸びしたって、それこそ三日坊主で終わってしまいます。

だから、その「ガマンする状態」を、「当たり前」の対応だと自分に刷り込む作業が求められます。冷静な分析を日ごろの行動に盛り込むのです。そうすれば、常に同じように実行することが可能です。

100通りの「チャンスっぽい」動きのうち、本当のチャンスは1つだけです。
その1つを逃さずに見つけて出動し、着実に取るのです。
そのときの行動の精度を高めるために、残りの99は捨ててしまう……これくらいのイメージをもつことで、やっと実行できることだと思います。

撤退して「待つ」

2番目の「待つ」は、「手仕舞いして待つ」と示しました。

1番目の「待つ」は、「建てないで待つ」、手を出しすぎないオトナの行動基準です。
それが「当たり前」のことになれば、現金ポジションを高める手仕舞い、とくにダメ玉を切ってしまう損切りもスムーズに実行できるはずです。

適切な手仕舞いがないと、次のトレードを行う“ワク”が空きません。
動きに乗れたときの「勝ち逃げ」も、見込み違いを認める損切りも、実は全く同じ「撤退」の行動です。

新しい銘柄を見つけた、
手を出すための“ワク”がない、
「なにかを手仕舞わないと……」

このように、苦しいヤリクリをしているようでは、資産運用はスムーズに進みません。常にギクシャクした状態で、いわば、転びそうになりながらドタバタと歩き続けるようなものです。

街の小売店ならば、商品をどんどん売ることで現金をつくって次の仕入れに回す、売れ残りそうな商品は値下げしてでも売ってしまう──こういう流れが不可欠ですよね。

トレードという、非常にデリケートな作業では、この“流れ”に相当なエネルギーを注ぐべきなのです。

相場の醍醐味を味わう「待つ」

さて、前項では「適切な手仕舞い」と述べました。

ダメな玉は早めに損切り、つまり、ムダな時間をかけない、ヤラレの値幅を大きくしないように努めます。

でも多くの人は、ダメな玉を切らずに先送りします。
そのかわり、良い玉は早めに利食いしてしまいます。

「利食い千人力」といいますが、なんでもかんでも早めに手仕舞いしていたら、大きな波を取ることができません。
これこそが今回のテーマ、『大きなうねりを乗りこなせ』の意味なのです。

慌てて手を出さずに待つ、適切な手仕舞いによって“在庫”と“仕入れ資金”のバランスが取れている……こうしたスムーズな流れができると、余裕が生まれます。すると、「大きな波」を狙う発想が、ある程度の確率で現実のものとなります。

これが、3番目に挙げた「待つ」、「手仕舞いせずに待つ」の内容です。

さて、中源線建玉法は、うねり取りを実践するためのツール、ひとつのアプローチ法です。つまり、3カ月または6カ月の上げ下げ(自律的な変動)を狙うのが趣旨ですが、昨今の株式市場で目立つ“大きな上伸”は、投資家として見すごしたくない値動きです。

株式会社は、利潤を追求する組織です。
そして、目先の利潤だけでなく、長期間に及ぶ「成長」を目指します。

この「成長性」に着目して“株式を保有する”のが、株式投資の原点ですよね。
だから、成長性を前提に、著しい収益の好転があれば、株価は大きく居所を変えます。そんな変化を、投資家として取りたい、乗っていたいと強く感じます。

値幅取りは、ベテランやプロにとっても「相場の醍醐味」なのです。

中源線によって、上げも狙えば下げも狙う……要するに、ポジション操作による「投機」を行っていたとしても、「大きな波をしっかり取りたい」(上げでも下げでも)と考えるのは当然です。

実際に、中源線による売買で大きな上げを取っている事例を紹介します。

2281プリマハムは、見事なほどのジリ高を演じ、この1年で倍化しています。

あとから見れば、「こういう銘柄をジッと持っていれば……」と思うのですが、実現が難しいことは、みなさんもよくご存じでしょう。初動で乗っていたとしても、とことん“ねばる”のは困難なものです。途中で降りてしまうのです。

でも、中源線は、今回の上げをうまく乗りこなしています。

6737EIZOは、2016年9月に陽転して、2017年1月から4月上旬までモタモタしたあと、4月中旬から上げが加速しました。2倍近い上昇、プリマハムに負けないほど大きな変化率です。

上記2銘柄のように、これほどの期間、陽線(買い線)が続くのも珍しいのですが、値幅を取るための“ねばり”、「手仕舞いせずに“待つ”」が、中源線の判断によって実現した実例として紹介しました。

フォローアップの第2回、第3回では、上げの中段で陰転しながらも再び陽転して上伸した例を紹介しますね。

大橋さんは勝つか?(1)

放送の後半、今までに何度か紹介した“おなじみ”の銘柄も解説しました。その中のひとつ、7717ブイ・テクノロジーを大橋さんが買っているそうです。番組の中で、「今日買ったの」と言っていましたね。

でも、中源線は陰線(売り線)の状態……大橋さんは「なんで買っちゃったんだろう?」などと言っていましたが、今後の展開やいかに!

来月の放送でも取り上げようと思いますが、まずはフォローアップの中で追いかけていきたいと思います。でも、中源線の「売り」という判断が勝つか大橋さんの「買い」が勝つか……そんなヘンテコな観点は持ち出しません。

下げ止まったとみて買った大橋さんの判断には、大橋さん自身の確信があったのです。かたや中源線は、今の状態(上に示したチャート、7月7日まで)では「売り」と判断してカラ売りポジションを持っている、というだけのことです。

中源線は、トレンドの変化に対して、少し遅れて転換します。
このあと強張って陽転したら、

『大橋さんの買いは正解だった』
『中源線に先んじて上げを予見した』

ということになるのですが、そんなものは、たった1回の結果だけを取り上げた説明で、実践にはつながりません。

でも、リアルなトレードの題材として面白いので、実践的な理論を忘れないように気をつけながら、しばらく観察してみましょう。

次回のフォローアップ(2)では、今回説明した「待つ」を実行することで成立する相場の“攻め”、積極的に「動く」ことについて考えます。
お楽しみに!


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連載「トレード哲学」……14
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私は小学校に上がる前、書道塾に通っていたのですが、ある日のこと先生が、同じ書道塾で習っていた私の祖母に言いました。
「知之くんは、少しお休みしたらいかがでしょう……」
私は少しばかり元気なために畳の上でスライディングしたり、少しばかり創造的なために手本にない言葉を書いたりしただけですが……直接的に言うと「迷惑なんですよ!」ってことだったみたいです。スミマセンでした。。。

ものごとは、直接的に言うよりもオブラートに包んだほうがいいケースも多いようですが、回りくどくて伝わらないことだってあります。

トレードの予測に参照するデータはいろいろあります。
個別銘柄ならば、ファンダメンタル分析だけでも多岐にわたりますね。

参照するデータは、大きく二分することができます。

1.株価そのもの
2.それ以外のもの

1の「株価そのもの」を見て判断(予測)しようとする姿勢を、「直接法」と呼ぶことができます。

以前に説明した“効率的市場仮説”に基づき、「あらゆる情報が現在の株価に織り込まれている」とするならば、周辺の情報を拾ってもムダなことです。

また、どんなアプローチをしようが、最終的には「市場の価格で売買する」のですから、最初から最後まで株価だけを見ているほうがシンプル、実践的、個人でもラクに実行できてブレが生じにくい──これが、「相場技術論」の考え方です。

だから、業績の変化、企業の成長性などを、将来を考えるうえで有効なデータだと評価しながらも、「で、株価の推移は?」と必ず株価そのものをチェックして売買行動を決定するのです。

林投資研究所が提唱するのは、この「直接法」です。

「直接法」か「間接法」か……こんなかたちで2つに分けるのは乱暴なようですが、相場技術論において「値運びと、それに対する“対応”こそが重要だ」と進み方を固めるために、やや極端な分け方で姿勢を決め打ちしているのです。

次回以降、もう少し説明を続けましょう。


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なにか事が起こると「オレにはわかっていた」なんて言うヤツがいますが、わかっていたような気がする、そんなセリフを吐いてみたい、なんて心理だけなんでしょうね。「本当にわかっていたのなら事前に言えよ!」ってことです。

昨日、7月6日付の日経新聞に、こんな記事がありました。

 「ヒアリ関連株 急騰」
 「殺虫剤需要拡大→フマキラー30年ぶり高値」

猛毒のヒアリが東京でも発見されたということで、実に恐ろしいことですが、なんでもかんでも材料にしてしまうのが株式市場の文化です。

でも、ヒアリの恐怖だけで「30年ぶり高値」をつけたのでしょうか?

林投資研究所が主宰する低位株投資の研究会「FAIクラブ」公式のデータベースで確認すると、フマキラー(4998)は、以前から業績が上向いています。

私たちが使うデータベースは「データスリップ」という名称なのですが、過去の業績推移、会社予想の変遷(上方修正、下方修正)まで記録に残ります。

特別に、フマキラーのデータスリップ画面を、WEBページに公開しました。
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フマキラーは、ここ数年、増収、増益、増配と業績が極めて順調。
株価も、2014年の初めに300円前後だったものが、直近では800円台に乗っていたのです。

ヒアリの件で上げが加速したという解説は誤りではないと思いますが、
「ヒアリで暴騰したのか!」なんて、まるでお宝を発見したような気持ちで行動に移しても、いったいどうなることやら……。

こういった材料を素早く察知して行動すれば、それはそれで勝てるやり方だと思うのですが、幅広い知識や行動力など多くの要素が求められます。
同じ材料でも、環境によって反応度も異なりますし……。

少なくとも、新聞記事て飛びついても、カモになるだけでしょう。

いや、フマキラーはもう上がらない、と言っているのではありません。
トレードする姿勢の問題です。
また、ひたすらなだれ込んでくる投資関連情報を、どうやって取捨選択するかを決めておくことが求められます。

無視しようと考えても、少なからず影響されます。
では、その度合いは?
あるいは、できるだけ影響される度合いを下げる工夫は?

実践には独自の智恵とスマートな対応が必要です。

 

FAIクラブ公式のデータベース「データスリップ」は、お試し版があります。
データを時系列で見るだけで、異なる視点が生まれます。
どうぞ、のぞいてみてください▼。

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※「研究部会報」および「中源線シグナル配信」は、林投資研究所が行っている投資助言サービスです。契約にあたっては、林投資研究所が交付する「契約締結前の書面」をよくお読みください。

6月12日放送のフォローアップ(3)

6月12日の放送内容について、フォローアップ第3回を「週報」に掲載しました。

フォローアップ(1) 「“真の技術”は古典にあり!」  6月17日掲載

フォローアップ(2) 「分割売買の効果」   6月24日掲載

フォローアップ(3) 「確信あるエントリーのために」  本日掲載