ちゃんとしたタラレバを言おう!
トレードは頭のゲーム──とはいえ、論理性や合理性だけでなく、自由闊達(かったつ)な創造性や感情を併せもつのが人間……しかも、株価は理屈通りに動いてくれません。
だから、思わぬ落とし穴にはまらないために、「やってみないとわからない」ことを確認する作業は欠かせないのです。
2018年6月4日のマーケット・スクランブルでは、地味なテーマながら、「売買の練習」が必要な理由、そして、その方法について解説しました。
映像は、「過去の放送」でご覧ください。
(第134回 うねり取りはカンタンじゃない!? ~中源線を使った実践売買のポイント)

3カ月で判断できるだろうか
中源線の売買を始めて数カ月、成績はわるくないような、問題があるような・・・会員から寄せられる“相談あるある”です。
先日も、「6銘柄で3カ月売買、全体の成績がマイナス1%なんです……」という相談を受けました。個々の銘柄を確認してみると、そこそこ利益を生んでいる銘柄がある一方、中途半端な往来で中源線が機能せずに損を発生させている銘柄がありました。
「損の銘柄を手がけなければよかった」「利益の銘柄は、株数が多ければよかった」なんて発想は一般的かもしれませんが、単なるタラレバなら生産性はゼロ。
もう少し現実的な観点で、未来につながる検証を心がけたいものです。
やはり3カ月では判断しかねる、というのが答えです。
わずか3カ月の結果では、手がけた銘柄の優劣や手法との相性を論じることは難しいでしょう。
さて、今回も現実のチャートを見てみましょう。
※赤が買い線で買いポジションを3分割で増減、黒が売り線で売りポジション(カラ売り)を3分割で増減させていきます。

9994やまやは、2017年10月からの大きな上げを中源線が捉えました(1)。
しかし、おおよそ3,000円から3,500円の保合でダマシが4連発しています(青い四角で囲んだ部分)。
その後、2018年4月の陽転で上げを取り(2)、高値で機敏に陰転して現在は売り線です(3)。
さて、青い四角で囲んだ部分では4カ月以上にわたって中源線が機能せず、往復ビンタを食らっています。しかし、モタモタ、ダラダラと逆行することはなく、ダマシとしては納得できるレベルともいえます。
少しだけ距離をおいて冷静に観察すれば、取れている波動も含めて「なかなか機敏に反応しているじゃないか」と評価できると思うのです。
「過大評価しろ」ということではありません。
「絵に描いたような結果を基準にするべきではない」という意味です。
やまやを手がけ始めたのが、たまたま往復ビンタの時期だったら……4カ月強で「これダメだ」なんて捨てることになりかねません。
目先の利益うんぬんの問題ではなく、真剣になって結論を急ぐ結果、自分が使っている手法を間違えて理解することになってしまう可能性があるのです。「これもダメだ、こっちもダメだ」と銘柄を取っかえ引っかえ、あるいは手法を乗りかえ続ける“相場難民”の領域に入ると、戻ってくるのが困難です。

見るのは「トレンド」
買い値と売り値の「差」が損益を決めるので、つい「価格」だけに目を向けがちですが、「価格」はチャートのタテ軸で、もうひとつの大切な要素である「時間」(ヨコ軸)を置き去りにした感覚になってしまいます。
例えば、「300円で買った瞬間に310円で売る」というのは不可能。短期であれ中期であれ、必ず“一定の時間”を要します。だから、チャートのヨコ軸の「時間」を無視するような観察は好ましくないのです。
トレードで大切なのは、タテ軸とヨコ軸をあわせて生まれる「トレンド」です。
上げトレンドならば、買いから入ることで利益を取りやすい、下げトレンドならば、売りから入ることでラクに利益を取れる──こういう、大局を見る感覚が極めて重要です。
そして、そのトレンドの転換を気にするのが、私たちが行うチャート観察です。
・上げ→下げ
・下げ→上げ
以上の2つが代表的な変化ですが、現実ではもっと細かく考えます。
・上げ→上げ止まり
・緩やかな上げ→急激な上げ
・上げ途上の一時的な下げ(押し)
こういった変化を、チャートのヨコ軸(日柄)とともにデリケートに捉えていくのが、トレードにおける値動き観察の本質です。
番組で紹介している林投資研究所のオリジナル手法「中源線建玉法」は、トレンドの変化を捉えて“波に乗る”試みを、機械的に判断する仕組みです。

8698マネックスグループは、地味な往来から突然に暴騰をみせました。仮想通貨交換業者「コインチェック」の買収が材料となったのですが、中源線は“最終的な結論”であるマーケット価格の推移だけを見るので、そういった背景は考慮しません。
4月はじめの上げに反応して陽転、4月後半の押しでいったん陰転するも再び陽転して700円超まで上伸、そのあと600円台で推移しています。中源線の機敏な判断で、上げを捉えているわけです。
さて、チャート上に「ふるい落とされるな!」とコメントを書き加えて放送でご覧に入れました。タテ軸で見ると大きな変化なので、つい「売り逃げなくては」と考えますが、さらに大きく上伸した場合に取り損なうというのが、相場の“あるある”だからです。
株価変動の捉え方には、さまざまな考え方がありますが、中源線の場合は「下落トレンドがスタートした」と判断できるまで買いポジションを維持します。必然的に、最高値付近で売る可能性は捨てますが、そもそもムリな試みなので気になりません。それよりも、大きなトレンドの取り損ないを減らすほうが現実的だと考えるわけです。
しかし、マネックスグループは、放送当日の大引けが618円(前日比36円安)で陰転、結果的には700円台に数回つっかかった部分が目先の高値でした。
(チャートは放送日の前立会日、6月1日まで)
買っていた場合に「700円で売っていれば……」と考えがちですが、それはダメなタラレバです。たった1秒前に戻ることもできないのが相場──ここでは、「さらなる上伸の可能性を維持したのだから、それはそれで正しかった」と考えるべきです。
もちろん、別のやり方で判断したら、700円近くでらくらく手仕舞いできたかもしれませんが、その強みには、表裏一体の弱みがあるはずです。万能の道具なんて、存在しないのです。
いずれにしても、自分のやり方(予測法、建玉法、資金管理法)の強みと弱みを熟知し、刻一刻と変化する株価に対して確固たる「次の一手」を決め、それを確実に実行するのがトレードです。
「なんとなく買い集めた、でも動きがよろしくない・・・上がってくれ~!」
多くのオトナがこんな状態に陥るのが現実です。一歩抜きん出るためには、軽やかに対応する「行動力」を意識したいものです。

相場は「カネがカネを生む」行為、「カネに働いてもらう」ビジネスといえますが、個別の株、個別のポジションが意思をもって動くわけではありません。動かすのは、プレーヤーであるあなた自身です。

取れるか取れないか
トレードの振り返りは、基準のもち方、観点のあり方が難しいと思います。
見ていた銘柄が上がったのに買っていなかった……「これはダメだ!」と猛省すべき場合と、「神様じゃないから仕方がない」と忘れて次のことを考えるべき場合があります。取り組み方によってもちがいます。
ここで、もうひとつ中源線のチャートを紹介します。
4331テイクアンドギヴ・ニーズは、2月の放送でもご覧に入れました。まずは、その時のチャートを示します。

中央にあるダラダラ下げを、中源線がうまく捉えて利益を取りました。
安値圏でうまく陽転したため、後半の暴騰時には買いポジションがあり、これも成功です。
ところが、次の陰転は、高値(2017年12月はじめ)から200円以上も下げたタイミングでした。
当然、「あの高値で売っておけば……」と考えるのが人情です。
「頭とシッポはくれてやれ」と考えるのが正解ですし、中源線も、その部分で背伸びしようとはしていません。それでも、このテイクアンドギヴ・ニーズのケースでは、「もう少し早く陰転しなかったの?」と思ってしまいますね。
テイクアンドギヴ・ニーズの、その後の動きを見てみましょう。

青いタテ線が、最初のチャートの右端です。
タイミングが遅れた陰転はそこそこの利益(○)、そのあとの陽転も値幅取りにつながっています(◎)。
こうして全体を見ると、2017年12月のとがった高値が取れなかったことなんて「気にすることでもない」と思えてきます。多くの人が苦労する中で、勝ちトレードが続いているのですから、堂々たる結果です。
こんなふうに、現実で「取れる」範囲を正しく見極めるべきです。
一時的な感情を捨てて、正しい振り返りをするべきです。
それが、未来につながるのです。
プレーヤーとして、ちゃんとしたタラレバ(「タラ」でも「レバ」でもないのですが……)を言いましょう。

次回のフォローアップ(3)では、プレーヤーである人間の創造力に目を向け、誰もが思い浮かべる「妄想」のあり方を考えます。お楽しみに!
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