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☆フェイクニュースに騙されないために
ロシアによるウクライナ侵攻の3カ月後の2022年5月に行われ、ロシア軍の工作によるものとされていたノルドストリーム液化天然ガスパイプラインの破壊の真犯人が先週水曜日に、ドイツ検察当局が発行した国際逮捕状に基づき、潜伏先のイタリアで逮捕された。パイプラインの破壊は、ウクライナ軍の特殊部隊の高官が率いる工作員らによるものだった。
バルト海から北海にかけて通るノルドストリーム・パイプラインは、ロシアと西欧とを繋ぐエネルギー供給の大動脈で、ロシアにとっては外貨獲得の、西洋にとっては安価で安定したエネルギー確保の極めて重要な手段だった。
そのために、ロシアによるウクライナ侵攻後にも天然ガス供給は他のルート通じたものも含めて続けられ、ウクライナを通るルートにおいては、ロシアはウクライナに通行料の支払いまで継続していた。このことは、ウクライナでさえ実利のない部分では、米国のロシア制裁に従っていなかったことを示している。
そのため、パイプラインの破壊がロシアによるものと報道された時、私は「あり得ない」とどこかに書いた記憶がある。どこに書いたかを自分のブログを検索していたら、当時に書いた以下のブログを発見した。パイプライン破壊については見つからなかったが、ロシアによるウクライナ侵攻の事情が図解付きで、今読んでみてもよく分かるので、興味のある方々はご覧いただきたい。
参照:ロシアの苦戦と、戦争の壊滅的な拡大懸念(2022-05-30)
米国の制裁はロシアと西欧を含む西側諸国とを分断するものだったが、西欧はエネルギーが必要だ。ロシアは外貨が必要だ。そこで、西欧は主にインドを経由することで、割高となってもロシア産の原油を購入してきた。つまり、安価で安定したエネルギー供給を約束するパイプラインの破壊は西欧とロシアに大きなダメージを与えるものなので、ロシアはむしろ破壊を防ぎたい側だったのだ。
一方、パイプラインの破壊でメリットを受けるのは、ウクライナと米国だ。今でこそ、西欧はロシアと敵対しウクライナ側だが、当時はそうでもなかった。西欧にとってウクライナはロシアと同じスラブ人の国で、経済的にはロシアと付き合う方がメリットが大きかったのだ。だからこそ、ロシアが2014年にクリミアを奪還した時も、その後のウクライナ東部諸州のロシア系住民とウクライナ系住民との内戦にロシアが介入したことも黙認してきていた。
そうした状況下でパイプライン破壊をロシアのせいにすることは、ウクライナにとっては、ロシアの非道を強調でき、ロシアと西欧を経済的に分断できることに加え、ウクライナ経由パイプラインの重要性を高めることで通行料の値上げも見込めることになる。
米国にとっては、近づきすぎていたロシアと西欧との分断、ロシア制裁の正当性の強調、世界一の生産量となっていた米国産エネルギーの西側諸国への販売増だ。これらはすべてその後実現している。
ここまでパイプライン破壊のデメリットとメリットがはっきりとしているので、西欧諸国による調査でさえ、当初のロシア工作説が否定され、ウクライナの工作だったことが明らかにされていた。
それにもかかわらず、逮捕がこの時期まで遅れたのは、今度はトランプ政権と西欧が分断しつつあるからではないか。西欧自身が米国からの制裁的な関税攻めにあっているだけでなく、ロシア原油を購入し西欧に販売しているインドまで制裁することは、割高な米原油への更なる依存を高めることにもなるからではないか。もはや事実を歪めてまで、米国とウクライナだけを利する工作にまで加担する必要がなくなったのだ。
一方で、インドが米国の制裁的な関税に対して強気なのは、ロシア、中国などBRICSの仲間だけでなく、西欧からもサポートが期待できるからかもしれない。
バイデン政権によるロシア制裁はBRICS加盟国を倍増させ米国の孤立化を促したが、トランプ政権による聖域なき制裁的な関税は、ジェノサイドが指摘されているイスラエル支持と相まって、米国の孤立化を深化させている。これで最も救われているのは、米国と覇権を争っている中国かもしれない。
ロシアを仮想敵国とするNATOの東方への拡大が、ロシアの国境線ともいえるウクライナにまで達した時、ロシアの「反撃」が始まった。ウクライナをクーデターで親米勢力とした米国はロシア制裁を世界に持ちかけた。
しかし、賛同したのは日本や西欧などの米の同盟国に限られたため、制裁はロシアだけでなく、米と米同盟国たちの世界的な存在感を低下させた。また、米同盟国らはロシアに対する(これまでは秘めていた?)敵意をむき出しにしてしまったので、ロシアと軍事的にも対立する可能性を高めることにも繋がった。
同朋国と戦っているロシアもまた、旧同盟国らの支持を失いつつある。ロシアが失ったものも大きい。私見では、もはや日本や西欧はロシアと真の友好関係は築けない。
そこに米国で政権が変わり、「Make America Great Again(MAGA)」のスローガンのもと、トランプ政権は同盟国らに対しても聖域なき制裁的な関税を適用することになった。これは米国と付き合うことは非常に「高くつく」ことを認識させられることにもなった。
孤立化を進める米国と付き合うことは、今後さらに「高くつく」ことを覚悟しなければならない事態となっている。私見では、米中など覇権を競う国以外に、より信頼できる国々との友好関係を深めることが急務だとみている。
フェイクニュースとは何か? ロシアとウクライナは実際に戦闘を行っているだけでなく、激しく情報戦を戦っている。ロシアやウクライナを支援する同盟国らも同様に、情報戦に加担している。つまり、どの国の政府も旧日本の大本営発表同様の発表を行っている。これは公的なフェイクニュースだと言っていい。
メディアは自身で行った取材と共に、そうした大本営発表同様のフェイクニュースも報道している。このことは、自分自身で取材する能力のないメディアはフェイクニュースでも事実のように報道していることを示唆している。
政府の発表自体も変遷する。トランプ政権になって、保健福祉省長官はワクチン懐疑派のロバート・F・ケネディ・ジュニア氏に変わった。同氏は環境弁護士として活動し、環境保護団体の創設などを経て、現在は「Make America Healthy Again(MAHA)」のスローガンのもと、ワクチン政策の見直し、食品医薬品局の利益相反是正、疾病対策センター助言委員の刷新、ワクチンが原因とされる自閉症に関わるデータ分析政策などを進めている。
バイデン政権時代、同氏の「アンチワクチン」発言はフェイクニュースだとされていたが、現在は米政府の正式見解だとなっている。
政府の見解は歴史の書き換えにも及ぶ。勝者は敗者の歴史を否定し、勝者の都合のいいように書き換える。維新や革命、戦争の後にはほぼ決まって価値観が反転する。その意味では、フェイクニュースを事実のように広める最も大きな勢力は時の政府や覇権国だ。
こうしたフェイクニュースに騙されないためには、より多くのフェイクニュースに触れることだ。ネットのフェイクニュースだけを排除すれば、時の政府や覇権国のフェイクニュースだけに染まることになる。
すべてのものには因果関係がある。より多くのものに触れ、多くのことを味わい体験し、フェイクニュースだとされるているものでも、自分の知識、体験などから判断する。そして、自分の常識からして辻褄の合わないものはフェイクかも知れないと疑ってみる。
そうしても自分に騙されるのはもはや仕方がないが、他人に簡単に騙されるのは癪ではないか?
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