・米国に利益の90%を提供して、石破首相は「何を守ったのか?」 | 矢口新

━━━━━━━━━━━ Seminar on Trading ━━━━━━━━━━━
    殿堂入りメールマガジン:「相場はあなたの夢をかなえる」
    ☆無料版(参照&登録):https://www.mag2.com/m/0000031054.html
「生き残りのディーリング」の著者による経済と相場の解説(折に触れて)
★有料版(\840税込:購読登録):http://www.mag2.com/m/0001111340.html
まぐまぐ大賞2016:資産運用(予想的中!)第1位(毎週月曜日)
━━━━━━━━━━━━【 Dealer's WEB 】━━━━━━━━━━━━━

・iPad、iPhoneでお読みの方は、上部アドレスバーにある[リーダー]をクリックすると、読みやすくなります。

 

 

 

☆米国に利益の90%を提供して、石破首相は「何を守ったのか?」

石破首相は与野党からの退陣要求の大合唱に応じて、先日合意した日米関税交渉では「守るべきものは守った」と述べた。

しかし、米ニューヨーク・タイムズ紙は、日本が米国と前代未聞の巨額投資ファンドを設立し、運用はトランプ氏に一任し、利益の90%を米国に提供すると約束したことで、関税交渉が合意できたという記事を載せている。

私には記事の真偽を知る術がなく、したがってコメントも出来ないので、チャットGPTが行った記事のタイトル、要約、及び全文の日本語訳を以下に、何の修正、編集も行わずにご紹介する。

参照:‘Unprecedented’ Investment Fund Seals Deal for Japan and Expands Trump’s Influence 


「前例のない」投資ファンドが日本との契約を締結、トランプ氏の影響力が拡大
ホワイトハウスによると、トランプ大統領が日本の資金の投資先を決定でき、アメリカ側が利益の90%を保持することになるという。

記事:アナ・スワンソン
アナ・スワンソンは国際貿易をカバーし、ワシントンからリポートしている。
2025年7月23日


【要約】
トランプ政権による日本との「前例のない」投資合意とその波紋

2025年、日本と米国の貿易交渉の中で、トランプ大統領は日本側に対し、自動車への高関税をちらつかせるなど強硬姿勢を見せていた。その一方で、米国政府は日本に対し、国内製造業支援のための多額の対米投資を提案。この交渉の結果、日本は5500億ドル規模の投資ファンドを設立し、その投資先をトランプ大統領が自ら決定し、利益の90%を米政府が得るという極めて異例の合意が成立した。

このファンドは、エネルギー、半導体、重要鉱物、医薬品、造船といった米国の国家安全保障に関わる産業への投資が想定されている。また、政府による支援を受けた新工場の建設(リースバック方式)も計画に含まれる。ホワイトハウスはこれを「米国史上最大の対外投資コミットメント」とし、数十万の雇用創出と債務削減を約束している。

この構想は、商務長官のハワード・ラトニック氏が中心となって提案したもので、彼は新たに「投資加速機関(investment accelerator)」を設立。米商務省の下で運用に関わるという。ラトニック氏は、ゴールドカードによる市民権販売、政府による特許収益の取り込みなど、政府財源強化のための斬新な政策も提唱している。

しかし、専門家の間では懐疑的な見方も強い。
ダートマス大学の通商史家ダグラス・アーウィン氏は、「前例がない」と指摘し、大統領が外国からの投資先を直接コントロールすることには懸念を示す。
また、野村証券のM&A責任者ジョナサン・ルーナー氏は、「この種の投資は長期的な計画と政策の安定性が必要だが、今の政権にはそれがない」として、短期的に投資が実現する可能性は低いと見ている。

さらにマーケタス・センターの経済学者ヴェロニク・デ・ルギー氏は、「これは自由市場経済の理念を損なう政治的介入だ」と強く批判。「外国投資と政治的に優遇されたプロジェクトとの露骨な結びつき」が新たな問題を生むと警告している。

【要点まとめ】
日本は米国に5500億ドルの投資ファンドを創設へ

トランプ大統領が投資先を決定、利益の9割が米政府に

投資対象:半導体、鉱物、エネルギー、造船などの戦略産業

提案者は商務長官ハワード・ラトニック氏

自由市場を脅かす前例なき大統領権限の拡大と批判も

投資の実現性や透明性に多くの懸念が残る


【本文】

火曜の夜、日本の通商交渉官・赤澤亮正氏は、ホワイトハウスの大統領執務室でトランプ大統領の机の向かいに座っていた。米国の財務長官、商務長官、国務長官らとともに、トランプ大統領が日本に課すと脅していた厳しい関税率を撤回するよう説得しようとしていた。

交渉の「アメ」として、米日両国の交渉官はトランプ氏に驚くべき提案を提示した――日本が4000億ドル規模の投資ファンドを創設し、その投資先をトランプ大統領自身が決定できるようにし、利益の半分を米国政府が受け取るという案である。

このファンドは、トランプ大統領が重視する国内投資の方針を大きく拡張するものであり、彼の満足を引き出した。大統領はその場で条件の一部を再交渉し始め、数字を修正したり、商務長官のハワード・ラトニックが会議に持ち込んだランチョンマット大のビジュアル資料に書き込みを入れたりした。

最終的にトランプ氏は条件をつり上げ、日本が――すでに米国最大の外国投資国であるにもかかわらず――5500億ドルの対米投資ファンドを創設し、その利益の90%を米国政府が受け取ると発表した。

この発表には、「その投資が本当に実現するのか」、そして「大統領がどのようにして資金の投資先を決定するのか」といった重大な疑問が投げかけられている。
しかしこの条項こそが、農産物市場を米国輸出に開放することに消極的であり、トランプ氏による自動車関税の引き下げを強く求めていた日本が、貿易合意を大統領に受け入れさせることに成功した最大の要因と見られている。

これはまた、トランプ氏による新たな経済政策アプローチの一例でもある。彼は、ワシントンにおける従来の貿易常識を打ち壊し、大統領が経済に対して持つべき権限を極めて広く捉えている。

ホワイトハウスの報道官カロライン・レヴィット氏は水曜日、この投資を「日本との貿易協定の中核」と位置づけ、次のように述べた。「この資金は、トランプ大統領の裁量と指示によって、エネルギー、半導体、重要鉱物、医薬品、造船といった主要産業に投じられます。」

同じく水曜日、AI関連イベントに登壇したトランプ氏は、このファンドを「契約のサインボーナス」と呼び、日本は米国との交渉の機会を得るために先払いする意思を示したのだと主張した。

一方、交渉に応じなかった他国に対しては、「単純明快な関税」として15~50%の関税を課す方針だとも語った。

今回の日本との合意の発表は、トランプ政権が別の異例な日本との取引を発表してから1か月後のことだった。
その取引では、米国政府がU.S.スチールを日本の新日鉄に売却することに合意する一方で、トランプ氏に「ゴールデン・シェア(特別議決権株)」を与え、特定の企業決定に対して拒否権を行使できるようにしていた。

ダートマス大学の通商史家ダグラス・アーウィン氏は、この投資ファンドの設立やゴールデン・シェアの計画について、「前例のないものだ」と評した。
彼によれば、これまでの歴代大統領も他国に対して米国への対外投資を促してはきたが、その投資先を自らの指示で決めさせることを求めた例は、少なくとも彼の知る限り存在しないという。

交渉に詳しい3人の関係者によると、日本の投資ファンドの構想は、日鉄との持株交渉にも関与したハワード・ラトニック氏に端を発するという。
交渉に関わった政権高官の話では、日本がトランプ氏の求める水準まで市場を開放する可能性は低いと聞いた後、ラトニック氏は1月に大統領へ大まかなファンドの構想を提案したとのことだ。

トランプ氏は、年初に提案された当初のスキームには満足していなかった。
だが、米国の国家安全保障にとって重要な分野――たとえば医薬品や鉱物資源など――に投資できるだけでなく、米国の債務返済にも充てられる利益を得られるという考え方には魅力を感じていた、と政権高官は語っている。

この合意は、日米当局による一連の会合で練り上げられたものであり、赤澤氏による8回に及ぶワシントン訪問や、ラトニック氏との深夜まで続いたビデオ会議も含まれていた。

この高官によれば、投資先の最終決定権は大統領が持ち、得られた利益は米国財務省に入り、米国の債務返済に活用される可能性があるという。
最短で1年以内に利益が出始める見込みであり、米国内に新設される工場への投資(その後企業にリースバックされる形)などが候補になっているとのことだ。

商務省がこの投資ファンドの実行を担当し、ラトニック氏が新たに立ち上げた「インベストメント・アクセラレーター(投資加速機関)」が中心的な役割を担うことになる、と政権関係者の1人は述べた。
しかし、計画に詳しい別の関係者によれば、具体的な運用の仕組みはまだ確定していないという。

詳細は不明だが、ファンド全体の構成は、出資(エクイティ)、融資、融資保証などを含むと見られている。

ウォール街出身の債券ブローカーであり、ワシントンでは新顔のラトニック氏は、政府財政を強化するための斬新な手法に特に関心を示しているようだ。
彼は、裕福な外国人に対して「ゴールドカード」による市民権販売を行うというトランプ氏の構想を支持し、また、特許や技術革新から政府が利益を得る仕組みについても言及している。さらに、通商代表ジャミソン・グリア氏や財務長官スコット・ベッセント氏と並んで、大統領の貿易・関税交渉でも中心的な役割を担っている。

近月、中国がレアアース(希土類)や磁石といった重要資源の世界供給を制限したことで、米国政府は自国が必要とする重要製品を確保する能力に対する自信を揺るがされている。
この影響で、一部の米国企業は生産ラインの停止を余儀なくされた。

トランプ氏は現在、半導体、重要鉱物、医薬品、造船といった分野に関して、国内製造業の強化を目的として、すでに関税を課しているか、あるいは新たに課す予定である。
しかし、政府からの資金提供があれば、企業が米国内に新工場を建設するためのさらなる動機づけになる可能性がある。

ホワイトハウスは水曜日に発表したファクトシートの中で、
「これは、いかなる国においても過去最大の対外投資コミットメントであり、米国内に数十万の雇用を生み出し、国内製造業を拡大し、何世代にもわたって米国の繁栄を確かなものにするだろう」と述べた。
同ファクトシートによれば、この資金はエネルギー網の近代化、半導体研究の拡充、重要鉱物の採掘・精錬、その他の用途に充てられる可能性があるという。

しかし、一部の通商専門家は、こうした投資が実際に行われるまでには何年もかかる可能性があると指摘し、そもそも本当に実現するのか疑問視する声もある。

日本の金融グループ・野村の国際M&A部門責任者ジョナサン・ルーナー氏は、この貿易合意を受けて外国からの直接投資が急増するとは考えにくい、との見解を示している。

「これらの投資は計画に何年もかかり、将来の貿易政策に関する一定の確実性が必要だが、現在その確実性は不足している」と彼は述べた。ただし、日本の対米投資は引き続き増加しているとも指摘した。

マーケタス・センターの研究フェロー、ヴェロニク・デ・ルギー氏は、この約束を「曖昧なもの」と評し、「真剣な貿易発表というよりは、選挙集会向けの空想的な主張に近い」と述べた。

デ・ルギー氏はさらに、外国企業が米国に対して何十年にもわたって投資してきたことは事実だが、この新たな取り決めで新しいのは、「貿易交渉と政治的に優遇されたプロジェクトへの資本誘導」との「明確な連結」であると指摘した。

「これは、大統領が政治的優先事項に基づいて外国投資家と国内産業の間を取り持つ経済政策のビジョンを示している」と彼女は述べ、「それは単に不適切なだけでなく、自由市場経済という理念そのものを蝕むものだ」と強調した。

ローラン・ハーシュ氏とトニー・ロム氏も取材に協力した。

アナ・スワンソンは『ニューヨーク・タイムズ』で貿易・国際経済を担当し、ワシントンを拠点に活動している。ジャーナリスト歴は10年以上である。

(ニューヨーク・タイムズ紙の記事ここまで)


皆さんはSPACというファンドの形式をご存じだろうか? 白紙委任のファンドとも呼ばれ、投資家は高リターンを期待して、どこに投資するのかも分からずに、ファンドマネージャーに運用を一任して資金を提供するものだ。

これはカネ余り、あるいはバブルの象徴のようなもので、圧倒的にファンド運用者が有利なので、資金がひっ迫したり、市場が調整したりすれば下火となる。

この記事の内容が事実だとすれば、日本政府が資金提供を約束した上記投資ファンドは、識者らが「実現性や将来性」に疑問を呈しているように、何にどのような形で投資するのかが不明だという点で、SPACに似ている。

違うところは、日本がリスクを取りながら、リターンの90%はファンドの運用者が取る点だ。これでは、高リターンは期待できない。つまり、SPAC以上に投資家不利な契約だ。

首相は「守るべきものは守った」とする。となれば、こうした一方的に多大な犠牲を払って、一体「何を守ったのか」の真摯な説明が望まれる。

 

 


・Book Guide:What has made Japan’s economy stagnant for more than 30 years?/ How to protect the pension and medical care systems (Arata Yaguchi: Paperback)

・Book Guide:What has made Japan’s economy stagnant for more than 30 years?/ How to protect the pension and medical care systems (Arata Yaguchi: Kindle Edition)

 

・Quiz Book:What has made Japan’s economy stagnant for more than 30 years?: 57 questions to reveal the problems of the Japanese economy (Arata Yaguchi: Kindle Edition)

 

・著書案内:日本が幸せになれるシステム: グラフで学ぶ、年金・医療制度の守り方(著者:矢口 新、ペーパーバック版)

 

・著書案内:日本が幸せになれるシステム・65のグラフデータで学ぶ、年金・医療制度の守り方(著者:矢口 新、Kindle Edition)
 

・著書案内:日本が幸せになれるシステム問題集・日本経済の病巣を明らかにするための57問(著者:矢口 新、Kindle Edition)




---------------------- Seminar on Trading ---------------------
         毎日、数行! マーケット情報で学ぶ経済英語!
    ☆無料(参照&登録):https://www.mag2.com/m/0000142830.html
一週間のまとめはブログでも読めます:https://ameblo.jp/dealersweb-inc/
------------------------【 Dealer's WEB 】-----------------------

 

 

 

☆【投資の学校プレミアム


☆「矢口新の短期トレード教室」
転換点を見極め、利益を残す方法を学ぶ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?c=9784775991541

ブログ一覧に戻る