━━━━━━━━━━━ Seminar on Trading ━━━━━━━━━━━
殿堂入りメールマガジン:「相場はあなたの夢をかなえる」
☆無料版(参照&登録):https://www.mag2.com/m/0000031054.html☆
「生き残りのディーリング」の著者による経済と相場の解説(折に触れて)
★有料版(\840税込:購読登録):http://www.mag2.com/m/0001111340.html★
まぐまぐ大賞2016:資産運用(予想的中!)第1位(毎週月曜日)
━━━━━━━━━━━━【 Dealer's WEB 】━━━━━━━━━━━━━
・iPad、iPhoneでお読みの方は、上部アドレスバーにある[リーダー]をクリックすると、読みやすくなります。
☆フェイクニュースと民主主義
フェイクニュースの蔓延により、民主主義の危機が叫ばれるようになってきた。とはいえ、現在の世界や日本の政治を見ていると、フェイクニュースが取り沙汰される以前から民主主義には大きな欠陥があると思わざるを得ない。
我々の世代は「民主教育」とやらで、民主主義が最良、多数決が万能だと事実上思い込まされてきたが、民主主義の先進国の1つ英国では日本に民主教育が持ち込まれた頃の1947年に、既に当時のウィンストン・チャーチル首相が議会で民主主義の限界について触れている。
「Democracy is the worst form of government - except for all the others that have been tried.」
(民主主義は最悪の政治形態である。ただし、これまでに試みられたすべての政治形態を除けば、である。)
また、1951年に出版された安部公房の「闖入者」では、自宅アパートに突然入り込んで来た見知らぬ家族による多数決や、近所住民、権力者たちへの民主主義的な画策により、主人公は孤立して自殺に追い込まれていく。
同書は私が学生時代に読み、もはや手元にはないにも関わらず、記録映画の映像のように私の脳裏に残っている。それほど印象的な短編だったのだ。順番は覚えていないが、結果的に安部公房の作品はほとんど全て読むことになった。
同書については、以前にもイスラエルのガザ侵攻に類似性が見られるとして触れた。
参照:パレスチナ問題の難しさ
民主主義は、国民一人ひとりが多様かつ正確、公正な情報をもとに自由に意思決定し、投票などを通じて政治に参加することで成り立っている。ところが、フェイクニュースの蔓延で、情報の真偽を見極めることが難しくなり、国民が誤った情報に基づいて意思決定を下す危険性が高まっているとされる。
しかし、フェイクニュースに限らず、政府やメディアによる情報操作でもこのプロセスを歪め、分断や偏見、不信感を助長する。
実際、民主主義下の日本で最も長く首相を勤めた人物が公文書の改ざんや隠ぺいで、国民に正確で公正な情報が伝わらないようにしていた。また、いわゆる権威主義国は言うに及ばず、世界のどの国にでもメディアが触れてはいけないタブーがあるのだから、情報操作は政治の一部だと見なせなくもない。
また、フェイクニュースは感情に訴える傾向が強く、人々の分断や偏見を助長することで、社会の対話を困難にするとされるが、これは「戦時下」のどの政府にも当て嵌まる情報操作だ。
つまり、SNSの普及は情報操作(フェイクニュース)が、権力者側からの一方通行ではなくなり、誰もが情報発信者となりうる時代となったことで、あらゆる方向からなされるようになっただけだとも見なせるのだ。これは、より多様に、より民主的になったとも見なせるので、民主主義の「自由」を逆手に取る、民主主義が本来的に持つ欠陥だとも言えるのだ。
フェイクニュースの問題を整理するために、2、3のAIに意見を求めてみた。
「特に深刻なのは、ソーシャルメディアのアルゴリズムが人々を同じような考えを持つ情報の『エコーチェンバー』に閉じ込めてしまうことです。これにより、異なる政治的立場の人々が全く異なる『事実』を信じるという現象が生まれています。選挙の正当性への疑念、公衆衛生政策への不信、さらには科学的事実そのものへの懐疑まで、フェイクニュースの影響は社会のあらゆる領域に及んでいます。」
「健全な民主主義を守るためには、国民一人ひとりが情報を鵜呑みにしない姿勢を持ち、情報の出所を確認し、複数の情報源と照らし合わせるなど、批判的な視点を持つことが重要。」
「また、プラットフォーム企業は、フェイクニュースの拡散を抑制するための技術的な対策や、適切な情報表示の強化を進める必要があります。また、透明性の高いアルゴリズムの運用や、ファクトチェック機関との連携も求められます。」
「さらに、ジャーナリズムの役割も再認識されるべきです。信頼できる報道機関が、正確で客観的な情報を提供し続けることは、フェイクニュースに対抗する上で極めて重要です。調査報道を通じて真実を追求し、社会に提示する役割は、民主主義を守る上で不可欠と言えるでしょう。」
「権威主義的な国家が、民主主義国家の世論や選挙に介入するために偽情報を戦略的に利用する例も増えています。AIによるディープフェイク技術の発展も、こうした脅威を一層深刻化させています。」
「民主主義は『表現の自由』や『報道の自由』を重視するため、情報の流通を制限しにくい構造があります。そのため、悪意ある情報や誤った情報も『自由な言論』の名のもとに拡散されやすいのです。また、選挙結果はしばしば僅差で決まるため、人口のごく一部の意見がフェイクニュースによって左右されるだけで、政治の方向性が大きく変わるリスクがあります。」
「フェイクニュース対策には、政府やプラットフォーム事業者による規制やコンテンツモデレーションが不可欠ですが、過度な規制は『検閲』となり、民主主義の基盤である表現の自由を損なう危険もあります。」
どうだろうか? フェイクニュースをフェイクニュースだと発信するのなら、問題にはならない。その意味では、「国民一人ひとりが情報を鵜呑みにしない」ことは、政府やメディアの情報に対しても当てはまる。また、政治にカネがかかるのが民主政治なのなら、金権政治に堕ちていくのは避けられないことになる。加えて、票が政治の方向を決めていくのなら、政治家が人気者たちに占められることも必然だ。
もっと大きな問題は、建前上「多様な情報、多様な思想」を受け入れる民主主義国家と、本音丸出しの「情報統制、単一思想」を信条とする権威主義的国家とが並存していることだ。ここに金権政治を加味するならば、民主主義の敗北は避けられないようになってくる。
古代ギリシャの哲学者プラトンは2400年前に「民主政は僭主政に行き着く」と予言していたという。
参照:「怒っている人」世界で増加中 プラトンは強権統治を予言していた
時の政府や政権が変わるたびに「過去の事実が見直され」、公的な歴史が改ざんされるのはよく知られた事実だ。私のように職業柄地政学的リスクを長年追いかけていると、目の前で起きてきたイラクやアフガニスタン、今現在のウクライナやイスラエル問題でも、公的な事実が歪められて報道されているのを感じる。いわば、公的なフェイクニュースなのだ。
健全な民主主義を守るには、何をしても無駄なのかも知れない。それでも、「国民一人ひとりが情報を鵜呑みにしない姿勢を持ち、情報の出所を確認し、複数の情報源と照らし合わせるなど、批判的な視点を持つことが重要」だと言うことに、尽きるのではないか?
・Book Guide:What has made Japan’s economy stagnant for more than 30 years?/ How to protect the pension and medical care systems (Arata Yaguchi: Paperback)
・Book Guide:What has made Japan’s economy stagnant for more than 30 years?/ How to protect the pension and medical care systems (Arata Yaguchi: Kindle Edition)
・著書案内:日本が幸せになれるシステム: グラフで学ぶ、年金・医療制度の守り方(著者:矢口 新、ペーパーバック版)
・著書案内:日本が幸せになれるシステム・65のグラフデータで学ぶ、年金・医療制度の守り方(著者:矢口 新、Kindle Edition)
・著書案内:日本が幸せになれるシステム問題集・日本経済の病巣を明らかにするための57問(著者:矢口 新、Kindle Edition)
---------------------- Seminar on Trading ---------------------
毎日、数行! マーケット情報で学ぶ経済英語!
☆無料(参照&登録):https://www.mag2.com/m/0000142830.html☆
一週間のまとめはブログでも読めます:https://ameblo.jp/dealersweb-inc/
------------------------【 Dealer's WEB 】-----------------------
☆【投資の学校プレミアム】
☆「矢口新の短期トレード教室」
転換点を見極め、利益を残す方法を学ぶ
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?c=9784775991541