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☆暗黒時代の選択肢
私は、各国の政府がコロナ対策として行動制限やロックダウンを採用した時、人類史上でかってなかったほどの暴挙だとした。それは強権により国民の生活権を奪いながら、財政赤字、公的債務の拡大により、自らの政策の幅を狭めるという悪手だった。生産させずに資金だけを供給したので、後のインフレの主因ともなった。
また、プーチン氏がバイデン氏の挑発に乗りウクライナ戦争を始めた時、パンドラの箱が開けられたと述べた。その後の世界は、友好的に共に成長しようとするトレンドから、憎悪むき出しの分断、対立トレンドに転じた。
最近、英仏はロシアのリスクに対応して、他のNATO諸国への核兵器の配備を決めたようだが、これは核兵器の分散に繋がり、より大きな将来のリスクに繋がりかねない。
こうした目先のリスクに対応して、より大きなリスクを将来の世代に先送りすることは、コロナ対策に始まり、原発の復権、温暖化対策の形骸化、軍拡、核兵器と、野放図に公的債務を拡大することと同一線上にあることなのだ。現在の政治家たちは、長期的な視野を持たなくなり、いたずらに潜在的なリスクを拡大し、先送りしているように思える。
そして、これまでカリスマ的な軍最高司令官が米軍に暗殺されても、首都や軍施設が爆撃されても、基本的には静観を保ってきたイランの最高指導者が殺害されたことで、もう地政学的リスクに触れることは止めようと決めた。
これまでは潜在的に大きなリスクに警鐘を出す目的でコメントしてきたが、ここまで顕在化してしまえば、もはや警鐘の意味がないからだ。
これからは、こうした「暗黒時代」をどう生きていくか、それぞれが問われる時代になったと見ている。
イラン戦争は他人事ではない。覇権国に狙われてしまったなら、どうやっても叩き潰されることを示唆しているからだ。
スペイン首相は、「1、最も無防備な市民を守るためにある国際法の崩壊を許さない」、「2、世界は紛争や爆弾によってのみ問題を解決できると想定しない」、「3、イラク戦争に協力した過去の過ちを繰り返さない」として、米軍による基地の使用を認めず、今回のイラン戦争は「違法」だと強調した。トランプ氏は「全貿易を断つ」脅したが、スペインは「共犯者にはならない」と屈せず、「人類の大惨事は常にこうして始まるのだ」と警鐘を鳴らした。
トランプ氏は、イランとの合意は「無条件降伏」のみとしているが、最高指導者を含む実力者たちが根こそぎとなった後で、誰がそれを決めるのか。イラクやアフガニスタンのように「傀儡政権」をつくっても、どれだけの国民がそれに従うのか?
イラン戦争は、武力交戦以前に「情報戦」だった。米国とイスラエルは、イラン要人の動向を基本的に把握している。このことは、反米的にイラン政府やイラン軍をまとめる人物は、すでに排除されたか、兆候が見られた時点で排除されることを示唆している。
このことは、現在見られているイランの反撃は、個々の部隊の司令官らが独断で行っている可能性を示唆している。つまり、既にゲリラ化している可能性があるのだ。分断状態の個々の部隊のすべてが「無条件降伏」を受け入れる可能性は限りなく低い。
米国はイラクやアフガニスタンでも国を廃墟にしただけで、親米国家を樹立できたわけではない。「力による平和」は一方的な押し付けを意味するので、好まれるはずもないのだ。むしろ、両国は政治、経済、生活そのものを破壊され、根深い憎悪だけを生んだ。
「力による平和」が日本では親米に繋がったのは、日本国内に有力な協力者を得たこと、洗脳の巧みさもあるだろうが、米ソ冷戦を背景にした必要性から、日本経済の成長を見守ったことが大きい。しかし、これは冷戦終結と共に、成長阻止の外圧へと転じた。
一方、米によるイラン攻撃の真の目的は中国だとの見方がある。原油輸入国の中国にはイランからだけでなく、ホルムズ海峡を通る他の産油国からの原油も入らなくなるからだ。
イランに先立っては、ベネズエラを支配下に置いた。ベネズエラの重油はディーゼルの原料となるので、トラック輸送のコストを押し下げるだけでなく、米中で激増しているデータセンター用の非常電源の燃料にもなる。
とはいえ、これは基本的には日本を含む世界の輸入国すべてに当て嵌まる。中国にはそれでもロシア産原油という選択肢があるが、4月に訪中を控えたトランプ氏は「ロシア産原油を減らして、米国産を買え」と迫っている。天然ガスも同じ状況で、世界一の産出国米国の2025年の生産量は急増している。
これらが示唆しているのは、選択肢がない日本が購入する原油や天然ガスの価格は上がるだろうということだ。
情報戦にAIが加わったことで、覇権国は世界各国の情報を把握できていると見ていていいかも知れない。イランのようなサイバー大国と言われた所でさえ、まったく無力だった。AIで米中が競っているのは、そのまま世界の覇権争いに通じているからだ。
覇権国は、いとも簡単に他国の首長を拉致したり、殺害することもできる。ベネズエラが大統領の拉致だけで済んだのは、事前に副大統領や軍幹部との手打ちが終わっていた可能性を示唆している。イランは宗教も絡んでいるので、それが出来なかったのかも知れない。
覇権国に逆らえば、国土が戦場にされる。では従えばいいのか? 日本ならば、親米を続ければいいのか?
国連の資料によれば、日本が成長を止めた1997年から2019年まで、ドル建ての名目GDPの成長率はわずか15%だった。その間、世界経済は276%成長した。
一方、米国による厳しい制裁下の経済、北朝鮮は60%、ベネズエラは75%、イランは5.6倍にも成長した。
また、戦火にまみれたソマリアは26%、リビアは80%、アフガニスタンは6.5倍にも成長したのだ。どこも日本よりはましだった。
もっとも、イランやアフガニスタンは1997年時点が小さく、日本はそれまでのピークだった違いはあるのだが、プラザ合意頃から目を付けられ、ソ連崩壊後は狙い撃ちされてきた悲哀を感じるのではないだろうか?
日本は少子高齢化でも、労働力人口は女性と高齢者の参加により過去最大だ。昭和の古いシステムからまだ脱却できないからだとの見方もあるが、昭和当時の日本は世界一の経済だったのだ。
覇権国には歯向かっても、従っても駄目。何故なら、どちらも短絡的という意味では大差がないからだ。上手く立ち回る必要があるのだ。私見では、インドやトルコはしたたかに立ち回っている。
それでも日本は、これまで戦場とはならずに、低成長だけで済んできたが、米中の覇権争いの中ではどうなるか分からない。圧倒的に強い大型犬に向かっては、威勢のいい子犬はむしろ危険だ。
日本政府や政治家らが上手く立ち回れないのならば、それが世界の「暗黒時代」に日本人が置かれた環境だと言うしかない。国民一人一人が、自分たちなりに立ち回るしかないのだ。
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