【トレード】自分の運用を知ること | しがないディーラー

日本に出張して、本当に沢山の方々とお会いし、ミーティング、ランチ、ディナー(飲み)と多くの時間を共有させていただきました。
その中で何度も聞かれた質問。

「運用の世界でうまくいく人、いかない人の見極め」についてです。

採用や育成、30歳代の頃から運用人材育成に取り組んできた自分にとっても悩ましい課題です。

結論から言えば、採用段階では

「面接という限られた時間だけでは分からない。実際にやらせてみなければ見えてこないものが多すぎる。」

という回答になります。

ただダメだろう、難しいだろうというのはある程度判断がつくかもしれません。
そのための採用プロセスと自分は考えています。

モチベーションが明らかに低い人、覚悟が足りない人。
モチベーションはあっても、その道に行くために調べたり、何か努力した痕跡があまり見られない人。
会話の中で、合理性や論理性が欠けていると感じる人。


中には自分のお金でやっていたら損しちゃったんで、会社のお金でやらせてもらえる環境にいきたいとか、ちょっととんでもないなと感じる人もいたりしました。

嘘をついたり、誤魔化したりする人もいましたね。特にひと昔前だと他社から移ってくるディーラーなんかに少なくなかった。損失出してその会社をクビになったのに、儲かったように自分のレコード誤魔化して見せてきたり…。
損も含めて自分のトラックレコードは履歴書以上に大事なものです。
それを誤魔化すとか、嘘つくって…”プライドないんかな”と思います。
自分の取り組んできた証に嘘つくなんて、自分の歩いてきた道に唾を吐くようなもの。


そういう人を見極めるための面接だとは思っています。
ただそれに該当しなければうまくいくか、となるとまた別問題。


やる気もあって、頭もよく、可能性を感じても、実際にやらせてみると…?

というケースも少なくないです。

株が好き、相場が好き、うまくなりたい、稼ぎたい…モチベーションは十分にある。
頭もいい。努力もできる。

最低限の条件はクリアでしょう。


でも実際にポジションを取って損と直面したとき、思ってもみなかったようなその人の問題点が見えてきたりもします。
論理的、合理的な会話ができる人が、損失と直面した途端、マーケットにおいては合理性の欠片もないような行動をとる場合がある。

特に”頭がいい”と自分で思っちゃってる人に見られがちですが、無駄にプライド高くて独りよがりになってしまったり、間違いを認められなかったり、他人の考えや意見を吸収することができなかったり…。

周囲と会話することも大事だったりします。

相場で戦っているときは孤独です。
だからこそ視野が狭くならないように、様々な人の考えや意見も聞きながら”気づき”を得ていく。
自分が見ていなかったものに気づけたり、視野が広がったりすることができるのに、それを受け入れようとしない。
これはベテランでも陥る場合があります。
一人の世界で戦っていると主観を振り回して終わってしまう。
いつのまにか自分の考えに肯定的な材料やニュースにばかり目が行くようになってしまう。
バイアスがかかってしまっているときほど、他人の意見に耳を傾けるって大事だったりします。


”もったいないな”

と思うタイプの人の多くがそういう人材です。

それぞれに可能性があると思っているからこそ採用するし、信じてリスクも付与します。
しかし、大した経験も実績もないのに、一人よがりな向き合い方をしていることで損をしてしまう。
視野が狭く、成長もあまりしないまま、他人に追い越されていく。

ポテンシャルは明らかにあったのに…。


そういう人の多くが、知らないことを知らないと言えずに、自分の中だけで分かったつもりで終わってしまうことも多いです。
知らないことは知らないから教えてと見識のある人に聞けばいい。

経験や知識が少ない若手ならなおのこと。
どんどん人に聞いて、その人の知識や経験を吸収するどん欲さがあっていいと思うのです。


あとは自分の性格に向いていない戦い方にこだわってしまうケース。
短期売買と中長期の運用では、見るべきものも、求められる資質も変わってきます。
短距離ランナーにマラソン走らせてもうまくいかないし、マラソンランナーに短距離走らせても勝てるわけではない。

もちろん共通のものもありますが、運用戦略と自分の性格がミスマッチしているともったいないことになります。


相場を知ること。
銘柄を知ること。
自分を知ること。
他人から学ぶこと。


それらが高いレベルでバランスよくできて初めて成功への道が拓ける。
特に追い込まれたとき、損失と向き合ったときに出る行動は、その人の弱点を思いっきりむき出しにしてきます。
緊張はしても、普通に会話している面接では、とても見つけ出すことができない問題だったりするのです。


ある程度経験を積み上げていても、やはり得意・不得意はあります。
自分の運用を知り、長所・短所を自覚することは、将来運用者として壁にぶつかったときに必ず活きてきます。
相場を知る以上に、自分を知ることって大事なこと。

自分を知る=自分の弱いところを直視することにもつながるので、実は相場を知ること以上に難しかったりするものなんです。
それができない人は本当にできないし、他人にいくら言われても自覚できない。
優秀でプライドが高いほど、そういったことが苦手だったりするものです。
そして自分の問題点や課題と向き合えないまま、改善や成長ができないままに終わり、退場に追い込まれてしまう。

”もったいないな”

と本当に思うのです。



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