12月24日(水)のブログ ↑のつづきです。
ツナギ売りとは別名、「保険つなぎ」です。
保険とは、自分の軸となる行動と反対をやることです。
「自分は元気に生きる」という想定で生活しているのに、生命保険に加入して「自分が死ぬほうにカネを賭ける」のです。死なないので、自分は賭けに負け、胴元の保険会社に取られます。損をします。
でも、万が一のことを考えて“保障を買っている”ので、行動として成立するのです。
株のツナギ売りに話を戻します。
例えば200株カラ売りしたら、どうなるか──。
「持ち株が実質2,800株に減った」とか、「200株だけ利益確保できた」と解説できます(下図)。
でも、実践者がこれから先のことを考えた場合は、「3千株の買い」(買い値300円)と「200株のカラ売り」(売り値400円)の2つがある状態──こう整理するべきです(下図)。
その後の値動きを見ながら、新しくつくった200株のカラ売りについて「いい感じ」と思ったら、「あれっ、上げ止まっているのかな」「どんどん手仕舞いしたほうがいいかな」といった考えが強まります。ツナギ売りを増やしていく、あるいは現物を手放していく、といった対応が想像できますね。
逆に、そのカラ売りポジションがイヤな感じだったら……「相場は強いかも」とポジション持続に気持ちが傾くでしょう。そのまま、実質2,800株の買いポジションを維持してもいいですし、ツナギ売りを損益に関係なく切って再び「3千株買い」という元の状態に戻してもいいわけです。
自分で基準をつくり、その基準を使って判断した結果(自分の見通し)を、すぐにポジションに反映させる──ある意味、当たり前のことをしようというのです。
冒頭の、両建てした投資家のエピソードに、もういちど触れましょう。
「上がってよろこべばいいのか、下がってよろこべばいいのか、わからない」のは当然です。
このように、「たぶんスパッと切るのが正解」と感じながら、先送りのためにフタをする行為は、望ましいことではありません。次の一手を見いだせないまま疲れる日々を送り、資金を寝かせたうえに、別のチャンスを見つける可能性を捨てているのですから。
基本は、先ほど述べたようなシンプルな見通しです。
「上がると思うから買う」「下がると思うから売る」の2つです。
だから、ツナギを多用するのも、よろしくありません。
手数(てかず)ばかり増えて、自分の見通しがあいまいになります。そんな危うい状態にもかかわらず、売ったり買ったりで忙しいから「やってる感」満載で、肝心な部分を捨てていることに気がつかないことが懸念されます。
特殊なワザは多用せず、たまに使うから効果的なのです。

