私の仕事は、売買・トレードのやり方を教えることです。
特定の手法を挙げ、その理論を理解したうえで実際に売買してもらいます。
そして、考え方の整理や値動きへの対応を通じて、その人なりの“自分流”を見つけてもらうのがゴールです。
新たに会員になった人や、新しい手法に取り組もうとする人が、こんなふうに言ったりします。
「頑張ります!」
その言葉に対して私は、次のように返します。
「頑張らないでください。楽しんでください」
「頑張る」というのは、けっこうな力を加えることです。
一時的にしかできません。
長続きしないのです。
頑張りは、期待するよりもずっと早くフェードアウトします。
そして、「自分はダメだ……」なんて感じてしまいます。
頑張った分のプラスよりも、そのあとのマイナスのほうが大きいと思うのです。
でも、楽しいことは長続きします。
「やめたい」なんて思わないので、「やるな」と言われててもやりたいのです。
頑張ることなんてしないで、楽しんでいれば、「儲ける」「儲かる実践者になる」「技術を向上させる」といったゴール達成に必要な努力が、苦労なく継続するのです。
ただ、頑張る必要もあります。
どんなに理論を重ねても、現実の株価変動は読めません。
勝つために専門のやり方を決めて技術を高めても、そのやり方が機能する(利益になる)期間は意外と短いので、ちょっとだけ精神力が求められます。
機能しないときは、余分な損が出ないよう踏ん張ります。
儲けることよりも、「資金の温存」が第一です。
機能するときには利益を確保しますが、すぐに機能しなくなります。
ふところに入れた利益を、はき出さないように踏ん張るのです。
こういった現実に負けず、この苦しい状況すらも楽しむ気持ちが必要です。
だから、ふだんの勉強とか、売買の基本形の部分には、「頑張り」という要素を入れてはいけないのです。
頑張らないことで、激しくて予測不能の株価変動、次々に迫るシュールな現実に負けない柔軟性を保てると、私は考えます。
