トレードは計算どおりにならない(2) | 株式投資「虎の穴」

 

 

11月5日のブログ ↑ の、つづきです。


4.出遅れ銘柄

上げ基調のなか、まずまずの範囲の銘柄が物色されている一方で、安値で動いていない銘柄がある──「次はこのあたり」と静かに拾う、いわゆる出遅れ狙いの戦略は、多くの個人投資家が好むといわれます。私自身も、大好きです。

でも、「遅れている」(必ず上がる)という保証などありません。
結局は出ないかもしれないし、買ったあと、さらに下がるかもしれないのです。

動いていないから出遅れ……出遅れ狙いの投資家にとって魅力的でも、別の立場から見れば「人気がなく、魅力もない」銘柄です。

自分の価値判断でポジションを取るしかないのですが、誰の価値判断も「勝手な予想」にすぎません。


5.明らかに割安/割高

株価について、割安/割高を考えるアプローチがあります。
割安なら買い有利、割高なら売り有利、ということです。

この判定には各種の指標が用いられますが、絶対的な判断など不可能です。
明らかに割安、つまり「こんな価格帯にいるのはおかしい」というなら、そもそも、その水準まで下がっていないはずですから。

私も「この銘柄、安いよね!」とほれ込むことはあります。
自分の目を信じてそう考えるのは、実践者として自然なことです。

でも、そんな株価水準なのに、確信をもって売り注文を出す人がいるから値段がついている、というのがマーケットの事実です。


6.短期予測ほど当たる

これは、ちょっとした勘違いです。

たしかに、3年後の株価よりは、1週間後の株価のほうが予測しやすいでしょう。
もっと極端に、1時間後、5分後……と考えたら、「予測が当たる」と感じるでしょう。

しかし、それは自分だけの条件ではありません。
マーケット参加者全員に、平等に与えられている条件です。

だから、「短期予測ほど当たる」「だから短期トレードが有利」といった論理は成立しないのです。


さて、まとめとして、これらの計算と「売買・トレードのあり方」を考えてみます。

私たちマーケット参加者(実践者)には、それぞれの価値判断があります。
そして、「こうなる」という確信をもとにポジションを取ります。

でも、同時に「そうならない」可能性、実践的な表現に直せば「そうならないという確信」も、抱えていなければいけないのでしょう。

売買・トレードは、「予測」だけでは成り立ちません。
まず、その予測に応じた「ポジション操作」がセットです。
当初の予測でポジションをつくる作業だけでなく、刻一刻と変化する情勢を継続的に判断していくので、予測そのものが更新されていきます。だから、常にポジション操作をするのです。

でも、苦労して変化させた予測が、とことん裏切られる結果もあり得ます。

だから、当たったときの利益を最大化すべく、株数や資金稼働率を調整する「資金管理」は、『予測が当たらなかったときの損失を抑えるための計算』でもあるのです。

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