「計算どおりにならない」なんて、誰でも理解していることです。
でも、計算なり目論見なりがあって行動している、自分なりのシナリオを整えて売買しているはずです。その計算が、現実に合ったものか、発想そのものが不適切か──日々、株価が大きく変動して雑多な情報が飛び交うなかで、後悔しない判断を下すのは難しいと思います。
個々の判断だけでなく、進む方向を誤らないために、あらためて「計算どおりにならない」とはどんな状況かを言葉にしてみましょう。
そして、「正しい計算」というものを明らかにしてみましょう。
計算どおりにならないケースを6つ挙げて、それぞれ解説していきます。
1.ルールが機能する時期としない時期がある
確率で計算して「こういう状況からは、こう動く」という計算をします。
当然、そういった法則どおりに株価が動かない時期もあります。
かなりの確率で当たる法則なんてないので、売買実践として極めて適切な考え方でも、当たったり当たらなかったり……最初の予測に固執せず、見方を柔軟に変えていく姿勢、ダメだったときの対処などが求められます。
また、ある法則が、銘柄によって機能したり、しなかったりします。
機能する時期/しない時期、機能する銘柄/しない銘柄──これらがからみ合うので、判定不可能な状況が多々あることを覚悟しておかなければなりません。
2.再投資の計算
一定期間の成績から、今後の利益を計算するのは当然です。
例えば、半年で10%利益が出たら、「次の半年も10%の利益」と考えるでしょう。
つまり、「自分の売買は半年で10%プラスになる」と判定するわけです。
でも、後半の半年はマイナス3%、「1年でプラス7%」というのが正しい判定かもしれません。自分の都合によって半年で区切るのは間違いで、「正しい一定期間の成績は年7%」かもしれない、ということです。
だから、例えば100万円が半年で110万円になった(プラス10%)、だから再投資して110万円で次の期間をスタート、という計算はキケンかもしれないのです。控えめに考えたら(控えめが正しいのですが)、資金が5割増えた段階でやっと株数を増加させる、といった対応です。
3.ロングショート
ロングショートとは、買いポジションと売りポジション(カラ売り)を同時に持つ戦略です。
サヤ取り(アービトラージ)ではなく、買い思惑と売り思惑を同時に行うということです。
上がりそうな銘柄を買い、下がりそうな銘柄にはカラ売りを仕掛ける──買いと売りが混在することで、マーケット全体の急変(急騰あるいは急落)に強い、と計算できます。
でも、買っている銘柄が下がってカラ売りしている銘柄が上がる、という“股裂き”だってあり得ます。計算尽くでやってしまうと、こうした想定外の動きに対処できません。計算の部分が大きいためにポジション量も多くなる、といった傾向も、想定外の自体への対応能力を低下させる要因です。
―11月7日(金)のブログにつづく―
