株を売買しながら、自分のポジションについて誰かに相談する──意識が高いという見方もできますが、大半は、切るに切れないダメ玉を抱えた状態です。
実は、「過去を振り返らずに切るしかない」と理解しているのです。
同じプレーヤーの立場で、あなたに有利なアドバイスをしてくれる人なんて、なかなかいません。無責任な意見を言われるのがオチです。
だから、損切りするか否かを自分で判定するしかないのですが、心理的につらいので、つい逃避したくなります。
目先の上昇を狙って買ったのに下がってしまったとき、「でも、この企業には将来性がある」とか「配当利回りが高い」など、買うときには意識しなかった要素を挙げて損切りを先送りします。
「投機」のポジションをつくったのに、状況が変わったら「投資」の視点を持ちだし、3カ月の計画が5年に延びる……これはアウトです!
見込み違いは避けられません。
でも、わるい状態を放置して、その先の結果もわるくしてしまうかどうかは、自分の判断と行動しだいです。
もし「苦しい」と思うなら、逃げずに自分の手で苦しさを軽減してください。
半端な気持ちで「ヤラレの少ない銘柄を切る」のではなく、「最もイヤな銘柄」を優先的に切って、近未来にそなえる状態を自分でつくり出すようにしてください。
選ぶ言葉が自己イメージをつくり、その自己イメージどおりに行動するのが私たち人間です。
「投資か投機か」という定義も大切ですし、「誰の言葉に耳を傾けるか」(誰の情報を重視するか)も重要です。自分で「ダメ玉だ」「切るしかない」と感じながら、頭のなかで論理をすり替えて先送りするのは、土台となる情報がユルいからです。
ちなみに、ちゃんと考えて工夫しても、苦しくて迷う状況が減らない、ということもあるでしょう。その場合は、売買資金が多すぎるか、資金稼働率が高すぎる(株数が多すぎる)か、出動の手数(てかず)が多すぎる、といったことが考えられます。
株価の変動は、きわめて激しいものです。
株を売買しているだけで、相当に積極的です。
だから、「みみっちい」と言われてしまうくらい、おとなしい張り方でも、十分に積極的な行動なのです。
こう考えて、自己コントロールを失わない範囲、自分の「守備範囲」を考え直すことです。
明日の株価なんて、誰も知りません。
他人に聞くことで、自ら情報弱者の域に入るのではなく、自分の売買プランだけを大切にしてください。