「投資」と「投機」のちがいは?
私もごっちゃに使っていますが、あらためて問われたとき、「私がやっているのは投機です」と答えます。
例えば低位株を買う場合、企業の「成長性」に着目することもありますが、株主という立場で、長期の成長による株価上昇を享受するといった感覚にはなりません。
買うときの狙いは数カ月単位の上昇で、長く持ってもせいぜい1年か2年です。
社長の名前や経営方針を見ることもありません。
だから、「投機を行っている」と自認しているのです。
世間には「投機は望ましくない行為」といった捉え方もあるようですが、本質から離れた言葉遊びのようなものです。
「投資家」と「企業」を結ぶ株式市場は、積極的に行動する投機家の存在が不可欠です。いわゆるホットマネーがなければ、株式市場は成り立ちません。
投機は、堂々たる社会活動、経済行為なのです。
例えば世間の騒動で株価が動いたとき、「こんな混乱で儲けるのは……」と考えてしまう人もいます。例えば3.11を機に起こった乱高下で利益を上げて悩むとか、コロナショックの暴落やそのあとの戻りで儲けて「いけないことをしている」気分になるとか。
日本人にありがちな心理ですが、自らの意思で災害を起こしたりウイルスをばらまいたわけではありません。
そもそも、株価変動の理由をビシッと特定できるわけでもありません。
不要に考えすぎたり、無責任な言葉の定義に惑わされたりする必要はありません。
ウォーレン・バフェット氏のような「投資」は難しいので、わりと短期間の値動きを追う「投機」をするのが一般的です。
こうして、自分がやっていることを客観的に理解することは重要です。
情報というのは、「発信者に有利」で「受信者に不利」という論理があります。
例えば、自分自身のことを説明するとき、自らに不利なことを積極的に開示しません。昨日ちょっとズルをしちゃったとか、下着を少し汚してしまったとか……。
発信者の都合ですね。
情報の受信者は、そうやってフィルターがかかった開示情報を受け取って考えるしかないので、やはり不利だ、という理屈です。
株の情報はどうでしょうか?
現在は、多くの人がSNSで自分の意見を発信します。
でも、元になるのは大手メディアが発信した情報だったり、ほかの人がSNSでつぶやいた言葉だったりします。どうしたって、受け身の姿勢が強いことは否定できません。
受け身に傾いている時点で、悔しいことですが、私たち個人投資家は「情報弱者」です。自分が弱いのではなく、相手(大手メディアやSNS)が強いのです。