先週のブログで「中源線は、うまく組み立てられている」と表現しましたが、建てたあとに裁量の手仕舞いを実行するとしたら、やはり「厳選」する目が必要です。
裁量ですべてを行う売買と同じく、緊張感を持続させる必要があります。
「切るか、持続か」を、厳しく判定しなければいけないということです。
(「切る」は、損切りかもしれないし、利食いかもしれません。単純に「ポジションを消す」という意味です)
「切るか、持続か」を迷う状況は、望ましくありません。
迷うくらいなら「切る」が正解です。
例えば刑事裁判では、「疑わしきは罰せず」という原則があります。
限りなく黒に近い灰色でも、有罪とは判断しないのです。
でも、相場では「疑わしきは切る」が原則です。
「どうかなぁ……」と思うものを残すと、散らかった状態がずっとつづきます。
部屋を片づけるときの「断捨離」のような、強めのエネルギーが必要なのです。
林投資研究所のオリジナルトレンド判定システム「中源線」の判断が、まさにそうであるように、見通しが売りから買いへ真逆に変わることもあり得ます。
ただ通常の場合、根底の見通しそのものは、それほどコロコロと変化しません。
細かく変化しうるのは、ポジションの状態です。
実際に値動きがわるければ、「おかしいなぁ」とつぶやきながら買いポジションを減らしたり、いったんゼロにして“入り直し”を狙ったりと、適度に変化させるのがふつうです。
ポジションを変化させながらも、一定期間のトレンドに目を向けていれば、見通しそのものが強気から弱気、再び弱気から強気と節操なく変わったりしません。
一方、つい頼りにしてしまう、新聞などの市況解説は、一貫性がなさすぎます。
その理由は明白。
「実践者のホンネ、プレーヤーの見通し」ではなく、極めて短期間の値動きを取り上げ、「誰もが納得しそうな理由」を上手に並べた“読みもの”だからです。
研究がシゴトの経済学者、現場の人と多く接する経済記者、自分のカネを動かすトレーダー……。
誰も、未来のことは知りません。同じ条件で株価を予測したら、結果は五十歩百歩かもしれません。
ただ、「見通し」という結論を出して言葉にする目的が大きく異なります。
こういった点を意識すれば、雑音に惑わされることなく、株を売買する実践者、プレーヤーとして見通しを立てることができますし、そのための情報整理も適切なものになるでしょう。