8月18日のブログ ↑ では、「保有する現物を維持したまま日経平均の売りポジション(あるいは、それに類するETF売買など)をつくるのはオススメしない」と述べました。
はたして、ヘッジ(保険つなぎ)として機能するかが疑問なのですが、売りと買い両方のポジションを持つと複雑になって手に負えなくなるという理由もあります。
売りと買いでひとかたまりのつもりが、実は、「保有銘柄の値上がり」と「日経平均の値下がり」という「2種類の思惑を抱え込んでいる状態かもしれない……こう考えれば、やはり難しそうだと感じてもらえるはずです。
相場は、二重の思惑(おもわく)で好結果が期待できるほどカンタンなものではありません。
「上がると思うから買う」「下がると思うから売る(カラ売りする)」のどちらかを選んで明確に傾かせる──こんな単純なイメージが、自分のポジション、それを動かす自分自身を落ち着いてコントロールするためのカギです。
ちょっと難しいことをやりたくなるのが人間の心理ですが、バカっぽいくらい単純なほうが実践的です。
迷いながら両建てしたくなるなら、ポジションが大きすぎる(張りすぎている)か、なんの確信もないまま手を出してしまったか、どちらかだと考えていいでしょう。
中源線がそうであるように、一定の資金量があれば必ず分割売買を行うべきですが、どっちつかずのまま、むやみに手を出すべきではありません。
人間は心理的に、「なにもしないでいる」ことがラクだといわれます。
自分のポジションに不安があるのに、「様子見だ」と言ってポジション操作をしないまま放置するときの気持ちですね。本当は「売らない」と決断した結果なのに、「様子見」という便利な言葉を使って理屈をつけているわけです。
こんな“居過ごし”の傾向は当然、ポジションが多いほど強くなります。
もちろん、ポジションが複雑な場合も強まります。ポジションを積み上げると、ほぐせなくなるのです。
ツナギを利用する場合も、本当に「ここぞ」という場面で使うことがポイント。
変化球は「ここぞ」というときに使う、やたらと登場させないのが基本です。
あなた自身が得意なこと、あるいは熱心にやっていることについて考えてみてください。
仕事でも、趣味でも、なんでもけっこうです。その分野で、プロと呼ばれる人たち、それを職業としている人たちのやり方を思い浮かべてほしいのです。
私の場合は、ゴルフです。
でも、トーナメント中継は、カメラワークや編集、あるいはアナウンサーの実況などで「脚色」されるので、プロがふだん行っている「シゴトとしてのプレー」を考える必要があります。
日々シゴトとして携わるうえで、観客や一般アマチュアが期待するような派手なワザなんて、めったに使いません。100点満点を求めず、常に60点を維持する。そのかわり、50点未満のトホホな結果を生まないために、最も間違いのない地味な方法しか実践しません。
それを知っていながら、私たちアマチュアは、練習量が不足しているくせにイチかバチかカッコいいことをやってみたくなります。実際にやっちゃいます。たまには成功しますが失敗が多く、その場面で打数が増えるだけでなく、18ホール全体のゲームを壊してしまいます。
アマチュアのゴルフですから、それも楽しみのひとつと片づけられますが、相場・トレードは、大切なカネ、絶対に減らしたくない貴重な財産を動かす行為です。アマチュアであっても、いや、アマチュアだからこそ、プロ以上に“プロっぽく”ふるまうことが求められます。