専門バカが理想 | 株式投資「虎の穴」

林投資研究所が提唱する投資手法には、「中源線建玉法」「FAI投資法」、2つがあります。

中源線は、うねり取りを機械的に行うための方法です。
終値の折れ線チャートを利用します。

FAIは、株価の長期サイクルに目を向け、“低位からの着実な上昇”の波に乗ろうとします。
値動きの判断には、月足(ローソク足)を使います。

どちらも、意味のない「予想の当てっこ」に陥らないよう、以下の3つの要素をバランスよく考えていく構造をもち、“相場技術論”をベースに値動き対応を主としています。

  • 統計的に普遍性のある予測法
  • 考え方にマッチしたポジションの取り方
  • 個人的な感性や慣れを無視しない

しかし、2つの手法は、やはり異なるもの。

相容れない部分が多々あります。
 

まずは時間軸(値動きを考える期間)が大きくちがうなど特徴が異なるため、実践面で“混ぜる”ことが難しいのです。

相場、株式投資、トレード……いずれにしても個人的な活動なので、ストイックな感じの「専門バカ」が理想だといわざるを得ません。

とはいえ、ほかのことは何も知らなくていい、ということではありません。

器用に行動できそうで、意外とできない……だから、利益を上げるための「精度」を高めるべく、専門バカ的に行動範囲を限定するのが正解です。

でも、視野は広げたいし、自分の狭い行動範囲を高い視点から眺める姿勢もほしいものです。

まずは、「この範囲しか手がけてはいけない」といった禁欲的な言葉を使わないことです。
「やってはいけない」と言われたら、やりたくなるのが人情。自分自身で決めたとしても、禁止のルールを守りつづけるのは困難、いや、ストレスが多すぎてムリです。

もっと肯定的な言葉を使い、「自分の守備範囲はここ。これが得意分野だ」と認識するべきです。「軸足をどこに置くか」という観点です。

軸足が決まれば、ブレることがありません。
ほかの手法をのぞき見ても、混乱を招く“いいとこ取り”に走ることなく、落ち着いて考えることができます。

その結果、自分が軸足を置いている手法の長所を再認識することができます。また、消すことのできない欠点を素直に認め、冷静につきあっていく気持ちも生まれるでしょう。2つの手法を比較して、「実は、こういう共通点がある」なんて発見もあるはずです。

FAI投資法では、月足で値動きを観察します。
安値に這いつくばって動かない状況から「上昇トレンドへの転換」を判断するために、いくつかのルールが決められていますが、そのなかのひとつが『兆し陽線』です。

振幅の小さい横ばいから長い陽線が出現したら、「これで動きが変わった。長期的な上昇トレンドがスタートした」と判断するのです。そして、「押したら買い」と具体的な戦略に結びつけます。

時間軸は異なるものの、この捉え方は、中源線の「陽転」と、ある意味、同じです。
「安いから買い」という短絡的な見方はキケン、「動きはじめてから乗る」という考え方も決して雑ではなく現実的かつ実用的なのか……こんな気づきを与えてくれます。

いわゆる手法、いわゆるトレードシステムに出会う機会は多いでしょう。
でも、「勝率は何%?」とか「利益率は?」と表面的なことに目を向けると、そんな姿勢を上手に利用した宣伝文句で煙にまかれます。自ら盲点をつくった状態で、不適切なツールを選んだり、誤った使い方をしてしまうことになります。

毎日、数多くの変化があるのが株式市場。
つい、「今日買って明日儲かる」みたいな妄想で行動をスタートしますが、株価情報でも、関連する情報でも、常に一定の距離をおいて冷静に捉える姿勢が最も重要です。
 

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