中源線の利用者から、「待つことができる」というフィードバックをもらうことがあります。
「利食い千人力」という言葉に従い、「利が乗っているうちに手仕舞いして、儲けをふところに入れよう」とした結果、大きな変動を取り損なってしまうことがありますが、それを防ぐことができる、というのです。
問題は、つくった買いポジションを維持できるかどうか──。
さらにグングン上昇するかもしれない、明日ストップ高をみせるかもしれない、と無限の可能性を秘めている一方で、「今夜、悪材料が出現して明日は暴落」なんて可能性だってあるのです。そんな状況下、自分の意思だけで「売るか売らないか」を決断しなければなりません。
とても難しいことですが、中源線が「待つ」ことを可能にしてくれます。途中で伸び悩もうが、前の高値水準に届こうが、中源線を軸にしている場合、「売るべきか、どうしようか」と思い悩むことなく、ねばることができるのです。
新しい銘柄を手がけるとき、「いま陽線だから、とりあえず買いたい」なんて感じます。
もちろん、それはそれでいいのですが、「利益を逃したくない」という気持ちだけで出動するのは好ましくありません。
確信をもってポジションをつくるなら、ピンとこない場合にサッと降りてしまうことができます。「相場は逃げない」「次のチャンスで儲けよう」と、堂々とした決断が可能です。
しかし、銘柄を決めた段階で、値動きに対して確信がもてないなら、「次の転換で出動すればいいな」と、落ち着いて待つのが正解でしょう。これも、「次のチャンスを待つ」という言葉が浮かぶかもしれませんね。
今日のブログのテーマは、相場における「待つ」です。
ここまでに挙げた「待つ」を、売買行動の選択肢として用意できると、相場との“距離”が大きく変わると思います。概念的なことなので、ゆっくりと説明しましょう。
よくある「ポジポジ病」とは、ポジションをたっぷり持っていないと落ち着かない投資家のことです。身動きが取れなくて苦しい場面ばかりなのに、「儲け損ないはイヤだ」と考えてポジションを減らすことができないのです。これは、相場との距離が近すぎる状況です。
あるいは、自分でも明確に「ダメ玉」「死に玉」と認識しながら、切ることができずに残してしまいます。切ればラクになる……こう思いながらも、「切った瞬間に負けが確定する」と感じて実行できないのです。
相場との距離を適正にするためには、思い切って“距離をおく”ことをイメージしなければなりません。
例えば、曲がっている鉄の棒をまっすぐにすることを考えてください。
左に10度曲がっている棒をまっすぐにするには、まっすぐを通りすぎて右側にグイッと曲げる必要がある、というのと同じです。
さて、相場との距離が適度に遠くなり、「仕掛けずに待つ」や「次のチャンスを待つ」という発想が自然なものになると、ポジションの手仕舞いに対する抵抗が薄れます。
結果として、利を伸ばすためにポジションを維持するときは、「なぜそうするのか」という理由がより明確になります。総合的に、プレーヤーとしての芯がしっかりします。
最終的に、「ここはチャンスだから、数量を増やしてみるか」といった、積極的な方向へ傾ける裁量、言い換えると、「押す」裁量を落ち着いて実行できるようになるでしょう。
「よし、一発儲けようか」とグイグイ押して数量を増やすのは、おそらくポジポジ病の症状です。でも、数量を減らして“引く”ことも自由にできる状態になってからは、同じような行動でも質が全くちがいます。
経験が豊富でも、予測は約50%しか当たりません。
それを承知で「ここはイクぞ!」と数量を増やすのですが、土台があるからこそ、問題のない攻め、適正な“押す裁量”なのです。