株価が急激な下落をみせると必ず、「落ちてくるナイフをつかむべきか否か」なんて議論が起こります。
しかし、この議論そのものが、「逆張り」という戦法を間違って捉えた発想です。
株価がどんどん下げていくなかで「どこまで下がるんだろう」と感じながら、もっぱら値ごろを軸に「えいやっ」と目をつぶって買い向かう……いわば“一か八か”の行動です。
これに対して本来の逆張りは、「買ったあと上がる」という“未来の変化”を考えたアクションです。
「ガンガン下げてきた」という“過去の変化”に強く目を向けているので、どうしても矛盾が生じる(観察と行動の軸が合っていない)という論理で、実践家は疑問を抱くのです。
驚くような急落で最安値をつけ、スピーディーに切り返すパターンだってあります。その安値を狙って買えるケースや、狙うべき状況というのもあるでしょう。しかし、「まだ下げトレンドなのに買う」という“逆行するポジション”になりかねません。“逆張り”のはずが本末転倒……という悲劇です。
林投資研究所オリジナルの相場観測システム「中源線」は、「そんなわずかな可能性にかけて危険を冒すべきではない」という思想でルールを規定します。
「いつ動くかわからない電車、逆向きに走り出すかもしれない電車に乗ってシートに座ってしまう」ことを嫌い、「動きはじめた電車にサッと飛び乗るのが確実だ」と考えるわけです。
「野も山もみな弱気なら、あほうになって買いの種まけ」
これは、相場格言です。
「多くの参加者が弱気のときに安値をつけるのが相場。そんな市場のセンチメント(心理)に惑わされず、勝つために独自の判断と行動を心がけよ」という意味です。
全くそのとおり!
でも、誰だって「自分だけ儲ければいい」と考える結果、総弱気のときに陰の極、総強気のときに天井、という皮肉な展開になるのが相場の現実です。
(だから、この格言がある!)
マーケット参加者のほとんどがバカで、自分は数少ないお利口さん──こんなふうに考えるのではなく、「自分も、そんな過ちをする愚衆の1人なんだ」と謙虚に考えるのが正しいのです。
どんな投資家でも、りっぱなオトナ、経験豊富な社会人なのですから。