過去の株価変動を評価し、将来の株価を予測するにあたって、ジャマになる要素、ジャマになり得る変則的な動きなどを「ノイズ」と呼びます。
なにがノイズかは、人によってちがいますが、私は、政治のイベントも大きなノイズのひとつだと感じます。
プレーンに掘り下げると、あらゆる政治のニュースがノイズではないか、とも思えます。
大きな政治イベントが、一時的に株価を動かすことがあるのは事実ですが、株価を見るときの軸にするべきではありません。
純粋な“うねり取り”の売買を考えてみましょう。
株価は、さまざまな要因で動きます。
株価が上がった、下がった……変動の理由について、ちまたには「なるほど」と思える解説がありますが、客観的かつ正確な分析なんてあり得ません。
多くの人が納得する理由を、後講釈しているに過ぎないのです。
そして実際に個別銘柄の値段は、その企業に特別な材料が出現しなくても、適度に上がったり下がったりを繰り返します。ここに目をつけるのが、うねり取りです。
何も材料がないなかで上がったり下がったり──いわゆる“自律的”な上げ下げがわかりやすく、計画的に利益を狙うのに理想的と考えられるのです。
値動きパターンを分析して分割売買を行う「中源線建玉法」も、全く同じ考え方をベースにしています。
極端だと感じるかもしれませんが、「価格以外はすべてノイズ」と片づける考え方も、ちゃんと成立します。
もう少し丁寧に説明すれば、「自分が株価の変動要因を集めて分析しなくても、プロを含む多くのマーケット参加者が分析して売買した結果、価格が動いている。だから、株価そのものが結論」ということです。
これまた乱暴だと否定する向きもあるのですが、政治や為替などの外部的な要因のほか、業績変化といった個々の銘柄の材料、そして、計ることが難しい「人気」という要素まで、すべてが盛り込まれているのが“現在の価格”という説明は、否定しにくいでしょう。
だから、材料の分析を完全に捨てて、値動きに対して「いつも一歩遅れだけど、ポジション操作をして結果を出そう」という実践論が浮かび上がります。
これが、「相場技術論」です。
うねり取りも、うねり取りを機械的判断で行おうとする中源線建玉法も、この「相場技術論」に基づいています。
100%に近い確率で近未来の株価を言い当てる方法が見つからないかぎり、これしか道はないというのが、実践的には非常にシンプルで、方向性を決めやすいのです。