中源線で損小利大を実現する | 株式投資「虎の穴」

中源線は、「逆行をみてトレンド転換を判断」します。
ということは、その逆行が小さいほど、有利な価格帯でスタートできるわけです。

下げトレンド後に「買い転換」するケースで考えてみましょう。

<パターン1>
最安値をつけたあとグイッと戻したところで保合(陰線のまま)
さらに強張りながら陽転

<パターン2>
下げたところで小動きジグザグ(陰線のまま最安値の付近)
静かに陽転して、ゆっくり上昇に転じた

後者のほうが、陽転時は“ワクワク感が少ない”とか“ちょっと不安”と感じるかもしれません。でも、安い位置で買いはじめるので、理想といえば理想です。

静かに陽転し、おとなしいままジワッと強張って新値2本目を取り、チョンチョンと押して増し玉完了、からのジリ高、そして上げが加速・・・まさに“絵に描いたような”展開です。

もちろん“理想”どおりに事が運ぶとは限りません。
例えば、最安値より1~2割上がったところで陽転、といったケースもあるわけです。

でも、「その時点で“トレンドが上向きになったと判断した”のですから、そのシグナルどおりに行動するのが中源線トレードの正解です。

中源線は、生身の人間のように、過去を振り返って「もっと安い価格があった」などと言いません。

こうした反応が、「逆行するポジションを放置」といった“あるある”のミスを防ぎますが、中途半端な往来に陥ったとき、ちょっと納得しにくい連敗を招きます。

ここで誰もが頭に浮かべるのは、次のような発想です。

「トレンドが発生するときは順張り的な中源線に従う。でも、往来のときは逆張りに徹する」

実現しそうな気がするのですが、相当にムリのある考え方です。

いわば、「中源線の当たり外れを、なにか別の基準で“当てよう”」ということです。
自分の売買については「やってみようか」なんて思うのですが、身近な人がトライしようとしていたら「やめておけよ」とアドバイスするでしょう。

でも、順張りと逆張りを使い分けるなんて、「常に当てて、百戦百勝に近づこう」というイメージですから、実現できない単なる妄想といわざるを得ません。

あらためて、中源線のルールを考えてみます。

転換の判断が機敏──思いきり俗っぽく表現すれば、「それいいね~、ツバつけとこう」ってところでしょうか。こう言い換えてしまうと、いかにも“かるい”雰囲気ですが、これが“機敏な方向転換”を実現しています。

ただ、「売りだ~」「やっぱり買いだ~」とコロコロ変わっていたら、きつい往復ビンタを食らいます。だから、3分割の売買が規定されているのです。

フリーズした結果、最悪の状況に陥らないようにするため、機敏に動きます。
そのかわり、プロが大切にする分割売買を行うことで、「避けられないマイナスを小さく抑える」工夫を施しているのです。

これで、「損小」が実現します。

そして、「転換の判断」と「増し玉OKの判断」、この2回の判定によって、トレンドが発生したときにはポジションに厚みがあって「利大」が実現します。

不可能なことに挑まず、勝率50%という現実の中で「損小利大」の売買を展開するルールが、うまく組み立てられているのです。

ただ、実際に値動きの中に身を置いてポジションを取っていると、こういった理屈よりも「もっともっと」という感情が勝ってしまいます。小さな損失まで、イヤなものはすべて消したくなってしまうのです。
 

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